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12 ワルシャル
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モントオールでのパーティは盛況のうちに終わる。お母様は毎日ドレスを着替え、途中お色直しに引っ込まれたほどである。
みんなちょっとお疲れ気味なのであるが、クリスティーヌは馬車にちょっとした細工をする。
そして、日の出とともに出発する。
街道沿いをまっすぐ進むだけなので、空を飛んでいくことにしたのだ。そのための御者席に風よけフードを作っていた。馬は怖がるのかと思えば、案外楽しんでいるようである。というか、2回目なので、余裕があるだけかもしれない。
わたくし達は、サンタクロースのように、馬車で朝焼けの中を飛んでいる。侍女のメアリーは、景色を楽しむ余裕がなく、もう気絶している。それをマークが介抱しているから、この頃から二人はできていたのか?と思う。
早朝から、出てきたもので、3時間ほどで、もうモントール国の隣国ワルシャルに到着したのである。
ワルシャルの入国審査を経て、サンドラの大使館に入る。こちらでは、まだ前任者がいらっしゃって、荷造りもまだされていなかった模様。
そこへ7人で押しかけたものだから、急遽前任者の大使の荷造りを手伝う羽目になる。何かしら、高価な壷の荷物が多い。壷の中身は?まではわからないが、少しでも高価な壷に触ろうとすると子供が触って、割られたら困るという理由で、さっと取り上げられてしまう。
きっと、あの壷の中には、ワルシャル国からの賄賂が入っているのであろう。
前任者の大使は、悪徳そうな顔をしている。
そうだ!確かに曽祖父のお部屋に、透視魔法の書物があったはず、クリスティーヌはそっとその場を抜け出し、転移魔法で地下室へ行く。
壷の中身は、宝石が詰まっているものと、金貨が詰まっているものに別れていた。上には、隠蔽のため新聞紙がかぶせられていたのだが、これって、そもそもサンドラ国の国庫に入るべきお金じゃないかしら?
それを前任者が流用しているから、今回の転勤が決まったらしい。そのあたりを調べるために、という密命を帯びていたらしいわ。子供だから、よくわからないけど、クリスティーヌはそう感じ取る。
それならば、と壷の中身をすり替えることにしたのである。壷をいったん、異空間に入れ、中身だけを取り出し空の壷を置き、大使館庭の土や石を入れる。上から新聞紙を置き、何食わぬ顔で馬車に近づいても、子供だからと相手にされない。
ほとんど、魔法でやっているから、時間も一瞬で済む。
クリスティーヌに壷を触らせていたら、案外気づかれずに済んだものを、却って墓穴を掘ってしまうことになろうとは、前任者は気づかないでいる。
あらかたの荷造りが済み、前任者とお父様は、引継ぎのため、執務室へ。帳簿や金庫の鍵の受け渡しが終わると、サンドラの料理長が持たせてくれたお弁当で、簡単な昼食を取り、前任者は、いったんサンドラへ戻ってから、次の赴任先へ向かうことにするそうです。
クリスティーヌとメアリーとマークは、お部屋の掃除と引っ越し荷物を解くことにする。空っぽのトランクを馬車から降ろし、それらしく見せかけながら作業を始める。
その様子を見ながら、前任者は
「では、後のことはよろしく頼む。5年ぶりのサンドラだ、懐かしいわ。早く嫁さんや子供に会いたいのぉ。」
手を振りながら、馬車に乗り込む。5年もここにいれば、相当悪いことができるし、汚い金もさぞかしたくさん貯まったであろう。
だが、クリスティーヌの魔法により、中身はすり替えられている。そうだ、ついでにあの土や石ころが本物に見えるように、幻影魔法をかけておいたのだ。だからしばらくは気づくまい。ひょっとすれば、サンドラに着くまで、気づかないかもしれない。
前任者が帰った後、お父様に前任者が国庫に入るべきお金を流用していたことを告げる。
「なに?クリスティーヌの魔法でそんなことまで、わかるのか?しかし、証拠がない。証拠さえあれば、陛下に報告できるものを。」
「証拠なら、あります。あの高価そうに見える壷の中をすり替えました。」
「高価そう?あの壷が賄賂の証拠ではないのか?」
「あの壷は、安物でございましたわ。鑑定魔法で調べましたから、間違いございません。」
「それでは、これから陛下に面会を申し込むとする。あのサンドラへの通路を開けてくれ。」
「はい。でも、直接、お城へ行かれますか?」
「転移魔法か?転移魔法は、確か、行ったところがある場所でなければ、転移できないのではないか?クリスは、まだ一度も王城へは、行ったことがないだろう?」
前世も、前々世も、前々々世も、そのまた前々々々世も、何度もお城へ行っている。だから行けると思うのだが?特に前世と前々々世は、お城に暮らしていたのだから、隅から隅までわかっている。
「お父様のイメージで行けます。」
クリスティーヌは咄嗟に、口から出まかせを言う。
「何!? おじいさんの魔法書には、そんなことまで書かれてあったのか?」
いや、知らないけど……?
