聖女様と結婚したいからと言われ、婚約破棄された令嬢は聖女となる

青の雀

文字の大きさ
4 / 19

4.留学先

しおりを挟む
 今は将来のことを考えるより、お妃教育で失った10年を取り戻すことで夢中になっている。

 あれから刺繍にもレース編みにもチャレンジしてみたが、本当はもっと違うことをしたい。

 野原でかけっこしたり、花冠を作ってみたり、野原でゴロゴロと寝そべって見たり、という子供らしいことをしてみたい。

 だけど、ルーチェリーヌは、もう15歳。とてもそんな真似をすることなど許されない年齢になってしまった。

 若返ればできるのだが、若返り魔法など知らない。遠国に若返りの秘薬があると聞いたことはあるが、高価で我が国の商業ギルドには取り扱っていないと聞く。

 あーあ。なんかこう、もっと自由に羽ばたきたい!せっかくお妃教育も終わったし、もう二度と王都に戻るなんて、まっぴらごめんだから。いっそのこと、留学でもするか?留学先なら、顔が指すこともないから、野原でお昼寝なんてのも、ある意味自由にできるかもしれない。

 野原で駆けっこは実は、領地に戻って公爵邸の裏山で経験済み……ちっとも楽しくなかった。あれは、子供はカラダが小さい分、広いところを自由に走り回っても疲れない。15歳のカラダで走り回りたくてもそれほど広いわけでもなく岩や木の障害物をよけなければ走れない。それにただランニングするだけでは、疲れるだけで領民に見られたら、言い訳を考えるだけで一苦労する。

 だから、このカラダで走ることも花冠を作ることも不可能としか言いようがない。

 よし!お父様に言ってみよう。

 父に話すと意外にも、すんなりOKが出た。

 父も新婚早々のヤコブ殿下と同じ学園に通わせるというのも、いかがなものかと考えてくれていたみたい。

 留学先をどこにするか、いろいろ入学案内を取り寄せ調べてみることにした。できれば、全寮制がいいな、食堂が美味しいのなら尚いい。若返り魔法を習いたいから、魔法学校がいいかもしれない。制服は、可愛い方がいいな。

 いろいろ条件を出しながら候補を絞り込んでいく。残ったのは、隣国ブレスト国の西側にあるオセロー魔術学校と東側にあるルーブル魔法学校。学校案内を見ただけでは、どちらがいいのかまったくわからない。

 オセローは王立学園で授業料が安く、身分に関係なく実力のある卒業生は王宮の魔法師団に登用されるらしい。

 ルーブルは教会が運営設立している学校で、貴族の子弟が多く通っている。

 そうよね。教会は国の要だもの。どうしても貴族の寄付金で成り立っているようなものだから、そうなるわよね。同い年の貴族令嬢とお友達になれるチャンスがある。

 公女の身分を持つルーチェリーヌなら、ルーブルを選んだ方が賢明だとわかっているものの、オセローには果てしない夢と野望がある。

 別にルーチェリーヌに、夢も野望もないけど……、なぜかそそられる。実力者同士の足の引っ張り合いを対岸の火事よろしく眺めてみるのも悪くはない。と思ってしまったことがその後の人生の転換期になろうとは、思ってもみなかったこと。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

あなたの幸せを祈ってる

あんど もあ
ファンタジー
ルイーゼは、双子の妹ローゼリアが病弱に生まれたために、「お前は丈夫だから」と15年間あらゆる事を我慢させられて来た。……のだが、本人は我慢させられていると言う自覚が全く無い。とうとう我慢のしすぎで命の危機となってしまい、意図せぬざまぁを招くのだった。 ドアマットだと自覚してないドアマット令嬢のお話。

お飾りの婚約者で結構です! 殿下のことは興味ありませんので、お構いなく!

にのまえ
恋愛
 すでに寵愛する人がいる、殿下の婚約候補決めの舞踏会を開くと、王家の勅命がドーリング公爵家に届くも、姉のミミリアは嫌がった。  公爵家から一人娘という言葉に、舞踏会に参加することになった、ドーリング公爵家の次女・ミーシャ。  家族の中で“役立たず”と蔑まれ、姉の身代わりとして差し出された彼女の唯一の望みは――「舞踏会で、美味しい料理を食べること」。  だが、そんな慎ましい願いとは裏腹に、  舞踏会の夜、思いもよらぬ出来事が起こりミーシャは前世、読んでいた小説の世界だと気付く。

