42 / 82
42
しおりを挟む
「万事休す、か?」
死体を積み重ね、徐々に範囲を狭めてくるベェスチティに対して、僕たちは機械的に動いているベェスチティを撃ち続け倒していった。近寄られたら終わる。
「いったい何体いるんだろうね、もう結構倒したよ……」
ジュリが愚痴る。
そうなのだ、結構な数を倒しているはずなのに、一向にベェスチティの勢いが変わらないのだ。
「ちょ……とや、休んでもいい?」
タッツーは限界が近そうだった。飲まずのまま背負い続けていたからだ。
「みんな、いったんここでタッツーを休憩させ、僕たちは引き続きベェスチティを倒し、可能な限り近づけさせないようにしよう」
そのあと、どうすればいい。どうしたらいいんだと僕は自問自答した。
「わかった」
「了解」
と各自反応、頷いたり声で反応してくれたりした。
タッツーはハルミンをテント内に敷くクッション材を召喚した上に置き、水のペットボトルを召喚して口を潤していた。全身から湯気が出ているかのような汗のかき方をしており、肩で息をしていた。
遠くでは爆発音が聞こえ、火も遠くで燃え盛っているのが見えた。また何もかも火で覆いつくされるのかと思ったりした。倒したベェスチティを見て、奇妙だと感じ、何かおかしいと気づいた。倒したと思ったベェスチティから赤い汁が止まっており、傷口も塞がっていたのだ。
「まさかっ」
僕はそれが違うことを願った。だが、それが現実だとクリスベクターカスタムブレイクスルーを照射し続けて発覚した。倒したと思ったベェスチティたちは死んでいなく、ただ横たわっていただけだった。肉体の一部が欠損しただけで、生きていたのだった。
スススッスススッスススッ
ただ一体に銃弾を撃ち肉片にした先に、ベェスチティだったものはドロドロに溶けて赤い水たまりになったのだ。
「ムッツー、マナチ、ツバサ、ジュリ、見えているベェスチティはすべて生きている! 粉々にするほど撃たないと死なない!」
生存確率が31%になった。
僕はなぜ30%のままだったのか、よく考えていなかった。僕がベェスチティがどうやったら死ぬのか伝えた事で周りを包囲していたベェスチティが一斉に動きだした。身体が、頭部が、どこか欠損していようとドロドロに溶けていないベェスチティは動き始めた。
「嘘でしょう!」
ツバサが悲鳴に似た声を上げた。
「わ、私の銃じゃ……ッ!」
ジュリが悲痛な声を上げた。
「舐めるな、舐めるなよ‥‥舐めるなよ」
ムッツーが吠える。
「僕はジュリの方をフォローする! ジュリ、弾は他にあったりするか、僕が時間を稼いでる間に何かっ、何かアビリティ・スキルを探してくれ、きっと何かあるはずだ」
僕は思いついたことを口にしながら、迫りくるベェスチティに向けて銃弾を浴びせた。一体を肉片に変えるのに、想像以上に時間がかかるがやるしかない。
「む、むりだよ……嫌だよぉぉぉ」
マナチが銃を撃ちながら迫りくる恐怖に弱気になっていた。くそ、もっと早く気づけばよかったと僕は後悔し、焦った。
「ジュリ、何か、何かあったか?」
「ううっ、ううぅ……」
ジュリは唸っていた。それを見て、多分、彼女は見つくしていてこれ以上何か見つからないのかもしれないと僕は頭をよぎっていた。
「あ、諦めないで……ハァハァ……」
タッツーが肩で息をし、座りながらも銃を構え、ジュリを励ました。
タタタタタタッタタタタタタッ
「私は諦めないわ、まだ戦えるもの、ハァハァ」
タッツーはおぼつかないが銃を撃ち、ベェスチティに対して攻撃をし続けた。
何分経ったのか、それはとても長く感じ、もう何時間も戦っているような感覚だった。迫りくるベェスチティによって次第に包囲が狭まっていっていた。倒していたと思っていたベェスチティがまさか死んだ真似をしていたのだ。
――仲間になろう。
ここでさらにアカネの声で僕たちを揺さぶってきた。
――痛い、痛いよ。やめて、やめて。
ポキポキと音を鳴らしながら、こちらにアカネの声を発しながら迫り、腕や足がないベェスチティは這うように、どこか欠損してるベェスチティはある腕と足で動き、覆いつくされるものだと考えなくてもわかった。
それでも諦めず僕たちは戦った。
視界の隅にある生存確率が35%になっていた。さっきの状況から悪くなっていってるのに、変わらず35%だった。僕はただ何かに縋るのではなく、この状況だろうと何か打開できるのだと数字が教えてくれた。
ベェスチティを一定の肉片にするとドロドロに溶けていくのを見て、次のベェスチティに標準を合わせ同じように肉片にしていった。ベェスチティはどれも狙われるとわかると圧をかけるように腕や足を広げ迫ってきて、僕はその足を止めるように足や腕、頭部などを肉片にするように撃っていた。
それはムッツー、マナチ、ツバサ、タッツーもだった。
もしかして、殺し方が間違ってるのか、肉片にするのではなく……弱点があるのかもしれない。そう僕は考え、今までとは逆に撃つ順番を変えた。
スススッスススッスススッ
するとベェスチティは途端にドロドロに溶けていった。
「下腹部の付け根、そのあたりが弱点だ!」
僕は叫び、目に入るベェスチティに向けて、クリスベクターカスタムブレイクスルーを撃ち、本当の死体に変えてやった。
ただ、それでも僕たちに迫るベェスチティに対して追いついていなかった。
生存確率が40%――と視界の隅に表示されていた。
死体を積み重ね、徐々に範囲を狭めてくるベェスチティに対して、僕たちは機械的に動いているベェスチティを撃ち続け倒していった。近寄られたら終わる。
「いったい何体いるんだろうね、もう結構倒したよ……」
ジュリが愚痴る。
そうなのだ、結構な数を倒しているはずなのに、一向にベェスチティの勢いが変わらないのだ。
「ちょ……とや、休んでもいい?」
タッツーは限界が近そうだった。飲まずのまま背負い続けていたからだ。
「みんな、いったんここでタッツーを休憩させ、僕たちは引き続きベェスチティを倒し、可能な限り近づけさせないようにしよう」
そのあと、どうすればいい。どうしたらいいんだと僕は自問自答した。
「わかった」
「了解」
と各自反応、頷いたり声で反応してくれたりした。
タッツーはハルミンをテント内に敷くクッション材を召喚した上に置き、水のペットボトルを召喚して口を潤していた。全身から湯気が出ているかのような汗のかき方をしており、肩で息をしていた。
遠くでは爆発音が聞こえ、火も遠くで燃え盛っているのが見えた。また何もかも火で覆いつくされるのかと思ったりした。倒したベェスチティを見て、奇妙だと感じ、何かおかしいと気づいた。倒したと思ったベェスチティから赤い汁が止まっており、傷口も塞がっていたのだ。
「まさかっ」
僕はそれが違うことを願った。だが、それが現実だとクリスベクターカスタムブレイクスルーを照射し続けて発覚した。倒したと思ったベェスチティたちは死んでいなく、ただ横たわっていただけだった。肉体の一部が欠損しただけで、生きていたのだった。
スススッスススッスススッ
ただ一体に銃弾を撃ち肉片にした先に、ベェスチティだったものはドロドロに溶けて赤い水たまりになったのだ。
「ムッツー、マナチ、ツバサ、ジュリ、見えているベェスチティはすべて生きている! 粉々にするほど撃たないと死なない!」
生存確率が31%になった。
僕はなぜ30%のままだったのか、よく考えていなかった。僕がベェスチティがどうやったら死ぬのか伝えた事で周りを包囲していたベェスチティが一斉に動きだした。身体が、頭部が、どこか欠損していようとドロドロに溶けていないベェスチティは動き始めた。
「嘘でしょう!」
ツバサが悲鳴に似た声を上げた。
「わ、私の銃じゃ……ッ!」
ジュリが悲痛な声を上げた。
「舐めるな、舐めるなよ‥‥舐めるなよ」
ムッツーが吠える。
「僕はジュリの方をフォローする! ジュリ、弾は他にあったりするか、僕が時間を稼いでる間に何かっ、何かアビリティ・スキルを探してくれ、きっと何かあるはずだ」
僕は思いついたことを口にしながら、迫りくるベェスチティに向けて銃弾を浴びせた。一体を肉片に変えるのに、想像以上に時間がかかるがやるしかない。
「む、むりだよ……嫌だよぉぉぉ」
マナチが銃を撃ちながら迫りくる恐怖に弱気になっていた。くそ、もっと早く気づけばよかったと僕は後悔し、焦った。
「ジュリ、何か、何かあったか?」
「ううっ、ううぅ……」
ジュリは唸っていた。それを見て、多分、彼女は見つくしていてこれ以上何か見つからないのかもしれないと僕は頭をよぎっていた。
「あ、諦めないで……ハァハァ……」
タッツーが肩で息をし、座りながらも銃を構え、ジュリを励ました。
タタタタタタッタタタタタタッ
「私は諦めないわ、まだ戦えるもの、ハァハァ」
タッツーはおぼつかないが銃を撃ち、ベェスチティに対して攻撃をし続けた。
何分経ったのか、それはとても長く感じ、もう何時間も戦っているような感覚だった。迫りくるベェスチティによって次第に包囲が狭まっていっていた。倒していたと思っていたベェスチティがまさか死んだ真似をしていたのだ。
――仲間になろう。
ここでさらにアカネの声で僕たちを揺さぶってきた。
――痛い、痛いよ。やめて、やめて。
ポキポキと音を鳴らしながら、こちらにアカネの声を発しながら迫り、腕や足がないベェスチティは這うように、どこか欠損してるベェスチティはある腕と足で動き、覆いつくされるものだと考えなくてもわかった。
それでも諦めず僕たちは戦った。
視界の隅にある生存確率が35%になっていた。さっきの状況から悪くなっていってるのに、変わらず35%だった。僕はただ何かに縋るのではなく、この状況だろうと何か打開できるのだと数字が教えてくれた。
ベェスチティを一定の肉片にするとドロドロに溶けていくのを見て、次のベェスチティに標準を合わせ同じように肉片にしていった。ベェスチティはどれも狙われるとわかると圧をかけるように腕や足を広げ迫ってきて、僕はその足を止めるように足や腕、頭部などを肉片にするように撃っていた。
それはムッツー、マナチ、ツバサ、タッツーもだった。
もしかして、殺し方が間違ってるのか、肉片にするのではなく……弱点があるのかもしれない。そう僕は考え、今までとは逆に撃つ順番を変えた。
スススッスススッスススッ
するとベェスチティは途端にドロドロに溶けていった。
「下腹部の付け根、そのあたりが弱点だ!」
僕は叫び、目に入るベェスチティに向けて、クリスベクターカスタムブレイクスルーを撃ち、本当の死体に変えてやった。
ただ、それでも僕たちに迫るベェスチティに対して追いついていなかった。
生存確率が40%――と視界の隅に表示されていた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる