四度目の正直 ~ 一度目は追放され凍死、二度目は王太子のDVで撲殺、三度目は自害、今世は?

青の雀

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聖女覚醒

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 学園の卒業記念パーティでのこと
 「公爵令嬢シルベーヌ・スフォンス、貴様との婚約を破棄し、愛しの男爵令嬢リリアーヌと、婚約するものとする。貴様は、将来の国母たるリリアーヌを虐めた罪で国外追放処分とする。」この国の王太子アルフォックス・サルマスドが高らかに宣言された。

 国外追放とは、死罪を意味する。国境まで連れられ、そこで縛られたまま放置される。野盗に殺されるか、そのまま飢え死にするか、はたまた野犬や魔物に食い殺される運命しかない。いっそ処刑してもらったほうがマシというほど、過酷な刑だった。

 「わたくしは、虐めなどしておりません。」

 問答無用で、シルベーヌは、目隠しと後ろ手に縛りあげられ、馬車に乗せられ、国境付近で馬車から、降ろされた。

 「おいおい、殺すにしちゃあ、イイ女過ぎて、もったいないぜ。ちょいと、かわいがってやろうぜ。」下種の笑い声がして、目隠しされたまま犯されそうになった。

 冤罪を着せられ、このまま犯され殺されるものと絶望のシルベーヌ、氷点下の寒空にドレスを脱がされ、コルセットを外され、素っ裸の状態で、何人もの男に犯された。

 突然、「わぁっ!」と声が上がり、シルベーヌに跨っていた。男が血濡れで倒れたようだった。まだ目隠しされたままであるから、よくわからないが、どうやら今度は、野盗の連中がやってきたようだった。

 シルベーヌの着ていた立派なドレスのにおいを嗅ぎ、「上玉が手に入ったぜ、売り飛ばす前に俺たちも楽しもうぜ。」述べ20人ぐらいからだろうか、何度も犯され、寒さと護衛の流血で体温を奪われ凍死したまま、放置された。

 翌朝、公爵がシルベーヌを探しに来て、死体を発見し、悲しみに暮れ、亡骸を公爵家へ運んだ。父である公爵は、王太子アルフォックス・サルマスドと刺し違えても無念を晴らそうと王宮に乗り込んだ。

 王宮では、昨夜からシルベーヌの幽霊が出没するようになった。王太子アルフォックス・サルマスドの寝間に裸のシルベーヌが男たちに犯されながらもアルフォックスに跨り、首を絞める。
 国王陛下のもとには、シルベーヌがろうそくの炎を国王の顔や手に近づけた。
 王妃様は、シルベーヌに階段から侍女と共に突き落とされ、首の骨を折って重体で、間もなく死んだ。

 王妃が亡くなったことから、男爵令嬢リリアーヌが掛けていた魅了魔法が解けた。

 国王と王太子は、シルベーヌに泣いて詫びたが、スフォンス公爵は許さず。2人を剣で切り付け、自らも自害して果てた。

-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-

 「お嬢様、気が付かれましたか?」

 気が付けば、公爵家の自室ベッドの上にいた。

  「ここは?今いつですか?」

  「いやですよ、お嬢様、昨日15歳のお誕生日を迎えたばかりでは、ございませんか。王太子アルフォックス殿下がお祝いに来られ、ワインをたくさん召し上がられて気絶されてしまったから、大騒ぎになったんでございますよ。」

 今が15歳、そういえば前世、確かに15歳の誕生日パーティでワインを飲み、気絶したことがあったなぁと思い出した。先ほどまで見ていた夢?前世の記憶?が生々しすぎて、いや、あれは、夢ではない。前世の記憶を思い出してしまったのだ。

 こうしちゃいられないとシルベーヌは、飛び起きた。
 でも、これからどうすべきか、考えた。

 今15歳だから、もう来年の春には、学園に入学し、リリアーヌがやってきて、魅了魔法を使い、婚約破棄され断罪され追放されて、男たちに輪姦されて、凍死という運命が待っている。考えられるのは、魅了魔法を解くことが先決で、そのためには…、とりあえず勉強しよう。お妃教育で、しょっちゅう王宮へ行くのだから、王宮の図書室で勉強しよう。

 その日から、王宮の図書室に籠る日々が続いた。魅了魔法を解くには、魔道具と聖女の聖魔法と王家の血のどれかが必要だとわかった。前世では、王妃が死んだことで王家の血が流れ魅了魔法が解けたことが分かった。魔道具は大変、高価なもので15歳のシルベーヌでは支払えないほどの金額だった。あとは、聖女の聖魔法だけど、そもそもサルマスド王国に聖女は存在しない。手詰まりになった。

 では、リリアーヌは、どうやって魅了魔法を手に入れたのか?前世の記憶では、3年生の前期までは、リリアーヌは、落ちこぼれだった。成績も下から数えたほうが早かった。それが夏休みを過ぎてから、急に成績が上がって、王太子と親しくするようになったのだ。

 そう考えると、たぶん夏休みの間に何かがあって、リリアーヌは魅了魔法を手に入れたことになる。

 魅了魔法は、どうやって手にすることができるのか?ひとつは、持って生まれた才能、もうひとつは、魔女が作る魔道具、これには期限があり、普通は5年経てば消えてなくなるが、
5年後に再び、魔女が欲しがる何かを渡せば、また5年延長できるものらしい。

 魔女が欲しがる何かとは、普通は、若さらしい。一度、魅了魔法を10年分の寿命?若さ?と引き換えにするものらしい。たとえば、18歳で魅了魔法を手に入れるため28歳になり、5年後の33歳に切れて、また若さを渡したら43歳位になる計算だけど、けっこうキツイ?でも魅了魔法が手に入れば、その間、かけられた相手は、23歳にしか見えていないから43歳のオバサンを相手にしていることに気づかないでいる。

 便利なような怖いような魔女との契約、さらに進んで計算してみると、それから5年魅了期間を手に入れたら、実年齢が48歳で若さを渡して58歳、相手は28歳としてしか見えていない。まだ、子供を産める年齢だから夜の営みもあるだろうけど、実年齢58歳の女は、もう産めないね。もうこうなれば詐欺だね。いや、こうならなくても詐欺だけど。

 ずっと、若さを渡し続けたら、33歳で73歳、38歳で88歳。もう渡す前に死んじゃうね。いや、その前に病気で死ぬことになるかもしれない。死んだら魅了魔法が解けるから、もし王太子が30歳の時に王太子妃が病死したら60歳の姿で死ぬことになるね。ビックリする王太子の顔を見てみたい気もするけど、その時は、もう殺された後だから見られないね。

 リリアーヌは、こんな恐ろしい魔法を手に入れてでも王太子妃になりたかったのかと考えると少し哀れになる。いやいや、最後は輪姦されて殺される前世があるシルベーヌは、リリアーヌを同情している暇はない。

 となると、魅了を解除する魔道具を手に入れるしかない。でも、お金がない。仕方なく自分で作るべき、いろいろ学んだ。最初は、ドレスを売ったり宝石を売ったりして、わずかなお金を手に入れ、それで魔法の勉強をしながら魔道具を作っていった。ドレスや宝石を売ったお金では、魔道具を買えないから、作るための下準備の資金にした。魔道具を作るには、膨大な魔力が必要だとわかった。

 学園に入ってからは、父に頼んで、魔術師の家庭教師をつけてもらった。学園帰りには、教会に寄り、神様に祈りを捧げ続けた。祈りを捧げることにより、聖なる力が魔力として蓄えられると、家庭教師が教えてくれた。

 みるみるうちに時間が過ぎて、シルベーヌは学園で3年生になっていた。
 今日は、18歳の誕生日、王太子殿下がまたワインをもって、お祝いに駆けつけてくれた。

 シルベーヌは、15歳の誕生日にワインを飲んで気絶して以来、家族から飲酒禁止令が出ている。王太子アルフォックス殿下は、自分のためにワインを持ってくるのだ。それも3本も飲まれる。王太子の飲み過ぎも困ったもので、王宮では、普段5本飲んでいるからこれぐらいでは酔わないと、豪語している。

 その日も、大層お酒を召し上がって、上機嫌で帰られた。
 シルベーヌのほうは、もう少しで魔道具が完成するまでになった。

 夏休み、公爵家の領地で避暑を兼ね過ごした。最後の最後、何か足りない、それさえあれば魔道具は完成する。その何かがわからないまま、夏休みが終わりかけていた。最後の領地になるかもしれないので、この日シルベーヌは、馬で遠出をした。あたり一面珍しい花々が咲き誇っているところに出た。

