前世調理師の婚約破棄された公爵令嬢料理人録 B級グルメで王太子殿下の胃袋を掴めるように頑張ります!

青の雀

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5 お好み焼き

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 今日は姉のお茶会の日です。
 朝から、宮廷の厨房でカスタードクリームと生クリーム作りに奮闘しています。アントンも手伝ってくれているので、大助かりですわ。ディヴィッド様はなぜか、ご一緒に来てくださっていて、もっぱら味見?試食専門でございました。

 シュークリームは、最初カスタードクリームだけを入れた一種類にしていたのですが、アントン様がお手伝いしてくださるので、生クリームをいれたものと二種類作ることにしましたわ。合計1000個のシュークリーム、生クリームを入れたほうはわかりやすくシュークリームの皮の下半分を包丁で切り、そこに生クリームが見えるように突っ込みます。

 カスタードクリームのほうは、皮の下のほうに一か所穴を開けて、絞り袋から直接注入します。

 マカロンは、生クリーム一種類をひたすらパテで塗っていきます。
 これも1000個だから、量が半端ない。
 少し、右腕が痛くなったけど、無事完了。

 お姉さまには、申し訳ないけど、もうこのお茶会のお菓子はこりごりだわ。
 だって、レストランの仕込みが何もできていない。

 ということで、今日は仕込みなしでできるお好み焼きに決定。キャベツを刻まなければならないけど、豚肉や海鮮はイメージするだけで出てくるから。刻みキャベツというのもあるけど、アントンがいるから、キャベツぐらい刻んでくれるというお言葉に甘えましたわ。

 賄いように一枚ずつ作って、それぞれ食べる。やっぱりこれだけでは、物足りないね。急遽、鶏のから揚げも作ることにした。

 チキンをぶつ切りにして、下味に漬け込みます。下味はお好みなんだけど、ミルフィーユは塩コショウの後、しょうゆ、おろしにんにく、おろししょうが、マヨネーズを少し入れます。

 あとは油で、小麦粉、片栗粉をまぶして揚げるだけ。

 そうだマヨネーズが出てきたから、白身魚と鮭の切り身に、マヨネーズを両面塗りたくってパン粉をつけて、フライパンに2センチぐらい油を流して、切り身を載せていくと揚げない鮭フライ、揚げない白身魚フライができます。

時間がない時は、いつもこのやり方、子供の幼稚園のお弁当なんて、揚げないフライでしたね。ハムカツにも応用できるから、サンドイッチにも使えて便利ですよ。
冷食よりは、手作り感があり、罪悪感もないから重宝していました。

揚げない魚フライと鶏のから揚げを二人に出していく。ジューシーな鶏のから揚げなど食べたことがないらしく、トンカツの時もそうだったけど、この異世界には油で揚げる料理が存在しなかったらしい。ミルフィーユ自身の記憶をたどっても、料理は煮るか焼くだけだったのである。

 油物は何と言っても美味しい魅惑の食べ物である。その分、太るしいろいろ病気になるのだけど、腹持ちがよく、すぐにエネルギーに変わるから、男にはウケる。

 でも女性には、美容の大敵かな?でも美味しいから、つい食べ過ぎてしまう。
 鶏のから揚げとフライは、ビールとの相性が抜群である。

 お客さんが来る時間になり、けっこうお腹いっぱいになったのだけど、せっかく鉄板を出しているので、焼きそばもサービスして、作りましたわ。香ばしいソースの焼けた匂いが食欲をそそる。

 今夜のメインは、お好み焼きと焼きそば、炭水化物をメイン、そしてサイドメニューとしてチキンのから揚げと魚フライにしよう。タンパク質、脂肪が取れる。ビールがたくさん売れる。ウホウホしているミルフィーユ。

 三大栄養素を考える料理屋は流行る。前世の夫が常に口にしていた言葉である。

 そこへ王宮から、使いが来てお茶会は大成功、次回のお菓子も注文したいと来たけど、ハイお断りいたしましたわ。今回は、たまたまアントンが助けてくださったから、なんとかなったけど、もうマジでコリゴリですね。

 お姉さまはガッカリなさるだろうけど、これだけは譲れない。ホールケーキなら、なんとかなるかもしれないけど、あまり余計なことは言わないでおこう。日持ちのするチョコレート(ショコラティエ)や、クッキーどまりにしてくだされ。

 料理屋の片手間にパティシエは一人では無理なのである。

 お客様がポツポツ来始める。案の定、ビールが飛ぶように売れている。
 ビールの追加を10ケース思い浮かべると、ドーンと出ました。いや、待てよ?缶ビールにした方がいいか?でもアルミは資源ごみだから、やっぱり前世のニッポンへ資源として返さないといけないから、ガラス瓶にしよう。そういえば、ゴミってどうやって向こうに返せるのかしら?

 いままで考えていなかったわ。食材はほとんど消費するから有機物なゴミはどうするのかしら?

 しばらくしていると見せのほうが騒然としてきたのである。店のお運びは公爵邸からメイドや侍女が日替わりに来てくれている。

 なんと!姉が次回お茶会のお菓子を断ったことについて、直談判しに来たのであった。

 「ミルフィーユちゃん、どういうことよ?今日は鼻高々で妹が作りましたのよ。と言って出せたのよ。みんな、すごいすごいと言って食べてくれたわ。」

 「それなのに?どうして!次回のお茶会のお菓子はダメなの?」

 「できないものは、できないのよ。今回でもアントン様という旅の料理人が手伝ってくださったから、何とかなったけど、日持ちしないお菓子は当日の朝でないと作れないのよ。そしたら、ここの料理屋の仕込みができなくなって、今日はこんなものしか提供できないのよ。」

 ミルフィーユは、お好み焼き、焼きそばを姉の前に出して見せた。

 「あら、美味しそうね。そちらもいただくわ。」

 「え?ご飯食べられなくなるわよ。」

 「いいじゃないの!そんなこと、わたくしの勝手でございましょう!」

 ほとんど姉妹喧嘩の様相に、皆、唖然としている。

 ミルフィーユは仕方なく、姉を二階の個室に案内する。

 「お好み焼きは、豚とイカとエビ、何にしますか?」

 「とりあえずミックスで。」

 「なんて欲張りなの、ミックスなんてないわよ。」

 「なければ作りなさいよ。王太子妃として命令します。」

 「料理屋は客を選ぶことだってできるのよ!焼きそばはどうします?」

 喧嘩しながらも注文を受けるミルフィーユ。

 「じゃあ、ハーフサイズで、でも美味しかったら丸々食べるかもしれないから一人前で。」

 「から揚げやフライは?」

 「なんだ、仕込みができないという割には、まだまだあるんじゃない?」

 「これは仕込み要らずの料理です。」

 「じゃあ一つずついただこうかしら。」

 「お飲み物はどうされますか?」

 「オススメのものを全員に。」

 「じゃビールですね。」




ちょっと中途半端だけど、続きはまたあとで書きます。
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