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第2章
第75話 生体実験の記録
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清志達がイソギンチャク頭との邂逅を果たしていた頃、アイナとシャーロットはシーネストという企業の研究施設らしき場所を調査していた。
相変わらず誰1人として人間は見つからないが、その代わりに色々とこの施設についての情報が見つかり始めていた。
入れる部屋は片っ端から捜索する事で、シーネストがここで何をしていたかが少しずつ見え始めている。
表向きはシーネスト所有の豪華客船だが、実態は海洋研究施設であり実験場でもあったらしい。
「良くもまあこんな回りくどい事を」
「どこからこれだけの資金を集めたのでしょう?」
「……兵器開発とか、その辺りに手を染めているのかも知れないわね」
人間の欲望というのは、神の実在が証明されても変わる事は無かった。相も変わらず覇を競い合おうとしたり、異教徒との戦争を辞めなかったり。
世界を手に入れようとする欲望は、未だに際限がないのだ。そんな世界であるから、兵器開発は今も続いている。
本来であれば神々の許可を得ねばならない様な代物も、秘密裏に開発されている事は少なくない。確かに神々は万能ではあるが全能ではない。
そして全ての神が善性を持つわけでもない。世界を混沌の渦に叩き落とそうと考える悪神も存在している。
他にも悪魔達が手を貸している場合だってある。世界の平和というものは、2000年以上経っても訪れそうには無かった。
「アイナさん、これ」
「生物実験、の記録かしら?」
「海洋生物と、陸上生物の融合? 正気ですの?」
そこに書かれていたのは、荒唐無稽の様に思える内容だ。しかしそれでも、研究を重ねる内に成功へと進んで行ったらしい。
始めは研究用のラットで試行錯誤されていた。様々な海洋生物と、科学と魔術を用いて融合する実験が行われた。
これは早い話、生物兵器の作成を目的としていた。水陸両用の生物兵器を開発する、実にシンプルで分かり易い内容だ。
それが倫理的にも法的にもどうかという問題を置いておけば。そしてアイナやシャーロットとしては見逃せない内容があった。
シーネストは日本の企業だが、出資・提携している企業にアメリカとイギリスの企業も名前があったからだ。
「日本との開発協力は確かにやるけどさぁ……」
「こればかりは私も頭を抱えたいですわ」
「後でパパに連絡しなきゃ」
「おばあ様の激怒する姿が目に浮かびますわ」
他人事で済まなくなった為に、2人の使命感は一気に上昇した。この件は何としても、自国の威信をかけて解決せねばならないと。
倫理的に問題のある研究に、自国の企業が加担したとあっては黙っているわけにはいかない。資料を読み進めていけば、明らかに違法と判断出来る内容まで出て来たのだ。
もはや重大事件として受け止めなければならない。ラットで成功した事例を、人体実験にまで発展させていたのだから。
恐らくは魚人の様な生命体を、シーネストは造り出したかったのだろうという事は資料からが読み取れた。
人身売買で入手した人間を使って、水中でも陸上でも活動出来る魚人兵とでも呼称すべき存在を造ろうとした。しかしそれは上手く行かず、計画は難航していった。
「それで、ここからレヴィアタンの捕獲にシフトした理由を聞きたいわね」
「どうしてこんな計画に出資したのです!?」
「やめてよ、考えない様にしていたのに」
バカげた計画と、それに出資・協力した自国の企業。それは2人の羞恥心を大いに刺激した。水陸両用の生物兵器の開発から、伝説の海の神獣レヴィアタンの捕獲への方向転換。
どう考えても計画の破綻は確実であり、支援する理由も協力する理由もない。それでも何故か、米英の企業協力は終わらなかった。
何がそこまで彼らを掻き立てたのかは不明だが、その後も莫大な費用が投じられ続けたようだ。レヴィアタンの捕獲を目指す傍らで、水陸両用の生物兵器の開発も完全には消滅して居なかった。
イソギンチャクの遺伝子を利用した生物兵器の開発へと発展していた。何故そうなったかと言えば、イソギンチャクの生態と寿命にあった。
「刺胞を利用した毒と増殖ねぇ」
「ゾンビ映画のゾンビではないですか」
「そりゃあ長生きはするかも知れないけどさ」
神経毒で獲物を捕らえる習性と、ただの魚よりも長い寿命に目をつけたのはまだ分からなくも無い。神経毒と消化液に目をつけたというのも辛うじて理解出来なくはない。
ただそこから出来上がったのが、イソギンチャク頭の人間というのは片手落ちも良い所ではなかろうか。それでじゃあ何をするのかという話だ。
普通の魚よりは長生きでも、魚ほど速く水中を移動出来るわけでもない。陸上に出ても特別どうと言う事は無い。
せいぜい閉鎖空間でならまあ使えなくもない。そんな微妙な存在が、実は猛威を振るっているとはこの時2人はまだ知らない。
レヴィアタンの捕獲とこれらの実験が、最悪の形で上手く嚙み合ってしまった。その結果が今の状況であるなどと、まだ2人は知らなかった。
「はあ、次に行きましょうか」
「もう十分ではなくて?」
「これ以上の最悪な結果が出て来たら嫌でしょう?」
