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第1章 守護神石の導き
第2話 決断、そして旅立ち(1)
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ティムが旅に出る決意を固めたことを伝えにハグルの家に行ったのは、翌朝のことだった。
「うむ。きっとお前は石を受け取ってくれると思っておったぞ。ほっほっほ」
本当かよこのタヌキじじい、とティムは思ったが、さすがに口には出さなかった。
ハグルは銀の箱をテーブルの上に置き、イスに腰かけた。ティムも向かいのイスに座る。
ハグルが蓋を開けると、石の持つ青い輝きがハグルの皺だらけの顔に反射して、ティムの目にも映った。それは昨日よりもどことなく輝きを増しているように見えた。
ハグルは石をしばらく感慨深げに眺めた後、ティムの方へそっと突き出した。
「さあ、受け取れ」
ティムはおずおずと手を差し伸べて、石に触れた。ひんやりとした感覚が手に伝わった。
ゆっくりと掴み上げる。片手に悠々収まるサイズなのに重量感があり、ティムは目を瞬かせた。
「一応念のために言っておくが・・・」
ハグルは、ティムを厳しい目で見つめた。
「売るでないぞ」
「ハグル!」
ティムは、やれやれと言わんばかりに首を横に振った。
「そんなに信用されてないなら、俺受け取らないよ」
「落ち着け。ジョークじゃ」
「まったく・・・」
ティムは憤慨したように腕組みした後、少し考えてから言った。
「ちなみに、売ったらいくらくらいになるの?」
「・・・」
ハグルの表情が一気に険しくなる。
「ジョ、ジョークジョーク・・・」
ティムは焦って弁解する。
ハグルはふんと鼻を鳴らすと、「こんな時に、下らんジョークを言うな!」と吐き捨てた。
お前もな、と思ったが、その思いは心の中に閉まっておくことにした。
そんなことより、ティムはハグルに質問をしたかった。聞いておきたいことは山程あるが、とりあえず石について聞くことにした。
「あのさ、これ守護神石っていうんだよね?守護神って名前がついているくらいだから、何か神様と関係があるの?」
ハグルは驚いたように目を見開いた。
「関係があるなんてレベルじゃないぞ。これは神そのものじゃ」
「い、石が神様なの?」
何が何だかわからずにたじろいでいるティムを見て、ハグルは低い声で笑い出した。
「ほっほっほ。そういえば、まだお前にそういう話をしていなかったのお」
「全然してないね」
「では話すとしよう」
ハグルは咳払いをした。
「まず、守護神石とは何か?という質問なんじゃが、これを説明するには、エルゼリア史を知っておかなければいけない。エルゼリアの歴史について詳しく知っているか?」
「俺たちハビリスとエルフが長い戦争をして、俺たちが勝ったっていうことくらいかな。詳しくは知らない」
「まあ、それくらいは知っているじゃろうな」
ハグルはうんうんと頷いた。
「それを知っているなら守護神石の説明に入ってもいいが、折角の機会じゃ。もっと詳しい歴史の話をしてやろう。少し長くなるが良いか?」
ティムが頷くと、ハグルは語り始めた。
「今から時を遡ること約一一〇〇年前、空間のみがただ漠然と広がっていた時代じゃ。十二の神々は、自分たちの力を合わせて世界を創り上げようと考えた。
まず大地の神であるバルガロスと力の神であるデュラニムが協力して、大陸を築いた。次に水の神であるシルアマーズが海と川を創った。しかし炎の神であるヒースムーアと光の神であるシェネイ・ハウが空に太陽を創り昼が生まれると、闇の神のジス・ラモーンの居場所がなくなってしまった。
そこで太陽は一日のおよそ半分しか出さないという妥協を神々の間で試みた。これが夜が生まれた理由じゃな。しかしジス・ラモーンが支配する夜は他の神々には何も見えなくなってしまうため、光の神のシェネイ・ハウが、大地の神バルガロスと協力して月を創ったのじゃ。風の神のブッフェローンは空気を創り、水の神シルアマーズと雷の神であるティルクヴォーザの力を借りて天気を創った。
そして命の神であるウェルモニュークが動植物を創り出したところで、世界は一層生き生きとしてきた。しかしそれだけでは神々は退屈じゃった。そこでウェルモニュークは、勇気の神オリンパスと愛の神セルレニーナ、そして欲望の神ケルベロスと協力して人間を創り出したのじゃ。
しかし誕生した人間は一つの種類に統一しておらず、四種類に分かれていたのじゃな。そこで神々はその四種をそれぞれハビリス、エルフ、ドワーフ、ホビットと名付けることにしたわけじゃ。お前も知っての通り、わしらはハビリスじゃ。
こうして十二の神々は世界を創ることに成功し、その世界はエルゼリアと名付けられた。その瞬間からエルゼリアには暦が誕生し、エルゼリア歴はその時から数えられているわけじゃな。そして十二の神々はエルゼリアに宿り、エルゼリアの成長、発展を促しながら、エルゼリアを温かく守り続けた。そんな神々を人々は十二守護神と呼び、丁重に崇め祀ったのじゃ。
人間は手を込んで創っただけあり、エルゼリアの生物の中でも格段に賢く、すぐに頭角を現した。エルフとドワーフは森を、ハビリスとホビットは平地を住処として、最初の五百年間、つまりエルゼリア歴五○○年頃まで、神々の力を借りながら、それぞれの種族の文化を平等に確立、成長させていったのじゃ。
しかしエルゼリア歴六○○年を超えた辺りから、エルフとドワーフの力が少しずつ抜きん出始め、七○○年頃には強力な力を持ち始めたのじゃ。しかし力がついた分、種族の人口も増えてしまい、エルフとドワーフが森で共存するのは困難を極めつつあった。
そしてエルゼリア歴七五○年頃、エルフとドワーフは種族の住処を勝ち取るために戦争を始めたのじゃ。これにはエルゼリアの十二の神々も慌てふためき打開策を練ったが、結局二種族の勢いを止め、かつ皆を平等にできるような策は思いつかなかった。
百年にも及ぶ長い戦いの末、エルフがドワーフに打ち勝った。エルフは自分たちの住処を勝ち取ると同時に、ドワーフを森から追い出した。それからというもの、ドワーフは地底に籠ってひっそりと生きるようになり、争いごとに関心を持たなくなった。戦争の後エルフは更なる繁栄を向かえ、他種族を圧倒する強大な力を手に入れエルゼリアに君臨し始めた。
しかしエルゼリア歴一○○○年を過ぎると、ハビリスが目覚ましい勢いで力をつけ始めた。そしてエルゼリア歴一○○七年、元来欲の深いハビリスはエルゼリアの権力を求め、エルフに宣戦布告したのじゃ。
これにも神々はどうすることもできず、ただ戦争が熾烈にならないようにと祈るしかなかった。剣と魔法が牙を向いてぶつかりあったその戦争は、半世紀もの長い間、血と憎しみをまき散らしながら続いた。
そしてエルゼリア歴一○五四年、その長い戦いは我々ハビリスの勝利で幕を閉じた。それまでエルゼリア中の森を支配していたエルフは、ハビリスによってその支配権を奪われ一部の森に隠れ住むようになった。対照的にハビリスは平地も森も支配し、エルゼリアにはハビリスの黄金時代が到来したかと思われた。
しかし我々ハビリスの栄光は長くは続かなかったのじゃ。これまで争いが起こるたびにエルゼリアに不純物として蓄積されていた邪悪なエネルギーが、半世紀にも及ぶ血塗られた争いにより許容量を大幅に超えてしまっていた。エルゼリアはその膨大なエネルギーに耐え切れず、遂には爆発してしまったのじゃ。
その恐ろしく禍々しい衝撃はエルゼリア中を駆け巡った。この衝撃により、何と十二の守護神は揃って石と化しエルゼリア中にばらばらに散らばってしまった。そしてそれまでエルゼリアの成長を促してきた神々が無力化してしまったことで、エリゼリアの成長、発展はぴったりと止まった。これはエルフとハビリスの戦争が終わってから、たった二年後・・・一○五六年のことじゃった。
更にその禍々しい衝撃は、エルゼリアに邪悪で強大な力を持つ魔王セノスを生み出してしまったのじゃ。セノスはエルゼリアの最北端にそびえるハビリスの城であったブラックバーン城を究極の魔の力でもって制圧した挙句、ブラックバーンに住む人々を殲滅してしまった。居城を確保したセノスは、自分の家来を次から次へと創り出した。・・・こうして魔族という邪悪な種族がエルゼリアに蔓延(はびこ)るようになったのじゃ。
魔族の登場により、エルゼリアは不条理で暮らしにくい世界へと変わっていった。我々ハビリスの世界では、王族や富豪たちがますます私腹を肥やしていく一方で、貧しい民は圧政に苦しみもがいておる。このような権力格差の構図が三○年もの間、続いてしまっているわけなんじゃな」
「うむ。きっとお前は石を受け取ってくれると思っておったぞ。ほっほっほ」
本当かよこのタヌキじじい、とティムは思ったが、さすがに口には出さなかった。
ハグルは銀の箱をテーブルの上に置き、イスに腰かけた。ティムも向かいのイスに座る。
ハグルが蓋を開けると、石の持つ青い輝きがハグルの皺だらけの顔に反射して、ティムの目にも映った。それは昨日よりもどことなく輝きを増しているように見えた。
ハグルは石をしばらく感慨深げに眺めた後、ティムの方へそっと突き出した。
「さあ、受け取れ」
ティムはおずおずと手を差し伸べて、石に触れた。ひんやりとした感覚が手に伝わった。
ゆっくりと掴み上げる。片手に悠々収まるサイズなのに重量感があり、ティムは目を瞬かせた。
「一応念のために言っておくが・・・」
ハグルは、ティムを厳しい目で見つめた。
「売るでないぞ」
「ハグル!」
ティムは、やれやれと言わんばかりに首を横に振った。
「そんなに信用されてないなら、俺受け取らないよ」
「落ち着け。ジョークじゃ」
「まったく・・・」
ティムは憤慨したように腕組みした後、少し考えてから言った。
「ちなみに、売ったらいくらくらいになるの?」
「・・・」
ハグルの表情が一気に険しくなる。
「ジョ、ジョークジョーク・・・」
ティムは焦って弁解する。
ハグルはふんと鼻を鳴らすと、「こんな時に、下らんジョークを言うな!」と吐き捨てた。
お前もな、と思ったが、その思いは心の中に閉まっておくことにした。
そんなことより、ティムはハグルに質問をしたかった。聞いておきたいことは山程あるが、とりあえず石について聞くことにした。
「あのさ、これ守護神石っていうんだよね?守護神って名前がついているくらいだから、何か神様と関係があるの?」
ハグルは驚いたように目を見開いた。
「関係があるなんてレベルじゃないぞ。これは神そのものじゃ」
「い、石が神様なの?」
何が何だかわからずにたじろいでいるティムを見て、ハグルは低い声で笑い出した。
「ほっほっほ。そういえば、まだお前にそういう話をしていなかったのお」
「全然してないね」
「では話すとしよう」
ハグルは咳払いをした。
「まず、守護神石とは何か?という質問なんじゃが、これを説明するには、エルゼリア史を知っておかなければいけない。エルゼリアの歴史について詳しく知っているか?」
「俺たちハビリスとエルフが長い戦争をして、俺たちが勝ったっていうことくらいかな。詳しくは知らない」
「まあ、それくらいは知っているじゃろうな」
ハグルはうんうんと頷いた。
「それを知っているなら守護神石の説明に入ってもいいが、折角の機会じゃ。もっと詳しい歴史の話をしてやろう。少し長くなるが良いか?」
ティムが頷くと、ハグルは語り始めた。
「今から時を遡ること約一一〇〇年前、空間のみがただ漠然と広がっていた時代じゃ。十二の神々は、自分たちの力を合わせて世界を創り上げようと考えた。
まず大地の神であるバルガロスと力の神であるデュラニムが協力して、大陸を築いた。次に水の神であるシルアマーズが海と川を創った。しかし炎の神であるヒースムーアと光の神であるシェネイ・ハウが空に太陽を創り昼が生まれると、闇の神のジス・ラモーンの居場所がなくなってしまった。
そこで太陽は一日のおよそ半分しか出さないという妥協を神々の間で試みた。これが夜が生まれた理由じゃな。しかしジス・ラモーンが支配する夜は他の神々には何も見えなくなってしまうため、光の神のシェネイ・ハウが、大地の神バルガロスと協力して月を創ったのじゃ。風の神のブッフェローンは空気を創り、水の神シルアマーズと雷の神であるティルクヴォーザの力を借りて天気を創った。
そして命の神であるウェルモニュークが動植物を創り出したところで、世界は一層生き生きとしてきた。しかしそれだけでは神々は退屈じゃった。そこでウェルモニュークは、勇気の神オリンパスと愛の神セルレニーナ、そして欲望の神ケルベロスと協力して人間を創り出したのじゃ。