これが普通なら、獣人と結婚したくないわ~王女様は復讐を始める~

黒鴉そら
ファンタジー
「私には心から愛するテレサがいる。君のような偽りの愛とは違う、魂で繋がった番なのだ。君との婚約は破棄させていただこう!」 自身の成人を祝う誕生パーティーで婚約破棄を申し出た王子と婚約者と番と、それを見ていた第三者である他国の姫のお話。 全然関係ない第三者がおこなっていく復讐? そこまでざまぁ要素は強くないです。 最後まで書いているので更新をお待ちください。6話で完結の短編です。

婚約破棄?責任を取らされた王太子はホームレスになりました

鷹 綾
恋愛
「真実の愛を見つけた」 そう宣言し、王太子は公爵令嬢である私との婚約を一方的に破棄しました。 隣に立っていたのは、身分違いの平民の娘。 王国中が祝福すると思っていたのでしょう。 ――けれど、貴族は沈黙しました。 なぜならこの国の流通、軍需、財政、その要の多くを握っているのは公爵家だからです。 私は怒鳴りません。 泣きません。 縋りません。 ただ、契約を見直しただけ。 「婚約破棄には、当然、責任が伴いますわよね?」 市場が揺れ、物価が上がり、軍の補給が滞り、王家の実権は静かに崩れていく。 それでも王太子は気づかない。 やがて開かれる評議会。 下される廃嫡。 そして追放。 真実の愛を選んだ王太子は、王冠を失い、家を失い、名前さえ失う。 責任を――取らされたのです。 これは、感情で復讐する物語ではありません。 秩序を守るために、責任を明確にしただけの話。 そして国は、新しい王を迎えることになる。

捨てられた令嬢と、選ばれなかった未来

鍛高譚
恋愛
「君とは釣り合わない。だから、僕は王女殿下を選ぶ」 婚約者アルバート・ロンズデールに冷たく告げられた瞬間、エミリア・ウィンスレットの人生は暗転した。 王都一の名門公爵令嬢として慎ましくも誠実に彼を支えてきたというのに、待っていたのは無慈悲な婚約破棄――しかも相手は王女クラリッサ。 アルバートと王女の華やかな婚約発表の裏で、エミリアは社交界から冷遇され、"捨てられた哀れな令嬢"と嘲笑される日々が始まる。 だが、彼女は決して屈しない。 「ならば、貴方たちが後悔するような未来を作るわ」 そう決意したエミリアは、ある人物から手を差し伸べられる。 ――それは、冷静沈着にして王国の正統な後継者、皇太子アレクシス・フォルベルト。 彼は告げる。「私と共に来い。……君の聡明さと誇りが、この国には必要だ」

あなたへの愛を捨てた日

柴田はつみ
恋愛
公爵夫人エステルは、冷徹な夫レオニスを心から愛していた。彼の好みを調べ、帰宅を待ちわび、献身的に尽くす毎日。 しかし、ある夜会の回廊で、エステルは残酷な真実を知る。 レオニスが、未亡人クラリスの手を取り囁いていたのだ。 「君のような(自立した)女性が、私の隣にいるべきだった」 エステルは悟る。自分の愛は彼にとって「重荷」であり、自分という人間は彼にとって「不足」だったのだと。その瞬間、彼女の中で何かが音を立てて砕け散る。

婚約破棄は構いませんが、私が管理していたものは全て引き上げます 〜成金伯爵家令嬢は、もう都合のいい婚約者ではありません〜

藤原遊
ファンタジー
成金と揶揄される伯爵家の令嬢である私は、 名門だが実情はジリ貧な公爵家の令息と婚約していた。 公爵家の財政管理、契約、商会との折衝―― そのすべてを私が担っていたにもかかわらず、 彼は隣国の王女と結ばれることになったと言い出す。 「まあ素敵。では、私たちは円満に婚約解消ですね」 そう思っていたのに、返ってきたのは 「婚約破棄だ。君の不出来が原因だ」という言葉だった。 ……はぁ? 有責で婚約破棄されるのなら、 私が“善意で管理していたもの”を引き上げるのは当然でしょう。 資金も、契約も、人脈も――すべて。 成金伯爵家令嬢は、 もう都合のいい婚約者ではありません。

婚約破棄してくださって結構です

二位関りをん
恋愛
伯爵家の令嬢イヴには同じく伯爵家令息のバトラーという婚約者がいる。しかしバトラーにはユミアという子爵令嬢がいつもべったりくっついており、イヴよりもユミアを優先している。そんなイヴを公爵家次期当主のコーディが優しく包み込む……。 ※表紙にはAIピクターズで生成した画像を使用しています

処理中です...