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死に戻り2
33.行く末
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懺悔の日の翌日、その懺悔の内容はエリオットにも伝えられ、ようやく意を決したかのように、エリオットも少しずつだが動き始めることにしたようだ。
皆、同じ悪夢に苛まれていると知ったからで、あのまま一人で悩んでいたら何も解決にはならなかったであろう。
結果的にクリストファーは、元・近衛騎士団を救った英雄となったわけで、人間何が幸いするかわからないと言ったところ。
中には、女を手籠めにしていた夢を見ていたのだが、その相手が聖女様だと知らずにいたものがいて、懺悔を聞くうちにその正体が聖女様だと知り、その場で自決しようと試みた騎士までいて、大変な騒ぎとなった。
それも神の呪いで、自決したものの死ねなかったのだが……動脈を斬ったくせに大量の血が流れ、止血せず放置したため、意識は朦朧となるが心臓は止まってくれない。
悔恨と反省の中で生き続けなければならない。これこそが神の怒りであり、罰なのだから。
気が付けば、昨日の祝賀会の会場となるはずの食堂に、みんな集まってきている。
「俺たち、前世で大変なことをしでかしてしまったみたいだな。集団催眠でもかけられていたのかもしれない」
「きっと魔女のせいだ」
「そういえば、高笑いしていた女の声が耳についている」
「あの場に魔女がいたから聖女様を殺したかったのだ」
「なぶり殺しにしなくてもいいだろうと思うけど。そうなると今世も魔女がまた現れるかもしれないということか?」
大事なことを忘れていたかのように、一人の騎士が声を掛けると、途端に俯き、思案を始める。
「聖女様は、もうすぐ魔女がやってくることを知っていたから、国境に結界をお張りになられたのかもしれない」
「そうだ!きっと、そうに違いない!」
喜んで目を輝かせている騎士に、古参の騎士がピシャリと言い放つ。
「ということは、聖女様にも前世の記憶があると言った方がいいだろうな。俺たち一人一人が何をしたかをみんなご存知なのだから」
「聖女様は、決して許してくださらないだろう。なんといっても神まで怒らせた俺たちだからな」
「あー!おしまいだ!男として生きることも、死ぬことも許されないなんて。それなら、いっそ……」
「いっそ、なんだ?」
「いや、無理。後は廃嫡され、貴族籍を抜かれて平民暮らしをするしか道はないのさ」
「どうせクリストファー殿下も同じ道に行かれるかもだから、俺は最後まで殿下の剣であり続ける」
「なあ、思うのだが、もし今の世にもまた魔女が現れるのなら、現れる前に、ぶっ殺しに行こうではないか?」
「また魔女の毒牙に充てられてみろ?眼も当てられないぜ」
「それもそうだな」
「最後の手段として、修道院に行くってのはどうだ?」
「どうせ女とできないのだったら、この身を一生、神に捧げるというのもアリではないか?」
「うーむ。アリか……」
「少なくとも、貴族の出来損ない。貴族の恥という誹りを受けずには済む」
「神の許しが得られれば、修道院には女もいるし」
「ばか!そんな了見なら、一生許してもらえないさ」
深刻だった面々にも、ようやく笑顔が戻り、
「そういえば、笑ったのって、いつぶりだったかな?」
「たぶん、今まで笑ったことがなかったような気がする。あの悪夢のせいで……」
「これもみんなクリストファー殿下のおかげだ。これからは精一杯、殿下の傍で仕えさせていただくことにしよう」
元・近衛騎士団は、満場一致で今後の方針が決まる。来たるべき魔女狩りのために、にんにくの栽培に余念がない。
「みんなが同じ夢を見ていたなんて、知らなかったし、親近感がわく」
「もう、悪夢のような未来は二度と御免だ!未来は、俺たちの手の中にある。俺たちの頑張りしだいでいかようにも変えられるってことさ」
皆、同じ悪夢に苛まれていると知ったからで、あのまま一人で悩んでいたら何も解決にはならなかったであろう。
結果的にクリストファーは、元・近衛騎士団を救った英雄となったわけで、人間何が幸いするかわからないと言ったところ。
中には、女を手籠めにしていた夢を見ていたのだが、その相手が聖女様だと知らずにいたものがいて、懺悔を聞くうちにその正体が聖女様だと知り、その場で自決しようと試みた騎士までいて、大変な騒ぎとなった。
それも神の呪いで、自決したものの死ねなかったのだが……動脈を斬ったくせに大量の血が流れ、止血せず放置したため、意識は朦朧となるが心臓は止まってくれない。
悔恨と反省の中で生き続けなければならない。これこそが神の怒りであり、罰なのだから。
気が付けば、昨日の祝賀会の会場となるはずの食堂に、みんな集まってきている。
「俺たち、前世で大変なことをしでかしてしまったみたいだな。集団催眠でもかけられていたのかもしれない」
「きっと魔女のせいだ」
「そういえば、高笑いしていた女の声が耳についている」
「あの場に魔女がいたから聖女様を殺したかったのだ」
「なぶり殺しにしなくてもいいだろうと思うけど。そうなると今世も魔女がまた現れるかもしれないということか?」
大事なことを忘れていたかのように、一人の騎士が声を掛けると、途端に俯き、思案を始める。
「聖女様は、もうすぐ魔女がやってくることを知っていたから、国境に結界をお張りになられたのかもしれない」
「そうだ!きっと、そうに違いない!」
喜んで目を輝かせている騎士に、古参の騎士がピシャリと言い放つ。
「ということは、聖女様にも前世の記憶があると言った方がいいだろうな。俺たち一人一人が何をしたかをみんなご存知なのだから」
「聖女様は、決して許してくださらないだろう。なんといっても神まで怒らせた俺たちだからな」
「あー!おしまいだ!男として生きることも、死ぬことも許されないなんて。それなら、いっそ……」
「いっそ、なんだ?」
「いや、無理。後は廃嫡され、貴族籍を抜かれて平民暮らしをするしか道はないのさ」
「どうせクリストファー殿下も同じ道に行かれるかもだから、俺は最後まで殿下の剣であり続ける」
「なあ、思うのだが、もし今の世にもまた魔女が現れるのなら、現れる前に、ぶっ殺しに行こうではないか?」
「また魔女の毒牙に充てられてみろ?眼も当てられないぜ」
「それもそうだな」
「最後の手段として、修道院に行くってのはどうだ?」
「どうせ女とできないのだったら、この身を一生、神に捧げるというのもアリではないか?」
「うーむ。アリか……」
「少なくとも、貴族の出来損ない。貴族の恥という誹りを受けずには済む」
「神の許しが得られれば、修道院には女もいるし」
「ばか!そんな了見なら、一生許してもらえないさ」
深刻だった面々にも、ようやく笑顔が戻り、
「そういえば、笑ったのって、いつぶりだったかな?」
「たぶん、今まで笑ったことがなかったような気がする。あの悪夢のせいで……」
「これもみんなクリストファー殿下のおかげだ。これからは精一杯、殿下の傍で仕えさせていただくことにしよう」
元・近衛騎士団は、満場一致で今後の方針が決まる。来たるべき魔女狩りのために、にんにくの栽培に余念がない。
「みんなが同じ夢を見ていたなんて、知らなかったし、親近感がわく」
「もう、悪夢のような未来は二度と御免だ!未来は、俺たちの手の中にある。俺たちの頑張りしだいでいかようにも変えられるってことさ」
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