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ジャック・モーガン侯爵家の3男坊。
某国ことアビゲイル王国の諜報部員。
モーガン侯爵家の家督を継げるものは、長男だけで、すぐ上の兄は、悲しがなし母の実家を継いだ。だが、ジャックは、一文無しで追い出される運命にあった。
貴族家の3男なんて、皆こんなものが関の山というところ。次男は、長男のスペアで、3男に至っては、長男、次男の補欠という立場でしかない、役立たずと幼いころから言われ続けている存在。それでも、剣術の稽古だけは、父からうるさく仕込まれた。
もし、敵が襲来した時、それが侯爵(父)や長男(令息)の身に危険が及ぶことになった時、真っ先に目の前に飛び込んで、盾となるべき存在。ジャックがやられている間に、自分たちは安全な場所に避難する。それが3男坊の唯一の役目だからだ。
他の貴族家の3男坊は、というと、格下でも貴族家の令嬢と恋仲になるか、もしくは、その家の騎士団に入り、将来、出世することができれば、まだ日の目を見ることもできるだろう。
あるいは、貴族令嬢の婚約者に納まり、その貴族家を継ぐ婿殿にでもなれば、安泰というもの。
あいにくジャックの容姿では、それらのいずれにも当てはまらないほど、見た目が悪かった。
強いて言えば、剣術の腕前だけが秀でているということだけ。ごつごつとした体つきは、貴族とは思えなく、肉体労働者そのもので、顔もお世辞にも美男とは程遠い。
王国の諜報部が拾わなかったら、平民の冒険者になるしかなかったという。
モーガン侯爵は、3男を冒険者風情にするには、自身のプライドが許せない。冒険者の嫁は、平民の娘と相場が決まっている。まして将来は、平民と縁続きになるなど、もってのほかというわけで、無理やり、諜報部を説得して、自分のコネで3男を諜報部にねじ込ませた。
諜報部にとっては、貴族の3男坊と思えないぐらいジャックの容姿は、厳ついので、面接して、即決した。
諜報部の思惑通り、ジャックは、何にでもなれた。七変化とまで?は行かないが、ギャングのボスから、下っ端のチンピラ、鍛冶屋、冒険者、酔っ払い、ゴロツキ、御者に至るまで、難なくこなせる。
いつでもアビゲイル国にとり、有益な情報を探ってきてくれる頼もしい存在だったのだが、ここのところののぼせ上りに、ほとほと困っている。
ブ男ジャックの存在は、王族では知らないものがいないほど、知れ渡っているし、モーガン家の三男坊は、ブサイクだが剣の腕前は確かで、無骨な男だと。
一時は、王女の婿にという話まで出たが、王女が嫌がったため、話は流れたが身は軽く誠実な男だと評判は悪くない。
その噂は、ジャックにとって、勲章だったはずなのに、今では聖女様一筋の男になり、誰も諫められない。というか、ジェミニ国に行ってから、一度も舞い戻ってこない。もっとも、一度目に戻ってきたときはガセネタを掴まされたようで、ずいぶん悔しがっていたので、なおさら戻ってこないのだろうと、その時は思われていたから。
そんなジャックが、そこまでほれ込んだ聖女様とは、どんな女性だろう?ジャックからの報告では、慈愛に満ちていて、生きとし生けるものが幸福感を味わえている。というような、抽象的な報告で、あの朴念仁を骨抜きにする女性への興味が高まっていく。
そして、ついにアビゲイル王国が、聖女様との縁談に前向きになりだした。あまりにも、ジャックの報告が蝶よ花よ、としていたにもかかわらず。それにあわよくば、ジェミニ王国を乗っ取ってしまうチャンス到来と捉えたようだった。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
今日は、聖女様自らが採取班に加わるという。
実のところ、スカーレットは、新しい美容液の開発に行き詰まり悩んでいた。こういう時は、外へ出て、ピクニックでもしたい気分。でも、他のみんなが働いているのに、スカーレットだけが楽しむのは、気が重い。
そこで、採取にかこつけた息抜きをしようとしている。
ジャックは、今まで遠目でしか見たことがなかった聖女様を初めて間近に見られるということで、朝からそわそわしている。
料理長にお弁当を作ってもらい、気分は、ピクニック同然。でも、表向き採取だから、気を引き締めて、と同時に顔を引き締めて、ニヤニヤする気持ちを抑え込む。
グリコール酸にサリチル酸を配合して、できればトラネキサム酸も欲しいところで、それに見合う薬草が見つからないのだ。
コラーゲンやヒアルロン酸、アスコルビン酸などは、匹敵する薬草を運よく見つけられたから開発が進めたけど、だいたい、それを薬草からでしか抽出できないなんて、この世界は不便なこと、極まりがない!
