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マザコン
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結局、下着類や着替えの類だけ、智子が紙袋に入れて、元・姑と元・夫に渡すことになった。
そのほかの荷物はすべて処分することになりそう。智子も前に住んでいたマンションに戻り、あのだだっ広いタワマンは、売却される見通しになったのだ。
慰謝料として合計3000万円は、無事、宗像先生のところに振り込まれ、それを元・舅ともと。嫁の口座にそれぞれ振り込みが確認できました。
さおりさんは、親に土下座して、借金という形で500万円を用立て、昼間は大学、夜はキャバクラで働き、借金返済に見込みができたと喜んでいる様子。それにキャバクラのお客様とも、懇意になり、青春しているようで、何よりです。
聡子・久志は母方の親戚から借金をしまくり、足りない分は街金からもお金を借りて、どうにか2500万円は払えたものの、その返済に四苦八苦して自己破産目前の状態みたいです。
離婚届が提出された日に、智子も浅利物産に辞表を提出しましたが、社長から慰留され、秘書ではなく、非常勤の社外取締役として、浅利物産に残留することが決まりました。
「せめて、次のところが決まるまでの間、残留してほしい。」とのこと。その間の生活費の面倒を見てくださるご厚意に甘えることにする。
さおり、久志、義母からもらった慰謝料は手つかずのまま貯金する。
浅利社長は、あのタワマンを売ったお金で、田園調布に家を買い、30歳のお手伝いさんを雇ったのですが、その家政婦さんとイイ仲になり、近々再婚するとか?
ひゃぁっ!本当にお元気そのもの。
結婚式には、招待するから、ぜひ来てくださいとお電話を頂いたばかり。智子と新婦は年齢が近いので、どういう関係か詮索されないか気を揉んでいるのは、智子だけ。
元・義父は前妻のことを含め、すべて新しい嫁さんに話し、新婦はすべて承知のうえで、浅利家へ嫁ぐという。
智子は、国家公務員試験に向けて、猛勉強を開始し、見事総合職に合格を勝ち取る。
初登庁の階段を震えながら、上がる。四井物産の監督官庁を選んだ智子は、常に志を高く生きて行こうと誓う。
それから4年後、係長に昇進した智子は、ふとしたことから、事務次官の息子と知り合い、恋人関係から婚約者になり、このほど結婚が決まる。
浅利物産の社長を貴賓に招き、挨拶をしてもらう。
「意外と思われるかもしれませんが、私と新婦の智子さんは、共に戦った戦友なのです。本日はおめでとうございます。末永くお幸せになられることを心より祈願して、本日の御挨拶を締め括ります。」
ステキ?な挨拶をしてくれて、嬉しさと喜びが混みあがってくるのを感じる。
前々職の四井物産社長からも祝電を頂くが、その際に、昔の恋人の現状を聞く。
永井君(元恋人)は、瀬田さんと別れてから、踏んだり蹴ったりなビジネスライフを送っていましたよ。
付き合っていた新入社員から、裏切られ、仕事のフォローをする人もいなくなり、あれ?ひょっとして、それまで瀬田さんが永井君のフォローをしていましたか?ああ、やっぱり。瀬田さん退職時当時から噂になっていましたが、そのフォローが完全になくなってしまって、永井君は取引先との間で窮地に立たされましてね。
その頃、新入社員の女性からも愛想を尽かされて、三下り半を受けたと聞いています。何があったかは、詳しくは知りませんが、それからの永井君の落ちぶれ方はすさまじかったですね。誰も永井君の味方がいなくて、ついには降格され、閑職へ飛ばされてしまいましたよ。
え?今ですか?ここの所、永井君の姿を確認したものはおりませんね。
ひょっとしたら、もう退職されたのではないでしょうか?