しかし誕生した人間は一つの種類に統一しておらず、四種類に分かれていたのじゃな。そこで神々はその四種をそれぞれハビリス、エルフ、ドワーフ、ホビットと名付けることにしたわけじゃ。お前も知っての通り、わしらはハビリスじゃ。
こうして十二の神々は世界を創ることに成功し、その世界はエルゼリアと名付けられた。その瞬間からエルゼリアには暦が誕生し、エルゼリア歴はその時から数えられているわけじゃな。そして十二の神々はエルゼリアに宿り、エルゼリアの成長、発展を促しながら、エルゼリアを温かく守り続けた。そんな神々を人々は十二守護神と呼び、丁重に崇め祀ったのじゃ。
人間は手を込んで創っただけあり、エルゼリアの生物の中でも格段に賢く、すぐに頭角を現した。エルフとドワーフは森を、ハビリスとホビットは平地を住処として、最初の五百年間、つまりエルゼリア歴五○○年頃まで、神々の力を借りながら、それぞれの種族の文化を平等に確立、成長させていったのじゃ。
しかしエルゼリア歴六○○年を超えた辺りから、エルフとドワーフの力が少しずつ抜きん出始め、七○○年頃には強力な力を持ち始めたのじゃ。しかし力がついた分、種族の人口も増えてしまい、エルフとドワーフが森で共存するのは困難を極めつつあった。
そしてエルゼリア歴七五○年頃、エルフとドワーフは種族の住処を勝ち取るために戦争を始めたのじゃ。これにはエルゼリアの十二の神々も慌てふためき打開策を練ったが、結局二種族の勢いを止め、かつ皆を平等にできるような策は思いつかなかった。
百年にも及ぶ長い戦いの末、エルフがドワーフに打ち勝った。エルフは自分たちの住処を勝ち取ると同時に、ドワーフを森から追い出した。それからというもの、ドワーフは地底に籠ってひっそりと生きるようになり、争いごとに関心を持たなくなった。戦争の後エルフは更なる繁栄を向かえ、他種族を圧倒する強大な力を手に入れエルゼリアに君臨し始めた。
しかしエルゼリア歴一○○○年を過ぎると、ハビリスが目覚ましい勢いで力をつけ始めた。そしてエルゼリア歴一○○七年、元来欲の深いハビリスはエルゼリアの権力を求め、エルフに宣戦布告したのじゃ。
これにも神々はどうすることもできず、ただ戦争が熾烈にならないようにと祈るしかなかった。剣と魔法が牙を向いてぶつかりあったその戦争は、半世紀もの長い間、血と憎しみをまき散らしながら続いた。
そしてエルゼリア歴一○五四年、その長い戦いは我々ハビリスの勝利で幕を閉じた。それまでエルゼリア中の森を支配していたエルフは、ハビリスによってその支配権を奪われ一部の森に隠れ住むようになった。対照的にハビリスは平地も森も支配し、エルゼリアにはハビリスの黄金時代が到来したかと思われた。
しかし我々ハビリスの栄光は長くは続かなかったのじゃ。これまで争いが起こるたびにエルゼリアに不純物として蓄積されていた邪悪なエネルギーが、半世紀にも及ぶ血塗られた争いにより許容量を大幅に超えてしまっていた。エルゼリアはその膨大なエネルギーに耐え切れず、遂には爆発してしまったのじゃ。
その恐ろしく禍々しい衝撃はエルゼリア中を駆け巡った。この衝撃により、何と十二の守護神は揃って石と化しエルゼリア中にばらばらに散らばってしまった。そしてそれまでエルゼリアの成長を促してきた神々が無力化してしまったことで、エリゼリアの成長、発展はぴったりと止まった。これはエルフとハビリスの戦争が終わってから、たった二年後・・・一○五六年のことじゃった。
更にその禍々しい衝撃は、エルゼリアに邪悪で強大な力を持つ魔王セノスを生み出してしまったのじゃ。セノスはエルゼリアの最北端にそびえるハビリスの城であったブラックバーン城を究極の魔の力でもって制圧した挙句、ブラックバーンに住む人々を殲滅してしまった。居城を確保したセノスは、自分の家来を次から次へと創り出した。・・・こうして魔族という邪悪な種族がエルゼリアに蔓延(はびこ)るようになったのじゃ。
魔族の登場により、エルゼリアは不条理で暮らしにくい世界へと変わっていった。我々ハビリスの世界では、王族や富豪たちがますます私腹を肥やしていく一方で、貧しい民は圧政に苦しみもがいておる。このような権力格差の構図が三○年もの間、続いてしまっているわけなんじゃな」
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