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その行為があとになって正しかったか、間違っていたのか、なんて事は今まで考えた事はなかった。前の世界、今ではこの世界に来てから大分経っているような気がしていた。この世界には前の世界とは違う常識があり、日常があった。
「グアアアアアアアアアアアア!」
ドラゴンのウェルダンテステーシの悲痛な叫びが轟いていた。立派な角はキレイに斬られたからだ、それが俺はどんな痛みがあるのか、どんな意味を持つのかは知らない。ただ、なんとなく殺したくないと思って、角で勘弁してやるかという気持ちでやったのだ。
「うおおおおおおおおおおお!!」
遠くから見ていたオーガたちは雄たけびを上げていた。ナミは俺を見て困ったような嬉しいような顔をしていた。俺はレーザービームソードの刃を消し、叫んでいるドラゴンに対して大きな声で思いを伝えた。
「うるせえええええええええええええええ!!」
この世界に来てはじめて、思いっきり叫んだと思う。そして、鬼眼が反応し、斬った角から何かを吸収した。
吸収完了、魔力量増加しました。
なるほど、魔力だった。
俺が叫んだあとに、ドラゴンの目から痛いのかなんなのか涙が流れていた。
「そんな顔するなよ、弱者は死に方させ選べない、だろ? あと負けたんだ、暴れるなよ?」
「・・・わかった」
俺はナミの方に行き、暴れないからサイキックを解いてやってくれと頼んだ。サイキックは解かれるものの、ドラゴンは身動きをせず、そのままだった。
「マガツ、とりあえず・・・あれどうしようか・・・?」
「角無しドラゴンをですか?」
俺はせめて名前で呼んであげようと思ったが、この世界の角無しというのはどんな相手でも格下として見なされるのかもしれない。
「ああ」
「あれは賠償金としての利用できる価値はないでしょうね・・・いやぁさすがです」
え、さすがなの?
「ドラゴンに最大の屈辱を与えるとはさすがです」
俺はナミの方を見るとスッキリしていた表情をしていた。だが、壊された車は戻ってはこない事を思い出したのか、眉間にしわを寄せながらドラゴンを見ていた。
「車、どうしようか・・・」
俺たちが使っていた車は特注性なのか、巨大生物が跋扈している場所を想定して作られている車だった為、これまで巡ってきた都市では見かけた事のないタイプだ。
ナミが俺に対して、今後の動きを考えると歩きでの移動はさすがに辛いから考えてくれ、という事だとわかった。車での移動に慣れきってしまった今、さすがに歩きというのも俺には無理だ。
「あのレンツ殿、あのドラゴンのウェルダンテステーシについてなのですが・・・」
ああ、そうだった。あの処理をどうするかという話をそのままにしていた。
「倒したのはレンツ殿なので、私たちでは関与できませんのでお好きにしてくださって大丈夫です」
俺はその話を聞き、車のこととドラゴンの処理について二つ悩むことになった。とりあえず、いますぐに出発できない。
「わかった。あれの処理はこちらで考える。ナミ、車なんだが・・・」
「ねぇ、レンツ思ったのだけど、あれを車代わりにすればよくない?」
俺はナミが言っている事がよく理解できなかった。
「どういうことだ? あれって、あのドラゴンか?」
「ええ、車を壊した責任をとってもらうのよ。空飛べるんだし、ちょうどいいじゃない」
俺はドラゴンのウェルダンテステーシの方を見た。目は虚ろな状態で、これから俺たちの足として使われるのは問題ないのだろうか、そもそも輸送の安全性など、考える事が増えた気がした。
「それじゃちょっと話に行きましょ」
マガツとオーガたちを置いて、ドラゴンの方へナミと一緒に向かった。オーガたちはその場でこれからどうするかという話合いをはじめ、宴会はどうするとか、レンツザドラゴンスレイヤーとしての銅像として知らせないといけないとか、なんかちょっと待てと言いたいがすでに話し合いがはじまっていた。足を止め、オーガたちの話し合いの方に行こうとしたが、ナミから呼び止められる。
「ほら行くわよ」
「いや、ちょっと・・・」
「ほら、いいから」
ナミが手招きすると、サイキックで引きずられながら移動させられた。
「グアアアアアアアアアアアア!」
ドラゴンのウェルダンテステーシの悲痛な叫びが轟いていた。立派な角はキレイに斬られたからだ、それが俺はどんな痛みがあるのか、どんな意味を持つのかは知らない。ただ、なんとなく殺したくないと思って、角で勘弁してやるかという気持ちでやったのだ。
「うおおおおおおおおおおお!!」
遠くから見ていたオーガたちは雄たけびを上げていた。ナミは俺を見て困ったような嬉しいような顔をしていた。俺はレーザービームソードの刃を消し、叫んでいるドラゴンに対して大きな声で思いを伝えた。
「うるせえええええええええええええええ!!」
この世界に来てはじめて、思いっきり叫んだと思う。そして、鬼眼が反応し、斬った角から何かを吸収した。
吸収完了、魔力量増加しました。
なるほど、魔力だった。
俺が叫んだあとに、ドラゴンの目から痛いのかなんなのか涙が流れていた。
「そんな顔するなよ、弱者は死に方させ選べない、だろ? あと負けたんだ、暴れるなよ?」
「・・・わかった」
俺はナミの方に行き、暴れないからサイキックを解いてやってくれと頼んだ。サイキックは解かれるものの、ドラゴンは身動きをせず、そのままだった。
「マガツ、とりあえず・・・あれどうしようか・・・?」
「角無しドラゴンをですか?」
俺はせめて名前で呼んであげようと思ったが、この世界の角無しというのはどんな相手でも格下として見なされるのかもしれない。
「ああ」
「あれは賠償金としての利用できる価値はないでしょうね・・・いやぁさすがです」
え、さすがなの?
「ドラゴンに最大の屈辱を与えるとはさすがです」
俺はナミの方を見るとスッキリしていた表情をしていた。だが、壊された車は戻ってはこない事を思い出したのか、眉間にしわを寄せながらドラゴンを見ていた。
「車、どうしようか・・・」
俺たちが使っていた車は特注性なのか、巨大生物が跋扈している場所を想定して作られている車だった為、これまで巡ってきた都市では見かけた事のないタイプだ。
ナミが俺に対して、今後の動きを考えると歩きでの移動はさすがに辛いから考えてくれ、という事だとわかった。車での移動に慣れきってしまった今、さすがに歩きというのも俺には無理だ。
「あのレンツ殿、あのドラゴンのウェルダンテステーシについてなのですが・・・」
ああ、そうだった。あの処理をどうするかという話をそのままにしていた。
「倒したのはレンツ殿なので、私たちでは関与できませんのでお好きにしてくださって大丈夫です」
俺はその話を聞き、車のこととドラゴンの処理について二つ悩むことになった。とりあえず、いますぐに出発できない。
「わかった。あれの処理はこちらで考える。ナミ、車なんだが・・・」
「ねぇ、レンツ思ったのだけど、あれを車代わりにすればよくない?」
俺はナミが言っている事がよく理解できなかった。
「どういうことだ? あれって、あのドラゴンか?」
「ええ、車を壊した責任をとってもらうのよ。空飛べるんだし、ちょうどいいじゃない」
俺はドラゴンのウェルダンテステーシの方を見た。目は虚ろな状態で、これから俺たちの足として使われるのは問題ないのだろうか、そもそも輸送の安全性など、考える事が増えた気がした。
「それじゃちょっと話に行きましょ」
マガツとオーガたちを置いて、ドラゴンの方へナミと一緒に向かった。オーガたちはその場でこれからどうするかという話合いをはじめ、宴会はどうするとか、レンツザドラゴンスレイヤーとしての銅像として知らせないといけないとか、なんかちょっと待てと言いたいがすでに話し合いがはじまっていた。足を止め、オーガたちの話し合いの方に行こうとしたが、ナミから呼び止められる。
「ほら行くわよ」
「いや、ちょっと・・・」
「ほら、いいから」
ナミが手招きすると、サイキックで引きずられながら移動させられた。
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