へー。そうだったんだ。
久志との結婚を決める少し前に二人でデートしているところを見かけたのが、最後だったんだろうな。
それにしても、あの給料ドロボーにギャフンと言わせられなかったことだけが残念だわ。
それから半年後、あの給料ドロボーと再会した場所は、最寄りのスーパーのレジで、レジ係をしていて、しょっちゅう金額を間違え、店長と思しき人とお客様?から、怒鳴られ泣いているのを見かける。
ほう。神様の石臼はゆっくり回るって、本当のことだったのね。
そのほかの荷物はすべて処分することになりそう。智子も前に住んでいたマンションに戻り、あのだだっ広いタワマンは、売却される見通しになったのだ。
慰謝料として合計3000万円は、無事、宗像先生のところに振り込まれ、それを元・舅ともと。嫁の口座にそれぞれ振り込みが確認できました。
さおりさんは、親に土下座して、借金という形で500万円を用立て、昼間は大学、夜はキャバクラで働き、借金返済に見込みができたと喜んでいる様子。それにキャバクラのお客様とも、懇意になり、青春しているようで、何よりです。
聡子・久志は母方の親戚から借金をしまくり、足りない分は街金からもお金を借りて、どうにか2500万円は払えたものの、その返済に四苦八苦して自己破産目前の状態みたいです。
離婚届が提出された日に、智子も浅利物産に辞表を提出しましたが、社長から慰留され、秘書ではなく、非常勤の社外取締役として、浅利物産に残留することが決まりました。
「せめて、次のところが決まるまでの間、残留してほしい。」とのこと。その間の生活費の面倒を見てくださるご厚意に甘えることにする。
さおり、久志、義母からもらった慰謝料は手つかずのまま貯金する。
浅利社長は、あのタワマンを売ったお金で、田園調布に家を買い、30歳のお手伝いさんを雇ったのですが、その家政婦さんとイイ仲になり、近々再婚するとか?
ひゃぁっ!本当にお元気そのもの。
結婚式には、招待するから、ぜひ来てくださいとお電話を頂いたばかり。智子と新婦は年齢が近いので、どういう関係か詮索されないか気を揉んでいるのは、智子だけ。
元・義父は前妻のことを含め、すべて新しい嫁さんに話し、新婦はすべて承知のうえで、浅利家へ嫁ぐという。
智子は、国家公務員試験に向けて、猛勉強を開始し、見事総合職に合格を勝ち取る。
初登庁の階段を震えながら、上がる。四井物産の監督官庁を選んだ智子は、常に志を高く生きて行こうと誓う。
それから4年後、係長に昇進した智子は、ふとしたことから、事務次官の息子と知り合い、恋人関係から婚約者になり、このほど結婚が決まる。
浅利物産の社長を貴賓に招き、挨拶をしてもらう。
「意外と思われるかもしれませんが、私と新婦の智子さんは、共に戦った戦友なのです。本日はおめでとうございます。末永くお幸せになられることを心より祈願して、本日の御挨拶を締め括ります。」
ステキ?な挨拶をしてくれて、嬉しさと喜びが混みあがってくるのを感じる。
前々職の四井物産社長からも祝電を頂くが、その際に、昔の恋人の現状を聞く。
永井君(元恋人)は、瀬田さんと別れてから、踏んだり蹴ったりなビジネスライフを送っていましたよ。
付き合っていた新入社員から、裏切られ、仕事のフォローをする人もいなくなり、あれ?ひょっとして、それまで瀬田さんが永井君のフォローをしていましたか?ああ、やっぱり。瀬田さん退職時当時から噂になっていましたが、そのフォローが完全になくなってしまって、永井君は取引先との間で窮地に立たされましてね。
その頃、新入社員の女性からも愛想を尽かされて、三下り半を受けたと聞いています。何があったかは、詳しくは知りませんが、それからの永井君の落ちぶれ方はすさまじかったですね。誰も永井君の味方がいなくて、ついには降格され、閑職へ飛ばされてしまいましたよ。
え?今ですか?ここの所、永井君の姿を確認したものはおりませんね。
ひょっとしたら、もう退職されたのではないでしょうか?
へー。そうだったんだ。
久志との結婚を決める少し前に二人でデートしているところを見かけたのが、最後だったんだろうな。
それにしても、あの給料ドロボーにギャフンと言わせられなかったことだけが残念だわ。
それから半年後、あの給料ドロボーと再会した場所は、最寄りのスーパーのレジで、レジ係をしていて、しょっちゅう金額を間違え、店長と思しき人とお客様?から、怒鳴られ泣いているのを見かける。
ほう。神様の石臼はゆっくり回るって、本当のことだったのね。
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