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二年目 恋よ、愛てにとって不足はない

36 理想の恋愛とは

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「どんな恋愛したいの?」
 ハープに改めて問われ、ユウヴィーはうーんと唸ってしまう。
 
(トキメキは、顔が良くてイケボだと確かにキュンと来る。しかし、恋に落ちるかと言うとそんなことはない)
 
「じゃあ、王太子は?」
「推しではあるし、キュンするんだけども、死んでもいいか、となってくると別でかなぁ」
「お、推し? いや死んでもいいか、というくらい好きではないのね」
(心中してもいい好き、というメンヘラ拗らせていないし、一緒に死んだら永遠だね! っていうのはない)
 ユウヴィーは乙女ゲームをしていた時を手繰り寄せるように思い出そうとするが、思い出せずだった。
「うーん、わからない」
 あんな言葉を実際に言われたい、触れるか触れないかの距離の耳元で囁かれたい、そういう欲求はあった。次第にエッチな方向に考えてしまい、顔が赤くなっていった。
 
「あれれ~? 何を想像してたのかな~? いいなさーい!」
「ちがっ、ちょっと!」
 いきなり抱き着かれ、ユウヴィーくすぐられるのだった。
「ちょ、ちょぉぉぉ、くすぐっ――」
 
 ユウヴィーの笑い声は、降参するまで続き、こんなシチュエーションやこんなセリフを言われたいと全て洗いざらい喋ることになった。
 
 喋っている内に、ハープの目はギンギンになっており、息も荒くなっていた。
 
「ちょ、ちょっとハープ?」
「くわしく」
「えっ」
「続きを早く」
 
 食い気味に続きを要求され、ユウヴィーは話していく事になった。話をしているうちに前世の記憶でのキュンとした事を思い出すようになり、恋愛をしたいという思いが強くなっていったのを感じるのだった。濃ゆい話に段々と進み、言葉として残しておけないような十八禁のようなシチュエーション話になっていった。気が付いたら夜も遅く、お開きとなったのだった。
 
「ユウヴィーってむっつりだったのね」
「私、ハープがいたしてる時のネタなんて聞きたくなかったわ」
「えっ、ひどくない?」
「ふふっ」
「あははっ」
 
 二人の笑い声が部屋に響いていった。
 
+
 
 結局のところ、ユウヴィーは自分がどう恋愛をしたいのかわからないままだった。耳年増のような妄想はたくさんあるものの、自分がどうやって恋に落ちるのか想像できていなかった。
 
(推しははっきりとしているものの、それは推しであって付き合いたいとか、今の推しにはないなぁ)
 
 彼女はいいなと思えど、自分をヒロインに置き換えるというよりも一歩引いて乙女ゲームを楽しみ、栄養補給をしているタイプだった。
 
(もちろん没入するのも悪くないんだけども……)
 
 没頭連動型VR拡張パックで散々楽しんでいた前世を思い出し、今わかっている攻略対象者たちとのめくるめくる甘い出来事に悶えていた。
 
(あれそういえば、焼却したけれど、手紙に書かれていた一緒にってどういうプレイなんだ……?)
 
 前世では一対一の甘いやり取りが繰り広げることができるものだったが、二人以上でのそういったプレイはそもそも実装されていなかった。
 
(くっ、知りたい……いや、これじゃ私はただの淫乱じゃないか!)
 
 好奇心からどういうものか一人妄想をし、その日は一日中勉強に手がつかない状態になっていたのだった。

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