憤慨しても仕方がないので、薬草採取を第一の目的として、第二は気分転換、第三は、リクレーションという順番で、久しぶりに外出することにしたのだ。
まあ、いざとなれば、聖女様の力を遣って、薬草なんて、草花を掛け合わせて、適当に作ってしまえるけど、それではリフレッシュができない。
それにしても聖女様の力って、便利よね。前々世から、この力があれば、良かったのにとさえ思ってしまう。
草花の成長促進というチートスキル?かどうかはわからないけど、とにかく手を翳して祈りさえすれば、食物はぐんぐん成長する。
それで、最近は、元々ジェミニには、なかった食物、例えばコーヒー豆やカカオまで栽培するようになり、チョコレートを使ったお菓子が出回るようになり、経済が爆発的に発展した。
某国ことアビゲイル王国の諜報部員。
モーガン侯爵家の家督を継げるものは、長男だけで、すぐ上の兄は、悲しがなし母の実家を継いだ。だが、ジャックは、一文無しで追い出される運命にあった。
貴族家の3男なんて、皆こんなものが関の山というところ。次男は、長男のスペアで、3男に至っては、長男、次男の補欠という立場でしかない、役立たずと幼いころから言われ続けている存在。それでも、剣術の稽古だけは、父からうるさく仕込まれた。
もし、敵が襲来した時、それが侯爵(父)や長男(令息)の身に危険が及ぶことになった時、真っ先に目の前に飛び込んで、盾となるべき存在。ジャックがやられている間に、自分たちは安全な場所に避難する。それが3男坊の唯一の役目だからだ。
他の貴族家の3男坊は、というと、格下でも貴族家の令嬢と恋仲になるか、もしくは、その家の騎士団に入り、将来、出世することができれば、まだ日の目を見ることもできるだろう。
あるいは、貴族令嬢の婚約者に納まり、その貴族家を継ぐ婿殿にでもなれば、安泰というもの。
あいにくジャックの容姿では、それらのいずれにも当てはまらないほど、見た目が悪かった。
強いて言えば、剣術の腕前だけが秀でているということだけ。ごつごつとした体つきは、貴族とは思えなく、肉体労働者そのもので、顔もお世辞にも美男とは程遠い。
王国の諜報部が拾わなかったら、平民の冒険者になるしかなかったという。
モーガン侯爵は、3男を冒険者風情にするには、自身のプライドが許せない。冒険者の嫁は、平民の娘と相場が決まっている。まして将来は、平民と縁続きになるなど、もってのほかというわけで、無理やり、諜報部を説得して、自分のコネで3男を諜報部にねじ込ませた。
諜報部にとっては、貴族の3男坊と思えないぐらいジャックの容姿は、厳ついので、面接して、即決した。
諜報部の思惑通り、ジャックは、何にでもなれた。七変化とまで?は行かないが、ギャングのボスから、下っ端のチンピラ、鍛冶屋、冒険者、酔っ払い、ゴロツキ、御者に至るまで、難なくこなせる。
いつでもアビゲイル国にとり、有益な情報を探ってきてくれる頼もしい存在だったのだが、ここのところののぼせ上りに、ほとほと困っている。
ブ男ジャックの存在は、王族では知らないものがいないほど、知れ渡っているし、モーガン家の三男坊は、ブサイクだが剣の腕前は確かで、無骨な男だと。
一時は、王女の婿にという話まで出たが、王女が嫌がったため、話は流れたが身は軽く誠実な男だと評判は悪くない。
その噂は、ジャックにとって、勲章だったはずなのに、今では聖女様一筋の男になり、誰も諫められない。というか、ジェミニ国に行ってから、一度も舞い戻ってこない。もっとも、一度目に戻ってきたときはガセネタを掴まされたようで、ずいぶん悔しがっていたので、なおさら戻ってこないのだろうと、その時は思われていたから。
そんなジャックが、そこまでほれ込んだ聖女様とは、どんな女性だろう?ジャックからの報告では、慈愛に満ちていて、生きとし生けるものが幸福感を味わえている。というような、抽象的な報告で、あの朴念仁を骨抜きにする女性への興味が高まっていく。
そして、ついにアビゲイル王国が、聖女様との縁談に前向きになりだした。あまりにも、ジャックの報告が蝶よ花よ、としていたにもかかわらず。それにあわよくば、ジェミニ王国を乗っ取ってしまうチャンス到来と捉えたようだった。
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今日は、聖女様自らが採取班に加わるという。
実のところ、スカーレットは、新しい美容液の開発に行き詰まり悩んでいた。こういう時は、外へ出て、ピクニックでもしたい気分。でも、他のみんなが働いているのに、スカーレットだけが楽しむのは、気が重い。
そこで、採取にかこつけた息抜きをしようとしている。
ジャックは、今まで遠目でしか見たことがなかった聖女様を初めて間近に見られるということで、朝からそわそわしている。
料理長にお弁当を作ってもらい、気分は、ピクニック同然。でも、表向き採取だから、気を引き締めて、と同時に顔を引き締めて、ニヤニヤする気持ちを抑え込む。
グリコール酸にサリチル酸を配合して、できればトラネキサム酸も欲しいところで、それに見合う薬草が見つからないのだ。
コラーゲンやヒアルロン酸、アスコルビン酸などは、匹敵する薬草を運よく見つけられたから開発が進めたけど、だいたい、それを薬草からでしか抽出できないなんて、この世界は不便なこと、極まりがない!
憤慨しても仕方がないので、薬草採取を第一の目的として、第二は気分転換、第三は、リクレーションという順番で、久しぶりに外出することにしたのだ。
まあ、いざとなれば、聖女様の力を遣って、薬草なんて、草花を掛け合わせて、適当に作ってしまえるけど、それではリフレッシュができない。
それにしても聖女様の力って、便利よね。前々世から、この力があれば、良かったのにとさえ思ってしまう。
草花の成長促進というチートスキル?かどうかはわからないけど、とにかく手を翳して祈りさえすれば、食物はぐんぐん成長する。
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