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二年目 恋よ、愛てにとって不足はない
37 悪役令嬢のエリーレイドは失敗するものの、めげない
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エリーレイドは自室でいつものようにソファにだらけきっていた。表情はやる気が失せ、二日酔いに悩まされるような顔つきをしていた。
「我が主、この攻略本によると――」
「わかってるわ、あの場面であのユウヴィーがあのセリフで確定のはずなのよね。なのに、なぜかフォーラズ殿下、リンク皇子ともくっつかなかった。それはどうしてなのか? また失敗なのは、なんでなの?」
使い魔のマーベラスが言う前にエリーレイドが答えたのも二人目の攻略対象者ともくっつかずに終わった事が理解ができていなかった吐露だった。
「ユウヴィーにも好みがあるのでは……」
今ならもしかしたら聞く耳を持ってくれると思った使い魔のマーベラスだった。
希望通り、ハッとするエリーレイドだった。
「好み、と言っても攻略対象者は全て、どれもイケメン、イケボよ。どれかに引っかかるだろうと思うのよ。見合い書の選別をして、全て却下していたけれど、まさか同性を好きってことはないでしょうし」
「そうなってくるとまだ出てきていない攻略対象者に絞られる事になりませんか?」
マーベラスはどうして違う方向に考えるのだろうか、と思ったがなんとか軌道修正を試みた。
「うーん、まだあと五人、でも一人はアライン殿下。よく考えたら、まだチャンスは五回あるけれど、正確には四回になるわね」
エリーレイドは攻略対象者を一人一人思い浮かべ、一人だけ削ったのだった。
「その方というのは、もしや……」
「ええ、私の推しよ」
マーベラスはごくりとつばを飲み込む。その推しが誰だか知っているからだ、その推しに関しての分量は攻略本の半分以上に記載されていた。過去に数回、マーベラスはその推しについて聞いた時に、数時間以上も語られ、数十分に一度は「聞いてるの?」と聞かれ曖昧に答えた場合はその推しの「良さ」を最初から聞かねばならなかったのだった。
「私の推しだけは何が何でもくっつくのを阻止、つまり絶対に会わせないようにしなくてはいけない。すでに根回しとさまっざまな対策をしたわ。でも乙女ゲームの強制力が働いてる気がするし、その前になんとしてでも他の攻略対象者とくっついてもらうわ」
「左様でございますか、となると我が主……ユウヴィーに直接、好みについて聞いてみてはいかがですか?」
エリーレイドは眉をひそめ、それが可能かどうかは別として、聞いてみることで何かしら方向性や答えがわかるかもしれないと考えた。
「確かにそうね、サロンの個室に呼び出して聞いてみる事にしましょう。それで何か答えを得られたら、得られたで僥倖だしね」
にんまりとした表情を浮かべ、元気を取り戻し、背伸びをしたのだった。
「今年は割と忙しかったのと、ハマト国の一件が思った方向に進まなかったけれど、貿易品は依然と比べて品質も向上したし、よかったと思うべきかしらね」
瘴気問題を解決したことが生態に影響を及ぼした事で作物への被害が減り、瘴気による汚染が労働階級への被害が劇的に減った。生産能率が高まり、収穫量も増え、サンウォーカー国との関係はより強固になっていた。もとよりエリーレイドは先んじていろいろ支援をしていたことから、莫大な利益を得ていた。
「我が主、そういえばハマト国から支援の感謝やぜひいつでも遊びに来てくださいという手紙も来てましたね」
「食い倒れツアーとか楽しそうだとは思うのよね、今度の休みに行くというのもありよね。その際には、ユウヴィーも連れて、公務を任せるのもあ……りじゃないわね。あの子、そういう仕事は今までしてないから厳しいわね」
はぁ、とため息をつきながらも楽しそうな表情を浮かべるエリーレイドだった。
「あ、マーベちゃんちょっとおいで」
