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青の雀

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異世界からやってきた聖女様

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 それから、あっという間に時は過ぎ、見事MBAを取得することができたのである。

 今、正木彩也子は渡航準備に大忙しなのである。雅紀の父は必死に止めるものの、もう聞く耳を持たない。

 あれからパリのパティシエコンテストで見事優勝を果たし、恋人のピエールと店を持つのも時間の問題となったからである。

 大学在学中にも、ニッポンでお菓子のコンテストに応募し、参加賞以上の賞を獲得しているが、ニッポンでは知名度がモノをいうから、無名の新人では、なかなか賞を取ることが難しい。

 それでパリのほうへエントリーして、見事優勝してからはニッポンでも優勝できるようになったのだが、なんせもう彩也子は24歳だから、25歳までには結婚したい。だから渡航を急ぐ。

 渡航前夜、真面目な顔で両親にこう切り出す。

 「お父様、お母様今まで育ててきてくださりありがとう存じます。明日パリに向けて旅立ちますが、その前に一言、言っておかなければならないことがあります。」

 「なんだ、改まって。」

 「9年前の事件のことを覚えていらっしゃいますでしょうか?」

 「当たり前だ。彩也子の記憶喪失があり一時はどうなることかと心配したぞ。」

 「わたくしは、9年前病室で目覚める前の記憶の一切合切を失ってしまいましたが、そのかわりとんでもないことを思い出してしまったのです。それは、たぶん前世の記憶だと思われます。……わたくし、……前世は聖女様をやっていたということです。」

 「は?……聖女様と言うのは、聖母マリア様のようなことか?」

 「少し違います。聖女様と言うのは、聖魔法をはじめとする様々な魔法が使えます。たとえば、火をつけるにしても、このように……。」

 彩也子は掌の上に炎をだす。そして、すぐ水魔法で消し、光魔法で虹を作り、最後は花吹雪を出現させる。

 両親はと言うと、驚き口をポカンと開けたまま固まっている。

 今、娘の掌で何が起きたのか理解できないらしい。

 「聖女様は、医者のように病人、けが人を治し、世界の平和と安寧を祈る職業婦人のことです。1000年に一度しか誕生しないもので、生き神様と同様に扱われます。」

 ようやく我に返った父は、自分の掌と彩也子の掌を交互に見て

 「さっきのは何か、手品のようなものか?」

 ああ、やっぱり何もわかっていないようだ。

 「だからぁ、お父さん人の話をちゃんと聞いてよ。」

 「う、うん。わかってるって、聖女様はアレだろ?お医者さんみたいなことをして、人の病を治す?だったら、経営学なんて、やらないでなぜ理科Ⅲ類を目指さなかったのだ?」

 「あのね、わたくし医者になりたいわけではなく、パティシエになりたいのです。そのために1・2年生の時に菓子専門学校へ行き、国家資格をいろいろ取得したのよ。コンテストにも優勝したし、パリへ行って、向こうでケーキ屋さんを開くつもりでいるのよ。」

 「ケーキ屋をするなら、正木の流通ルートを使えば、こっちでも繁盛するぞ?」

 「ああ、もう!おとうさんったら、いつもそうね。わたくしには好きな人がいるの。その彼とパリでケーキ屋さんをするのよ。そのために渡航するのだからね。」

 「何⁉ なんだ、だったらお父さんに紹介してくれたらいいのに。東大生か?」

 「お父さん、念書を忘れたの?3年前に留学してもいいって、言ってくれたでしょ?留学先で、相手を見つけたら結婚を許すって言ってくれたじゃないの。」

 「だけど、彩也子は一度も留学していないはずでは?いや、夏休みやGWには、行っていたな。」

 「いいえ、わたくしパリにあるパティシエ養成学校を首席で卒業しておりますのよ。これがその卒業証書ですわ。」

 異空間から当たり前のように、卒業証書を取り出し、見せる。フランス語で書かれてあるから、ちんぷんかんらしいわ。

 「は?」

 「だから聖女の力を遣って、トーキョー-パリ間を往復したのです。」

 「聖女様と言うのは、そんなことができるのか?信じられん。」

 あまりに非日常、非現実的なことで父は信じるというより、自己防衛本能が働き、話を合わせようとしている。

 「では、これから3人でエッフェル塔にでも行ってみます。そうすれば、信じていただけるかしらね。向こうはまだ冷えるから、暖かくして来てね。彼氏を紹介できたら、紹介するね。」

