45 / 82
45
しおりを挟む
遠くに見える新たな街は廃墟の街と比べて、マシに見えた。だけど、僕たちにとってあの街が安全かどうかは生存確率が教えてくれた。一歩近づくにつれて、100%だった生存確率が1%刻みで下がっていった。つまり、安全ではないということだ。
「これからどうするか、話をしよう。あの街を突っ切って光りの方に向かうか、迂回して光りの方に向かうか」
「迂回した方がよくないか?」
僕としては、あの街に寄る理由がないと思っていた。衣食住が不思議なアーミーナイフによって、恩恵がある以上、街で何をするんだという考えだった。
「この世界が何なのか、手がかりは得られると思います」
ツバサは物怖じせず、思ったことを言った。廃墟の街であったベェスチティの後、ツバサとジュリはあまり物怖じをしなくなった。
「私は知りたい。この世界が何なのか、手がかりがわかれば、いいかな」
片目を失ったハルミンは、僕の方を見て言った。廃墟の街から気が付くと僕のことをよく見ている気がする。そして、目が合うと逸らされる。たぶん、やさしくしなかったから根に持ってるんだろう。すまないな、マナチ一筋なんだ。
「私は、迂回できるなら迂回したい」
マナチが言うとその発言が気になったのかタッツーが聞いた。
「できるなら、というのはどういう意味なのかしら?」
「え、いやその……あの街に入るなら、防具を着こまないといけないから、嫌だなぁと思っただけ」
タッツーがその答えを聞いて、キョトンとする。マナチはあの厚ぼったい装備は嫌いだって言っていたっけ、たしかかわいくないから。
「あ、そ、そうね。そういうことね、でもほら、あの街ならもしかしたら服があるかもしれないわ」
「だったら、行ってもいいけれど……でもボロボロなものが置いてそう」
マナチはあまり期待していないのか、街へ行くのに乗る気にはならなかった。
「ジュリはどう思っているんだ? 私はちなみに迂回したいと思っている」
ムッツーがジュリに問いかけると、ジュリは遠くに見える街をジーッと見た後に答えた。
「もしも、自分たちの住んでいる世界よりも遥か未来だったら、異世界だったら、どちらにしても私たちがあの街で誰かに出会った場合あまり自分たちにとっていい事にはならなさそうと思ったから、迂回したい」
「それなら私も迂回したいわね」
タッツーはジュリが言った自分たちがこの世界にとって遺物である以上、基本的に歓迎されないと思っているという視点がささっていた。
「そうだな、ベェスチティのような生物だった場合、好意的に受け入れられるつもりだったが、自分たちの価値観からする吸収というか洗脳だったりしたからな……」
「いったん、迂回しながら街を遠目に見つつ、様子を見るとか?」
僕が迂回する方向にもっていこうとした。遠目に見る限り、今までいた廃墟の街と比べて高層ビルがあり、明らかにちゃんとした街に見えた。砂利の砂漠、瓦礫の山、廃墟の街と毛並みが違う事から何かよくわからない気持ち悪さがあった。
「様子を見るにしても、行くか行かないかどうやって決める?」
「む、たしかに」
ムッツーから言われ、行かないようにしていたので言葉に詰まってしまった。
「それなら生存確率が高い方を選んで行動するのはどうでしょうか?」
ツバサが言うと周りが頷き、方針が決まった感じがした。
「街に入る事になった場合、そこで誰かと接触した際に私たちの事はどう説明する?」
僕はあらかじめこういった事を決めておいた方がいいと思った。さっきのジュリの言っていた事じゃないが、僕たちが異質な存在だった場合、ペラペラと喋った先にあるのは利用される可能性が高いと思った。元居た世界でのアーミーナイフがあったら、悪さし放題だしね。
「アカネみたいにいきなり接触された時に、対応決めておかないとまた気が付いたら、ってことはあり得るからな」
「可能な限り濁して、言わない。って事にしましょう」
ムッツーがアカネの出来事を言ったあとにタッツーが方針を言い、周りがそれで行こうという事になった。
+
各自、準備をし迂回する方向で歩き始めたが、すぐさま生存確率がだだ下がっていき、街へ向かう事になった。
「なあ、ツバサ。これってなんでだと思う?」
「うーん、もしかしたらタイムリミットみたいな制限があって、迂回すると帰る道が閉ざされてしまうから最短で進むしかない、という事かも?」
「あるいは、迂回する方向に地下に住まう化物がいて気づかぬ間に襲われてしまうとか……」
ジュリが手をワキワキさせながら冗談を言った」
「それはあり得るかもしれない」
ツバサは冗談とは思わず、答えた。
「ほら、映画とかで足音や音に反応して地面から襲ってくる化物がいるじゃない? ベェスチティのような化物がいたんだから、いない方がおかしいわ」
「うえぇ、そう言われると嫌だなぁ」
「となるとやはり街へ目指すのが無難かもしれないか」
ツバサとジュリと話をしていて、街にどんなのが待ち受けているのか、話ながら歩き向かった。
「これからどうするか、話をしよう。あの街を突っ切って光りの方に向かうか、迂回して光りの方に向かうか」
「迂回した方がよくないか?」
僕としては、あの街に寄る理由がないと思っていた。衣食住が不思議なアーミーナイフによって、恩恵がある以上、街で何をするんだという考えだった。
「この世界が何なのか、手がかりは得られると思います」
ツバサは物怖じせず、思ったことを言った。廃墟の街であったベェスチティの後、ツバサとジュリはあまり物怖じをしなくなった。
「私は知りたい。この世界が何なのか、手がかりがわかれば、いいかな」
片目を失ったハルミンは、僕の方を見て言った。廃墟の街から気が付くと僕のことをよく見ている気がする。そして、目が合うと逸らされる。たぶん、やさしくしなかったから根に持ってるんだろう。すまないな、マナチ一筋なんだ。
「私は、迂回できるなら迂回したい」
マナチが言うとその発言が気になったのかタッツーが聞いた。
「できるなら、というのはどういう意味なのかしら?」
「え、いやその……あの街に入るなら、防具を着こまないといけないから、嫌だなぁと思っただけ」
タッツーがその答えを聞いて、キョトンとする。マナチはあの厚ぼったい装備は嫌いだって言っていたっけ、たしかかわいくないから。
「あ、そ、そうね。そういうことね、でもほら、あの街ならもしかしたら服があるかもしれないわ」
「だったら、行ってもいいけれど……でもボロボロなものが置いてそう」
マナチはあまり期待していないのか、街へ行くのに乗る気にはならなかった。
「ジュリはどう思っているんだ? 私はちなみに迂回したいと思っている」
ムッツーがジュリに問いかけると、ジュリは遠くに見える街をジーッと見た後に答えた。
「もしも、自分たちの住んでいる世界よりも遥か未来だったら、異世界だったら、どちらにしても私たちがあの街で誰かに出会った場合あまり自分たちにとっていい事にはならなさそうと思ったから、迂回したい」
「それなら私も迂回したいわね」
タッツーはジュリが言った自分たちがこの世界にとって遺物である以上、基本的に歓迎されないと思っているという視点がささっていた。
「そうだな、ベェスチティのような生物だった場合、好意的に受け入れられるつもりだったが、自分たちの価値観からする吸収というか洗脳だったりしたからな……」
「いったん、迂回しながら街を遠目に見つつ、様子を見るとか?」
僕が迂回する方向にもっていこうとした。遠目に見る限り、今までいた廃墟の街と比べて高層ビルがあり、明らかにちゃんとした街に見えた。砂利の砂漠、瓦礫の山、廃墟の街と毛並みが違う事から何かよくわからない気持ち悪さがあった。
「様子を見るにしても、行くか行かないかどうやって決める?」
「む、たしかに」
ムッツーから言われ、行かないようにしていたので言葉に詰まってしまった。
「それなら生存確率が高い方を選んで行動するのはどうでしょうか?」
ツバサが言うと周りが頷き、方針が決まった感じがした。
「街に入る事になった場合、そこで誰かと接触した際に私たちの事はどう説明する?」
僕はあらかじめこういった事を決めておいた方がいいと思った。さっきのジュリの言っていた事じゃないが、僕たちが異質な存在だった場合、ペラペラと喋った先にあるのは利用される可能性が高いと思った。元居た世界でのアーミーナイフがあったら、悪さし放題だしね。
「アカネみたいにいきなり接触された時に、対応決めておかないとまた気が付いたら、ってことはあり得るからな」
「可能な限り濁して、言わない。って事にしましょう」
ムッツーがアカネの出来事を言ったあとにタッツーが方針を言い、周りがそれで行こうという事になった。
+
各自、準備をし迂回する方向で歩き始めたが、すぐさま生存確率がだだ下がっていき、街へ向かう事になった。
「なあ、ツバサ。これってなんでだと思う?」
「うーん、もしかしたらタイムリミットみたいな制限があって、迂回すると帰る道が閉ざされてしまうから最短で進むしかない、という事かも?」
「あるいは、迂回する方向に地下に住まう化物がいて気づかぬ間に襲われてしまうとか……」
ジュリが手をワキワキさせながら冗談を言った」
「それはあり得るかもしれない」
ツバサは冗談とは思わず、答えた。
「ほら、映画とかで足音や音に反応して地面から襲ってくる化物がいるじゃない? ベェスチティのような化物がいたんだから、いない方がおかしいわ」
「うえぇ、そう言われると嫌だなぁ」
「となるとやはり街へ目指すのが無難かもしれないか」
ツバサとジュリと話をしていて、街にどんなのが待ち受けているのか、話ながら歩き向かった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる