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姫は、クリスティーヌと名付けられ大切に育てられたが、リリアーヌとはめったに会うことがないからか、姫様が物心を付くようになってからは、母娘の仲が非常に悪いものとなる。娘は母に反発し始める。母と父の結婚のいきさつを知ってからは、汚らわしいものを見る目で母を見るようになったからである。
リリアーヌは、幼い我が子ながらも、かつての恋敵そっくりになっていく娘に嫉妬といら立ちを覚える。娘をこの手に抱きたいと思っていても、リリアーヌが何か危害を加えるのでは?と思われ触らせてくれないのである。
チャールズがクリスティーヌを可愛がれば可愛がるほどに、嫉妬に苦しむのである。クリスティーヌは、妃教育室に出入り自由で、リリアーヌが間違えると
「お母様、違いますわよ。これはこうするのでございます。」
まるで恋敵のクリスティーヌの生まれ変わりであるかのような優雅な所作を見せつけてくれる。
我が娘と亡霊のクリスティーヌに、日夜辛苦を舐めさせられる。
そうこうしている間に、クリスティーヌ5歳の誕生日が来たのである。クリスティーヌは朝から磨き上げられ、綺麗なドレスに着替えさせられる。
将来の婿養子を選ぶ会である。今から婚約者を選び、お妃教育ならぬ帝王学を身に着けさせるための教育が始まる。ある意味妃教育より大変かもしれない、なんといっても将来の国王陛下を養成するのであるから。
もし今後、チャールズに男子が生まれたとしても、国王の補佐官になることは間違いなしなので、将来の出世を約束されるようなもの。
そのため通常は、王女の相手は二男三男が相場だが、今回は今のところ一人娘であるということも鑑みて、長男までもが選定会に出席している。
非常に大盛況となっている。クリスティーヌの周りには、大人も含めて、常に人だかりができている。
クリスティーヌは、ため息一つ、泣き言一つ言わず、順番にこなしていく。さすがに生まれながらの王女は違うと、周囲の大人たちを唸らせる。
「クリスティーヌ!」
突然、懐かしいような?大声で呼ばれると、知らないおじいさん?がいる。
「無礼ではなかろうか?アントワネット公爵、いくら令嬢と名前が同じだからといって、王女殿下を呼び捨てにするなど!」
知らないおじいさんは、頭を掻き掻き謝っている。
「わたくし、この方とお話ししてみたいです。」
クリスティーヌがアントワネット公爵を指名したことから、お咎めなしになったのである。
「王女様、実はあなた様と私の亡くなった娘とがあまりにもよく似ていらっしゃったものですから、ついお声掛けをいたし、ご無礼仕りました。」
「まぁ、お気の毒に。お嬢様はいつ?」
「もう5年半前になるでしょうか?王太子殿下と婚約……あ、いえ何でもございません。」
「存じております。父と婚約なさっていた方が亡くなられたことは……。その方とわたくしがよく似ていると、城の者から聞いたことがございます。それでその方のお名前から名付けられたと伺いましたの。」
「やはりそうでしたか……、あ!これが、その娘の絵姿です。美しい自慢の娘でした。小さい時のがこれで、これは亡くなる直前のものです。」
「おきれいな方!あ、それにこのお小さい時の絵姿は、今のわたくしと確かによく似ておりますわね。」
「御迷惑かもわかりませんが、一度わが家へ遊びにいらっしゃいませんか?我が妻にも、クリスティーヌ殿下のお姿を見せてやりたいのです。」
「はい、喜んで。」
選定会では、適当な婚約者が見つからず、その日はお流れとなりました。実のところは、アントワネット公爵の孫が5歳だったので、王家から話があったのだが、約5年前のことから、アントワネット公爵より、固辞されたのでした。
亡きクリスティーヌの兄の息子です。
選定会の一週間後、クリスティーヌはアントワネット公爵邸へ御呼ばれで行きます。生まれて初めて、お城の外へ出たクリスティーヌにとって、見るもの聞くモノすべてがキラキラと輝いていて、ワクワクします。
公爵邸に到着すると、家の中には、亡くなられたお嬢様の絵姿が至る所に飾られていて、妙な気分になります。前にここにいたことがあるような?デジャブというのだろうか?既視感が確かにある。
アントワネット公爵夫人にお会いしたら、最初驚かれたかのような眼を見開かれて、
「クリスティーヌちゃん?」
「はい。」
返事したら、いきなりギュって抱きしめられた。よほど愛されていたのね。わたくしなんかお母様に抱きしめられたことなど一度もない。
お母様は、わたくしのことどう思っているのかしらね。憎い恋敵にそっくりで、やっぱり憎たらしいと思っているのかしらね。
アントワネット公爵邸では、亡くなられたお嬢様の小さい頃のドレスをたくさん残していらっしゃって、それを順番に着てファッションショーみたいになったわ。だって、着替えて出てくると、メイドさんまでもが涙ぐまれて、皆さん拍手してくださるからやめられなくなっちゃった。
疲れたけど、とても楽しい一日になったと、お父様に話したら
「これからもちょくちょく行ってもいいよ。」
お許しが出たので、それからほとんど毎日、街に出かけるようになったわ。
王家の紋章が付いた馬車ではなく、アントワネット公爵家が普段使いの馬車を出してくださるので、誰も王女と気づかずにいる。それが何だか、ホッとするような楽しいようなワクワク感がある。
アントワネット公爵夫人とは、本当の孫娘?か娘?として接してくださり、家庭の暖かさを教えていただけましたわ。
カフェに入って、お茶したりお菓子を頂いたり、時には小物などのアクセサリーを買っていただくこともあったわ。
アントワネット家の同い年の男の子とは、まるで姉弟のような?幼馴染の関係を築いていく。どうしても婚約者にさせるのだけは、勘弁してくれと言われたわ。
学園に入る年頃になった時、公爵夫人に相談したら、国立学園にあまりいい印象をお持ちでなかったので、お金持ちの子供が通う私立の学園の入学要綱を取り寄せて、父に見せると
「好きにしたらいい。」
お父様は、クリスティーヌには、超甘々で、何をするにしても父に言うと必ずOKしてくれる。
後でわかったことだけど、それが父のアントワネット公爵令嬢に対する贖罪の気持ちだったのだろう。
サンドラ国立学園では、15年前の事件以来、入学者が激減しているのである。特に貴族子弟の間で評判が地に落ちている。原因はもちろん王太子妃にある。王太子妃が婚約者の居る王太子を誑かし、カラダの関係を持ち妊娠してしまったからで、そのため当時、絶世の美女とうたわれた公爵令嬢と婚約破棄の上、自害して失ってしまったのだから。
学園では、今年の入学者には期待していた。なんせ王女殿下が入学されると思っていたのに、新参者の成金私立の学園に取られるとは夢にも思っていなかったのだ。
学園のOG会、OB会からは、連日じゃんじゃんクレームが来るが、王太子殿下が許可をされたのだから、どうしようもない。
卒業生の中には、王太子妃の卒業資格を取り消せ、なんて言ってこられる。学園理事会では、そのことも話題に上ったが、王女殿下の母上であるからして、それに王太子妃としての立場もあるから、とそう簡単にはできない。
せめて、王太子殿下が離婚でもしてくれたら、……めったなことは口にできない。
学園には公爵家から表向き、通うことにしたのである。学園の了解を得て、王女である身分を隠し、朝は王家から公爵邸まで馬車で行き、公爵邸からは普段使いの馬車を出してもらって、乗り換える。少々めんどくさいけど、自由な学園生活を送るためだもの。
いくら公爵邸から、普段使いの馬車で行っても王家からの護衛はつく、だから勘のいい子はわかったかもしれない。
入学してすぐ何人もの男子学生に取り囲まれて、ラブレターを渡されて付き合ってくれ、って困った時、護衛が蹴散らかしてくれるから助かったけど、普通の公爵令嬢は護衛がつくことあるのかしらね。
と思っていたら、学園でお友達になったドロシーちゃんの家は伯爵家で、やっぱり15年前の国立学園で起きた事件のことで、入学を見合わせ私立へ入学したらしいんだけど、そのドロシーちゃんにもやっぱり護衛が付いていたよ。
貴族令嬢には、護衛がつくものなんだということがわかり、ホッとしたわ。
帰りも公爵邸へ寄ってから、制服を脱ぎ、時には晩御飯も食べてお風呂に入って、それからお城へ帰る日々が続く。
クリスティーヌが年頃になってきたら、また母の具合が悪くなり、ますます疎遠になる。もう15年間も妃教育をやっているのに、まだ終わらないらしい。父は、側妃も娶らず母と離縁もせず、何かに耐えているようだとは感じたけれど、敢えて何も言わない。言ってはいけない。気がする。
リリアーヌは、幼い我が子ながらも、かつての恋敵そっくりになっていく娘に嫉妬といら立ちを覚える。娘をこの手に抱きたいと思っていても、リリアーヌが何か危害を加えるのでは?と思われ触らせてくれないのである。
チャールズがクリスティーヌを可愛がれば可愛がるほどに、嫉妬に苦しむのである。クリスティーヌは、妃教育室に出入り自由で、リリアーヌが間違えると
「お母様、違いますわよ。これはこうするのでございます。」
まるで恋敵のクリスティーヌの生まれ変わりであるかのような優雅な所作を見せつけてくれる。
我が娘と亡霊のクリスティーヌに、日夜辛苦を舐めさせられる。
そうこうしている間に、クリスティーヌ5歳の誕生日が来たのである。クリスティーヌは朝から磨き上げられ、綺麗なドレスに着替えさせられる。
将来の婿養子を選ぶ会である。今から婚約者を選び、お妃教育ならぬ帝王学を身に着けさせるための教育が始まる。ある意味妃教育より大変かもしれない、なんといっても将来の国王陛下を養成するのであるから。
もし今後、チャールズに男子が生まれたとしても、国王の補佐官になることは間違いなしなので、将来の出世を約束されるようなもの。
そのため通常は、王女の相手は二男三男が相場だが、今回は今のところ一人娘であるということも鑑みて、長男までもが選定会に出席している。
非常に大盛況となっている。クリスティーヌの周りには、大人も含めて、常に人だかりができている。
クリスティーヌは、ため息一つ、泣き言一つ言わず、順番にこなしていく。さすがに生まれながらの王女は違うと、周囲の大人たちを唸らせる。
「クリスティーヌ!」
突然、懐かしいような?大声で呼ばれると、知らないおじいさん?がいる。
「無礼ではなかろうか?アントワネット公爵、いくら令嬢と名前が同じだからといって、王女殿下を呼び捨てにするなど!」
知らないおじいさんは、頭を掻き掻き謝っている。
「わたくし、この方とお話ししてみたいです。」
クリスティーヌがアントワネット公爵を指名したことから、お咎めなしになったのである。
「王女様、実はあなた様と私の亡くなった娘とがあまりにもよく似ていらっしゃったものですから、ついお声掛けをいたし、ご無礼仕りました。」
「まぁ、お気の毒に。お嬢様はいつ?」
「もう5年半前になるでしょうか?王太子殿下と婚約……あ、いえ何でもございません。」
「存じております。父と婚約なさっていた方が亡くなられたことは……。その方とわたくしがよく似ていると、城の者から聞いたことがございます。それでその方のお名前から名付けられたと伺いましたの。」
「やはりそうでしたか……、あ!これが、その娘の絵姿です。美しい自慢の娘でした。小さい時のがこれで、これは亡くなる直前のものです。」
「おきれいな方!あ、それにこのお小さい時の絵姿は、今のわたくしと確かによく似ておりますわね。」
「御迷惑かもわかりませんが、一度わが家へ遊びにいらっしゃいませんか?我が妻にも、クリスティーヌ殿下のお姿を見せてやりたいのです。」
「はい、喜んで。」
選定会では、適当な婚約者が見つからず、その日はお流れとなりました。実のところは、アントワネット公爵の孫が5歳だったので、王家から話があったのだが、約5年前のことから、アントワネット公爵より、固辞されたのでした。
亡きクリスティーヌの兄の息子です。
選定会の一週間後、クリスティーヌはアントワネット公爵邸へ御呼ばれで行きます。生まれて初めて、お城の外へ出たクリスティーヌにとって、見るもの聞くモノすべてがキラキラと輝いていて、ワクワクします。
公爵邸に到着すると、家の中には、亡くなられたお嬢様の絵姿が至る所に飾られていて、妙な気分になります。前にここにいたことがあるような?デジャブというのだろうか?既視感が確かにある。
アントワネット公爵夫人にお会いしたら、最初驚かれたかのような眼を見開かれて、
「クリスティーヌちゃん?」
「はい。」
返事したら、いきなりギュって抱きしめられた。よほど愛されていたのね。わたくしなんかお母様に抱きしめられたことなど一度もない。
お母様は、わたくしのことどう思っているのかしらね。憎い恋敵にそっくりで、やっぱり憎たらしいと思っているのかしらね。
アントワネット公爵邸では、亡くなられたお嬢様の小さい頃のドレスをたくさん残していらっしゃって、それを順番に着てファッションショーみたいになったわ。だって、着替えて出てくると、メイドさんまでもが涙ぐまれて、皆さん拍手してくださるからやめられなくなっちゃった。
疲れたけど、とても楽しい一日になったと、お父様に話したら
「これからもちょくちょく行ってもいいよ。」
お許しが出たので、それからほとんど毎日、街に出かけるようになったわ。
王家の紋章が付いた馬車ではなく、アントワネット公爵家が普段使いの馬車を出してくださるので、誰も王女と気づかずにいる。それが何だか、ホッとするような楽しいようなワクワク感がある。
アントワネット公爵夫人とは、本当の孫娘?か娘?として接してくださり、家庭の暖かさを教えていただけましたわ。
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アントワネット家の同い年の男の子とは、まるで姉弟のような?幼馴染の関係を築いていく。どうしても婚約者にさせるのだけは、勘弁してくれと言われたわ。
学園に入る年頃になった時、公爵夫人に相談したら、国立学園にあまりいい印象をお持ちでなかったので、お金持ちの子供が通う私立の学園の入学要綱を取り寄せて、父に見せると
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お父様は、クリスティーヌには、超甘々で、何をするにしても父に言うと必ずOKしてくれる。
後でわかったことだけど、それが父のアントワネット公爵令嬢に対する贖罪の気持ちだったのだろう。
サンドラ国立学園では、15年前の事件以来、入学者が激減しているのである。特に貴族子弟の間で評判が地に落ちている。原因はもちろん王太子妃にある。王太子妃が婚約者の居る王太子を誑かし、カラダの関係を持ち妊娠してしまったからで、そのため当時、絶世の美女とうたわれた公爵令嬢と婚約破棄の上、自害して失ってしまったのだから。
学園では、今年の入学者には期待していた。なんせ王女殿下が入学されると思っていたのに、新参者の成金私立の学園に取られるとは夢にも思っていなかったのだ。
学園のOG会、OB会からは、連日じゃんじゃんクレームが来るが、王太子殿下が許可をされたのだから、どうしようもない。
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学園には公爵家から表向き、通うことにしたのである。学園の了解を得て、王女である身分を隠し、朝は王家から公爵邸まで馬車で行き、公爵邸からは普段使いの馬車を出してもらって、乗り換える。少々めんどくさいけど、自由な学園生活を送るためだもの。
いくら公爵邸から、普段使いの馬車で行っても王家からの護衛はつく、だから勘のいい子はわかったかもしれない。
入学してすぐ何人もの男子学生に取り囲まれて、ラブレターを渡されて付き合ってくれ、って困った時、護衛が蹴散らかしてくれるから助かったけど、普通の公爵令嬢は護衛がつくことあるのかしらね。
と思っていたら、学園でお友達になったドロシーちゃんの家は伯爵家で、やっぱり15年前の国立学園で起きた事件のことで、入学を見合わせ私立へ入学したらしいんだけど、そのドロシーちゃんにもやっぱり護衛が付いていたよ。
貴族令嬢には、護衛がつくものなんだということがわかり、ホッとしたわ。
帰りも公爵邸へ寄ってから、制服を脱ぎ、時には晩御飯も食べてお風呂に入って、それからお城へ帰る日々が続く。
クリスティーヌが年頃になってきたら、また母の具合が悪くなり、ますます疎遠になる。もう15年間も妃教育をやっているのに、まだ終わらないらしい。父は、側妃も娶らず母と離縁もせず、何かに耐えているようだとは感じたけれど、敢えて何も言わない。言ってはいけない。気がする。
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