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死に戻り1
11.お妃候補
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お妃選定会は不調に終わり、側近の身内から同年齢の令嬢探しが始まる。お妃に選ばれたくない令嬢の洗い出しが行われ、貴族人名簿を片っ端から再調査されることになった。
ここまでクリストファーの人気がないのは何故だろうか?陛下の側近は、クリストファーの性格が「超」が付くほどのワガママで、気に入らないことがあるとすぐに侍女に手を挙げるところだと判じた。
他人の口に戸は建てられない。
暴力を振るわれた侍女の口から、他の侍女の口へ、それまた他の侍女の口に、といった具合にどんどん悪いうわさが広まって、誰もDV夫になるような王子との結婚は望まなくなったという。
さらにこういった噂話を広まるにつれ、必ず尾ひれがつくもの。侍女に手を挙げるどころか、侍女のおっぱいを揉み、吸い付き、弄繰り回したなどと根の葉もない噂が付いて回る。
DVでスケベな王子との結婚相手に大事な娘を嫁がせたくないと親は必死に娘を隠そうとしたからなのだ。
それでも王命とあれば、渋々でも娘を出してくる。アンジェリーヌの他に6名の令嬢が候補として浮かび上がり、その中からお妃候補を選定した結果、アンジェリーヌ、前世兄嫁になったエリーゼ・シャルマン公爵令嬢、側妃の座を狙っていたジュリエンヌ・マッカーサ公爵令嬢、もう一人側妃狙いのキャサリン・アンドリュー侯爵令嬢の4人の令嬢が王宮に住み込んで、お妃教育を受けることになったのだ。
前世に比べて、たった一人で親元を離れるわけではないので、まだ気楽というもの。
ああ、でもこれで最初の計画のこの国を出奔するという線は消えてしまった。まあでも、学園に入る前には自由時間として、いったん家に帰るから、その時にでも、出奔しようと思えばできるか?
前世で、人生を諦めてしまってからは、なるようにしかならないと腹を括っている。もう今世も、捨てていると言ってもいいぐらいだが、今世は少しばかり歴史が異なるというところだけが救いと言えば救いだった。
アンジェリーヌは2度目のお妃教育だったので、他の3人の令嬢より進捗スピードに格差があり、それこそ飛び級で最終のダンス試験を残すのみとなったのであるが、将来の王妃のパートナーが身分的に誰も該当しない。クリストファー殿下もダンス練習はしているが、そこまで進んでいない。
そこで、身長差は、あり過ぎるが本物の国王陛下がパートナーになってくださった。卒業テストが無事終了してからは、公爵家に戻れるのかと思っていたアンジェリーヌだったが、やはり大事な人質?をそう易々と手放すわけではなく、王宮でのんびり過ごすことが多くなった。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
時はさかのぼり、アンジェリーヌが1歳半ごろに前世の記憶を思い出した頃から、マキャベリ家を筆頭として、すべての貴族、クリストファー殿下もまだ1歳の幼子だというのに、悪夢に苛まれるようになった。
マキャベリ公爵は、ものすごく大きな罪悪感で押しつぶされるようになった時に決まって目が覚める。表現しようがない不安感で、誰にも相談できず、幼いアンジェリーヌを見ると、悔悟の念が自然と湧く。なぜかはわからないが、愛おしくて仕方が無くなるのだ。
クリストファー殿下も、まだ見ぬ少女?女性を知らないのに、恋焦がれるようになっていた。まだ1歳の赤子なのに。その少女は母や乳母とは違うぬくもりを、確かにもっていた。
そんな「悪夢を見ていることを誰にも相談できない貴族たち。もし誰かに夢のことを知られたら狂気者扱いされるがオチで、下手をしたら貴族籍を抜かれるかもしれない。だから誰にも言えず、一人悶々と過ごすのみ。
平民でも同じような悪夢を見る者がいて、その夢を見たら決まって発狂したかと思うと、その後はいたって生真面目な人間になる。