アイナのその言い分には激しく同意したいシャーロットは、何の文句も言わずに彼女の後に続いた。
相変わらず誰1人として人間は見つからないが、その代わりに色々とこの施設についての情報が見つかり始めていた。
入れる部屋は片っ端から捜索する事で、シーネストがここで何をしていたかが少しずつ見え始めている。
表向きはシーネスト所有の豪華客船だが、実態は海洋研究施設であり実験場でもあったらしい。
「良くもまあこんな回りくどい事を」
「どこからこれだけの資金を集めたのでしょう?」
「……兵器開発とか、その辺りに手を染めているのかも知れないわね」
人間の欲望というのは、神の実在が証明されても変わる事は無かった。相も変わらず覇を競い合おうとしたり、異教徒との戦争を辞めなかったり。
世界を手に入れようとする欲望は、未だに際限がないのだ。そんな世界であるから、兵器開発は今も続いている。
本来であれば神々の許可を得ねばならない様な代物も、秘密裏に開発されている事は少なくない。確かに神々は万能ではあるが全能ではない。
そして全ての神が善性を持つわけでもない。世界を混沌の渦に叩き落とそうと考える悪神も存在している。
他にも悪魔達が手を貸している場合だってある。世界の平和というものは、2000年以上経っても訪れそうには無かった。
「アイナさん、これ」
「生物実験、の記録かしら?」
「海洋生物と、陸上生物の融合? 正気ですの?」
そこに書かれていたのは、荒唐無稽の様に思える内容だ。しかしそれでも、研究を重ねる内に成功へと進んで行ったらしい。
始めは研究用のラットで試行錯誤されていた。様々な海洋生物と、科学と魔術を用いて融合する実験が行われた。
これは早い話、生物兵器の作成を目的としていた。水陸両用の生物兵器を開発する、実にシンプルで分かり易い内容だ。
それが倫理的にも法的にもどうかという問題を置いておけば。そしてアイナやシャーロットとしては見逃せない内容があった。
シーネストは日本の企業だが、出資・提携している企業にアメリカとイギリスの企業も名前があったからだ。
「日本との開発協力は確かにやるけどさぁ……」
「こればかりは私も頭を抱えたいですわ」
「後でパパに連絡しなきゃ」
「おばあ様の激怒する姿が目に浮かびますわ」
他人事で済まなくなった為に、2人の使命感は一気に上昇した。この件は何としても、自国の威信をかけて解決せねばならないと。
倫理的に問題のある研究に、自国の企業が加担したとあっては黙っているわけにはいかない。資料を読み進めていけば、明らかに違法と判断出来る内容まで出て来たのだ。
もはや重大事件として受け止めなければならない。ラットで成功した事例を、人体実験にまで発展させていたのだから。
恐らくは魚人の様な生命体を、シーネストは造り出したかったのだろうという事は資料からが読み取れた。
人身売買で入手した人間を使って、水中でも陸上でも活動出来る魚人兵とでも呼称すべき存在を造ろうとした。しかしそれは上手く行かず、計画は難航していった。
「それで、ここからレヴィアタンの捕獲にシフトした理由を聞きたいわね」
「どうしてこんな計画に出資したのです!?」
「やめてよ、考えない様にしていたのに」
バカげた計画と、それに出資・協力した自国の企業。それは2人の羞恥心を大いに刺激した。水陸両用の生物兵器の開発から、伝説の海の神獣レヴィアタンの捕獲への方向転換。
どう考えても計画の破綻は確実であり、支援する理由も協力する理由もない。それでも何故か、米英の企業協力は終わらなかった。
何がそこまで彼らを掻き立てたのかは不明だが、その後も莫大な費用が投じられ続けたようだ。レヴィアタンの捕獲を目指す傍らで、水陸両用の生物兵器の開発も完全には消滅して居なかった。
イソギンチャクの遺伝子を利用した生物兵器の開発へと発展していた。何故そうなったかと言えば、イソギンチャクの生態と寿命にあった。
「刺胞を利用した毒と増殖ねぇ」
「ゾンビ映画のゾンビではないですか」
「そりゃあ長生きはするかも知れないけどさ」
神経毒で獲物を捕らえる習性と、ただの魚よりも長い寿命に目をつけたのはまだ分からなくも無い。神経毒と消化液に目をつけたというのも辛うじて理解出来なくはない。
ただそこから出来上がったのが、イソギンチャク頭の人間というのは片手落ちも良い所ではなかろうか。それでじゃあ何をするのかという話だ。
普通の魚よりは長生きでも、魚ほど速く水中を移動出来るわけでもない。陸上に出ても特別どうと言う事は無い。
せいぜい閉鎖空間でならまあ使えなくもない。そんな微妙な存在が、実は猛威を振るっているとはこの時2人はまだ知らない。
レヴィアタンの捕獲とこれらの実験が、最悪の形で上手く嚙み合ってしまった。その結果が今の状況であるなどと、まだ2人は知らなかった。
「はあ、次に行きましょうか」
「もう十分ではなくて?」
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アイナのその言い分には激しく同意したいシャーロットは、何の文句も言わずに彼女の後に続いた。
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