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オフィーリアはチューリップランドの謁見の間にいる。
「聖女様、マンゴースプリング国では災難でしたな。まさか魔女に命を付け狙われるとは、その点、我が国では魔女の存在は確認されておらず、安全だからいつまでも逗留してくだされ。」
「はい。ありがとう存じます。」
「できたら、我が息子の王太子はいまだ婚約者もいず、よければ息子のうちの誰かと婚約していただけないであろうか?」
「いえ、その儀は堅くお断りいたします。ブルッスリン国でもマンゴースプリング国でも、あまりいい思い出がございませんし、何卒、ご容赦くだされれば、幸甚でございます。」
「がはは。そうだな。懲りたか?治療院はいかがいたす?教会はやる気満々であるが、いやなら断ってもかまわぬぞ。」
「以前は、自分に回復魔法をかけて、夜通し治療を行っていましたが、一日人数限定でなら、させていただきたく存じます。」
「ならば、そうするがよい。」
また、教会横の空き地に公爵邸を出し、周囲に隠蔽をかける。
司祭様とは、また打ち合わせである。権力や地位のある人が治療に来ても、その治療の範囲が神を冒涜するようなものであるときは、行わず断る。で意見は一致する。
この確認を怠れば、サマーサフラン国のようなことが起きれば、困るからである。何が何でも生き返らせるは、ダメである。
いつまでも落ち込んでばかりはいられないから、元気を出して治療に専念することにする。
ある日、見知らぬ男性が教会のオフィーリアを訪ねてきた。
「そなたが、ブルッスリン国の公爵令嬢で聖女様か?」
「どちら様でございましょうか?」
「私は、マークレース・チューリップランドと申します。以後、お見知りおきを。」
苗字がチューリップランドということは、王族か?
「実は、今度、お城で舞踏会をするのだが、聖女様はダンスが大変お得意と聞き、ぜひ私と踊っていただけないだろうか?」
「嬉しいお申し出でございますが、その儀はどうかご勘弁くださいませ。」
「やはりマンゴースプリング国でのことを気に病んでおられるのか?私には、婚約者がおりません。ですが、もしも聖女様に危害を及ぼすような者が現れれば、私が必ず聖女様をお守りいたします。ですから、舞踏会でエスコートさせてもらえないでしょうか?」
公爵邸の近くで喋っているから、執事や使用人が出てきて、周りを取り囲んで、話を聞いている。
「お嬢様、こうまで仰ってくださるのですから、ぜひ行ってらっしゃいませ。」
「そうでございますよ。ここにはマンゴースプリングのような魔女はいないでしょう。気晴らしに、行ってくださいませ。」
「お嬢様には、笑顔でいてもらいたいのです。ぜひぜひ、舞踏会へ。」
「みんな、ありがとう。ではマークレース・チューリップランド様、よろしくお願いいたしますわ。」
「マークレースでいいよ。オフィーリア嬢。」
舞踏会当日、朝から風呂に入り、隅々まで磨き上げられたオフィーリアはピンク色のフリルがいっぱいついたオフショルダーのドレスを身に纏っている。もう少し、おとなしい目が良かったのであるが、侍女が「お嬢様、よくお似合いですわ。」というものだから、仕方なく着せられている。
マークレース様が、お城よりわざわざ迎えの馬車で来てくださいました。馬車だけでも良かったというのに。オフィーリアを見るなり、絶句されましたわ。
「何か?おかしいですか?やはり、オフショルダーは……。」
「美しすぎる!今宵は、美の女神をエスコートさせていただく栄誉をお許しください。」
マークレース様は、オフィーリアのドレスの裾にキスを落とす。
もう、その時点で、オフィーリアは顔を真っ赤にモジモジしている。つられてか、マークレース様もモジモジされて、オフィーリアの手を取り、馬車へ。
使用人一同、玄関前に勢ぞろいするも、皆ニヤニヤしている。
馬車の中では、なぜかマークレース様にずっと手を握られっぱなしで、どうしていいかわからないも、妙に安心感があり落ち着くので、手を振りほどこうとはしなかったのである。
そして舞踏会の会場で、ファーストダンスをマークレース様と踊った後、おもむろにプロポーズされ、ビックリしましたわ。
マークレース様は王太子殿下であらせられまして、たぶん王位継承権を確固たるものにするため政略で、聖女と結婚したいのであろうと思っていたのですが、
「公爵令嬢オフィーリア嬢、あなたの美しさ、そしてダンスの上手さ、マナー、教養の高さに心底、惚れ抜きました。どうか、私の妻になり、チューリップランドの国母になっていただけないでしょうか?」
「やはり、マークレース様も政略でわたくしと結婚されたいのですね。」
「違います!この前、教会へ行ったときは、聖女様はどんな女性だろうと興味本位で見に行きました。それは事実です。ですが、その時に恋に落ちてしまったのです。ですから、今日の舞踏会にお誘いしたのです。そして、公爵邸へお向かいに上がった時、恋は確信に変わりました。愛しています。オフィーリア嬢のことは、命に代えてでもお守りいたします。」
「わかりましたわ。結婚の儀、謹んで承知いたします。どうか末永くよろしくお願いします。」
こうして、やっとオフィーリアは幸せを掴みます。
そして、公爵邸の使用人たちも全員、王城に召し抱えられ、使用人ともども幸せになって、チューリップランド国はいつまでも繁栄します。
「聖女様、マンゴースプリング国では災難でしたな。まさか魔女に命を付け狙われるとは、その点、我が国では魔女の存在は確認されておらず、安全だからいつまでも逗留してくだされ。」
「はい。ありがとう存じます。」
「できたら、我が息子の王太子はいまだ婚約者もいず、よければ息子のうちの誰かと婚約していただけないであろうか?」
「いえ、その儀は堅くお断りいたします。ブルッスリン国でもマンゴースプリング国でも、あまりいい思い出がございませんし、何卒、ご容赦くだされれば、幸甚でございます。」
「がはは。そうだな。懲りたか?治療院はいかがいたす?教会はやる気満々であるが、いやなら断ってもかまわぬぞ。」
「以前は、自分に回復魔法をかけて、夜通し治療を行っていましたが、一日人数限定でなら、させていただきたく存じます。」
「ならば、そうするがよい。」
また、教会横の空き地に公爵邸を出し、周囲に隠蔽をかける。
司祭様とは、また打ち合わせである。権力や地位のある人が治療に来ても、その治療の範囲が神を冒涜するようなものであるときは、行わず断る。で意見は一致する。
この確認を怠れば、サマーサフラン国のようなことが起きれば、困るからである。何が何でも生き返らせるは、ダメである。
いつまでも落ち込んでばかりはいられないから、元気を出して治療に専念することにする。
ある日、見知らぬ男性が教会のオフィーリアを訪ねてきた。
「そなたが、ブルッスリン国の公爵令嬢で聖女様か?」
「どちら様でございましょうか?」
「私は、マークレース・チューリップランドと申します。以後、お見知りおきを。」
苗字がチューリップランドということは、王族か?
「実は、今度、お城で舞踏会をするのだが、聖女様はダンスが大変お得意と聞き、ぜひ私と踊っていただけないだろうか?」
「嬉しいお申し出でございますが、その儀はどうかご勘弁くださいませ。」
「やはりマンゴースプリング国でのことを気に病んでおられるのか?私には、婚約者がおりません。ですが、もしも聖女様に危害を及ぼすような者が現れれば、私が必ず聖女様をお守りいたします。ですから、舞踏会でエスコートさせてもらえないでしょうか?」
公爵邸の近くで喋っているから、執事や使用人が出てきて、周りを取り囲んで、話を聞いている。
「お嬢様、こうまで仰ってくださるのですから、ぜひ行ってらっしゃいませ。」
「そうでございますよ。ここにはマンゴースプリングのような魔女はいないでしょう。気晴らしに、行ってくださいませ。」
「お嬢様には、笑顔でいてもらいたいのです。ぜひぜひ、舞踏会へ。」
「みんな、ありがとう。ではマークレース・チューリップランド様、よろしくお願いいたしますわ。」
「マークレースでいいよ。オフィーリア嬢。」
舞踏会当日、朝から風呂に入り、隅々まで磨き上げられたオフィーリアはピンク色のフリルがいっぱいついたオフショルダーのドレスを身に纏っている。もう少し、おとなしい目が良かったのであるが、侍女が「お嬢様、よくお似合いですわ。」というものだから、仕方なく着せられている。
マークレース様が、お城よりわざわざ迎えの馬車で来てくださいました。馬車だけでも良かったというのに。オフィーリアを見るなり、絶句されましたわ。
「何か?おかしいですか?やはり、オフショルダーは……。」
「美しすぎる!今宵は、美の女神をエスコートさせていただく栄誉をお許しください。」
マークレース様は、オフィーリアのドレスの裾にキスを落とす。
もう、その時点で、オフィーリアは顔を真っ赤にモジモジしている。つられてか、マークレース様もモジモジされて、オフィーリアの手を取り、馬車へ。
使用人一同、玄関前に勢ぞろいするも、皆ニヤニヤしている。
馬車の中では、なぜかマークレース様にずっと手を握られっぱなしで、どうしていいかわからないも、妙に安心感があり落ち着くので、手を振りほどこうとはしなかったのである。
そして舞踏会の会場で、ファーストダンスをマークレース様と踊った後、おもむろにプロポーズされ、ビックリしましたわ。
マークレース様は王太子殿下であらせられまして、たぶん王位継承権を確固たるものにするため政略で、聖女と結婚したいのであろうと思っていたのですが、
「公爵令嬢オフィーリア嬢、あなたの美しさ、そしてダンスの上手さ、マナー、教養の高さに心底、惚れ抜きました。どうか、私の妻になり、チューリップランドの国母になっていただけないでしょうか?」
「やはり、マークレース様も政略でわたくしと結婚されたいのですね。」
「違います!この前、教会へ行ったときは、聖女様はどんな女性だろうと興味本位で見に行きました。それは事実です。ですが、その時に恋に落ちてしまったのです。ですから、今日の舞踏会にお誘いしたのです。そして、公爵邸へお向かいに上がった時、恋は確信に変わりました。愛しています。オフィーリア嬢のことは、命に代えてでもお守りいたします。」
「わかりましたわ。結婚の儀、謹んで承知いたします。どうか末永くよろしくお願いします。」
こうして、やっとオフィーリアは幸せを掴みます。
そして、公爵邸の使用人たちも全員、王城に召し抱えられ、使用人ともども幸せになって、チューリップランド国はいつまでも繁栄します。
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