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 ナビの目覚ましによって起き、軍用レーションをさらに不味くした朝食をとりながらげんなりしつつ、ナミと今日も外で狩りをして食事を楽しむ方向になっていた。
 
「昔は気にならなかったけれど、味に慣れてくるとどうしても気になってしまうわね・・・はぁ」
 
「それは俺も同じだ」
 
 朝食を食べた後に、ナビが精神安定剤を投与してきたのには驚きだった。自身の精神状態が飯の味で左右されっぱなしだった。今まで特段気にしていなかったが、この世界にきてからサバイバルして食に対する欲求がかなり変わった。
 
「レンツさんにナミさん! 昨日はどこ行ってたんですかー!?」
 
 朝食の味にげんなりしていると、バーべが現れた。
 
「狩りに出かけたんだが、狩ったやつの肉を捌いて振舞う事になったら宴会になったんだよ。それが食材が無くなるまで続いてな」
 
「え、私も参加したいのだが」
 
 バーべも参加したいと言い出し、今日も宴会騒ぎになるのだろうなと思った。
 
「どうするナミ?」
 
「別にいいんじゃない? あの大きさじゃ食べきれないし」
 
「じゃあ、一緒に行くか」
 
 こうして三人で都市の外で宴会することになった。狩りに出かける準備を行い、都市外に向かう途中で他のハンターたちはどこに行くんだ? 今日もあの湖畔にいるのか? などしきりに聞かれたのでその予定だと答えるとハンターたちは満足したのか、どこかに行ってしまった。
 
「ねぇ、もしかして・・・」
 
 ナミが察していた。俺も同じ答えだ。
 
「だろうな」
 
「え、どういうことですか?」
 
「宴会することになる」
 
 バーべに先日の状況を話すとそれなら車出します、という事になった。そして、どうせなら飲み物買っていきましょうとナミが言い出し、酒場で酒樽を購入することになった。ついでに調味料とかも買い出しを行って、市場をぶらついていると複数の鬼人などに絡まれる事になった。
 
「あんたか、魔核ランキングにのっていたレンツという角無しの凄腕料理人は」
 
 料理人・・・?
 
「そうよ、何か文句ある? うちの料理人に文句あるなら出るとこ出るわよ」
 
 ナミ、俺はいつから料理人になったんだ? あとちょっと待ってくれ話をややこしくしないでくれ。
 
「こいつのせいで、ハンターたちが店に寄り付かなくなった。聞けば今まで食っていたものにいちゃもんはつけるわ、腐ってるわけじゃねぇのに腐ってるもの出すなとか、お前ら何してくれてんだ? ああん?」
 
 とんだ逆切れだった。
 
「ふん、不味い物出してる自覚がなかったのかしら?」
 
 おい、煽るなナミと目くばせするものの、任せて頂戴と頷いた。これ絶対わかってない。
 
「あっち側にある湖近くで本当の料理というのを見せてあげるから、来なさい。まあ、どうせ客も来ないだろうし暇だから、来れるわよね? もしかして、怖くてお外に出れないならハンターたちと一緒に来ればいいわ」
 
「なんだとゴルァ!」「行ってやろうじゃねえか!!」
 
 険悪な雰囲気の中、ナミは煽るだけ煽った。
 
「じゃあ、先に行って準備するから、あとでね。暇なあんた達と違うから~」
 
 ナミは絶好調だった。ふと、俺が冷静というかここまでカッカしていないのは、精神安定剤を投与されたからだと気づいた。生身のサイキッカーのナミはサイボーグではないので、ストレスをもしかしたらため込んでいたのかもしれない。
 
「あ、あの・・・大丈夫なんですか?」
 
 バーべが心配になり、俺に聞いてきた。知らん。
 
「さぁな、なんとかなるだろう」
 
 適当に返事をし、車に諸々詰め込み、場所を指示して湖がある場所へ向かった。途中巨大生物がこちらを見つけ、襲い掛かろうとしたが、ナミのぶち切れオーラに当てられ進路変更していく姿を見た時は引いた。これはナミに美味い物を食わせないとサイキックが暴走するか爆発してヤバそうだと思った。
 
 湖につくと、すでにハンターたちがいた。見知らぬハンターたちが大半で、狩場を先にとられたのかと思い確認することにした。
 
「な、なぁ・・・あんたたちが凄腕料理人レンツさんたち一行かい?」
 
 今まで見てきた鬼人の中で大きく、角も太く、筋肉もなかなかすばらしいものを持っていた。俺もあんな筋肉を着たい。
 
「凄腕かは知らないが、俺はレンツだ。何かようか? もしかしてここで狩ったりしちゃダメなのか?」
 
「いやとんでもねぇ! ここに狩った獲物を持って来れば捌いて特上の料理を出してくれるって昨日聞いてな。あれを料理するなんて嘘だと思っていたんだが、本当にあのでかいやつを捌いて食うのか?」
 
「ああ、そうだが」
 
 その返答に見知らぬハンターたちは驚愕していた。
 
「レンツ~、そちらの方々は? なに喧嘩?」
 
 まて、ややこしくしないでくれ。喧嘩じゃない、話し合いしてるだけだ。ナミは早く美味しい物を食べたいのか、機嫌が悪くなっていた。その雰囲気に当てられたのか見知らぬハンターたちは半歩後ろに下がるぐらいだった。
 
「先日の宴会で料理について、聞いてきただけだ。問題ない」
 
「そ、じゃあ、ここで別に狩りをしてもいいってことよね?」
 
 ナミと話しをしてるのに、ナミの目線は見知らぬハンターたちの方に向いていた。これはお前らどっか行けよ、邪魔するならヤるぞ? っていう感じだ。その相手に俺も入ってそうなくらいに身体が重い。サイキックで圧もかけてきてる。
 
「「「「はい、問題ないです!」」」
 
 そして、見知らぬハンターたちは、そそくさとどこかへ行ってしまった。それにしてもなんだったんだろう、と思った。気を取り直して、さっさと巨大生物を狩って、捌いて飯にしないとな。
 
「昨日の湖から出てきた巨大生物はもういないのかしら? ちょっとレンツ上空から湖を見て大きな影とかないか見てみて」
 
「え」
 
 俺は心の準備もなく、上空に飛ばされた。ものすごい重力が身体にかかるが、サイボーグなので問題はない。
 
 ストレス感知、精神安定剤を投与します。

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