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第2章
第73話 謎の研究施設?
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清志達が全員との合流を目指して船内を回っていた頃、アイナとシャーロットは発見した隠し通路を進んでいた。
ありふれた豪華客船には似つかわしくない、何かの研究所を思わせる風景が続いている。まるでゾンビ映画に良く出て来る様な、真っ白で無機質な通路が続いていた。
アイナ達がこれまでに発見した小部屋を調べてみた限り、この辺りは休憩スペースか何からしい。喫煙所や自動販売機などが設置されている。
喫煙所の中には誰かの脱いだ白衣が落ちていたので、尚更研究所らしい雰囲気がしていた。
「この船、ただの豪華客船じゃあ無さそうね」
「何かの研究をしていたのでしょうか?」
「ただの海洋調査だったら良いんだけどね」
アイナは嫌な予感を感じ始めていた。もしグレーかそれ以上の研究を密かに行っていた船だとしたら。それを狙った海賊か産業スパイに襲われたのだとしたら。
最悪その研究が既に厄介な連中の手に渡った可能性も出て来る。この豪華客船の周囲に船舶の姿は無かったが、海中に潜水艇でも潜んでいたとしたら厄介だ。
事実として、アイナは似た様なケースに対応した事がある。州警察の協力要請を受け、麻薬取引をしていた客船の中で戦闘になった事があるのだ。
その際に麻薬密売組織が、ステルス性の高い潜水艇を使用していたのだ。その時はそこから大量の増援が出て来て苦労をする事になった。
「厄介な事にならないと良いけど」
「いくつも扉がありますわね?」
「入ってみましょうか」
隠し通路を抜けた先、余計に研究所の様な雰囲気が増した通路に出た2人。目の前には複数の部屋がある様で、1部屋ずつ調べてみる事に決めた。
中に誰か居る可能性も考慮して、アイナが先頭に立ちクリアリングをしっかり行う。最初に入った部屋は、どうやら誰かの個室らしい。
シングルのベッドに冷蔵庫やモニター等が置かれていた。広さで言えばワンルームマンションの一室程度。ベッドの上に放り出されている服装から、男性の部屋ではないかと思われる。
「何か情報があると良いけど」
「パソコンは私が見ましょう」
「頼むわね」
テーブルの上に置かれていたノートパソコンは、まだ電源が入ったままだ。ACアダプターが挿しっぱなしなのでいつから電源が入っていたのか不明だが。
シャーロットがPCを調べている間に、アイナは部屋の主について調べ始める。室内の私物を調べる限りは、日本人の男性である事が残されていた免許証から判明した。
しかし名刺や社員証の類が発見できず、職業までは不明だった。ただの乗客なのか、それても違う目的で乗船していたのか。その辺りは残っている私物からは判断がつかない。
「アイナさん、ちょっとこれを」
「電子メール? えーっと……シーネスト?」
「聞いた事の無い企業名ですわね」
シャーロットが見つけた電子メールのやり取りには、シーネストと呼ばれる企業名でやり取りがなされていた。
アイナが発見した免許証の名前と、メールの最後に記載されている名前が一致した。そこからこの部屋に滞在していた人物の背景が少しずつ見えてきた。
恐らくは海洋研究をしている科学者で、何らかの研究データをシーネスト本社へと頻繁に送信していたらしい。
ただ問題なのはその日付で、最新のメールであっても5年ほど前の日付なのだ。と言う事はそんなに前から、この豪華客船はこの状態だったという可能性が出て来る。
「5年間も、こんな大きな船が海洋を漂っていた?」
「そんな事が有り得るでしょうか?」
「沈んでいた、ならまだ分かるけど」
この情報を信じるならば、アイナの予想は外れていた事になる。そうなると改めて考え直す必要が出て来る。
まだ清志達とは合流していない為に、今外がどうなっているのか2人は知らない。勝手に船が動いた事も知らないので、ワタツミの船員が操縦していると思い込んでいた。
ホラーが苦手なシャーロットには有り難い誤解だが、そのせいで正確な考察が出来なくなっているのは問題だった。
2人は今このアドベンチャー号が、異界へと引き摺り込まれた事も知らないのだ。
「でもじゃあ、あの人影みたいなものは何?」
「…………は、はは。気の所為だった、とかじゃないかしら?」
「そんな筈ないでしょう。2人共見たのだから」
海賊や産業スパイが、5年間もこんな船に残り続けている筈はないとアイナは考えを改めた。そうなると再び霊的な何かである可能性を考慮しなければならない。
実際に清志達は霊を視認しているので、幽霊船の類であるとは思われる。しかしアイナ達が見掛けた人影の問題もある。
単なる幽霊船と考えて良いのかはまだ分からない。そもそもの問題として、少女の幽霊だけではこの規模の豪華客船は動かせない。それに異界へと連れ込む程の力もないのだから。
「もっと調べる必要があるわね」
「も、もうそろそろ皆の所に戻った方が……」
「何言ってるの? 先に進むわよ」
「ちょ、ちょっと! こんな所で1人にしないで下さいな!」
完全に脳内が捜査モードのアイナは更に奥へと進んで行く。せめてこの研究所らしき場所が何なのかを突き止めるぐらいは必要と考えて。