 「紹介できたら?」

 「彼氏も、ピエールと言うんだけど、都合があるでしょ。明日、会う約束だったけど、今日、手が空いているかどうかわからないからね。ご用意はよろしいかしら?では、参りますわよ。」

 彩也子は両親に転移魔法をかけ、一緒にエッフェル塔の入場券売り場まで飛ぶ。

 「「!!」」

 両親は、まるっきりのおのぼりさん状態で、周りをキョロキョロ見渡している。

 「ボンジュール!」

 切符売り場で大人3枚分のチケットを買い、エレベーターへ向かう。階段で行くと、しんどいから、至る所にスプレーペンキで落書きが施されている。

 展望台で、景色を楽しんだ後は、お待ちかねのレストランでお食事をしてから帰国?帰宅したのである。

 「「まさか、彩也子が本当に聖女様だったとは……。」」

 エッフェル塔にいる間も帰宅してからも、ずっとつぶやいている。放心状態が続いているのだ。エッフェル塔のおみやげ物売店で買った絵葉書をずっと見つめている両親。

 大丈夫か?とも思ったけど、翌朝、正規の方法で出国手続きをして、空の人となる。パリへは約半日で到着するから、入国手続きを終えてから、様子を見に行くことにする。

 すると両親は朝出かけた時の姿で、まだソファに腰かけていたのだ。二人とも放心状態から覚めず、ブツブツ言っている。やっぱりエッフェル塔へ日帰りで行ってきたことは、刺激が強すぎたのだろうか?

 彩也子は二人に回復魔法をかけ、意識を取り戻した両親は、もう彩也子が帰ってきているので、喜ぶ。

 「パリに着いたから、ちょっと様子見に帰ってきただけよ、大丈夫そうだからもう行くね。」

 「ああ、ちょっと待って。こちらから彩也子に連絡取りたいときはどうすればいいの?」

 「スマホがあるじゃん。」

 「いや、スマホ以外で……、映画とかにあるだろ?なんかこうテレパシーみたいなものとかないのか?」

 「あるにはあるんだけど、受け手の状態が良くないから、わたくしから送っても届かないと思うわ。」

 「だったら反対なら?つまり、儂らが彩也子に連絡を取りたいと思っているときに彩也子がそれを感じ取ることができるかどうか?」

 「強く念じたら、出来るかもしれない。じゃ、行くね。」

 まさか、この時のやり取りが後で役に立つとは、その時は夢にも思っていなかったのである。

 それから、再びパリに戻り、ピエールとともに店の物件探しに奔走する。

 ピエールがモンマルトルの丘に手ごろな一軒家を見つけてきたので、そこを改装し、店にすることにしたのである。

 1階部分を店舗で販売とカフェ、奥の部屋を工場とし、2階部分が新居にする予定である。少々手狭だけど、儲かれば、隣の家を住居にすればいいとの理由で、ここに決める。

 店名は、「サロン・デュ・オール」オールは金を意味する。

 フランス人のピエールのいいところは、四六時中、愛を囁いてくれるところ。前世異世界人だった彩也子には、ちょうど心地いい。

 ニッポン人の男は、何かというと「言わなくてもわかっているだろ。」だが、言葉にしてもらわないと、伝わらない。

 だから同級生の渡部君とは、同級生以上の関係にならず、無駄口ばかりを叩いているのである。

 店舗の改装工事も終わり、結婚式をどうするかという話になる。ピエールの両親は、教会を予約してくださって、お祝いにドレスをプレゼントしてくださることになる。

 彩也子の両親にまだ紹介も済んでいないから、きっと知れば怒るだろうな。と思いつつ、いつかまた両親を招いて、ピエールとそのご両親を正式に紹介する場を設けなければ、と思う。

 日頃の忙しさにかまけて、ついつい連絡を怠っていた矢先、とんでもないことがニッポンの田園調布で起こったのだ。

 ある時、田園調布の玄関チャイムが鳴り、お手伝いさんが出ると、そこには渡部雅紀が立っていたのである。

 「私は、彩也子さんのフィアンセで、一度、ご両親にご挨拶をと思いまして、伺いました次第でございます。」

 「あら。それはご丁寧に恐れ入ります。旦那様と奥様を呼んでまいりますので、どうぞこちらへ。」

 何も知らないお手伝いさんは、渡部君を応接間に通してしまう。

 そこへ両親が着替えを終え、入ってくる。お手伝いさんが、3人分のコーヒーを出した途端、隠し持っていたナイフで両親を脅し、3人ともロープで縛りあげてしまう。

 「動くな!彩也子を出せ!」

 「き、君は、彩也子のフィアンセではなかったのか?」

 「あいつ、俺には調子のいいこと言いやがって、正木製菓の就職試験にも落ち、仕方なく、他の会社へ就職するも初任給がたったの21万円だぞ!東大出のMBAをつかまえて、たったの21万円!しかもらえない。同い年で、三流大卒が22万円の給料をもらってやがるのに、俺は、たったの21万円!この差はなんだ?ええ?」

 「2年間先に、経験があるからだ。そういうことは、働いている企業の社長に文句を言うべきことだと思うが。」

 「うるさい!わかっているわ!そんなことすれば、クビになるではないか!」

 東大卒は、アタマが良すぎて、アタマがおかしい。よく、彩也子が変人ばかり、と言っていたことを思い出す。

 ニッポンは、この30年間大卒初任給の給料が上がっていない。先進国ではニッポンだけの現象なのだ。対して、最低賃金だけは、倍近く跳ねあがっているというのに。これは小泉山改革の弊害である。正規労働者を減らし、非正規労働者を溢れ返させた竹中林平蔵は、己の会社を儲からせるために、そういうシステムを作り上げたのだ。

 今度の川岸多総理は、所得倍増を謳っているが、田中下格営、左藤C作のようにはいかないだろう。

 こんなことに娘を巻き込むべきではないとわかっているものの、やはり自称聖女様である娘にどうにかしてほしいと願う両親は、必死に強いテレパシーを送る。

 彩也子は、両親の異様な叫びのようなテレパシーをキャッチする。これは田園調布で何かとんでもないことが起きている。直感的に思う。

 自分に隠蔽魔法をかけ、思い切って、田園調布の自宅に急ぐ。

 そこで見たものは、狂気の目をした渡部君が両親とお手伝いさんを縛り上げているところだったのだ。

 {なんで?}

 恐怖におののいていた両親だったが、彩也子に伴うお菓子のいい匂いがしてきたので、彩也子が近くにいることがわかる。

 自分たちのためにパリから帰ってきてくれたと喜ぶ半面、巻き込んでしまって申し訳なくも思う。

 彩也子は、この事態を女神様に相談報告することにしたのである。



-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-



 「いらっしゃいませ。ようこそ肉体ブティックへ。って、あら、珍しいあなたは異世界聖女様で今はパティシエの女の子よね?どうしたの?そんな焦っちゃって。」

 彩也子は、田園調布で起こった事件について、かいつまんで話しこれからどうすべきか?の指示を仰ぐ。

 「それは大変なことになっちゃってるわね?ちょっと待ってて。上司の神様にお伺いを立てるけど、何かお菓子?お土産を持っている?」

 彩也子は、異空間の中からストックしている菓子の詰め合わせを出す。

 「地獄の沙汰もなんとか、って言うでしょ。こういうことが大事なのよ。じゃ、ちょっと待っててね。すぐ戻るから。」

 すぐに女神様は、出て行かれ戻って来られる。ほんの一瞬、瞬きをしている間のことだ。

 「聞いてきたわよ。神様、あなたの作ったお菓子を大層気に入ってくださったわよ。とにかく、その籠城犯を三途の川まで連れてきたら、後は三途の川の管理官がなんとかしてくれるみたいよ。わたくしも一緒に行ってあげようか?」

 言うなり、女神様とともに田園調布の屋敷へ。



-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-



 「さっさと彩也子を出せ!でないと、ひとりずつ血祭りにあげてやろうか?まずは誰がいい?」

 「彩也子は、パリへ行ってしまって帰ってきてない。」

 「うそだ!彩也子がいるようなニオイがしている。」

 「それはこの家が製菓会社の家だから、そこらじゅうに菓子が置かれているからだ。そのニオイは、彩也子のニオイではない。この家の匂いなのだ。」

 「うるさい!お前から血祭りにあげてやろう!」

 そう言って、渡部君は、父の首筋にナイフを持ってきたとき、突如、ピッカーンと二つの閃光が現れる。

 「な、な、なんだ?」

 ひとつは彩也子から発せられる閃光、もう一つは言わずと知れた女神様からの閃光で驚いた渡部君は、ナイフを落としてしまったぐらいだ。

 「渡部君、お久しぶりね。」

 「そこまでよ、おとなしくしなさい!」

 渡部君は、驚き過ぎて、腰を抜かさんばかりになっている。

 「だ、誰だ!そこのオバサンは?」

 「し、し、失礼ね!オバサンとは何よ!もっぺん言ってみなさいよぉ!」

 「……お、ば、さ、ん。」

 「キーっ!こんな失礼な男、見たことがないわ。彩也子ちゃん、あなたはご両親の面倒を見て上げて、わたくし、これからこの男を連れていきます。」

 そのまま女神様は、渡部君を引きずって消える。

 残された部屋には、縛り上げられ寝転がされている両親とお手伝いさん、まずは父のロープを解き、母のロープ、それにお手伝いさんの分も順番に解いていく。

 3人は衰弱しているようなので、回復魔法をかけてあげる。

 「彩也子、すまん!お前を巻き込んでしまったのだが、さっきのもう一人の女性は誰だ?」

 「あれは女神様なのよ。わたくしが聖女様であったことを思い出したときに現れて、今までの前世のいきさつを教えてくださった大恩あるお方なのです。」

 「お嬢様……。」

 「彩也子、本当に聖女様だったんだね。私たちを助けに来てくれてありがとう。」

 そこへ、女神様が戻ってこられた。

 「無事、三途の川の神に引き渡してきたわよ。川を渡れるかどうかは、あいつ次第だけどね。」

 父は、女神様の前にガバっとひれ伏し

 「女神様!なんとお礼を申し上げればよいか……、それに彩也子のことも導いてくださり感謝の言葉もございません。」

 「え?ああ、いいのよ。神は実在する。そのことを肝に命じて精進しなさい。」

 「ははっ!」

 そこへ彩也子が父の袖を引っ張りながら、

 「女神様は、お風呂とお菓子が大好物なの。我が家にあるお風呂に入っていただきましょうよ。そして正木製菓のお菓子詰め合わせ一年分を差し上げたらいかがでしょうか?」

 「おお!なんと、そんなことお安い御用です。どうぞ、我が家の風呂を。狭いですが、気に入っていただければ幸甚です。」

 お手伝いさんに命じて、風呂の用意をしていく、カトレーヌのマンションのユニットバスよりは広いから満足してくださるだろう。

 「えへ。彩也子ちゃんありがとう、あなたもわたくしの好みをよくご存知で。」

 女神様が風呂場に消えられた後、父は社員に命じてトラック一杯分の正木製菓の菓子を持ってきてもらい、応接間に積み上げる。

 そして食事の用意をしてもらい、女神様がお風呂場から出られるのを心待ちにする。

 ついでだから、その場にピエールとピエールの両親も同席してもらうことになったのである。

 急ぎ、モンマルトルに取って返し、ピエールとその両親に転移魔法をかけ、田園調布へ連れてくる。ほんとは、両親をモンマルトルに連れていくつもりだったけど、それはまた別の機会にすることにしたのである。

 そして、入浴後、食堂に女神様を交えて両家が初の顔合わせを行う。

 それぞれの両親には、一時的に自動翻訳魔法を施したから、言葉の壁もない。

 終始和やかムードで、「サロン・デュ・オール ジャポン」の計画も突如浮上して、進行中になったのである。

 「こんなうまい菓子、ニッポンで売らない手はない。」が決め手の一言になったのである。

それから結婚式で、再び両親がパリへ行く。彩也子の転移魔法ではなく、飛行機に乗っての旅行である。

 教会でヴァージンロードを父とともに歩む彩也子、ふと父が漏らした言葉は

 「10年前、彩也子が生きてくれさえいれば十分だと願ったが、それも女神様のお導きだったとはな。これからピエール君と共に幸せになれ。」

 結婚式には、女神様も参列してくださり、参列者全員に祝福をしてくださったことは言うまでもないこと。







 その頃、三途の川では、渡部雅紀が柄杓とバケツを手にしてドブ攫いをしていたのである。

 「俺は東大出のMBAだぞ、なんで俺がドブ攫いなどしなくてはならないのだ!」

 掬っても掬っても、なくならないドブに喚き散らしている渡部雅紀。死んでまで、東大出を鼻にかけているようでは、ドブがなくならないのは仕方がないこと。
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