クリスマスの奇跡~美しき珍獣

青の雀

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21.平等院

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 5月に入ると一気に初夏の雰囲気になる。京都は、そうなのだ、寒い時は一番に寒くなり、暑くなる時は一番に暑くなる。

 柏餅や粽を買ってきて、食べる回数が増える。そして、サイゴン両親がしずく家を訪れた。

 まずは孫の顔見たさで、次いで、しずく両親へ挨拶。しずくにも笑顔で接してくれたが、サイゴンには、一瞥をくれただけで、言葉はなかった。

 「お世話になりっぱなしで、申し訳なく思っております。ウチのバカ息子は何か粗相をしておりませんでしょうか?」

 サイゴン両親は、感動を解いてやるかわりに、孫を連れて戻って来いということを暗にほのめかして言っている。

 しずく両親も、そのことを承知のうえで、そうはさせじと頑張っている。

 「粗相だなんて、滅相もないこと。自慢の婿殿でございます。しずくも婿殿と出会ってから健康になり、幸せにやっています。」

 サイゴン母は、眠っている双子ちゃんが寝返りを打つたびに、

 「サイゴンの小さい時とよく似ているわ。」

 言いながら、写真を出すサイゴン母。見れば、本当にサイゴンと瓜二つで、思わず笑みがこぼれる。

 「しずくさんも、お仕事おありだから大変でしょう。小森ならいくらでもさせてくださいな。」

 「私の祖父母が4人とも健在ですから、もうほとんど子守の取り合い状態で、これ以上ライバルを増やすとまた睨まれてしまいますわ。」

 やんわりとかわす。

 「あら、サイゴンの祖父母も4人とも健在ですのよ。まぁ介護が必要なお年頃にはなっているけどね。」

 どこまでも負けず嫌いなお義母さん。

 昼食後、全員で人形店へ買い物に行くことになった。

 しずく家御用達の人形店から始まり、四条の田中屋、六角の丸平、油小路の安藤さん、三条通りにある小刀人形店などを見て回る予定で、出かける。

 今日の子守は主に、サイゴン母が主体なのだが、サイゴン父も孫が可愛くて仕方がない様子で、ちょっかいをかけては、サイゴン母から叱られている。

大将人形は、面、鎧・具足部分がどれも気に入ったところがなく、結局、デパートの外商で探してもらうことにしたのだ。

 こういう時、外商さんは、便利。

 数多くのカタログから、探してくださる。だから安心して任せておけば、たぶん大丈夫。

 いったん帰宅して、宇治の平等院に藤の花を見に行くことで決まる。

 一応、サイゴン両親への接待のつもりでいるところが、おかしい。なんで、京都市ではなく、宇治なのかさっぱりわからない。

 まぁ、宇治茶を使ったスイーツは美味しいけれど。

 宇治の平等院は、10円玉の裏のデザインとしても知られる浄土をかたどったお寺で、世界遺産に指定されている。

 鳳凰堂観覧時間まで、庭を散策していると、ちょうど藤が見ごろで綺麗なので、家族写真を何枚か撮影する。

 双子ちゃんたちと総勢10名の大人が勢ぞろいした集合写真は、ちょっとした団体さん並みで、平等院の係員が、わざわざ団体さん用の集合写真のところを案内してくれて、持参したデジカメでの撮影を申し入れてくれた。

 コンパクトカメラなので、プロに撮ってもらうことは気が引けたが、係員さんは、アパレルのCMに出ている3人だということに気づき、快く撮影してくれたのだ。もしかしたら、あのメーカーの写真の仕事にありつけるかも?という下心があったのかもしれない。

 それに次のCMで、平等院を使ってもらえるかもしれないという打算もあったらしい。あのCMで使われたところは、もともと人気観光スポットだったけど、CMで使われるようになってからは、ダントツの人気スポットになったから。

 今や、次はウチで、と引く手あまたのオファーがある。とサイゴンが説明すると、皆頷く。

 半日間ほど、京都の人形探しと宇治観光をした一行は、すっかり打ち解けて

 「今度一緒に、温泉旅行でも行きましょうよ。」

 勝手に盛り上がりを見せている。

 しずくと結婚してからだと思うが、実にこの家族は仲がいいと、感心する。それだけ、しずくが愛されている証拠だとも、思う。

 そして、サイゴンも、その中に家族として迎え入れてくれたことに本当に感謝している。

 一応、親父からの勘当は解かれたみたいだが、もうあの家には戻らない。

 時々は、孫の顔ぐらい見せてやってもいいが、もう俺たちのことには干渉しないでもらいたい。

 しずくとの家族が一番大事で、一番愛している。
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