「では、正門のところをイメージしようとするか?」
父がイメージしたのは、通用門。
「それは、通用門ではありませんか?」
「あ、うん……バレたか?王城での執務室はここから入ったほうが近いから、つい……って、なぜクリスティーヌが通用門のことを言っているのだ?」
「通用門と書かれてありましたから。」
また、ウソを吐く。
「では、通用門でよろしいのですね?飛びます。」
たちまち、王城の通用門に着く。
「しかし、便利だ。今度、遅刻しそうになったら、クリスに送ってもらうこともできるな。」
陛下に火急の面会を入れると、すんなり通ったのだ。モントオール国での実績が認められたおかげで、モントオール国から勲章を授与されたことが影響しているようだった。
謁見の間に、クリスティーヌは、父とともに臨む。本来は、子供は立ち入り禁止なのだが、父がどうしても、と頼み込んでくれたから入れる。
陛下が入ってこられた。
「アントワネット、久しいのぉ。モントオールでは、なかなか評判が良かったそうだ。儂も帥を派遣して、鼻が高いわ。はっはっは。それで火急の要件とは何事か?さっきワルシャルに着いたばかりだと聞いたが?」
「ははっ。実は、前任者のサスペンダー伯爵が不正を働いていた証拠を得ましてでございます。これが帳簿と……不正の証拠品でございます。壷の中に隠しておりましたものを、持ってまいりました。」
そこで、クリスティーヌが異空間の中から、金銀財宝をその場に出す。
「なに?サスペンダーがこれを隠し持っていたとは?……それにしても、アントワネットの娘は、アイテムボックス持ちとは、驚いたな、将来、嫁に行かなくても冒険者でも商人でもなんでもなれるぞ。」
サスペンダー伯爵がサンドラの王都屋敷に戻った途端、逮捕される手続きが行われる。
アントワネット公爵とクリスティーヌは、すぐにワルシャル国へ帰らず、王都の公爵邸経由で帰ることにしたのである。
「たまにはみんなを驚かせてやろう。」
父の公爵がそう言う。王家の馬車を借り、公爵邸まで送ってもらう。
公爵邸の使用人は、異空間通路の存在やクリスティーヌが転移魔法を使えることを知っているから、驚かないと思うけど、父のために驚いたふりをしてくれる。優しい。
だいたい昨夜遅くまで、モントオールでパーティをしていたから、別に久しぶり感はないのだけどね。
お母様なんて、あくびを噛み殺しているのがよくわかりましたわ。
それでいったん公爵邸へ戻り、そこで お茶を飲んでから、ワルシャルに異空間通路を設けて、帰ります。
ワルシャルへ戻るとあらかたの片づけは終わっていて、こちらもお茶を飲んで寛いでいたのだ。
ワルシャルにも初等学園があったので、書生さんが、転入手続き書類をもらっていてくれた。
会うは、別れの始まり。
今度も学園に通い、また転校するのも辛い。
躊躇しているクリスティーヌの背中を押したのは、やはり父で。
「ここワルシャルにも、お友達がたくさんできるといいな。お友達は、宝物だぞ、たくさん作っておいで。」
仕方なく転入試験を受けることになったのだ。また、簡単な筆記試験と簡単な生活魔法のようなものだった。
断トツの成績で今度も合格してしまい、学園では一躍、学級委員に任命されてしまう。
ここでも同じ学園の同級生に王族がいたのだが、婚約者が既に同じ学園にいらっしゃるから、問題はなかった。その婚約者様はシャーロット様という公爵令嬢で、クリスティーヌとは、同じ公爵令嬢という立場から、すぐに仲良しになる。
また学園帰りに家へ連れていく間柄になるで、時間はかからなかったのである。
「クリスティーヌちゃんは、どうして王子様の婚約者にならなかったの?」
「どうしてもイヤだったのよ。政略で婚約しても大きくなると男の人は、みな浮気して、下位貴族の令嬢と結婚してしまうから、その時に婚約破棄されたら、たまらない。結婚しなくても、生きていけるように魔法の勉強を頑張ったのよ。」
