純潔の証 魔女な姉に嵌められた聖女な妹は、婚約破棄の上、国外追放処分に~それを追いかける使用人とともに幸せを掴む

青の雀

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 翌朝、オフィーリアたちは、隣国へ向けて出発することにする。ブルッスリン国の周りを右回りか左回りで回ることにする。

 オフィーリアのいる場所から右側にいる人と左側にいる人とでジャンケンしてもらって、勝った方の国から行くことにする。

 左側にいる人が勝ったので左回りとする。

 そうと決まれば、準備を進めるが、使用人の一人が聖女様なら、治癒魔法だけでなく、いろいろできるはずだと言われ、練習することにした。

 まずイメージが大事だといわれ、そうすると何か思い浮かべるだけでいろいろできるようになったの。水が欲しいと思えば、目の前に水玉ができたり、火をつけたいと念じれば指先に火が灯ったりと、暗いところで明かりが欲しいと思うと勝手に照らしてくれたりなど、聖女って便利ね。と感心していたら、平民はそれぐらいなら、みんなできますよ。と言われて落ち込みましたわ。聖女ならではの魔法って、どんなんだろう。

 治癒魔法ぐらいしか、わからない。砦の兵士を治したのも誰かに教授してもらったわけではなく、知らない間に勝手にできていたのである。

 必要は、発明の母なのかもしれない。
 だから、その時がくれば、勝手にできるものだと納得するが、使用人はそうはさせてくれない。

 「だめです!お嬢様、必要があってから開発していては、遅いのですよ。」

 「はぁ。」

 「まず、ステータスと言ってください。目の前に窓のようなものが浮かんでいるでしょう。」

 「ステータス。」

 「あ!本当だ。たくさんでてきたわ。」

 名前 オフィーリア・モンドバール
 年齢 18歳
 種族 人間
 職業 聖女
 普通スキル
 ・聖魔法
 ・土魔法
 ・火魔法
 ・水魔法
 ・風魔法
 ・雷魔法
 ・地図作成魔法
 
 特殊スキル 
 ・言語理解
 ・異空間収納
 ・転移魔法
 ・鑑定
 ・隠蔽
 ・創造魔法
 ・異世界通販
 ・無限魔法

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 「特殊スキルを読み上げてください。」

 「え……とね、言語理解、異空間収納、転移魔法、鑑定、隠蔽、創造魔法、異世界通販、無限魔法……です。」

 「さすがに、素晴らしいですお嬢様!それでは、異空間収納から練習しましょう。」

 目の前にあったお茶のセットを収納する、と念じてみたら、あら不思議!ティーセットが消えてなくなりました。消えた空間あたりを、目を凝らしてみると、確かに空間内にティーセットらしきものが整理された状態で片づけられていました。

 
「では、次に隠蔽です。これはお嬢様が透明人間になる魔法です。やってみてください。」

 「え、と。こうですか?」

 「素晴らしい!お嬢様の姿が見えなくなりましたよ。解除してください。」

 「次は、鑑定です。この石を鑑定してください。」

 「これは、デマントイド幻の宝石です。」

 「御名答です。次は転移魔法です。まず、どこかに異空間収納の扉を設置してください。クローゼットを利用するのが一番いいのですが、そこの木の幹でもいいですよ。」

 言われるがままに木の幹に異空間扉を設置する。

 「お嬢様が、その中に入って、ブルッスリンのどこか行きたい場所を思い浮かべてください。まだですよ。その木の幹で転移魔法を使うと、私たち使用人は、全員、そこを通って、お嬢様が転移された場所へ行けるのです。」

 「ほう、便利なのね。では、ちょっと王都のモンドバールのお庭へ行ってきます。」

 そう言って、木の幹に作った扉の中へ入っていく。暗いところから、急に明るい処へ出てきたから、目が変になっている。

 でも、懐かしい。元は、公爵邸があっただろう場所へ出てきた。ちょうど門から入って玄関付近のところに出てきたのである。もう二度とここへは、帰れないと思っていた場所へ。

 空間から、「お嬢様もういいですか?」と声がしたので、「どうぞ」と言うと、公爵邸の使用人たちがぞろぞろ出てきて、皆口々に「おお!」とか言っている。

 オフィーリアは、庭園の場所まで走っていく、小さい頃によく遊んだ大木がまだあった。その大木の幹に異空間扉を設置することにしたのである。

 オフィーリアたちは、気づかなかったのだが、ブルッスリンに戻ったその日、両親と姉が処刑される日でもあったのだ。何かの因縁めいたものを感じる。

 とにかく公爵邸があった場所に幻影魔法を施し、さもそこに建物があったかのような影をこしらえて、グリーンマウンテンへと、戻ることにしたのである。

 もし、両親や姉が魂になっても、戻ってくる場所ができたわけであるが、そういう気持ちで幻影を作り出したわけではないのだ。ただ、体面だけ取り繕ったのである。

 さて、いよいよグリーンマウンテンから出発する。
 魔法の勉強もしたし、転移魔法もおぼえた。国外追放の身でありながら、生まれ故郷の王都の地も再び踏めたわけで、もう思い残すことはない。

 隣国では、どんな楽しいことが待っているか、期待に胸を膨らませ前進する。
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