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二年目 恋よ、愛てにとって不足はない
25 笑い男、相手が望む表情をする人形皇子
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授業に真面目に出て、図書館に通う日々を過ごし、気が付いたら一年があっという間に過ぎていたのだった。その間に、エリーレイドからの執拗な説教や攻略対象者であり、ユウヴィーの推しであるアラインと接触および、親密度を上げようとさせてきたりと色々あったがあっという間だった。
ユウヴィーは二年目を迎えるにあたり、前世の記憶から何か思い出さないかなぁと日々ぼんやりと思いつつ、始業式でぼーっと考えていた。
「今期から、急遽二年生枠に転入してきたハマト国の皇子であるリンク・トキミヤだ。よろしく頼むぜ」
壇上に上がって挨拶をしたのは深い青みがかった髪をし、さわやかな笑顔でキラッと光る歯をみせていた好青年だった。どうみても攻略対象者だとユウヴィーは察した。
(う、う~ん。絶対あの人って攻略対象者だと思うのだけど、まったく思い出せない)
+
始業式が終わり、学園長に呼ばれて部屋に入るとリンク・トキミヤとその婚約者と思われるギャルっぽい人も居た。ユウヴィーはやっぱり攻略対象者だったと思い、これも強制力が働いているのだと察した。
「こんにちは、君が噂のユウヴィー・ディフォルトエマノン嬢……浄化の姫だね?」
(浄化の……姫と?)
ユウヴィーは目の前の男の陽気さに、前世の陰キャだった自分のことを思い出し、少しだけ警戒してしまうのだった。
「ちょっとぉ、なんか感じ悪くない?」
ギャルっぽい婚約者がユウヴィーに対して、不機嫌そうな表情を浮かべていた。
「大変失礼いたしました。ユウヴィー・ディフォルトエマノンと申します。サンウォーカー国の子爵家であり、光の魔法を扱えるため、特待生として通わせて頂いてます」
「さて、ユウヴィー。君にはこのリンク王子の案内役を頼む。転入してきたばかりでこの学園に慣れていないのでよろしく頼む」
学園長のスターロード卿が渋くかっこいい声がユウヴィーの耳に浸透していった。ユウヴィーはやんわりと断るような思考が一瞬にしてイケボにやられ、脊髄反射の如く受け入れた。
「はい、かしこまりました」
「それじゃ、よろしくね」
「よろ~」
おおよそ、王族とその婚約者とは思えない言動にユウヴィーは戸惑いを感じるものの、表には出さなかったのだった。これも貴族教育で学んだ鉄面皮である。そして、少しだけ案内をうけてしまって後悔していた。
ユウヴィーたちは学園長室を出て、廊下を歩きながら敷地内のルートを考えるのだった。
「案内よろ」
ギャルっぽい婚約者はすりすりっとユウヴィーに寄り、その軽い感じから本当に令嬢なのかと疑問に感じるのだった。
「こう見えて、公爵令嬢なのよね。オニヤバッ」
(本当にエリーレイドと同じ公爵令嬢なの?)
「ここはいいねぇ、空気も澄んでいて美味しい。それに君が連れている使い魔もかわいいね!」
「あ、それっ、あーしも思ったし! ほんとかわわ!」
(ダメだ、苦手だ)
ユウヴィーの精神がゴリゴリ削られていったのだった。
「あの、よろしかったら触ってみますか?」
「マジ? やったぜ!」
「あーしも! あーしも!」
二人はモフモフを楽しみ、癒されていた。
「あーしも使い魔欲しくなちゃった」
「自国から候補の動物を取り寄せようぜ」
「いいね!」
その日は学園の案内をしながら二人から使い魔との生活について聞かれたのだった。
すっかり夕方となり、学園の敷地の案内を終え、ユウヴィーは図書館に向かい今日も今日とて瘴気の勉強を行うのだった。
+
図書館に着いたユウヴィーは、まだ読んでいない瘴気についての本を何冊か選び、いつも座っている場所に向かった。食堂と同じように図書館でも誰がどの場所で勉強しているのか、暗黙の了解のように席が固定化していた。
いつもの場所に行くとそこには、先ほど学園を案内したリンク・トキミヤが勉強をしていたのだった。
(あ、思い出した。この攻略対象者はは元はそんなに明るくなくて皇子という立場や他国との関係も含めて、期待されそれに応えるように必死に演じてるんだった。だから、人一倍努力もする。だから、ここにいるんだ……)
ユウヴィーは攻略対象者との接触は殉愛フラグが立つので、あまり関わりたくないと思っていた。だが、いつも勉強している所でじゃないと何か違和感があり、また場から足が動かなかった。
(気合を込めて動かせば、足は動くけれども―)
すると勉強しているリンクがユウヴィーの気配に気が付いたのか、顔を上げてユウヴィーの方を見るのだった。
「君は……」
一瞬だけ素の表情をしていたリンクだった。普段の明るい感じではなく、本来の彼であった。
「そうか、もしかしてここは君がいつも勉強している場所だったか、すまない。すぐにどくよ……」
そして、席を立つとリンクがユウヴィーの前に来ると驚いていた。
(ああ、そうだ。私だとわかってなくて、外向けの自分ではなく本来の自分を出してしまう流れで、これが攻略対象者とのルートフラグだ。スチル絵だぁぁぁ!)
「あ、いやこれは……」
リンクはどう繕っていいのかわからなく、動揺していた。
「いえ、大丈夫です。なんとなく、そんな気がしていたので」
「えっ」
ユウヴィーは乙女ゲームの強制力が働いている事とエリーレイドが何かしてくるのも、瘴気そのものを解決していけば殉愛が起きないと考え、笑ったのだった。
(ハマト国のリンクルートは思い出せないけれど、瘴気の問題を解決に導けばいける。私ならやれる!)
ユウヴィーは二年目を迎えるにあたり、前世の記憶から何か思い出さないかなぁと日々ぼんやりと思いつつ、始業式でぼーっと考えていた。
「今期から、急遽二年生枠に転入してきたハマト国の皇子であるリンク・トキミヤだ。よろしく頼むぜ」
壇上に上がって挨拶をしたのは深い青みがかった髪をし、さわやかな笑顔でキラッと光る歯をみせていた好青年だった。どうみても攻略対象者だとユウヴィーは察した。
(う、う~ん。絶対あの人って攻略対象者だと思うのだけど、まったく思い出せない)
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始業式が終わり、学園長に呼ばれて部屋に入るとリンク・トキミヤとその婚約者と思われるギャルっぽい人も居た。ユウヴィーはやっぱり攻略対象者だったと思い、これも強制力が働いているのだと察した。
「こんにちは、君が噂のユウヴィー・ディフォルトエマノン嬢……浄化の姫だね?」
(浄化の……姫と?)
ユウヴィーは目の前の男の陽気さに、前世の陰キャだった自分のことを思い出し、少しだけ警戒してしまうのだった。
「ちょっとぉ、なんか感じ悪くない?」
ギャルっぽい婚約者がユウヴィーに対して、不機嫌そうな表情を浮かべていた。
「大変失礼いたしました。ユウヴィー・ディフォルトエマノンと申します。サンウォーカー国の子爵家であり、光の魔法を扱えるため、特待生として通わせて頂いてます」
「さて、ユウヴィー。君にはこのリンク王子の案内役を頼む。転入してきたばかりでこの学園に慣れていないのでよろしく頼む」
学園長のスターロード卿が渋くかっこいい声がユウヴィーの耳に浸透していった。ユウヴィーはやんわりと断るような思考が一瞬にしてイケボにやられ、脊髄反射の如く受け入れた。
「はい、かしこまりました」
「それじゃ、よろしくね」
「よろ~」
おおよそ、王族とその婚約者とは思えない言動にユウヴィーは戸惑いを感じるものの、表には出さなかったのだった。これも貴族教育で学んだ鉄面皮である。そして、少しだけ案内をうけてしまって後悔していた。
ユウヴィーたちは学園長室を出て、廊下を歩きながら敷地内のルートを考えるのだった。
「案内よろ」
ギャルっぽい婚約者はすりすりっとユウヴィーに寄り、その軽い感じから本当に令嬢なのかと疑問に感じるのだった。
「こう見えて、公爵令嬢なのよね。オニヤバッ」
(本当にエリーレイドと同じ公爵令嬢なの?)
「ここはいいねぇ、空気も澄んでいて美味しい。それに君が連れている使い魔もかわいいね!」
「あ、それっ、あーしも思ったし! ほんとかわわ!」
(ダメだ、苦手だ)
ユウヴィーの精神がゴリゴリ削られていったのだった。
「あの、よろしかったら触ってみますか?」
「マジ? やったぜ!」
「あーしも! あーしも!」
二人はモフモフを楽しみ、癒されていた。
「あーしも使い魔欲しくなちゃった」
「自国から候補の動物を取り寄せようぜ」
「いいね!」
その日は学園の案内をしながら二人から使い魔との生活について聞かれたのだった。
すっかり夕方となり、学園の敷地の案内を終え、ユウヴィーは図書館に向かい今日も今日とて瘴気の勉強を行うのだった。
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図書館に着いたユウヴィーは、まだ読んでいない瘴気についての本を何冊か選び、いつも座っている場所に向かった。食堂と同じように図書館でも誰がどの場所で勉強しているのか、暗黙の了解のように席が固定化していた。
いつもの場所に行くとそこには、先ほど学園を案内したリンク・トキミヤが勉強をしていたのだった。
(あ、思い出した。この攻略対象者はは元はそんなに明るくなくて皇子という立場や他国との関係も含めて、期待されそれに応えるように必死に演じてるんだった。だから、人一倍努力もする。だから、ここにいるんだ……)
ユウヴィーは攻略対象者との接触は殉愛フラグが立つので、あまり関わりたくないと思っていた。だが、いつも勉強している所でじゃないと何か違和感があり、また場から足が動かなかった。
(気合を込めて動かせば、足は動くけれども―)
すると勉強しているリンクがユウヴィーの気配に気が付いたのか、顔を上げてユウヴィーの方を見るのだった。
「君は……」
一瞬だけ素の表情をしていたリンクだった。普段の明るい感じではなく、本来の彼であった。
「そうか、もしかしてここは君がいつも勉強している場所だったか、すまない。すぐにどくよ……」
そして、席を立つとリンクがユウヴィーの前に来ると驚いていた。
(ああ、そうだ。私だとわかってなくて、外向けの自分ではなく本来の自分を出してしまう流れで、これが攻略対象者とのルートフラグだ。スチル絵だぁぁぁ!)
「あ、いやこれは……」
リンクはどう繕っていいのかわからなく、動揺していた。
「いえ、大丈夫です。なんとなく、そんな気がしていたので」
「えっ」
ユウヴィーは乙女ゲームの強制力が働いている事とエリーレイドが何かしてくるのも、瘴気そのものを解決していけば殉愛が起きないと考え、笑ったのだった。
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