不良が異世界に行ったら騎士達に溺愛され波乱万丈な日々を過ごしてます

茶子ちゃ

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5 聖騎士様

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急に口を塞がれ、何が何だかわからず動揺した桃太は拳を握りしめ、いつもの癖で相手に殴りかかろうとした。

すると男は意図したかのようには左手で拳を受け止めた。
まさか。俺の拳を受け止めるやつがいるなんて…。


「私の言葉が通じますか?異世界のお方?」


あ。言葉がわかった。
どうやったんだ?!これはもう、魔法の技術としか言いようがない。すごい、久々に震えた。
俺は異世界に来たんだ。それが確信に変わった時だった。


目を見開いて相手を上から下まで眺めた。
すると男は、にっこり柔らかな微笑みで話し始めた。



「私は聖騎士アルベルト・クロンヘイムと申します。今の魔法はスペル魔法で貴方の頭の中を弄りこちらの言語を発声出来るようになる魔法です。驚かせてしまい申し訳ありません」



聖騎士……。確かにそのような風貌だ。格好もそうだし、何より優男で気品がある。
俺には持っていないものを全てこの男は持ってそうだと感じた。
アルベルトという男は聖騎士の中でもトップの実力を持っている気がする。
深々と何者かも分からない者に敬意を払っているのか頭を下げる。


「俺は柊桃太(ヒイラギモモタ)という、突然殴ろうとしてスマン、ちょっと動揺してて攻撃されるかと」


頭を申し訳なくポリポリと掻きながら使い慣れない丁寧な言葉を話そうとするが、ちゃんと勉強もろくすっぽしていなかったため今の言葉が精一杯だった。
するとアルベルトは一瞬真顔になったかと思うとクスクスと笑った。


「そうでしたか…こちらは助ける気で魔法を使ったのですが、まさか攻撃されるとは……ふふっ」


なんか純粋で綺麗な笑い方をする奴だな。
周りが周りだけあってなんか新鮮だ。


「それよりお怪我はないですか?魔獣のポポンガーが繁殖期で気が立っているのですよ、今時期は…」


魔獣……だと?!普通の野生の獣では無いのか。
ここは一体どのような状況なのだろうか。


「後、紫の花踏みましたね?匂いがキツかったでしょう?」


アルベルトは苦笑いしながら俺の紫色に染まった靴下を指差す。


「あ……このくっせぇやつ!一体何なんだ!この腐った臭いを発する花は?!」

「ぷっ……クスッ」


なんか吹き出しやがったなこいつ。今だけ高貴なお方取り消しだわ。
失礼、と咳払いし誤魔化しながら話を続ける。


「この花は魔獣を呼び寄せる花で、ブルーザスフラワーと呼ばれてます、このままの状態だと何も効果はありませんが、踏むと中の液が出てきて匂いを発します」


だからこんなに臭いのか。俺さっきからずーっと臭いし、こんな清潔感漂った聖騎士様様に近寄るのなんかすげぇ嫌だ。
と思っているのに、アルベルトは段々と間を詰めて寄ってくる。

「取り敢えず大聖堂にご案内します。えっとモモタ様」

「モモでいい……」


臭いが移ったらダメだからと思ってシッシッと犬を追い払うように手で払ったが何故か目を輝かせながら手をギュッと両手で掴まれた。


「モモ……なんか友達が出来た気分で嬉しいです」

「手……きたねぇから」

「いえ、モモは美しいです。綺麗な髪色で、その容姿美しいです……」


一瞬イケメンにそう言われて固まってしまった。確かに容姿は褒められる事はあったし、女もこの容姿で寄っては来ていた。
ここまで真剣に言う奴はいただろうか。
むず痒い感情と同時に耳が赤くなってしまう。

本当なんなんだこいつ。調子狂う。
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