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第1章 守護神石の導き
第2話 決断、そして旅立ち(3)
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こんがりと焼きあがったパンが、軽やかな包丁さばきにより切り分けられていく。その香ばしい匂いはお昼時の村の人々の食欲を刺激する。そろそろ皆、昼食を求めてここに集まるだろう。
人の気配に気づきグラハムが顔を上げると、そこにはティムが立っていた。全てふっ切れたような、さっぱりとした表情だった。
グラハムはふっと笑って、パンを切り分ける作業に戻る。
「よお、ぐうたら坊主。昼飯のパンなら有料だぞ」
「俺、やっぱり行くことにした」
間髪を入れずにティムが言う。
グラハムは手を止めずに、ちらりとティムの表情を伺った。しかしすぐに手元に目を落とす。
「ほら、聞いたか?」
「え?」
すると店の奥からベネッサが姿を現した。いつになく張り詰めた表情で。
その日は、降るような満天の星空だった。耳を澄ますと、タロ川の水のせせらぎが遠くから微かに聞こえる。それ以外の音は何も聞こえない。静かな、静かな夜だった。
丘の上で仰向けに寝転がりながら、ティムはパイプを吸う。吐いた煙は見事な輪を描いて、夜空に吸い込まれていった。
「いつから知ってたの?」
隣りで一緒に夜空を眺めていたベネッサは、上半身を起こした。
「物心ついた時から、ずっと」
「何で教えてくれなかったんだよ?」
「何で?理由はもう聞いてるんでしょ?」
ティムは黙った。
「私たち、皆、口止めされてたんだよ。ハグルさんに」
「ああ、そう」
ティムは白けた顔で言った。
「口止め、口止め、って。そんな大層なもんかよ」
「さあ、私には分かんない」
ベネッサは、自分の座っている芝生に目を落とした。
「でもハグルさんの言うことだから、それでもいいと思ったの」
「皆が良くても俺は良くないね。おったまげたよ」
口を尖らせるティムを横目に、ベネッサは笑った。
ここで一分程の間、二人の間に静寂が訪れる。
「でも、ティムが決心してくれて良かった」
ティムはベネッサの顔をちらりと見ると、また夜空に視線を戻した。
「てっきりベネッサは、俺のことが心配でしょうがないのかと思ってたけどね」
ベネッサはティムの方を向いた。
「うん、心配でしょうがないわよ」
「ま、別に心配する必要ないけどね」
「はあー?あるに決まってるでしょ!だって朝もろくに起きられないし、剣の練習も全然しないし、ヤギの世話はさぼるし、パンは盗み食いするし、いくじなしだし・・・」
堪らずティムは話を割る。「分かった、分かった。確かに俺は心配されるべき存在だよ」
「本当にね。大丈夫なわけないわ」
「でも、行ってほしいんだろ?」
ティムはパイプを吸い、煙を夜空に向けてふうーと吐き出した。
「うん・・・。やっぱりそれがティムの運命だから」
「運命ぃ?」
ティムが素っ頓狂な声を上げる。
「そう、運命。運命には従わないといけないんだよ」
ティムは白けた表情でパイプを吸うと言った。
「何でそれが運命だって分かるんだよ?」
ベネッサはティムの目を見た。
「ただ、分かるの」
ティムが何か言おうとする前に、ベネッサは続けた。
「私、ちっちゃい頃から知ってたんだ。いつかティムは私たちを置いて、長い旅に出るんだって」
ティムは煙を吐きながら、失笑した。
「それは、ベネッサがすべて知っていたからだろ?」
「うん、そう。そうかもしれないね。でもティムのお父さんが残した言葉、あの綺麗な石にはそれだけ重大な意味が込められているんだよ。そしてそれはティム、あんたに向けられてる・・・」
ティムは黙った。無意識にサファイアの入った革の袋に手が行く。サファイアの感触から身震いする程の重圧を感じて、ティムは歯を噛み締めた。
ベネッサは夜空を見上げた。
「だからね。私はティムがいなくなる心の準備はできてるよ。きっと他の皆も」
ティムも夜空を見上げた。そしてその瞬間、ティムは思った。この夜空とこのベネッサの横顔は、この先絶対に忘れることはないだろう、と。
「ティム、覚えてる?」
ベネッサが言う。
「昔村の皆がティムはばかり可愛がるから、私やきもち焼いてティムをこの丘から突き落としたよね」
「ああ、そりゃあ覚えてるさ」
ティムは笑った。
「俺、丘から転げ落ちて、泥だらけになったんだよな。あの時は、何でこんな目に合わなきゃいけないんだろう、って思ったよ。懐かしいなあ」
「あら、やっぱり覚えてた?」
ベネッサも笑った。
「じゃあその日の夜、鍋の蓋やオタマで武装して、私の寝込みを狙ったことも覚えてる?」
「ええっ。そんなことあったっけ?」
ティムが顔をしかめる。
「あったよ。でもあんた、頭に被ってた鍋の蓋落っことして。その音で私起きてさ。あの時は普通にむかついたけど、今思うと笑っちゃうな」
「我ながら情けない話だな、それは」
ティムも納得して、苦笑いする。
「ティム」
ベネッサが名前を呼び、ティムはベネッサの方を向いた。
ベネッサは潤んだ瞳でティムを見つめると、唇を震わせながら言った。
「また、ここに帰ってきてね。約束だよ・・・」
その時大きな流れ星が、東の空へと流れ落ちていった。
そして、夜が明けた。
村中の人々が集まる中、ティムは村の入り口の前に立っていた。
身に着けている旅人用の丈夫な皮の服とマントは、仕立て屋のレイチェルにこしらえてもらった。背のうには、グラハムの作ったパンの堅焼きや肉屋のタイラーの干し肉などの保存の利く食料、塩などの調味料をたっぷり詰め込んだ。腰に括り付けた皮袋には、サファイアを入れた。
「いよいよこの時が来たのお」
人だかりの中の先頭に立っていたハグルは、樫の杖で体を支えながらそう微笑んだ。
「いよいよ、ねえ」
ティムが呟く。
「俺にとっては、突然過ぎて、そういう雰囲気じゃないな」
「安心せい。ゴブリンにでも襲われれば、すぐに実感が湧くじゃろう」
「ちょっ・・・、始まる前から物騒なことを言うのはやめてくれよ」
「かっかっか」
ハグルはさも可笑しそうに喉を鳴らして笑った。
次にハグルの横に立っていたグラハムが口を開く。いつも穏やかな笑みを湛えているグラハムが、いつになく真剣な顔つきだった。
「ティム。これから大変になるだろう。だがこの決断はお前の人生に報いる決断だと、お前は最後に確信する。そう信じながら、俺はお前の帰りを待っているからな」
「ああ。俺、頑張るよ、おじさん」
その時、人々の群れの中からベネッサが飛び出してきた。
「ティム!」
「ベネッサ!」
ベネッサは、しばらくティムを怒ったような表情で見つめた後言った。
「昨日の約束、忘れちゃダメだからね!」
「わかってるよ。忘れない」
するとベネッサはふっと表情を緩ませ、ティムを優しく抱きしめた。
「ティム、頑張れよ!」
「ボヘミアンさんの夢を、俺たちの夢を叶えてくれ!」
「ティム、魔王なんてお前だったらやっつけれられる!」
「ティム、俺たちはお前さんを信じているぞ!」
「ティム、辛い時はいつでも帰ってきていいのよ!」
ティム!ティム!ティム!
村人たちの声は、村中に響き渡った。
「じゃあ、そろそろ行くよ」
ティムがそう告げると、ハグルはぐっと下唇を噛みしめた。しわくちゃの眼尻に涙が溜まったかと思うと栓が抜けたかのように溢れ始め、ハグルはティムをきつく抱き締めた。
「な、何だよハグル。暑苦しいなあ」
しかし自分の目からも涙がこぼれていることに気づき、ティムは驚いた。思えばハグルを始め村の皆は、自分を十八年間温かく見守ってくれた。村にいると当然だった皆の存在の大きさを、村を離れる時になってようやく実感した。この村に強い愛着のある自分に気付かされたのだ。
「ちょっと、二人とも泣かないでよ」
しかしそう言うベネッサは、既に顔をぐしゃぐしゃにして泣いていた。
ハグルはティムを抱きしめながら、「立派になった、立派になった」とただ呻くだけだった。
グラハムはそれを見ながら、静かに目を潤ませていた。
やがてハグルはティムを抱き寄せていた腕を伸ばし、涙の残った目でティムを名残惜しそうに見つめると、短く「行け」と言った。
ティムはくるりと踵を返し、村の外へと一歩一歩歩き出す。背後からは人々の大歓声が、旅立つティムを見送っていた。