「へぇ!クリスティーヌちゃんしっかりしているわね。ウチのママも似たようなことを言っていたわ。」
「だから魔法だけではなく、自分のことは自分でできるようになろうと物心つくかつかないぐらいの時から、着替えだって、お料理だってできるのよ。」
「今度、教えてくださらない?わたくしも一人でできるようになりたいから。」
「いつでも教えてあげるわ。そうだ、今度の金曜日泊まりにおいでよ。」
「え?いいの?わたくし、家以外の外泊ってしたことがございませんの。お父様の許しがあれば、お泊まりに行けるわね。侍女と一緒なら、いいって言われるかもしれないけど。」
「ダメよ。自分のことは自分でしなきゃ。そのための特訓なんだからね。」
「そうね、わかったわ。お母様からも頼んでもらうわね。」
次の金曜日、シャーロットちゃんは、学園帰り本当に来た。
「よく来れたわね。」
「うふふ。お母様にクリスティーヌちゃんの自立した考えを言うと、ぜひ行ってらっしゃい。お父様には、お母様から頼んであげるって言ってくださったのよ。それでお父様もOKしてくれたってわけ。それに、クリスティーヌちゃんのお家は、普通のワルシャルの貴族の家とは違うから、社会勉強になるって。」
また、モントオールのように同級生の親たちが家族連れで休日に押しかけてこられるのも困るけど、今のところ、公爵令嬢のシャーロットちゃんだけだから、大丈夫?よね。
大使館の居宅のほうのクリスティーヌの自室に、ベッドをもう一台置くことにする。まずは、お料理からである。ピーラーを渡し、こうやって皮をむくのよ。と教える。火魔法を使い鍋でゆがく。塩などで味付けして、一応味見をする。ここが大事。必ず舌で味を覚えるのよ。そうすれば、失敗しないから。
パンを切り分け、お皿に盛る。
食後は使ったお皿を洗い、火魔法と風魔法を使って、温風を作り、それで乾かせていく。
次は、お風呂だ。火魔法と水魔法でお湯を作る。
シャーロットちゃんにやって見せても、「すごい!」としか言わず、自分でやろうとしない。
「まぁ、今日はいいけど、明日からは自分でやるのよ。」
急に真剣な面持ちになり、必死にメモっている。
髪を乾かすのも、食器を乾かす要領と同じで温風を作り出し、乾かしていく。
しばらく寝るまでの間は自由時間で、その時は、魔法の心得みたいなものを喋る。イメージの仕方などです。
「たまたまウチの曽祖父がサンドラの魔法師団長をやっていたらしく、家にその関係の魔法書がたくさんあったのを見つけて、それで使えないよりは、使えたほうが便利かな?という軽い気持ちで勉強を始めたのよ。」
翌朝は着替えるところから始まる。そして髪の手入れ。
そもそも自立しようとしたきっかけが、髪のお手入れだったから。
物心ついたときに、ドレッサーの前に立ち、自分でやったのが最初。その時、自分の姿があまりにも幼いので、ビックリしたわ。
その時は、将来美容関係のお仕事に就くつもりで、手に職と焦っていた時だった。それから、公爵邸の図書室に出入りするようになり、あの地下室の異空間を見つけたのが魔法を極めるきっかけになったのだから、人生わからない。
それから、父が転勤になり、単身赴任という話に同行したのが、学園に入学するきっかけ。
思えば、今、クリスティーヌは8歳なのだが、物心つくかつかないかが2歳だったとして、6年間の間にずいぶんいろんな経験をしたものだと思うわ。たいていの子供時代は、年を重ねると、その記憶が薄れ忘れていくものだけど、クリスティーヌははっきりと覚えている。
今世こそ、幸せにならなければならない。それが悲願だから、でないとまた人生やり直しになるかもしれない。
ひょっとしたら、人生で幸せな人はいないのかもしれない。みんな何らかの悩みを抱えて生きている。それが人間界での修行かのように。それでも振り返ってみて、今までの前世はひどすぎる。いくら修行のためとはいえ、もう少し、幸せな人生を送ってもいいのではないかと思う。
