20 / 33
20
しおりを挟む
冷めた青い目でアルは俺を見ていた。
初めて会ったあの時と同じ白いローブを羽織って俺の前に腕組しながら現れた。
「何をしていたかと聞いてるんだが?」
ビクッとその声色に俺の背筋が凍りついた。
普段の優しいアルとは真逆だった。威嚇するような声に、本当に目の前の人物はあのアルベルトなのかという疑いをかけるくらいに。
「何を怒っているんだ?」
ラファエルはアルベルトに向かって微笑する。勝ち誇ったかのように。
赤い瞳がギラついた。
「異世界人様と呼んでいたその方を独り占めとは…何を考えているんだ?」
「それをお前が言うか?先に独り占めしたのはそちらでは?」
バチバチと二人の間に見えない火花が飛び散る。
なんかヤバい空気だった。
これは止めるべきなのだろうか?
「つかお前も気付いてるんだろう?桃太の魔力漏出…」
魔力漏出…?なんの話しなのかさっぱりわからなかった。
俺から魔力が出ているということなのだろうか。
ぽかんとした顔でアルの顔を見るとアルは悲しげに俺の顔を見た。
「…気付いていた。桃の精気から魔力を感じた。」
「なるほど、だからお前も、桃太が欲しいんだな?」
「それは違う!!私は…桃が好きなんだ、一目惚れなんだ」
その言葉に俺の心臓がドキンっと跳ねる。
ここまで好きだと今まで言われたことがあっただろうか。
「アルベルト…現に俺も桃太の事が好きだ…」
えーーーーーーー?!!えぇえええ?!ラファまで俺の事好きだって?!!!
俺男にモテモテ期到来?!
全然うれしくねーんだけどぉおお?!!
「え。ラファ?冗談だよな?」
「冗談ではない?好きだ、めちゃくちゃに犯したいくらい好きだ、しかも一目惚れだしな」
俺そんなにイケメンなのか?
いや犯したいくらい好きとか、もう鳥肌もんだわ!!!
ちょっとゾクッとしたけど期待してしまった俺は馬鹿だ。
「おかしいと思わないか?」
「……。」
ラファの言葉にアルは、黙って考え込んでしまった。
え。おかしいって俺が?もしかして俺が2人をたぶらかしてるとか思ってんのか?!
2人ともそちらが俺に手を出してるんだぞ!?
ラファは未遂だけど。
男同士のセックスにハマらせたのもアルのせいだし!俺になんの疑いをかけているというんだ!
心の中の俺が叫ぶ。だが声は届かない。
「もしかして、桃はアレって事かい?」
「まぁ、可能性はあるかもな」
アレってなんだよ、アレって?!!!
指示語で2人だけの世界で会話してんじゃねーぞっ!!!
「な、なんなんだよ、アレってなんだよ?!」
じーっと2人が俺を見つめてくる。
俺…なんかした?
「取り敢えず、桃太の事は黒騎士団が調査する2週間ほど預からせてくれ」
「ちょっちょ!!!待って待って!俺を無視して話進めるなよな!俺はアレだったらなんだってんだよ?!」
「ん?言い方悪いが桃太を利用したいって事だ」
ニヤリとラファは意地悪そうに笑う。
言い方悪すぎだろう!???
「ラファエル…勘違いさせる事を言うな。桃…利用ではなく、私達に協力してもらうという事になるって事だ」
アルは優しく俺を安心させる為か頭を撫でてくる。
いつものアルだ…良かった。
「ごめんね、桃…怯えさせたかな?」
「大丈夫…てか俺ラファのとこに行かなきゃなのか?」
その言葉にアルはコクリと静かに頷いた。
「2週間後にはまた私の所に戻させるから…」
「そっか…俺またここに戻って来てもいいのか?ごめん…俺」
1回意地張って出ていったくせに、またアルの世話になろうとしてる。
卑怯なやつだと思われてそうだ。
「大丈夫だよ。いつでも戻って来ておいで、私こそごめん」
手の甲に、チュッと優しくキスされた。
「フッ…妬けるねぇ」
そう言うとラファはグイッと俺の手を引き、自分の胸へと引き寄せる。其の男らしい胸に一瞬胸がときめいた。
そのままどこかへテレポートしたのだった。
初めて会ったあの時と同じ白いローブを羽織って俺の前に腕組しながら現れた。
「何をしていたかと聞いてるんだが?」
ビクッとその声色に俺の背筋が凍りついた。
普段の優しいアルとは真逆だった。威嚇するような声に、本当に目の前の人物はあのアルベルトなのかという疑いをかけるくらいに。
「何を怒っているんだ?」
ラファエルはアルベルトに向かって微笑する。勝ち誇ったかのように。
赤い瞳がギラついた。
「異世界人様と呼んでいたその方を独り占めとは…何を考えているんだ?」
「それをお前が言うか?先に独り占めしたのはそちらでは?」
バチバチと二人の間に見えない火花が飛び散る。
なんかヤバい空気だった。
これは止めるべきなのだろうか?