歩きながらティムは腕で涙を拭い、腹の底から沸き起こってくる妙な高揚感を抑えると、表情をぐっと引き締めた。
なぜならティムの物語は、たった今始まっただけに過ぎないのだから。
人の気配に気づきグラハムが顔を上げると、そこにはティムが立っていた。全てふっ切れたような、さっぱりとした表情だった。
グラハムはふっと笑って、パンを切り分ける作業に戻る。
「よお、ぐうたら坊主。昼飯のパンなら有料だぞ」
「俺、やっぱり行くことにした」
間髪を入れずにティムが言う。
グラハムは手を止めずに、ちらりとティムの表情を伺った。しかしすぐに手元に目を落とす。
「ほら、聞いたか?」
「え?」
すると店の奥からベネッサが姿を現した。いつになく張り詰めた表情で。
その日は、降るような満天の星空だった。耳を澄ますと、タロ川の水のせせらぎが遠くから微かに聞こえる。それ以外の音は何も聞こえない。静かな、静かな夜だった。
丘の上で仰向けに寝転がりながら、ティムはパイプを吸う。吐いた煙は見事な輪を描いて、夜空に吸い込まれていった。
「いつから知ってたの?」
隣りで一緒に夜空を眺めていたベネッサは、上半身を起こした。
「物心ついた時から、ずっと」
「何で教えてくれなかったんだよ?」
「何で?理由はもう聞いてるんでしょ?」
ティムは黙った。
「私たち、皆、口止めされてたんだよ。ハグルさんに」
「ああ、そう」
ティムは白けた顔で言った。
「口止め、口止め、って。そんな大層なもんかよ」
「さあ、私には分かんない」
ベネッサは、自分の座っている芝生に目を落とした。
「でもハグルさんの言うことだから、それでもいいと思ったの」
「皆が良くても俺は良くないね。おったまげたよ」
口を尖らせるティムを横目に、ベネッサは笑った。
ここで一分程の間、二人の間に静寂が訪れる。
「でも、ティムが決心してくれて良かった」
ティムはベネッサの顔をちらりと見ると、また夜空に視線を戻した。
「てっきりベネッサは、俺のことが心配でしょうがないのかと思ってたけどね」
ベネッサはティムの方を向いた。
「うん、心配でしょうがないわよ」
「ま、別に心配する必要ないけどね」
「はあー?あるに決まってるでしょ!だって朝もろくに起きられないし、剣の練習も全然しないし、ヤギの世話はさぼるし、パンは盗み食いするし、いくじなしだし・・・」
堪らずティムは話を割る。「分かった、分かった。確かに俺は心配されるべき存在だよ」
「本当にね。大丈夫なわけないわ」
「でも、行ってほしいんだろ?」
ティムはパイプを吸い、煙を夜空に向けてふうーと吐き出した。
「うん・・・。やっぱりそれがティムの運命だから」
「運命ぃ?」
ティムが素っ頓狂な声を上げる。
「そう、運命。運命には従わないといけないんだよ」
ティムは白けた表情でパイプを吸うと言った。
「何でそれが運命だって分かるんだよ?」
ベネッサはティムの目を見た。
「ただ、分かるの」
ティムが何か言おうとする前に、ベネッサは続けた。
「私、ちっちゃい頃から知ってたんだ。いつかティムは私たちを置いて、長い旅に出るんだって」
ティムは煙を吐きながら、失笑した。
「それは、ベネッサがすべて知っていたからだろ?」
「うん、そう。そうかもしれないね。でもティムのお父さんが残した言葉、あの綺麗な石にはそれだけ重大な意味が込められているんだよ。そしてそれはティム、あんたに向けられてる・・・」
ティムは黙った。無意識にサファイアの入った革の袋に手が行く。サファイアの感触から身震いする程の重圧を感じて、ティムは歯を噛み締めた。
ベネッサは夜空を見上げた。
「だからね。私はティムがいなくなる心の準備はできてるよ。きっと他の皆も」
ティムも夜空を見上げた。そしてその瞬間、ティムは思った。この夜空とこのベネッサの横顔は、この先絶対に忘れることはないだろう、と。
「ティム、覚えてる?」
ベネッサが言う。
「昔村の皆がティムはばかり可愛がるから、私やきもち焼いてティムをこの丘から突き落としたよね」
「ああ、そりゃあ覚えてるさ」
ティムは笑った。
「俺、丘から転げ落ちて、泥だらけになったんだよな。あの時は、何でこんな目に合わなきゃいけないんだろう、って思ったよ。懐かしいなあ」