1回目の人生は自害、2回目の人生は、詐欺の加害者に殺される。3回目の人生は、恋敵に殺害され、4回目の人生は性癖により、相手に首を絞めてと頼み死ぬ。
思えば、ロクな死に方をしていない。1回目の人生で自害を選んだことが失敗だったのであろうか?その後の人生、生きたくても生きられない。
1回目、婚約破棄されても人生を全うしていれば、こんなループをしなくても済んだのかもしれない。
今世は何が何でも人生を全うしたい。そうすれば、もう転生することはなかろう。
こんなことシャーロットちゃんには、とても言えない話だけど、この子を見ていてなぜか昔を思い出す。1回目の人生でお嬢様だった頃の自分と似ているせいかもしれない。
シャーロットちゃんは、2泊3日の日程をこなし、日曜日には機嫌よく帰ることになったのだが、なんと!シャーロットちゃんのお母様がお迎えに来られて、
「次回からは、わたくしもクリスティーヌちゃんの合宿に参加させていただけないかしら?」
正直なところ、困った!同い年のお友達だから、特訓をしようと言ったけど、そのお母様までとは……!
「わたくしも若い頃、主人と結婚する前の話なんだけど、婚約破棄されて、その時、自立出来たら良かったのだけど、何もできない自分に気づかされ、嫌になった経験がございますのよ。クリスティーヌちゃんは、若いのにもう自立しようとなさっている、だから娘にも感化させたいと思い、参加させました。ダメかしら?」
「母と相談してみます。もしそうなれば、母にも合宿に参加させますわ。」
「まぁ!お母様もこちらに?素晴らしい提案ですわ。ぜひ、実現することをお願いいたします。それではよろしくお願いいたしますわね。」
軽い足取りで、二人は手を振って、馬車に乗られた。
クリスティーヌは、その足で異空間通路を通り、母の元へ行く。そして、先ほどまで放していたシャーロットちゃんのお母様の話と合宿に参加してみないか?と誘う。
「まぁ!素敵なことを考え付いたのね。ぜひ、わたくしもクリスティーヌちゃんの自立合宿に参加させていただきたいですわ。それにシャーロットちゃんのお母様にもお会いしたいです。」
月曜日、学園に行って、合宿のことをシャーロットちゃんに伝えると、大変喜ばれて、金曜日が待ち遠しいって、言われたわ。
それからすぐ金曜日は来る。
学園にいる時から、シャーロットちゃんは、ソワソワしている。ああは言ったものの本当にシャーロットちゃんのお母様は来るのか?侍女を伴って、来るのではなかろうかと心配しているようだった。
学園帰り、シャーロットちゃんは、そのままクリスティーヌの家に来たのだが、その時はすでにシャーロットちゃんのお母様エリザベス様とクリスティーヌの母ヴィクトリアが居間で話し込んでいたのだ。
「あら、お帰りなさい。」
ちゃんとエリザベス様は侍女なしで単独で来られ、母ヴィクトリアも一人で参加しているのである。
みんなちょっとお疲れ気味なのであるが、クリスティーヌは馬車にちょっとした細工をする。
そして、日の出とともに出発する。
街道沿いをまっすぐ進むだけなので、空を飛んでいくことにしたのだ。そのための御者席に風よけフードを作っていた。馬は怖がるのかと思えば、案外楽しんでいるようである。というか、2回目なので、余裕があるだけかもしれない。
わたくし達は、サンタクロースのように、馬車で朝焼けの中を飛んでいる。侍女のメアリーは、景色を楽しむ余裕がなく、もう気絶している。それをマークが介抱しているから、この頃から二人はできていたのか?と思う。
早朝から、出てきたもので、3時間ほどで、もうモントール国の隣国ワルシャルに到着したのである。
ワルシャルの入国審査を経て、サンドラの大使館に入る。こちらでは、まだ前任者がいらっしゃって、荷造りもまだされていなかった模様。
そこへ7人で押しかけたものだから、急遽前任者の大使の荷造りを手伝う羽目になる。何かしら、高価な壷の荷物が多い。壷の中身は?まではわからないが、少しでも高価な壷に触ろうとすると子供が触って、割られたら困るという理由で、さっと取り上げられてしまう。
きっと、あの壷の中には、ワルシャル国からの賄賂が入っているのであろう。
前任者の大使は、悪徳そうな顔をしている。
そうだ!確かに曽祖父のお部屋に、透視魔法の書物があったはず、クリスティーヌはそっとその場を抜け出し、転移魔法で地下室へ行く。
壷の中身は、宝石が詰まっているものと、金貨が詰まっているものに別れていた。上には、隠蔽のため新聞紙がかぶせられていたのだが、これって、そもそもサンドラ国の国庫に入るべきお金じゃないかしら?
それを前任者が流用しているから、今回の転勤が決まったらしい。そのあたりを調べるために、という密命を帯びていたらしいわ。子供だから、よくわからないけど、クリスティーヌはそう感じ取る。
それならば、と壷の中身をすり替えることにしたのである。壷をいったん、異空間に入れ、中身だけを取り出し空の壷を置き、大使館庭の土や石を入れる。上から新聞紙を置き、何食わぬ顔で馬車に近づいても、子供だからと相手にされない。
ほとんど、魔法でやっているから、時間も一瞬で済む。
クリスティーヌに壷を触らせていたら、案外気づかれずに済んだものを、却って墓穴を掘ってしまうことになろうとは、前任者は気づかないでいる。
あらかたの荷造りが済み、前任者とお父様は、引継ぎのため、執務室へ。帳簿や金庫の鍵の受け渡しが終わると、サンドラの料理長が持たせてくれたお弁当で、簡単な昼食を取り、前任者は、いったんサンドラへ戻ってから、次の赴任先へ向かうことにするそうです。
クリスティーヌとメアリーとマークは、お部屋の掃除と引っ越し荷物を解くことにする。空っぽのトランクを馬車から降ろし、それらしく見せかけながら作業を始める。
その様子を見ながら、前任者は
「では、後のことはよろしく頼む。5年ぶりのサンドラだ、懐かしいわ。早く嫁さんや子供に会いたいのぉ。」
手を振りながら、馬車に乗り込む。5年もここにいれば、相当悪いことができるし、汚い金もさぞかしたくさん貯まったであろう。
だが、クリスティーヌの魔法により、中身はすり替えられている。そうだ、ついでにあの土や石ころが本物に見えるように、幻影魔法をかけておいたのだ。だからしばらくは気づくまい。ひょっとすれば、サンドラに着くまで、気づかないかもしれない。
前任者が帰った後、お父様に前任者が国庫に入るべきお金を流用していたことを告げる。
「なに?クリスティーヌの魔法でそんなことまで、わかるのか?しかし、証拠がない。証拠さえあれば、陛下に報告できるものを。」
「証拠なら、あります。あの高価そうに見える壷の中をすり替えました。」
「高価そう?あの壷が賄賂の証拠ではないのか?」
「あの壷は、安物でございましたわ。鑑定魔法で調べましたから、間違いございません。」
「それでは、これから陛下に面会を申し込むとする。あのサンドラへの通路を開けてくれ。」
「はい。でも、直接、お城へ行かれますか?」
「転移魔法か?転移魔法は、確か、行ったところがある場所でなければ、転移できないのではないか?クリスは、まだ一度も王城へは、行ったことがないだろう?」
前世も、前々世も、前々々世も、そのまた前々々々世も、何度もお城へ行っている。だから行けると思うのだが?特に前世と前々々世は、お城に暮らしていたのだから、隅から隅までわかっている。
「お父様のイメージで行けます。」
クリスティーヌは咄嗟に、口から出まかせを言う。
「何!? おじいさんの魔法書には、そんなことまで書かれてあったのか?」
いや、知らないけど……?
「では、正門のところをイメージしようとするか?」
父がイメージしたのは、通用門。
「それは、通用門ではありませんか?」
「あ、うん……バレたか?王城での執務室はここから入ったほうが近いから、つい……って、なぜクリスティーヌが通用門のことを言っているのだ?」
「通用門と書かれてありましたから。」
また、ウソを吐く。
「では、通用門でよろしいのですね?飛びます。」
たちまち、王城の通用門に着く。
「しかし、便利だ。今度、遅刻しそうになったら、クリスに送ってもらうこともできるな。」
陛下に火急の面会を入れると、すんなり通ったのだ。モントオール国での実績が認められたおかげで、モントオール国から勲章を授与されたことが影響しているようだった。
謁見の間に、クリスティーヌは、父とともに臨む。本来は、子供は立ち入り禁止なのだが、父がどうしても、と頼み込んでくれたから入れる。
陛下が入ってこられた。
「アントワネット、久しいのぉ。モントオールでは、なかなか評判が良かったそうだ。儂も帥を派遣して、鼻が高いわ。はっはっは。それで火急の要件とは何事か?さっきワルシャルに着いたばかりだと聞いたが?」
「ははっ。実は、前任者のサスペンダー伯爵が不正を働いていた証拠を得ましてでございます。これが帳簿と……不正の証拠品でございます。壷の中に隠しておりましたものを、持ってまいりました。」
そこで、クリスティーヌが異空間の中から、金銀財宝をその場に出す。
「なに?サスペンダーがこれを隠し持っていたとは?……それにしても、アントワネットの娘は、アイテムボックス持ちとは、驚いたな、将来、嫁に行かなくても冒険者でも商人でもなんでもなれるぞ。」
サスペンダー伯爵がサンドラの王都屋敷に戻った途端、逮捕される手続きが行われる。
アントワネット公爵とクリスティーヌは、すぐにワルシャル国へ帰らず、王都の公爵邸経由で帰ることにしたのである。
「たまにはみんなを驚かせてやろう。」
父の公爵がそう言う。王家の馬車を借り、公爵邸まで送ってもらう。
公爵邸の使用人は、異空間通路の存在やクリスティーヌが転移魔法を使えることを知っているから、驚かないと思うけど、父のために驚いたふりをしてくれる。優しい。
だいたい昨夜遅くまで、モントオールでパーティをしていたから、別に久しぶり感はないのだけどね。
お母様なんて、あくびを噛み殺しているのがよくわかりましたわ。
それでいったん公爵邸へ戻り、そこで お茶を飲んでから、ワルシャルに異空間通路を設けて、帰ります。
ワルシャルへ戻るとあらかたの片づけは終わっていて、こちらもお茶を飲んで寛いでいたのだ。
ワルシャルにも初等学園があったので、書生さんが、転入手続き書類をもらっていてくれた。
会うは、別れの始まり。
今度も学園に通い、また転校するのも辛い。
躊躇しているクリスティーヌの背中を押したのは、やはり父で。
「ここワルシャルにも、お友達がたくさんできるといいな。お友達は、宝物だぞ、たくさん作っておいで。」
仕方なく転入試験を受けることになったのだ。また、簡単な筆記試験と簡単な生活魔法のようなものだった。
断トツの成績で今度も合格してしまい、学園では一躍、学級委員に任命されてしまう。
ここでも同じ学園の同級生に王族がいたのだが、婚約者が既に同じ学園にいらっしゃるから、問題はなかった。その婚約者様はシャーロット様という公爵令嬢で、クリスティーヌとは、同じ公爵令嬢という立場から、すぐに仲良しになる。
また学園帰りに家へ連れていく間柄になるで、時間はかからなかったのである。
「クリスティーヌちゃんは、どうして王子様の婚約者にならなかったの?」