「つかお前も気付いてるんだろう?桃太の魔力漏出…」
魔力漏出…?なんの話しなのかさっぱりわからなかった。
俺から魔力が出ているということなのだろうか。
ぽかんとした顔でアルの顔を見るとアルは悲しげに俺の顔を見た。
「…気付いていた。桃の精気から魔力を感じた。」
「なるほど、だからお前も、桃太が欲しいんだな?」
「それは違う!!私は…桃が好きなんだ、一目惚れなんだ」
その言葉に俺の心臓がドキンっと跳ねる。
ここまで好きだと今まで言われたことがあっただろうか。
「アルベルト…現に俺も桃太の事が好きだ…」
えーーーーーーー?!!えぇえええ?!ラファまで俺の事好きだって?!!!
俺男にモテモテ期到来?!
全然うれしくねーんだけどぉおお?!!
「え。ラファ?冗談だよな?」
「冗談ではない?好きだ、めちゃくちゃに犯したいくらい好きだ、しかも一目惚れだしな」
俺そんなにイケメンなのか?
いや犯したいくらい好きとか、もう鳥肌もんだわ!!!
ちょっとゾクッとしたけど期待してしまった俺は馬鹿だ。
「おかしいと思わないか?」
「……。」
ラファの言葉にアルは、黙って考え込んでしまった。
え。おかしいって俺が?もしかして俺が2人をたぶらかしてるとか思ってんのか?!
2人ともそちらが俺に手を出してるんだぞ!?
ラファは未遂だけど。
男同士のセックスにハマらせたのもアルのせいだし!俺になんの疑いをかけているというんだ!
心の中の俺が叫ぶ。だが声は届かない。
「もしかして、桃はアレって事かい?」
「まぁ、可能性はあるかもな」
アレってなんだよ、アレって?!!!
指示語で2人だけの世界で会話してんじゃねーぞっ!!!
「な、なんなんだよ、アレってなんだよ?!」
じーっと2人が俺を見つめてくる。
俺…なんかした?
「取り敢えず、桃太の事は黒騎士団が調査する2週間ほど預からせてくれ」
「ちょっちょ!!!待って待って!俺を無視して話進めるなよな!俺はアレだったらなんだってんだよ?!」
「ん?言い方悪いが桃太を利用したいって事だ」
ニヤリとラファは意地悪そうに笑う。
言い方悪すぎだろう!???
「ラファエル…勘違いさせる事を言うな。桃…利用ではなく、私達に協力してもらうという事になるって事だ」
アルは優しく俺を安心させる為か頭を撫でてくる。
いつものアルだ…良かった。
「ごめんね、桃…怯えさせたかな?」
「大丈夫…てか俺ラファのとこに行かなきゃなのか?」
その言葉にアルはコクリと静かに頷いた。
「2週間後にはまた私の所に戻させるから…」
「そっか…俺またここに戻って来てもいいのか?ごめん…俺」
1回意地張って出ていったくせに、またアルの世話になろうとしてる。
卑怯なやつだと思われてそうだ。
「大丈夫だよ。いつでも戻って来ておいで、私こそごめん」
手の甲に、チュッと優しくキスされた。
「フッ…妬けるねぇ」
そう言うとラファはグイッと俺の手を引き、自分の胸へと引き寄せる。其の男らしい胸に一瞬胸がときめいた。
そのままどこかへテレポートしたのだった。
31
あなたにおすすめの小説
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
魔王の息子を育てることになった俺の話
お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。
「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」
現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません?
魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL
BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。
BL大賞エントリー中です。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました
ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。
ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学で逃げ出して後悔したのに、大人になって再会するなんて!?
灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。
オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。
ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー
獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。
そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。
だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。
話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。
そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。
みたいな、大学篇と、その後の社会人編。
BL大賞ポイントいれて頂いた方々!ありがとうございました!!
※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました!
※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました!
旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」
ざこてん〜初期雑魚モンスターに転生した俺は、勇者にテイムしてもらう〜
キノア9g
BL
「俺の血を啜るとは……それほど俺を愛しているのか?」
(いえ、ただの生存戦略です!!)
【元社畜の雑魚モンスター(うさぎ)】×【勘違い独占欲勇者】
生き残るために媚びを売ったら、最強の勇者に溺愛されました。
ブラック企業で過労死した俺が転生したのは、RPGの最弱モンスター『ダーク・ラビット(黒うさぎ)』だった。
のんびり草を食んでいたある日、目の前に現れたのはゲーム最強の勇者・アレクセイ。
「経験値」として狩られる!と焦った俺は、生き残るために咄嗟の機転で彼と『従魔契約』を結ぶことに成功する。
「殺さないでくれ!」という一心で、傷口を舐めて契約しただけなのに……。
「魔物の分際で、俺にこれほど情熱的な求愛をするとは」
なぜか勇者様、俺のことを「自分に惚れ込んでいる健気な相棒」だと盛大に勘違い!?
勘違いされたまま、勇者の膝の上で可愛がられる日々。
捨てられないために必死で「有能なペット」を演じていたら、勇者の魔力を受けすぎて、なんと人間の姿に進化してしまい――!?
「もう使い魔の枠には収まらない。俺のすべてはお前のものだ」
ま、待ってください勇者様、愛が重すぎます!
元社畜の生存本能が生んだ、すれ違いと溺愛の異世界BLファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる