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入学~一年目 さぁ恋、なぐり愛
16_真実の愛はたった一つ、って話
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どうがんばっても好かれていくユウヴィーは逃げ場が無くなっていき、フリーザンネック王国の王太子の婚約者でさえ、私は第二婦人でもいいと言い出す始末だった。
(公認してるんじゃないよ! とルートが確定気味となってしまう! ていうか確定?)
ユウヴィーは瘴気問題そのものを予防し、フリーザンネック王国の危機への対策をすでにしていたのもあり、死亡フラグは回避されているのではと前向きに考えようとしていた。
(予防してるのだから、この流れで私に告白とかありえないでしょ)
以前にあったフォーラズ殿下との図書館の一件は自分の都合の言いように記憶を改ざんしていたユウヴィーであった。
いつものように図書館に行くと、そこにはフォーラズが待っていたのだった。
彼は深刻な表情をしており、いつもと違う雰囲気を醸し出していた。
「聞け、大事な話だ」
フォーラズが手を上げると、ツンな婚約者もその場に現れ、彼の斜め後ろに佇んでいた。
「我がフリーザンネック王国の危機的状況の対策を講じようとしている中で、お前の功績に対し、報いたいと思う。褒美としてオレ様の第一夫人の座をお前に与えてやろう。幸せに思え」
白目ひんむきそうになるユウヴィーであった。ふと原作だとどういう告白だったっけと思い出そうとするものの、無表情のままでいた為、フォーラズは咳払いをした。
「ンンッ、あ、オレ様はお前が欲しい。お前が好きだ。心から愛してるんだ、だから我が国へ来てくれ、そのためなら、ただ一人お前だけを愛する」
彼のツンな元婚約者の表情が先ほどとは代わり、無表情になっていた、まるで修羅場みたいな空気に変わったのだった。婚約者から元婚約者になってしまったのだ、遠回しとはいえ婚約を破棄されたのだ。しかも後ろを向いた状態で、他の女性に告白したのである。
「オレ様の愛を感じな」
場の空気を読まず、オレ様節を飛ばすフォーラズに対し、ユウヴィーはその斜め後ろにいるツンな婚約者が気になって仕方なかった。
「くっ」
ユウヴィーにも聞こえる声がし、悲痛めいた表情をするツンな婚約者だった。
(おい、お前……いや、相手の爵位は上だ。庇おうものなら、侮辱罪に繋がる可能性がある。どうすればいいのこれ?)
「エリーレイド様を通して、ユウヴィー様の事をお聞きいたしましたわ――」
彼女は表情を殺し、ユウヴィーとフォーラズの仲を取り持とうとしていた。貴族として、国の利益を考えての行動だった。血の涙を流すような目力だった。
ツンな婚約者は面倒な書類、実際に彼女の領地での実施確認を行った結果を取りまとめた資料を王太子に渡した。フォーラズはユウヴィーにも見えるようにテーブルに広げた。そこに書かれていたのは、そこには王太子と私の名前が記載され、功績は全て私たちになっていた。
「あぁん、やるじゃねぇか」
フォーラズはツンな元婚約者を褒めたのだった。
「べ、別に貴方のためではありませんわ。自国のためならば、フリーザンネック王国の貴族として当たり前ですわ。国民の生活を支え、導き、より良い発展を後押しする事が勤めですわ」
そっぽを向きながら涙を堪え、ツンツンしていたのだった。
だがここでエリーレイドが根回ししていたのが裏目に出てしまうのだった。
「フォーラズ、あんた、ここまでされて気が付けないの?」
ユウヴィーは不敬罪でとっ捕まって処されてもいいと思った。ツンな婚約者が自分の思いを殺し、愛する者を立てて、さらに国を思っての行動に心をうたれたのだった。
「あぁん? なんだと? オレ様が何に気づけていないだと」
「バカね! 彼女がここまで献身的な行動を言葉だけで受け取って、まるで見えていないわ!!」
――バンッ!
資料が置いてあるテーブルを叩き、ユウヴィーは深呼吸した。
「いい? その御方は、今でも貴方の為を思っているのよ。貴方の為じゃないと言っているけれど、実際はこんな資料を準備し、我が国のエリーレイド公爵令嬢と協力して実際に予防が現地で可能か検証もしているのよ。しかもここの箇所、わざわざ貴方の名前を入れてるのも次期王として拍がつくように気配りもしてるのよ。本来だったら自分の名前にできたのに、その思いを貴方は気が付けないの?」
フォーラズが後ろを振り返るとツンな元婚約者はみるみるうちに赤面状態になっていた。フォーラズは再度ユウヴィーの方を見たのだった。ユウヴィーは頷き、顎で彼女の方を見ろと指示をした。フォーラズは振り返るとプルプルと震え顔をさらに赤めていたのだった。
「や、やめぇ……」
か弱い声を発するツンな元婚約者。
ごくり、と喉を鳴らすフォーラズ。
即座に強く抱き締めるフォーラズはツンな元婚約者を抱きしめた。
「い、いやっ」
婚約者は拒絶するものの、先ほどの説明と表情、さらにそこまで強くない力から彼は察していた。
「あぁん、もうお前を離さない。お前はオレ様のものだ。昔も、今も、そしてこれからもだ。オレ様が間違っていた、オレ様にはお前が必要だ」
その後、二人は熱烈なキスをし、ユウヴィーは胸をなでおろした。遠くで何か叫び声のような声が聞こえたがユウヴィーは気のせいだと思った。
ツンな元婚約者は婚約者に戻り、ユウヴィーへの告白はフォーラズから謝罪され、なかった事になった。幸いにも元から人払いをしていた図書館であった為、目撃者はいなかったのだった。たとえ、影から覗いていた者がいたとしても公式上、誰もいなかったのだ。
ユウヴィーの不敬な言動と行動は、他国の事とはいえ真実の愛を気づかせてくれた事、真に国を思う婚約者の行動に対して、無かった事にされた。フォーラズを昔からずっと好きでいて、かつ支えてくれたツンな婚約者の本当の気持ちを知り、フォーラズはツンな婚約者と永遠の愛を誓うのだった。
その後、フォーラズとツンな婚約者は国に一時帰国し、瘴気対策の政策を進め、結婚をしたという話を聞いたのだった。
(よ、よかったぁ……)
胸をなでおろしたユウヴィー・ディフォルトエマノンだった。
(公認してるんじゃないよ! とルートが確定気味となってしまう! ていうか確定?)
ユウヴィーは瘴気問題そのものを予防し、フリーザンネック王国の危機への対策をすでにしていたのもあり、死亡フラグは回避されているのではと前向きに考えようとしていた。
(予防してるのだから、この流れで私に告白とかありえないでしょ)
以前にあったフォーラズ殿下との図書館の一件は自分の都合の言いように記憶を改ざんしていたユウヴィーであった。
いつものように図書館に行くと、そこにはフォーラズが待っていたのだった。
彼は深刻な表情をしており、いつもと違う雰囲気を醸し出していた。
「聞け、大事な話だ」
フォーラズが手を上げると、ツンな婚約者もその場に現れ、彼の斜め後ろに佇んでいた。
「我がフリーザンネック王国の危機的状況の対策を講じようとしている中で、お前の功績に対し、報いたいと思う。褒美としてオレ様の第一夫人の座をお前に与えてやろう。幸せに思え」
白目ひんむきそうになるユウヴィーであった。ふと原作だとどういう告白だったっけと思い出そうとするものの、無表情のままでいた為、フォーラズは咳払いをした。
「ンンッ、あ、オレ様はお前が欲しい。お前が好きだ。心から愛してるんだ、だから我が国へ来てくれ、そのためなら、ただ一人お前だけを愛する」
彼のツンな元婚約者の表情が先ほどとは代わり、無表情になっていた、まるで修羅場みたいな空気に変わったのだった。婚約者から元婚約者になってしまったのだ、遠回しとはいえ婚約を破棄されたのだ。しかも後ろを向いた状態で、他の女性に告白したのである。
「オレ様の愛を感じな」
場の空気を読まず、オレ様節を飛ばすフォーラズに対し、ユウヴィーはその斜め後ろにいるツンな婚約者が気になって仕方なかった。
「くっ」
ユウヴィーにも聞こえる声がし、悲痛めいた表情をするツンな婚約者だった。
(おい、お前……いや、相手の爵位は上だ。庇おうものなら、侮辱罪に繋がる可能性がある。どうすればいいのこれ?)
「エリーレイド様を通して、ユウヴィー様の事をお聞きいたしましたわ――」
彼女は表情を殺し、ユウヴィーとフォーラズの仲を取り持とうとしていた。貴族として、国の利益を考えての行動だった。血の涙を流すような目力だった。
ツンな婚約者は面倒な書類、実際に彼女の領地での実施確認を行った結果を取りまとめた資料を王太子に渡した。フォーラズはユウヴィーにも見えるようにテーブルに広げた。そこに書かれていたのは、そこには王太子と私の名前が記載され、功績は全て私たちになっていた。
「あぁん、やるじゃねぇか」
フォーラズはツンな元婚約者を褒めたのだった。
「べ、別に貴方のためではありませんわ。自国のためならば、フリーザンネック王国の貴族として当たり前ですわ。国民の生活を支え、導き、より良い発展を後押しする事が勤めですわ」
そっぽを向きながら涙を堪え、ツンツンしていたのだった。
だがここでエリーレイドが根回ししていたのが裏目に出てしまうのだった。
「フォーラズ、あんた、ここまでされて気が付けないの?」
ユウヴィーは不敬罪でとっ捕まって処されてもいいと思った。ツンな婚約者が自分の思いを殺し、愛する者を立てて、さらに国を思っての行動に心をうたれたのだった。
「あぁん? なんだと? オレ様が何に気づけていないだと」
「バカね! 彼女がここまで献身的な行動を言葉だけで受け取って、まるで見えていないわ!!」
――バンッ!
資料が置いてあるテーブルを叩き、ユウヴィーは深呼吸した。
「いい? その御方は、今でも貴方の為を思っているのよ。貴方の為じゃないと言っているけれど、実際はこんな資料を準備し、我が国のエリーレイド公爵令嬢と協力して実際に予防が現地で可能か検証もしているのよ。しかもここの箇所、わざわざ貴方の名前を入れてるのも次期王として拍がつくように気配りもしてるのよ。本来だったら自分の名前にできたのに、その思いを貴方は気が付けないの?」
フォーラズが後ろを振り返るとツンな元婚約者はみるみるうちに赤面状態になっていた。フォーラズは再度ユウヴィーの方を見たのだった。ユウヴィーは頷き、顎で彼女の方を見ろと指示をした。フォーラズは振り返るとプルプルと震え顔をさらに赤めていたのだった。
「や、やめぇ……」
か弱い声を発するツンな元婚約者。
ごくり、と喉を鳴らすフォーラズ。
即座に強く抱き締めるフォーラズはツンな元婚約者を抱きしめた。
「い、いやっ」
婚約者は拒絶するものの、先ほどの説明と表情、さらにそこまで強くない力から彼は察していた。
「あぁん、もうお前を離さない。お前はオレ様のものだ。昔も、今も、そしてこれからもだ。オレ様が間違っていた、オレ様にはお前が必要だ」
その後、二人は熱烈なキスをし、ユウヴィーは胸をなでおろした。遠くで何か叫び声のような声が聞こえたがユウヴィーは気のせいだと思った。
ツンな元婚約者は婚約者に戻り、ユウヴィーへの告白はフォーラズから謝罪され、なかった事になった。幸いにも元から人払いをしていた図書館であった為、目撃者はいなかったのだった。たとえ、影から覗いていた者がいたとしても公式上、誰もいなかったのだ。
ユウヴィーの不敬な言動と行動は、他国の事とはいえ真実の愛を気づかせてくれた事、真に国を思う婚約者の行動に対して、無かった事にされた。フォーラズを昔からずっと好きでいて、かつ支えてくれたツンな婚約者の本当の気持ちを知り、フォーラズはツンな婚約者と永遠の愛を誓うのだった。
その後、フォーラズとツンな婚約者は国に一時帰国し、瘴気対策の政策を進め、結婚をしたという話を聞いたのだった。
(よ、よかったぁ……)
胸をなでおろしたユウヴィー・ディフォルトエマノンだった。
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