使い魔のマーベラスは吸われると察し、のそのそとエリーレイドの方に近寄るのだった。
むんず、と持ち上げられ、今日もエリーレイドに吸われるのだった。
――すーはーすーはー
「我が主、この攻略本によると――」
「わかってるわ、あの場面であのユウヴィーがあのセリフで確定のはずなのよね。なのに、なぜかフォーラズ殿下、リンク皇子ともくっつかなかった。それはどうしてなのか? また失敗なのは、なんでなの?」
使い魔のマーベラスが言う前にエリーレイドが答えたのも二人目の攻略対象者ともくっつかずに終わった事が理解ができていなかった吐露だった。
「ユウヴィーにも好みがあるのでは……」
今ならもしかしたら聞く耳を持ってくれると思った使い魔のマーベラスだった。
希望通り、ハッとするエリーレイドだった。
「好み、と言っても攻略対象者は全て、どれもイケメン、イケボよ。どれかに引っかかるだろうと思うのよ。見合い書の選別をして、全て却下していたけれど、まさか同性を好きってことはないでしょうし」
「そうなってくるとまだ出てきていない攻略対象者に絞られる事になりませんか?」
マーベラスはどうして違う方向に考えるのだろうか、と思ったがなんとか軌道修正を試みた。
「うーん、まだあと五人、でも一人はアライン殿下。よく考えたら、まだチャンスは五回あるけれど、正確には四回になるわね」
エリーレイドは攻略対象者を一人一人思い浮かべ、一人だけ削ったのだった。
「その方というのは、もしや……」
「ええ、私の推しよ」
マーベラスはごくりとつばを飲み込む。その推しが誰だか知っているからだ、その推しに関しての分量は攻略本の半分以上に記載されていた。過去に数回、マーベラスはその推しについて聞いた時に、数時間以上も語られ、数十分に一度は「聞いてるの?」と聞かれ曖昧に答えた場合はその推しの「良さ」を最初から聞かねばならなかったのだった。
「私の推しだけは何が何でもくっつくのを阻止、つまり絶対に会わせないようにしなくてはいけない。すでに根回しとさまっざまな対策をしたわ。でも乙女ゲームの強制力が働いてる気がするし、その前になんとしてでも他の攻略対象者とくっついてもらうわ」
「左様でございますか、となると我が主……ユウヴィーに直接、好みについて聞いてみてはいかがですか?」
エリーレイドは眉をひそめ、それが可能かどうかは別として、聞いてみることで何かしら方向性や答えがわかるかもしれないと考えた。
「確かにそうね、サロンの個室に呼び出して聞いてみる事にしましょう。それで何か答えを得られたら、得られたで僥倖だしね」
にんまりとした表情を浮かべ、元気を取り戻し、背伸びをしたのだった。
「今年は割と忙しかったのと、ハマト国の一件が思った方向に進まなかったけれど、貿易品は依然と比べて品質も向上したし、よかったと思うべきかしらね」
瘴気問題を解決したことが生態に影響を及ぼした事で作物への被害が減り、瘴気による汚染が労働階級への被害が劇的に減った。生産能率が高まり、収穫量も増え、サンウォーカー国との関係はより強固になっていた。もとよりエリーレイドは先んじていろいろ支援をしていたことから、莫大な利益を得ていた。
「我が主、そういえばハマト国から支援の感謝やぜひいつでも遊びに来てくださいという手紙も来てましたね」
「食い倒れツアーとか楽しそうだとは思うのよね、今度の休みに行くというのもありよね。その際には、ユウヴィーも連れて、公務を任せるのもあ……りじゃないわね。あの子、そういう仕事は今までしてないから厳しいわね」
はぁ、とため息をつきながらも楽しそうな表情を浮かべるエリーレイドだった。
「あ、マーベちゃんちょっとおいで」
使い魔のマーベラスは吸われると察し、のそのそとエリーレイドの方に近寄るのだった。
むんず、と持ち上げられ、今日もエリーレイドに吸われるのだった。
――すーはーすーはー
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