 「ここは…?」
 とりあえず、あまりの見事な景色にしばし、茫然としていたシルベーヌだが、その一輪を摘んだところ、「!」その花が一瞬光り輝いた。

 これで魔道具が完成できる!なぜか、そう思い嬉しくて、何輪か摘んで、持ち帰ったその夜、魔道具が完成した。
 「やった!これで死なずに済むわ。」

 夏休みが過ぎ、学園に戻ったら、リリアーヌ嬢がやっぱり変である。リリアーヌ嬢のカラダから黒い煙のようなものが立ち込めている。でも、誰もそのことに気づかない。

 教室で、魔道具を発動した。
 すると、誰の目にもリリアーヌ嬢の黒い煙が見えた。

 「リリアーヌ嬢、あなたのカラダから黒い煙が立ち込めていますよ。やけどでもなさっているのでは?」と生徒からも教師からも、声がかかり医務室へ連れていかれた。

 黒い煙は、魅了魔法を使ったせいだとわかって、リリアーヌ嬢は、獄門台に送られた。
サルマスド王国は、魅了魔法は禁忌魔法で、使っただけで、獄門台送りと決まっている。

 こうして、半年が過ぎ、いよいよ卒業記念パーティが行われた。
 シルベーヌは、王太子アルフォックス・サルマスド殿下に愛を囁かれながら、エスコートされた。

 卒業式の翌日は、結婚式である。
 シルベーヌは、婚約破棄も断罪も追放も輪姦されることも殺されることもなく、幸せだった。やっと幸せを掴めたと思った。

 ところがだ、初夜の時、王太子がワインを飲み過ぎて酔いつぶれてしまった。
 次の夜もその次の夜も、「はぁ?」いつになったら、本当の王太子妃になれるのだろうか?

 その気持ちは王太子自身にもあって、前は5本ぐらいでは酔わなかったのに、ひょっとしたらシルベーヌの色香に酔ってしまっているのではないかと焦った。

 そして、ついにその夜、禁酒して成就しました。

 それからしばらく、禁酒して励んでいたら、シルベーヌがご懐妊した。

 今夜から、また飲めるといつも以上に王太子が飲むようになった。
 ワイン10本ぐらい平気で煽るように飲んだ。だんだん目が座り、腹が立ってきた。

 シルベーヌの寝室へ行き、シルベーヌを乱暴に抱いた。
 「やめて!赤ちゃんが!」

 しかし王太子アルフォックスは異常な興奮を覚え、止まらなくなった。

 次の夜も酒を飲んでは、シルベーヌを乱暴に抱く。そのまた次の夜もだ。

 シルベーヌは怖くなり、王妃に相談して、実家の公爵家で出産することになり、王宮を出た。
 1年後、無事、王子を出産した。シルベーヌは、王宮に戻ったが、王太子アルフォックスの酒癖の悪さは前以上に悪化していた。シルベーヌを乱暴に抱くだけでなく、その前後に暴力を振るうようになった。シルベーヌの顔は見るも無残に腫れあがり、ついには、王太子の暴力で殴り殺された。

-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-

 「お嬢様、気が付かれましたか?」

 気が付けば、公爵家の自室ベッドの上にいた。

 「ここは?今いつですか?」

 「いやですよ、お嬢様、明日は学園の卒業式ではございませんか。」

 ええ!また、戻ってしまったの?しかも明日、卒業式だなんて、リリアーヌの魅了魔法を解かないうちに!卒業式は、断罪に決まっている。

 こうしちゃいられないとシルベーヌは、飛び起きた。
 でも、これからどうすべきか、考えた。
 あした、卒業式で断罪されるか、断罪されずに結婚しても子供を産めば、王太子の暴力が待っている。いずれにせよ、死が待っているのだ。

 翌日、卒業式後の記念パーティが行われた。
 婚約者である筈の王太子のエスコートはなく、一人さみしく会場に向かった。

 「公爵令嬢シルベーヌ・スフォンス、貴様との婚約を破棄し、愛しの男爵令嬢リリアーヌと、婚約するものとする。貴様は、将来の国母たるリリアーヌを虐めた罪で国外追放処分とする。」この国の王太子アルフォックス・サルマスドが高らかに宣言された。