「あら、やっぱり覚えてた?」
ベネッサも笑った。
「じゃあその日の夜、鍋の蓋やオタマで武装して、私の寝込みを狙ったことも覚えてる?」
「ええっ。そんなことあったっけ?」
ティムが顔をしかめる。
「あったよ。でもあんた、頭に被ってた鍋の蓋落っことして。その音で私起きてさ。あの時は普通にむかついたけど、今思うと笑っちゃうな」
「我ながら情けない話だな、それは」
ティムも納得して、苦笑いする。
「ティム」
ベネッサが名前を呼び、ティムはベネッサの方を向いた。
ベネッサは潤んだ瞳でティムを見つめると、唇を震わせながら言った。
「また、ここに帰ってきてね。約束だよ・・・」
その時大きな流れ星が、東の空へと流れ落ちていった。
そして、夜が明けた。
村中の人々が集まる中、ティムは村の入り口の前に立っていた。
身に着けている旅人用の丈夫な皮の服とマントは、仕立て屋のレイチェルにこしらえてもらった。背のうには、グラハムの作ったパンの堅焼きや肉屋のタイラーの干し肉などの保存の利く食料、塩などの調味料をたっぷり詰め込んだ。腰に括り付けた皮袋には、サファイアを入れた。
「いよいよこの時が来たのお」
人だかりの中の先頭に立っていたハグルは、樫の杖で体を支えながらそう微笑んだ。
「いよいよ、ねえ」
ティムが呟く。
「俺にとっては、突然過ぎて、そういう雰囲気じゃないな」
「安心せい。ゴブリンにでも襲われれば、すぐに実感が湧くじゃろう」
「ちょっ・・・、始まる前から物騒なことを言うのはやめてくれよ」
「かっかっか」
ハグルはさも可笑しそうに喉を鳴らして笑った。
次にハグルの横に立っていたグラハムが口を開く。いつも穏やかな笑みを湛えているグラハムが、いつになく真剣な顔つきだった。
「ティム。これから大変になるだろう。だがこの決断はお前の人生に報いる決断だと、お前は最後に確信する。そう信じながら、俺はお前の帰りを待っているからな」
「ああ。俺、頑張るよ、おじさん」
その時、人々の群れの中からベネッサが飛び出してきた。
「ティム!」
「ベネッサ!」
ベネッサは、しばらくティムを怒ったような表情で見つめた後言った。
「昨日の約束、忘れちゃダメだからね!」
「わかってるよ。忘れない」
するとベネッサはふっと表情を緩ませ、ティムを優しく抱きしめた。
「ティム、頑張れよ!」
「ボヘミアンさんの夢を、俺たちの夢を叶えてくれ!」
「ティム、魔王なんてお前だったらやっつけれられる!」
「ティム、俺たちはお前さんを信じているぞ!」
「ティム、辛い時はいつでも帰ってきていいのよ!」
ティム!ティム!ティム!
村人たちの声は、村中に響き渡った。
「じゃあ、そろそろ行くよ」
ティムがそう告げると、ハグルはぐっと下唇を噛みしめた。しわくちゃの眼尻に涙が溜まったかと思うと栓が抜けたかのように溢れ始め、ハグルはティムをきつく抱き締めた。
「な、何だよハグル。暑苦しいなあ」
しかし自分の目からも涙がこぼれていることに気づき、ティムは驚いた。思えばハグルを始め村の皆は、自分を十八年間温かく見守ってくれた。村にいると当然だった皆の存在の大きさを、村を離れる時になってようやく実感した。この村に強い愛着のある自分に気付かされたのだ。
「ちょっと、二人とも泣かないでよ」
しかしそう言うベネッサは、既に顔をぐしゃぐしゃにして泣いていた。
ハグルはティムを抱きしめながら、「立派になった、立派になった」とただ呻くだけだった。
グラハムはそれを見ながら、静かに目を潤ませていた。
やがてハグルはティムを抱き寄せていた腕を伸ばし、涙の残った目でティムを名残惜しそうに見つめると、短く「行け」と言った。
ティムはくるりと踵を返し、村の外へと一歩一歩歩き出す。背後からは人々の大歓声が、旅立つティムを見送っていた。
歩きながらティムは腕で涙を拭い、腹の底から沸き起こってくる妙な高揚感を抑えると、表情をぐっと引き締めた。
なぜならティムの物語は、たった今始まっただけに過ぎないのだから。
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