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14繁華街
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おばあちゃんは、おばあちゃんなりに一番オシャレして、出かけることに。
「桜、おかしくないか?やっぱり、こっちのほうがいいかね?」
「大丈夫よ。おばあちゃん、良く似合ってる。あ、それとね、おばあちゃんこれから行くところは、掏摸が多いところだから、腹巻の中にお金を入れといたほうがいいわよ。そうか、靴底にでも仕込まないと。」
「へぇ!そんな物騒なところへ行くのかえ?」
「万が一のための用心よ。今日は休日だからね。お腹がポッコリしていたら、かみそりで切られることもあるから、気を付けてね。お札は、なるべく分けて入れておく方が安全よ。」
「桜、ありがとうよ。あたしの身を案じてくれているんだね。じゃあ、千円札を1枚だけ、財布に入れ、後はちょっと身ぐるみ剥がれなければわからないところへしまうよ。」
「それがいいわ。私のカラダは神様の創造物だから、悪意ある人がどうこうできるような代物ではないけど、おばあちゃんは違うからね。」
「はいはい。わかったよ。それでは行こうとするか?」
手を繋いで、地下鉄を乗り継ぎ、繁華街へ出る。さすがに、日曜日だけあって、すごい混雑している。
幸いなことに、祖母の足腰は丈夫なようだ。階段の上がり降りも問題なくできる。
とはいっても、しんどいのは紗々も同じ、やっぱりここは階段ではなくエスカレーターを使う。
さて、どこから見物しようかと、思っていると、突然、前から見たことも聞いたこともないガラの悪そうなヤンキー風の男から
「おーお。東京にもごっつぅマブいスケがおるやんけ。ちょっと、姉ちゃん、俺らと茶ァ、しばきにいかへんか?」
こういう時のおばあちゃんの反応は早く、さっさと、紗々の前に歩み出る。
「ウチの孫にどういったご用件ざんすか?」
「は?このブサイククソババァの孫なわけないやろな?……あ?あれか?息子の嫁が不倫してできた孫か?ギャハハハハ。」
「失礼な!この天下の往来で、何たる無礼な!アータがた、ちょいと警察にでも行きやすかい?」
「なんだとぉ、言わせておけば、ブスババァ!」
チンピラがおばあちゃんに殴りかかってきたので、とっさにおばあちゃんを庇うように前へ回って、抱きしめる。
「ギャァーッ!」
気が付けば、チンピラが目の前にいたはずなのに、10メートルばかり先のビルの壁面にぶつかって口から泡を吹いている。
周囲の通行人を巻き込んだらしく、何人もの人が倒れている。
神の創造物たるカラダだから結界効果でもあるのかしらね。
近くで要人警護があったらしく、警視庁のポリスマンが寄ってきて、
「大丈夫ですか?アナタは勇気のある女性だ。いくらお年寄りを守るためでも、身を挺してチンピラの前に出るとは。我々にでもできないことですよ。」
別の警察官からも事情を聴かれそうになったのだが、上役に当たる人が出てきて、私たちは言いがかりをつけられそうになった被害者だから、とお咎めなしで帰してくれることになったのだが、警察官同士のボヤキが聞こえてきて、
「なんだよ、あんな美人とそうそう喋る機会がないってのにさ。お偉いさんがいいところを見せたいもんだから、格好つけてさ……。」
なんとなく、その場にいづらくなったので、おばあちゃんの手を取り、その場から離れる。
「繁華街ってとこは、物騒なとこだねぇ。でも、ありがとうよ。桜ちゃんが守ってくれて。」
「ううん。おばあちゃんのほうこそ。けがはない?」
おばあちゃんは、その昔、小学校の校長先生をしていたから、悪ガキどもの扱いは慣れている。
だから、あんなチンピラにからまれても、平然としていられたのだ。
「桜、おかしくないか?やっぱり、こっちのほうがいいかね?」
「大丈夫よ。おばあちゃん、良く似合ってる。あ、それとね、おばあちゃんこれから行くところは、掏摸が多いところだから、腹巻の中にお金を入れといたほうがいいわよ。そうか、靴底にでも仕込まないと。」
「へぇ!そんな物騒なところへ行くのかえ?」
「万が一のための用心よ。今日は休日だからね。お腹がポッコリしていたら、かみそりで切られることもあるから、気を付けてね。お札は、なるべく分けて入れておく方が安全よ。」
「桜、ありがとうよ。あたしの身を案じてくれているんだね。じゃあ、千円札を1枚だけ、財布に入れ、後はちょっと身ぐるみ剥がれなければわからないところへしまうよ。」
「それがいいわ。私のカラダは神様の創造物だから、悪意ある人がどうこうできるような代物ではないけど、おばあちゃんは違うからね。」
「はいはい。わかったよ。それでは行こうとするか?」
手を繋いで、地下鉄を乗り継ぎ、繁華街へ出る。さすがに、日曜日だけあって、すごい混雑している。
幸いなことに、祖母の足腰は丈夫なようだ。階段の上がり降りも問題なくできる。
とはいっても、しんどいのは紗々も同じ、やっぱりここは階段ではなくエスカレーターを使う。
さて、どこから見物しようかと、思っていると、突然、前から見たことも聞いたこともないガラの悪そうなヤンキー風の男から
「おーお。東京にもごっつぅマブいスケがおるやんけ。ちょっと、姉ちゃん、俺らと茶ァ、しばきにいかへんか?」
こういう時のおばあちゃんの反応は早く、さっさと、紗々の前に歩み出る。
「ウチの孫にどういったご用件ざんすか?」
「は?このブサイククソババァの孫なわけないやろな?……あ?あれか?息子の嫁が不倫してできた孫か?ギャハハハハ。」
「失礼な!この天下の往来で、何たる無礼な!アータがた、ちょいと警察にでも行きやすかい?」
「なんだとぉ、言わせておけば、ブスババァ!」
チンピラがおばあちゃんに殴りかかってきたので、とっさにおばあちゃんを庇うように前へ回って、抱きしめる。
「ギャァーッ!」
気が付けば、チンピラが目の前にいたはずなのに、10メートルばかり先のビルの壁面にぶつかって口から泡を吹いている。
周囲の通行人を巻き込んだらしく、何人もの人が倒れている。
神の創造物たるカラダだから結界効果でもあるのかしらね。
近くで要人警護があったらしく、警視庁のポリスマンが寄ってきて、
「大丈夫ですか?アナタは勇気のある女性だ。いくらお年寄りを守るためでも、身を挺してチンピラの前に出るとは。我々にでもできないことですよ。」
別の警察官からも事情を聴かれそうになったのだが、上役に当たる人が出てきて、私たちは言いがかりをつけられそうになった被害者だから、とお咎めなしで帰してくれることになったのだが、警察官同士のボヤキが聞こえてきて、
「なんだよ、あんな美人とそうそう喋る機会がないってのにさ。お偉いさんがいいところを見せたいもんだから、格好つけてさ……。」
なんとなく、その場にいづらくなったので、おばあちゃんの手を取り、その場から離れる。
「繁華街ってとこは、物騒なとこだねぇ。でも、ありがとうよ。桜ちゃんが守ってくれて。」
「ううん。おばあちゃんのほうこそ。けがはない?」
おばあちゃんは、その昔、小学校の校長先生をしていたから、悪ガキどもの扱いは慣れている。
だから、あんなチンピラにからまれても、平然としていられたのだ。
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