9 / 35
死に戻り1
9.プチ家出
パカパカとのんびりお散歩気分で出かけたアンジェリーヌは、とにかくマキャベリに見つからないようにだけ心掛け、王都の中心部ではなく人気が少ない外れのところまで一気に乗る。
最初は、転移魔法で中心部の広場まで行くつもりだったけど、愛馬のポニーちゃんのおかげで思わぬ行幸ができたというもの。
しばらく行くと、道端に泣いている子供を発見する。見た目や服装だけでは男の子か女の子か判別できない。
アンジェリーヌはポニーちゃんから降り、その子供の傍へ駆け寄る。
「どうしたの?どっか痛いの?」
その子は黙って、ズボンのすそをめくりあげ傷口を見せた。どこかで転んだのだろうか?傷口がパカッと開いている。
「こりゃ、痛いわ」
年齢的には、変わりがないと見えるその子だけど、アンジェリーヌは前世から数えて、23~24年ぐらい生きている勘定になるので、精神年齢は軽くオバサンの域に達している。
「大丈夫よ。すぐ治るわ」言いながら、その傷口に手をかざす。傷口はみるみるうちに塞がる。聖魔法の治癒で、傷をなかったことにした。その子は驚いたように、アンジェリーヌを見上げ微笑む。
「もう痛くないよ。お姉ちゃんありがとう」
ハテ?果たしてお姉ちゃんだろうか?疑問に思いつつも、ポニーちゃんの背に跨る。
行こうとするアンジェリーヌを引き留めるようにポニーちゃんの轡を取る。
「僕、ケインって言うんだ。良かったら僕ん家に来てよ」
うーん。今、帰ったら、大目玉を食らうことになるから……、でも聖女様の公女がお邪魔したら、この子の家に迷惑をかけるのではないかと心配する。
「迷惑なんて思っていないから、気にせずおいでよ」
わっ!この子、他人の心が読めるの!?
アンジェリーヌは驚いて目をパチクリさせている。
結局、その子の家に連れて行かれることになった。ポニーちゃんの轡を持たれているし、いざとなれば、聖魔法で逃げ帰ることもできるのだからと自分に言い聞かせつつ、ついて行くことになったのだ。
ケインの家は、孤児院だった。
ボロボロの幽霊屋敷みたいなところに20人ばかりの子供たちがひしめき合って暮らしていた。前世から話には聞いていたけど、ここまでヒドイとは思ってもみなかった。
壁にひびが入り、ところどころ崩れ落ちている。屋根もあるだけマシという感じでただ乗っかかっているだけという有様だった。
出てきた初老の男性がこの孤児院の院長先生みたいで
「怪我をしているケインを助けてくださりありがとうございました。ケイン、お客様にお茶をお出ししなさい!」
「はーい」
渋々と言った態で、ケインは奥へ引っ込んでいく。中から興味深そうに子供たちが玄関先にいるアンジェリーヌとポニーちゃんをのぞき見していることがわかる。
「わたくしはアンジェ……」と言いかけて、本名を知られたら、孤児院に迷惑をかけるのではと思い直し
「わたくしは、アンジェと申します。以後、お見知りおきを」
「これはこれは、ご丁寧なごあいさつをかたじけのう存じます。さっ、狭いところですがゆっくりしていってください」
院長に案内されるがまま奥へと進む。
床は抜け落ち、階段も半分しかなく、正直なところ建っているということが不思議なほどのボロ家だった。
「つかぬことを伺いますが、教会からの支援金はどうなっておりますか?」
「以前は、いただいておりましたが今の司祭様に変わられてから教会の方針が変わり、まったく受け取れない状態になりました。ほとんどご近所の住民からの支援とここを卒業した子供たちの仕送りで賄っています」
ええっー!叫び出しそうになる声をグっとこらえ、あの司祭様よね?アンジェリーヌが聖女様であると公表しなかった。あの司祭様がここでも関係しているなんて!許せない!
あの司祭、何、考えてんだか!
最初は、転移魔法で中心部の広場まで行くつもりだったけど、愛馬のポニーちゃんのおかげで思わぬ行幸ができたというもの。
しばらく行くと、道端に泣いている子供を発見する。見た目や服装だけでは男の子か女の子か判別できない。
アンジェリーヌはポニーちゃんから降り、その子供の傍へ駆け寄る。
「どうしたの?どっか痛いの?」
その子は黙って、ズボンのすそをめくりあげ傷口を見せた。どこかで転んだのだろうか?傷口がパカッと開いている。
「こりゃ、痛いわ」
年齢的には、変わりがないと見えるその子だけど、アンジェリーヌは前世から数えて、23~24年ぐらい生きている勘定になるので、精神年齢は軽くオバサンの域に達している。
「大丈夫よ。すぐ治るわ」言いながら、その傷口に手をかざす。傷口はみるみるうちに塞がる。聖魔法の治癒で、傷をなかったことにした。その子は驚いたように、アンジェリーヌを見上げ微笑む。
「もう痛くないよ。お姉ちゃんありがとう」
ハテ?果たしてお姉ちゃんだろうか?疑問に思いつつも、ポニーちゃんの背に跨る。
行こうとするアンジェリーヌを引き留めるようにポニーちゃんの轡を取る。
「僕、ケインって言うんだ。良かったら僕ん家に来てよ」
うーん。今、帰ったら、大目玉を食らうことになるから……、でも聖女様の公女がお邪魔したら、この子の家に迷惑をかけるのではないかと心配する。
「迷惑なんて思っていないから、気にせずおいでよ」
わっ!この子、他人の心が読めるの!?
アンジェリーヌは驚いて目をパチクリさせている。
結局、その子の家に連れて行かれることになった。ポニーちゃんの轡を持たれているし、いざとなれば、聖魔法で逃げ帰ることもできるのだからと自分に言い聞かせつつ、ついて行くことになったのだ。
ケインの家は、孤児院だった。
ボロボロの幽霊屋敷みたいなところに20人ばかりの子供たちがひしめき合って暮らしていた。前世から話には聞いていたけど、ここまでヒドイとは思ってもみなかった。
壁にひびが入り、ところどころ崩れ落ちている。屋根もあるだけマシという感じでただ乗っかかっているだけという有様だった。
出てきた初老の男性がこの孤児院の院長先生みたいで
「怪我をしているケインを助けてくださりありがとうございました。ケイン、お客様にお茶をお出ししなさい!」
「はーい」
渋々と言った態で、ケインは奥へ引っ込んでいく。中から興味深そうに子供たちが玄関先にいるアンジェリーヌとポニーちゃんをのぞき見していることがわかる。
「わたくしはアンジェ……」と言いかけて、本名を知られたら、孤児院に迷惑をかけるのではと思い直し
「わたくしは、アンジェと申します。以後、お見知りおきを」
「これはこれは、ご丁寧なごあいさつをかたじけのう存じます。さっ、狭いところですがゆっくりしていってください」
院長に案内されるがまま奥へと進む。
床は抜け落ち、階段も半分しかなく、正直なところ建っているということが不思議なほどのボロ家だった。
「つかぬことを伺いますが、教会からの支援金はどうなっておりますか?」
「以前は、いただいておりましたが今の司祭様に変わられてから教会の方針が変わり、まったく受け取れない状態になりました。ほとんどご近所の住民からの支援とここを卒業した子供たちの仕送りで賄っています」
ええっー!叫び出しそうになる声をグっとこらえ、あの司祭様よね?アンジェリーヌが聖女様であると公表しなかった。あの司祭様がここでも関係しているなんて!許せない!
あの司祭、何、考えてんだか!
あなたにおすすめの小説
蔑ろにされた王妃と見限られた国王
奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています
国王陛下には愛する女性がいた。
彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。
私は、そんな陛下と結婚した。
国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。
でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。
そしてもう一つ。
私も陛下も知らないことがあった。
彼女のことを。彼女の正体を。
わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。
織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。
父であるアーヴェント大公に疎まれている――
噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。
全てを捨てて、わたしらしく生きていきます。
彩華(あやはな)
恋愛
3年前にリゼッタお姉様が風邪で死んだ後、お姉様の婚約者であるバルト様と結婚したわたし、サリーナ。バルト様はお姉様の事を愛していたため、わたしに愛情を向けることはなかった。じっと耐えた3年間。でも、人との出会いはわたしを変えていく。自由になるために全てを捨てる覚悟を決め、わたしはわたしらしく生きる事を決意する。
異世界に逃げたシングルマザー経理は、定時退勤だけは譲れない
木風
恋愛
DV夫から一歳の娘を抱えて逃げた鈴木優子は、光に飲まれて異世界の王宮へ転移してしまう。
生きるために差し出した武器は簿記と経理経験――崩壊寸前の王宮会計を『複式簿記』で立て直すことに。
ただし譲れない条件はひとつ、「午後五時の定時退勤」。娘の迎えが最優先だからだ。
その姿勢に、なぜか若き国王ヴィクトルが毎日経理室へ通い始めて――仕事と子育ての先に、家族の形が芽吹いていく。
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
【完結】婚約破棄される前に察して距離を置いていたら、幼なじみの第三王子が本気になっていました〜義妹と元婚約者? もう過去の人です〜
井上 佳
恋愛
婚約者に裏切られた侯爵令嬢は、
嘆くことも、復讐に走ることもなかった。
彼女が選んだのは、沈黙と誇り。
だがその姿は、
密かに彼女を想い続けていた第三王子の心を動かす。
「私は、国よりも君を選ぶ」
婚約破棄、王位継承、外交圧力――
すべてを越えて選び取る、正統な幸福。
これは、
強く、静かな恋の物語。
2026/02/23 完結
心が折れた日に神の声を聞く
木嶋うめ香
ファンタジー
ある日目を覚ましたアンカーは、自分が何度も何度も自分に生まれ変わり、父と義母と義妹に虐げられ冤罪で処刑された人生を送っていたと気が付く。
どうして何度も生まれ変わっているの、もう繰り返したくない、生まれ変わりたくなんてない。
何度生まれ変わりを繰り返しても、苦しい人生を送った末に処刑される。
絶望のあまり、アンカーは自ら命を断とうとした瞬間、神の声を聞く。
没ネタ供養、第二弾の短編です。