だから周囲も、悪いものでも食ったか!?の程度しか思わなかった。
この王国で悪夢を見ない者は、国王夫妻とアンジェリーヌだけということを誰も気づかない。
ここまでクリストファーの人気がないのは何故だろうか?陛下の側近は、クリストファーの性格が「超」が付くほどのワガママで、気に入らないことがあるとすぐに侍女に手を挙げるところだと判じた。
他人の口に戸は建てられない。
暴力を振るわれた侍女の口から、他の侍女の口へ、それまた他の侍女の口に、といった具合にどんどん悪いうわさが広まって、誰もDV夫になるような王子との結婚は望まなくなったという。
さらにこういった噂話を広まるにつれ、必ず尾ひれがつくもの。侍女に手を挙げるどころか、侍女のおっぱいを揉み、吸い付き、弄繰り回したなどと根の葉もない噂が付いて回る。
DVでスケベな王子との結婚相手に大事な娘を嫁がせたくないと親は必死に娘を隠そうとしたからなのだ。
それでも王命とあれば、渋々でも娘を出してくる。アンジェリーヌの他に6名の令嬢が候補として浮かび上がり、その中からお妃候補を選定した結果、アンジェリーヌ、前世兄嫁になったエリーゼ・シャルマン公爵令嬢、側妃の座を狙っていたジュリエンヌ・マッカーサ公爵令嬢、もう一人側妃狙いのキャサリン・アンドリュー侯爵令嬢の4人の令嬢が王宮に住み込んで、お妃教育を受けることになったのだ。
前世に比べて、たった一人で親元を離れるわけではないので、まだ気楽というもの。
ああ、でもこれで最初の計画のこの国を出奔するという線は消えてしまった。まあでも、学園に入る前には自由時間として、いったん家に帰るから、その時にでも、出奔しようと思えばできるか?
前世で、人生を諦めてしまってからは、なるようにしかならないと腹を括っている。もう今世も、捨てていると言ってもいいぐらいだが、今世は少しばかり歴史が異なるというところだけが救いと言えば救いだった。
アンジェリーヌは2度目のお妃教育だったので、他の3人の令嬢より進捗スピードに格差があり、それこそ飛び級で最終のダンス試験を残すのみとなったのであるが、将来の王妃のパートナーが身分的に誰も該当しない。クリストファー殿下もダンス練習はしているが、そこまで進んでいない。
そこで、身長差は、あり過ぎるが本物の国王陛下がパートナーになってくださった。卒業テストが無事終了してからは、公爵家に戻れるのかと思っていたアンジェリーヌだったが、やはり大事な人質?をそう易々と手放すわけではなく、王宮でのんびり過ごすことが多くなった。
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時はさかのぼり、アンジェリーヌが1歳半ごろに前世の記憶を思い出した頃から、マキャベリ家を筆頭として、すべての貴族、クリストファー殿下もまだ1歳の幼子だというのに、悪夢に苛まれるようになった。
マキャベリ公爵は、ものすごく大きな罪悪感で押しつぶされるようになった時に決まって目が覚める。表現しようがない不安感で、誰にも相談できず、幼いアンジェリーヌを見ると、悔悟の念が自然と湧く。なぜかはわからないが、愛おしくて仕方が無くなるのだ。
クリストファー殿下も、まだ見ぬ少女?女性を知らないのに、恋焦がれるようになっていた。まだ1歳の赤子なのに。その少女は母や乳母とは違うぬくもりを、確かにもっていた。
そんな「悪夢を見ていることを誰にも相談できない貴族たち。もし誰かに夢のことを知られたら狂気者扱いされるがオチで、下手をしたら貴族籍を抜かれるかもしれない。だから誰にも言えず、一人悶々と過ごすのみ。
平民でも同じような悪夢を見る者がいて、その夢を見たら決まって発狂したかと思うと、その後はいたって生真面目な人間になる。
だから周囲も、悪いものでも食ったか!?の程度しか思わなかった。
この王国で悪夢を見ない者は、国王夫妻とアンジェリーヌだけということを誰も気づかない。
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