「どうしてもイヤだったのよ。政略で婚約しても大きくなると男の人は、みな浮気して、下位貴族の令嬢と結婚してしまうから、その時に婚約破棄されたら、たまらない。結婚しなくても、生きていけるように魔法の勉強を頑張ったのよ。」
「へぇ!クリスティーヌちゃんしっかりしているわね。ウチのママも似たようなことを言っていたわ。」
「だから魔法だけではなく、自分のことは自分でできるようになろうと物心つくかつかないぐらいの時から、着替えだって、お料理だってできるのよ。」
「今度、教えてくださらない?わたくしも一人でできるようになりたいから。」
「いつでも教えてあげるわ。そうだ、今度の金曜日泊まりにおいでよ。」
「え?いいの?わたくし、家以外の外泊ってしたことがございませんの。お父様の許しがあれば、お泊まりに行けるわね。侍女と一緒なら、いいって言われるかもしれないけど。」
「ダメよ。自分のことは自分でしなきゃ。そのための特訓なんだからね。」
「そうね、わかったわ。お母様からも頼んでもらうわね。」
次の金曜日、シャーロットちゃんは、学園帰り本当に来た。
「よく来れたわね。」
「うふふ。お母様にクリスティーヌちゃんの自立した考えを言うと、ぜひ行ってらっしゃい。お父様には、お母様から頼んであげるって言ってくださったのよ。それでお父様もOKしてくれたってわけ。それに、クリスティーヌちゃんのお家は、普通のワルシャルの貴族の家とは違うから、社会勉強になるって。」
また、モントオールのように同級生の親たちが家族連れで休日に押しかけてこられるのも困るけど、今のところ、公爵令嬢のシャーロットちゃんだけだから、大丈夫?よね。
大使館の居宅のほうのクリスティーヌの自室に、ベッドをもう一台置くことにする。まずは、お料理からである。ピーラーを渡し、こうやって皮をむくのよ。と教える。火魔法を使い鍋でゆがく。塩などで味付けして、一応味見をする。ここが大事。必ず舌で味を覚えるのよ。そうすれば、失敗しないから。
パンを切り分け、お皿に盛る。
食後は使ったお皿を洗い、火魔法と風魔法を使って、温風を作り、それで乾かせていく。
次は、お風呂だ。火魔法と水魔法でお湯を作る。
シャーロットちゃんにやって見せても、「すごい!」としか言わず、自分でやろうとしない。
「まぁ、今日はいいけど、明日からは自分でやるのよ。」
急に真剣な面持ちになり、必死にメモっている。
髪を乾かすのも、食器を乾かす要領と同じで温風を作り出し、乾かしていく。
しばらく寝るまでの間は自由時間で、その時は、魔法の心得みたいなものを喋る。イメージの仕方などです。
「たまたまウチの曽祖父がサンドラの魔法師団長をやっていたらしく、家にその関係の魔法書がたくさんあったのを見つけて、それで使えないよりは、使えたほうが便利かな?という軽い気持ちで勉強を始めたのよ。」
翌朝は着替えるところから始まる。そして髪の手入れ。
そもそも自立しようとしたきっかけが、髪のお手入れだったから。
物心ついたときに、ドレッサーの前に立ち、自分でやったのが最初。その時、自分の姿があまりにも幼いので、ビックリしたわ。
その時は、将来美容関係のお仕事に就くつもりで、手に職と焦っていた時だった。それから、公爵邸の図書室に出入りするようになり、あの地下室の異空間を見つけたのが魔法を極めるきっかけになったのだから、人生わからない。
それから、父が転勤になり、単身赴任という話に同行したのが、学園に入学するきっかけ。