 「はい、承知しました。今までありがとうございました。」
 シルベーヌは、その場で隠し持っていたナイフで頸動脈を斬り、果てた。

 国外追放になれば、また国境付近で野盗に輪姦され殺されるからだ。

 記念パーティの会場内は、騒然とした。
 医療班がすぐ手当てをしたが、間に合わず絶命したことが確認された。
 シルベーヌは、公爵令嬢なので王族の一員だ。王族の血は、魅了魔法の解除のカギとなる。
 
 たちまち、男爵令嬢リリアーヌのカラダから黒い煙が立ち込めた。正気に戻った王太子は、嘆き悲しみ、その場でリリアーヌを成敗した。

 シルベーヌの父スフォンス公爵がよばれ、亡骸が引き取られた。
 翌日、本来なら結婚式になるはずの晴れの日、スフォンス公爵は、返り討ちになることも厭わず、王宮へシルベーヌの無念を晴らしに出かけた。国王陛下と王太子が、泣いて謝罪したがスフォンス公爵は、許さず2人を切り殺してから自ら自害した。

-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-

 「お嬢様、気が付かれましたか?」

 気が付けば、公爵家の自室ベッドの上にいた。

 「ここは?今いつですか?」

 「いやですよ、お嬢様、昨日3歳のお誕生日を迎えたばかりでは、ございませんか。お誕生日の日にはしゃぎすぎて、庭の木から落ちてしまわれて、大騒ぎになったんでございますよ。」

 また、戻ったんだ。でも、今度は3歳。婚約者候補になる前に戻れた。嬉しい。これから一生懸命勉強して魔道具を作り、毎日、教会へお祈りに行って、魔力を充分に貯めることができる。考えただけでワクワクした。今度こそ幸せな人生が送れる、そう思うだけで、力がみなぎる思いがした。

 毎日、シルベーヌは教会へ行き、魔力を地道に貯めた。

 そして、あっという間に5歳になり、王子アルフォックス・サルマスドの婚約者候補を選ぶ会が開かれた。

 その日は、朝から仮病を使って、シルベーヌは欠席した。この日、欠席さえすれば選ばれることがないと思っていたからだ。

 王子の婚約者候補は、だれも選任されず、次回へ持ち越しとなった。運命は変えられないのかと諦めかけた。シルベーヌが頑として、婚約者候補にならないと言い張ったがためである。

 時は過ぎても、王子の婚約者候補は誰にも決まらなかった。
 王子アルフォックス・サルマスドも、シルベーヌ以外の令嬢を婚約者候補にしたがらないため、難航に難航して、とうとう15歳の誕生日を迎えるにあたった。

 シルベーヌの魔力はもう十分すぎるほど膨大なものになっていたが、シルベーヌはそのことを誰にも言わず、というか王国に知られたら、否応なしに王太子の婚約者にさせられるから、黙って時が過ぎるのを待った。

 15歳の誕生日に、シルベーヌは父に頼みごとをした。今までオモチャでもドレスでも宝石もなにひとつ欲しがらなかったシルベーヌの願いに、公爵は頷かざるを得なかった。

 それは、外国へ留学するということだった。今のまま、学園に入学しても、またリリアーヌに魅了魔法をかけられ、追放で殺されるか、魅了を解除しても王太子と結婚させられて殴り殺されるか、二つに一つである。前世みたいに自害するという手もあるけど、それなら何のために今まで生きてきたのかさえ判らなくなる。

 外国へ留学する前に王家から、王太子との婚約の打診があったが、ここでも頑として断った。

 目指すは、隣国エダベスト王国の王立学院である。その入試に合格した。

 「これで、新しい人生が始まる。」

 そして、シルベーヌは単身、隣国へと旅立った。

 隣国では、留学生のための寮が完備されている。
 寮には、食堂も備わっていて、いつでも焼き立てパンや温かい料理が食べられた。

 はじめての一人暮らしに心躍った。

 入学式終了後に、この学院では、魔力測定のため男女を問わず、誰でも水晶玉に手をかざすことが決まっている。水晶玉の判定で、魔術師になるものや騎士になるもの、学者になるものと学科に振り分けられる。

