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死に戻り2
35.新たな伝説
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クリストファー殿下の廃嫡が決まった時、大勢の騎士と貴族令息、それにクリストファー殿下の婚約者候補の令嬢3人も修道院に行くことになった。
貴族令息の中には、元・近衛騎士団長のエリオットのほかに、アンジェリーヌの実兄シャーロックも名前を連ねている。みんな同じ悪夢を見ている仲間であるが、立場はそれぞれに異なる。
息子を修道院送りにする貴族の中には、領地を王家に返還するというものまで現れた。
王政の見直しには、好都合だが、時期尚早の感もある。それでも、マクシミリアンは、その領地を王家のものとし、立て直しの好機を図るつもりでいる。
アンジェリーヌは、クリストファーを廃嫡するにあたって、前世の自分の記憶を洗いざらいマクシミリアンに聞いてもらった。
自分が処刑された後のことは、どうなったのかさっぱり見当がつかないが、悪夢の内容からすれば、何らかの神罰が下りたのだろうと推察すると話した。
マクシミリアンも、その考えに賛同し、クリストファーを廃嫡することに決断した。
「儂の死後、ずいぶん辛い目に合ったようだね」
「それでも、最後まで陛下は、わたくしの心の支えになってくださいました。だから、今世はわたくしのすべてを陛下の御心の元に」
「うむ。ありがたく頂戴している。我が妻は、生きる希望で生きる活力の源だからな」
「ありがとう存じます」
修道院行きに連座する者は、おそらく前世でアンジェリーヌに対し、直接的ではなくても、何らかの不心得者であったことは間違いないようだ。だから、これ以上の神罰が下りる前に、自ら決定を下したのだろうと、マクシミリアンもアンジェリーヌも、そう考える。
連座の中には、少なからずの平民も混じっているのだ。前世、リリアーヌ魔女を手引きした者も、混じっているのかもしれない。
いったん、王国の膿を出し切らなければならない。
さすれば、また新しい息吹きも芽生えるだろう。
クリストファー元殿下の修道院へ出発の朝、清々しくも立派にご挨拶をされる。
「陛下に於かれましては、この先もご健勝に。そして何より、今まで育ててくださいまして、誠にありがとうございました。このご恩は生涯忘れません」
「うむ。カラダを大事にな」
罪人ではないので、それぞれの貴族家が立派な馬車を仕立てる。その様子は、まるで戦勝国の凱旋のような行列となった。
そして、その後、二度と戻ってくる者は一人もいなかった。
マクシミリアンは、王国を東西南北の4つに分類し、4人の子供たちを領主として配し、中央に政権の中枢を置き、自ら君臨し、長く政権を維持した。
アンジェリーヌは、その後も次々、子を生し、王女は嫁に行き、王子は、自由恋愛で勝手に相手を選んで連れてきた。
マクシミリアンとアンジェリーヌは、その娘を我が子のようにかわいがり、慈しみ、王家になじめるように、いろいろ取り計らいをする。
王家が一つの大家族として形成されたころ、神の御降臨があり、いっそう王国は繁栄することになる。今も、語り草として受け継がれている伝説となった。
貴族令息の中には、元・近衛騎士団長のエリオットのほかに、アンジェリーヌの実兄シャーロックも名前を連ねている。みんな同じ悪夢を見ている仲間であるが、立場はそれぞれに異なる。
息子を修道院送りにする貴族の中には、領地を王家に返還するというものまで現れた。
王政の見直しには、好都合だが、時期尚早の感もある。それでも、マクシミリアンは、その領地を王家のものとし、立て直しの好機を図るつもりでいる。
アンジェリーヌは、クリストファーを廃嫡するにあたって、前世の自分の記憶を洗いざらいマクシミリアンに聞いてもらった。
自分が処刑された後のことは、どうなったのかさっぱり見当がつかないが、悪夢の内容からすれば、何らかの神罰が下りたのだろうと推察すると話した。
マクシミリアンも、その考えに賛同し、クリストファーを廃嫡することに決断した。
「儂の死後、ずいぶん辛い目に合ったようだね」
「それでも、最後まで陛下は、わたくしの心の支えになってくださいました。だから、今世はわたくしのすべてを陛下の御心の元に」
「うむ。ありがたく頂戴している。我が妻は、生きる希望で生きる活力の源だからな」
「ありがとう存じます」
修道院行きに連座する者は、おそらく前世でアンジェリーヌに対し、直接的ではなくても、何らかの不心得者であったことは間違いないようだ。だから、これ以上の神罰が下りる前に、自ら決定を下したのだろうと、マクシミリアンもアンジェリーヌも、そう考える。
連座の中には、少なからずの平民も混じっているのだ。前世、リリアーヌ魔女を手引きした者も、混じっているのかもしれない。
いったん、王国の膿を出し切らなければならない。
さすれば、また新しい息吹きも芽生えるだろう。
クリストファー元殿下の修道院へ出発の朝、清々しくも立派にご挨拶をされる。
「陛下に於かれましては、この先もご健勝に。そして何より、今まで育ててくださいまして、誠にありがとうございました。このご恩は生涯忘れません」
「うむ。カラダを大事にな」
罪人ではないので、それぞれの貴族家が立派な馬車を仕立てる。その様子は、まるで戦勝国の凱旋のような行列となった。
そして、その後、二度と戻ってくる者は一人もいなかった。
マクシミリアンは、王国を東西南北の4つに分類し、4人の子供たちを領主として配し、中央に政権の中枢を置き、自ら君臨し、長く政権を維持した。
アンジェリーヌは、その後も次々、子を生し、王女は嫁に行き、王子は、自由恋愛で勝手に相手を選んで連れてきた。
マクシミリアンとアンジェリーヌは、その娘を我が子のようにかわいがり、慈しみ、王家になじめるように、いろいろ取り計らいをする。
王家が一つの大家族として形成されたころ、神の御降臨があり、いっそう王国は繁栄することになる。今も、語り草として受け継がれている伝説となった。
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