何も怖がらずにサクサク進むアイナの背中を、シャーロットが怯えながら追い掛けた。
ありふれた豪華客船には似つかわしくない、何かの研究所を思わせる風景が続いている。まるでゾンビ映画に良く出て来る様な、真っ白で無機質な通路が続いていた。
アイナ達がこれまでに発見した小部屋を調べてみた限り、この辺りは休憩スペースか何からしい。喫煙所や自動販売機などが設置されている。
喫煙所の中には誰かの脱いだ白衣が落ちていたので、尚更研究所らしい雰囲気がしていた。
「この船、ただの豪華客船じゃあ無さそうね」
「何かの研究をしていたのでしょうか?」
「ただの海洋調査だったら良いんだけどね」
アイナは嫌な予感を感じ始めていた。もしグレーかそれ以上の研究を密かに行っていた船だとしたら。それを狙った海賊か産業スパイに襲われたのだとしたら。
最悪その研究が既に厄介な連中の手に渡った可能性も出て来る。この豪華客船の周囲に船舶の姿は無かったが、海中に潜水艇でも潜んでいたとしたら厄介だ。
事実として、アイナは似た様なケースに対応した事がある。州警察の協力要請を受け、麻薬取引をしていた客船の中で戦闘になった事があるのだ。
その際に麻薬密売組織が、ステルス性の高い潜水艇を使用していたのだ。その時はそこから大量の増援が出て来て苦労をする事になった。
「厄介な事にならないと良いけど」
「いくつも扉がありますわね?」
「入ってみましょうか」
隠し通路を抜けた先、余計に研究所の様な雰囲気が増した通路に出た2人。目の前には複数の部屋がある様で、1部屋ずつ調べてみる事に決めた。
中に誰か居る可能性も考慮して、アイナが先頭に立ちクリアリングをしっかり行う。最初に入った部屋は、どうやら誰かの個室らしい。
シングルのベッドに冷蔵庫やモニター等が置かれていた。広さで言えばワンルームマンションの一室程度。ベッドの上に放り出されている服装から、男性の部屋ではないかと思われる。
「何か情報があると良いけど」
「パソコンは私が見ましょう」
「頼むわね」
テーブルの上に置かれていたノートパソコンは、まだ電源が入ったままだ。ACアダプターが挿しっぱなしなのでいつから電源が入っていたのか不明だが。
シャーロットがPCを調べている間に、アイナは部屋の主について調べ始める。室内の私物を調べる限りは、日本人の男性である事が残されていた免許証から判明した。
しかし名刺や社員証の類が発見できず、職業までは不明だった。ただの乗客なのか、それても違う目的で乗船していたのか。その辺りは残っている私物からは判断がつかない。
「アイナさん、ちょっとこれを」
「電子メール? えーっと……シーネスト?」
「聞いた事の無い企業名ですわね」
シャーロットが見つけた電子メールのやり取りには、シーネストと呼ばれる企業名でやり取りがなされていた。
アイナが発見した免許証の名前と、メールの最後に記載されている名前が一致した。そこからこの部屋に滞在していた人物の背景が少しずつ見えてきた。
恐らくは海洋研究をしている科学者で、何らかの研究データをシーネスト本社へと頻繁に送信していたらしい。
ただ問題なのはその日付で、最新のメールであっても5年ほど前の日付なのだ。と言う事はそんなに前から、この豪華客船はこの状態だったという可能性が出て来る。
「5年間も、こんな大きな船が海洋を漂っていた?」
「そんな事が有り得るでしょうか?」
「沈んでいた、ならまだ分かるけど」
この情報を信じるならば、アイナの予想は外れていた事になる。そうなると改めて考え直す必要が出て来る。
まだ清志達とは合流していない為に、今外がどうなっているのか2人は知らない。勝手に船が動いた事も知らないので、ワタツミの船員が操縦していると思い込んでいた。
ホラーが苦手なシャーロットには有り難い誤解だが、そのせいで正確な考察が出来なくなっているのは問題だった。
2人は今このアドベンチャー号が、異界へと引き摺り込まれた事も知らないのだ。
「でもじゃあ、あの人影みたいなものは何?」
「…………は、はは。気の所為だった、とかじゃないかしら?」
「そんな筈ないでしょう。2人共見たのだから」
海賊や産業スパイが、5年間もこんな船に残り続けている筈はないとアイナは考えを改めた。そうなると再び霊的な何かである可能性を考慮しなければならない。
実際に清志達は霊を視認しているので、幽霊船の類であるとは思われる。しかしアイナ達が見掛けた人影の問題もある。
単なる幽霊船と考えて良いのかはまだ分からない。そもそもの問題として、少女の幽霊だけではこの規模の豪華客船は動かせない。それに異界へと連れ込む程の力もないのだから。
「もっと調べる必要があるわね」
「も、もうそろそろ皆の所に戻った方が……」
「何言ってるの? 先に進むわよ」
「ちょ、ちょっと! こんな所で1人にしないで下さいな!」
完全に脳内が捜査モードのアイナは更に奥へと進んで行く。せめてこの研究所らしき場所が何なのかを突き止めるぐらいは必要と考えて。
何も怖がらずにサクサク進むアイナの背中を、シャーロットが怯えながら追い掛けた。
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