 シルベーヌは3歳から今まで1日も欠かさず教会に通い詰めていたから、おそらく魔術師学科になるものと思っていた。

 シルベーヌの番が来た。
 シルベーヌは、水晶玉に手をかざしたら、水晶玉が7色に輝き、その後金色になり、輝き続けた。その光は、学院のみならず、王都じゅうを照らし続けた。
 水晶玉の色は、魔力の属性を示し、金色は聖女の色だった。

 学院は、大騒ぎになった。隣国サルマスド王国の公爵令嬢が聖女認定され、しかもサルマスド王国、エダベスト王国始まって以来の聖女誕生であったのだから。

 金色が聖女の色と言われても、シルベーヌにはピンとこない。なぜなら、前々世で領地の果てのお花畑で花を摘んだ時、金色に光り輝いたからだ。あの時は、魅了魔法を解除するための魔道具の材料として摘んだものだったが、もし、あの時、聖女だったのなら、なぜその後、王太子のDVで殺されたのだろう。

 もう何が何やらわからないまま、「聖女様」として崇められた。

 卒業するまでの3年間、寮の中で王族しか使われない特別貴賓室があてがわれた。護衛騎士も常に5人、それと側付き侍女が3人と物々しい警備態勢が布かれた。

 シルベーヌが聖女認定されたことは、エダベスト王国、サルマスド王国、そして、スフォンス公爵家へと伝えられた。

 サルマスド王国は、我が国の公爵令嬢が聖女になったのだから、我が国に聖女は属すものと所属権を訴えた。
 エダベスト王国は、王立学院で聖女覚醒されたのだから、聖女はエダベスト王国に属するものとして、こちらも所属権を訴えた。


 両国が聖女様の所属権を主張したため、一触即発、戦争になりそうになったが、聖女様がどちらの国に属するかは、聖女様が卒業されてから、聖女様のご意思で判断するべきものということで、一応落ち着いた。

 聖女様誕生の祝賀会が、聖女欠席のままサルマスド王国で開催され、スフォンス公爵が代理で主賓となった。

 聖女様覚醒の祝賀会が、シルベーヌ主賓の元、エダベスト王国で開催され、世界中からの王族がお祝いに駆けつけた。
 一目聖女様を見ようという者、縁談を持ち込むもの、様々な反響があった。

 シルベーヌは、というと相変わらず毎日、教会へ行き続けている。魔力を増やすためであるが、そんなことを知らない周りの者は、敬虔な信者だから聖女様なのだ。とか勝手に理屈をつけ納得している。

 もう魔道具に頼らなくても、シルベーヌの聖魔法だけで、魅了魔法ぐらいすぐ解除できるようには、なったけれど、習慣というものは、恐ろしいもので、一日でも教会に行かない日があると落ち着かなくて、日が暮れてからでも祈りを捧げに行く。

 学院の授業が始まったが、聖女学科なる科がないので、好きな学科を選べと言われたけれど、とりあえず魔法学科に入った。

 魔法学科では、魔力の量の席次順で、シルベーヌは常に一番、なんせ3歳児から魔力量を意識して増やしてきたものだから、同い年の何もしていなかった子とは、差が合って当然である。

 同じ教室には、エダベスト王国の貴族の子がいて、明らかにシルベーヌに対してライバル心むき出しで張り合ってこられて、正直迷惑だった。別に仲良くしたいとは思わないけど、サルマスド王国の学園ぐらいのフレンドリーさが欲しいところだ。

 ある火魔法の授業で実地訓練の時、明らかに命を狙われたことがあった。大量の火魔法がシルベーヌに向けて発射された。幸い、護衛騎士がいたから、バリアで防いでもらったけど、もしバリアの発動が遅れたら、と思うと怖い。

 学院にすぐさま、そのことが報告され、魔法学科全員の退学が決まった。ひとりで魔法学科に残るのも忍びないので、今度は、学者学科に行った。

 学者学科は、見事に変人ばかりであった。
 他人のことはどうでもいい、という連中ばかりだったので、ある意味気が楽だった。ライバル心も持たれないし、必要以上に干渉されない。そうこういうのもいいかもしれない。

 ただし、学者学科に進学してしまったから、3年では卒業できない。大学、大学院と進学しなければならないことが決まった瞬間だった。

 最低でも、この連中と9年間は、共に学ばなければならなくなったのは、苦痛になるかもしれない。焼き殺されるよりマシか、と思うことにした。




 一気に書き上げるつもりでしたが、ちょっと無理そうなので、また、続きは明日。

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