魔女と呼ばれ処刑された聖女は、死に戻り悪女となる

青の雀

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死に戻り1

9.プチ家出

パカパカとのんびりお散歩気分で出かけたアンジェリーヌは、とにかくマキャベリに見つからないようにだけ心掛け、王都の中心部ではなく人気が少ない外れのところまで一気に乗る。

最初は、転移魔法で中心部の広場まで行くつもりだったけど、愛馬のポニーちゃんのおかげで思わぬ行幸ができたというもの。

しばらく行くと、道端に泣いている子供を発見する。見た目や服装だけでは男の子か女の子か判別できない。

アンジェリーヌはポニーちゃんから降り、その子供の傍へ駆け寄る。

「どうしたの?どっか痛いの?」

その子は黙って、ズボンのすそをめくりあげ傷口を見せた。どこかで転んだのだろうか?傷口がパカッと開いている。

「こりゃ、痛いわ」

年齢的には、変わりがないと見えるその子だけど、アンジェリーヌは前世から数えて、23~24年ぐらい生きている勘定になるので、精神年齢は軽くオバサンの域に達している。

「大丈夫よ。すぐ治るわ」言いながら、その傷口に手をかざす。傷口はみるみるうちに塞がる。聖魔法の治癒で、傷をなかったことにした。その子は驚いたように、アンジェリーヌを見上げ微笑む。

「もう痛くないよ。お姉ちゃんありがとう」

ハテ?果たしてお姉ちゃんだろうか?疑問に思いつつも、ポニーちゃんの背に跨る。

行こうとするアンジェリーヌを引き留めるようにポニーちゃんの轡を取る。

「僕、ケインって言うんだ。良かったら僕ん家に来てよ」

うーん。今、帰ったら、大目玉を食らうことになるから……、でも聖女様の公女がお邪魔したら、この子の家に迷惑をかけるのではないかと心配する。

「迷惑なんて思っていないから、気にせずおいでよ」

わっ!この子、他人の心が読めるの!?

アンジェリーヌは驚いて目をパチクリさせている。

結局、その子の家に連れて行かれることになった。ポニーちゃんの轡を持たれているし、いざとなれば、聖魔法で逃げ帰ることもできるのだからと自分に言い聞かせつつ、ついて行くことになったのだ。

ケインの家は、孤児院だった。

ボロボロの幽霊屋敷みたいなところに20人ばかりの子供たちがひしめき合って暮らしていた。前世から話には聞いていたけど、ここまでヒドイとは思ってもみなかった。

壁にひびが入り、ところどころ崩れ落ちている。屋根もあるだけマシという感じでただ乗っかかっているだけという有様だった。

出てきた初老の男性がこの孤児院の院長先生みたいで

「怪我をしているケインを助けてくださりありがとうございました。ケイン、お客様にお茶をお出ししなさい!」

「はーい」

渋々と言った態で、ケインは奥へ引っ込んでいく。中から興味深そうに子供たちが玄関先にいるアンジェリーヌとポニーちゃんをのぞき見していることがわかる。

「わたくしはアンジェ……」と言いかけて、本名を知られたら、孤児院に迷惑をかけるのではと思い直し

「わたくしは、アンジェと申します。以後、お見知りおきを」

「これはこれは、ご丁寧なごあいさつをかたじけのう存じます。さっ、狭いところですがゆっくりしていってください」

院長に案内されるがまま奥へと進む。

床は抜け落ち、階段も半分しかなく、正直なところ建っているということが不思議なほどのボロ家だった。

「つかぬことを伺いますが、教会からの支援金はどうなっておりますか?」

「以前は、いただいておりましたが今の司祭様に変わられてから教会の方針が変わり、まったく受け取れない状態になりました。ほとんどご近所の住民からの支援とここを卒業した子供たちの仕送りで賄っています」

ええっー!叫び出しそうになる声をグっとこらえ、あの司祭様よね?アンジェリーヌが聖女様であると公表しなかった。あの司祭様がここでも関係しているなんて!許せない!

あの司祭、何、考えてんだか!

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