思えば、今、クリスティーヌは8歳なのだが、物心つくかつかないかが2歳だったとして、6年間の間にずいぶんいろんな経験をしたものだと思うわ。たいていの子供時代は、年を重ねると、その記憶が薄れ忘れていくものだけど、クリスティーヌははっきりと覚えている。
今世こそ、幸せにならなければならない。それが悲願だから、でないとまた人生やり直しになるかもしれない。
ひょっとしたら、人生で幸せな人はいないのかもしれない。みんな何らかの悩みを抱えて生きている。それが人間界での修行かのように。それでも振り返ってみて、今までの前世はひどすぎる。いくら修行のためとはいえ、もう少し、幸せな人生を送ってもいいのではないかと思う。
1回目の人生は自害、2回目の人生は、詐欺の加害者に殺される。3回目の人生は、恋敵に殺害され、4回目の人生は性癖により、相手に首を絞めてと頼み死ぬ。
思えば、ロクな死に方をしていない。1回目の人生で自害を選んだことが失敗だったのであろうか?その後の人生、生きたくても生きられない。
1回目、婚約破棄されても人生を全うしていれば、こんなループをしなくても済んだのかもしれない。
今世は何が何でも人生を全うしたい。そうすれば、もう転生することはなかろう。
こんなことシャーロットちゃんには、とても言えない話だけど、この子を見ていてなぜか昔を思い出す。1回目の人生でお嬢様だった頃の自分と似ているせいかもしれない。
シャーロットちゃんは、2泊3日の日程をこなし、日曜日には機嫌よく帰ることになったのだが、なんと!シャーロットちゃんのお母様がお迎えに来られて、
「次回からは、わたくしもクリスティーヌちゃんの合宿に参加させていただけないかしら?」
正直なところ、困った!同い年のお友達だから、特訓をしようと言ったけど、そのお母様までとは……!
「わたくしも若い頃、主人と結婚する前の話なんだけど、婚約破棄されて、その時、自立出来たら良かったのだけど、何もできない自分に気づかされ、嫌になった経験がございますのよ。クリスティーヌちゃんは、若いのにもう自立しようとなさっている、だから娘にも感化させたいと思い、参加させました。ダメかしら?」
「母と相談してみます。もしそうなれば、母にも合宿に参加させますわ。」
「まぁ!お母様もこちらに?素晴らしい提案ですわ。ぜひ、実現することをお願いいたします。それではよろしくお願いいたしますわね。」
軽い足取りで、二人は手を振って、馬車に乗られた。
クリスティーヌは、その足で異空間通路を通り、母の元へ行く。そして、先ほどまで放していたシャーロットちゃんのお母様の話と合宿に参加してみないか?と誘う。
「まぁ!素敵なことを考え付いたのね。ぜひ、わたくしもクリスティーヌちゃんの自立合宿に参加させていただきたいですわ。それにシャーロットちゃんのお母様にもお会いしたいです。」
月曜日、学園に行って、合宿のことをシャーロットちゃんに伝えると、大変喜ばれて、金曜日が待ち遠しいって、言われたわ。
それからすぐ金曜日は来る。
学園にいる時から、シャーロットちゃんは、ソワソワしている。ああは言ったものの本当にシャーロットちゃんのお母様は来るのか?侍女を伴って、来るのではなかろうかと心配しているようだった。
学園帰り、シャーロットちゃんは、そのままクリスティーヌの家に来たのだが、その時はすでにシャーロットちゃんのお母様エリザベス様とクリスティーヌの母ヴィクトリアが居間で話し込んでいたのだ。
「あら、お帰りなさい。」
ちゃんとエリザベス様は侍女なしで単独で来られ、母ヴィクトリアも一人で参加しているのである。
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