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レオナルドが留学しているのは、隣国フルダイヴの北側にあるシノビーという街の学園であったのである。
レオナルドは、父からの連絡事項を学園長に伝え、学園長から街を治める領主、国王陛下へと順にあげて行ってもらうことにしたのである。
国王陛下は、聖女様ご一行を歓迎するとの声明を出し、今や遅しと聖女の到来を待っているのだが、街ひとつやってくることに気づかないでいる。
それに気づいていないのは、レオナルドも同じで、まさか自分の義理の妹が女神様だと知らずにいるからである。
先鋒として、公爵家の執事が見に行くことになるのであるが、どうせならゴールデニアが一緒に行った方がいいということになる。そうなると黙っていないのが、お母様である。お母様にとって、ゴールデニアは、娘以上の娘であるから、一緒に行く。といってきかない。
お母様が行くのなら、お付きの侍女長も「わたくしも行かねばなりません。」という始末。
結局、公爵家の使用人、全員で見に行くことになったのである。お父様は?ひとり公爵邸にいても仕方がないので、やはり一緒に行くことになったのである。
女神様と一緒にいたほうが何かと安心だからという理由で。
ゴールデニアは、心の中にいる兄レオナルドの姿を思い浮かべてから、母と手を繋いで思い切って飛んだ。見事、レオナルドの学園の寮に着く。あとの交渉は、母に任せ、いったんグレジオラに戻り、残りの人間全部を転移魔法で運ぶ。相当な大人数であるけど、大丈夫?
母は、寮長にレオナルドと会わせろ、と迫っていた。あの虚弱な病弱な母だとは思えない剣幕で。
ゴールデニアが女神と顕現してから実に母は逞しくなったものだと思う。
寮長が学園長からの連絡で、無事、レオナルド兄さまに会えましたわ。レオナルドは、こんなに大挙して、やってくるとは思っていなかったらしく目を白黒させているが、国王陛下から歓迎しますとの言質を取ってあるから、全員をいったん学園の講堂に入れる。
学園長はすぐに国王陛下に連絡を取り、「今、お着きになられました。」
「本当にここに住んでもよろしいのでしょうか?」
「かまいませんとも、聖女様がお住まいになられるのでしたらフルダイヴ国は、歓迎いたします。」
「それでしたら、この近くにできれば大きな湖、いえ海の上などございますでしょうか?」
「え?海ではなく?海の上?」
「はい。祖国から領土を持ってきたいので、海の上のほうがお邪魔にならないかと思います。」
「はぁ。」学園長は、首をかしげながらも海のある場所を教えてくれる。
ゴールデニアは、すぐグレジオラ領へ取って返し、領地ごと海の上に広げる。海は見事に埋め立てられ、さっきまでここが海だったとは、誰も信じられないぐらい立派な陸地となったのである。
グレジオラ領があった場所は巨大なクレーターができていて、底なしであったから、誰もそこへ近づくことさえできない。
祖国の王家では、グレジオラが国を捨てたことを知る。もうこの国は終わりだ。バカ・ブルータスと阿婆擦れリリアーヌのせいで!
国王陛下は、サルバカラ公爵を呼び、リリアーヌの氷像を引き取らせることにしたのである。サルバカラは自ら抱きかかえずに、護衛の騎士に抱きかかえさせたので、溶けるはずもない。途中、柱のあちこちにぶつけて、ほとんど折れてしまったのである。もしも人間の姿に戻ったとしても、後、大変だろうな、というような姿になってしまったのである。
ブルータスの氷像は、というと邪魔になるのでお湯をかけて溶かしてしまったらしい。ご愁傷様。
それにしても腹が立つ。グレジオラのいたところすべてに火をかけよ。とさらなる不幸が起こることも知らずに腹立ちまぎれに火をかけてしまった結果、穴の底からマグマが噴出してしまい、氷の国が火の国に早変わりして、全員焼死してしまったらしい。
フルダイヴ国王陛下が、っ聖女様が来られたという連絡を受け、急遽、シノビー街へやってこられるも、こんなところに街があったか?と言われるような立派な街が海の上に広がっていたのである。
これもすべて聖女様の力であるとすんなり信じて、
「ウチの息子の婚約者になってもらえないだろうか?」
また、縁談が来たので、辟易しているゴールデニア。
「わたくしは、みなしごでグレジオラの父と母に拾われて現在に至っておりますれば、その儀はお断りしたく存じます。」
「聖女様なれば、孤児であるなど、些細な事、どうか我が息子と婚約してほしい。」
「わたくしには、心に思う殿方がいらっしゃいますので、お断りさせていただきとう存じます。」
「「「「「ええ??」」」」」
その場にいた全員が顔を見合わせる。
嘘はついていない、ゴールデニアには密かに思いを寄せる殿方がいるのだ。相手はちゃんとした人間である。
仕方なく国王陛下が帰られた後、質問攻めにあう。
「ゴールデニアちゃんの思い人って、どなたのことかしら?教えて。」
「うふふ。まだ今は内緒です。」
「わたくしの知っている人かしら?それとも?」
ゴールデニアは、頑として口を割らない。だってまだ相手に思いを伝えていないんだもん。
ここで喋って、相手から振られたら格好悪い。だから、内緒にしています。
それから程なくして、海の上に勝手に領地を展開した聖女様率いるグレジオラ領は、本当にグレジオラ領となり、父はフルダイヴ国でも公爵の位を授与されたのである。
まだフルダイヴ国では、ゴールデニアのことを「聖女様」としか認識していない。
レオナルドは、父からの連絡事項を学園長に伝え、学園長から街を治める領主、国王陛下へと順にあげて行ってもらうことにしたのである。
国王陛下は、聖女様ご一行を歓迎するとの声明を出し、今や遅しと聖女の到来を待っているのだが、街ひとつやってくることに気づかないでいる。
それに気づいていないのは、レオナルドも同じで、まさか自分の義理の妹が女神様だと知らずにいるからである。
先鋒として、公爵家の執事が見に行くことになるのであるが、どうせならゴールデニアが一緒に行った方がいいということになる。そうなると黙っていないのが、お母様である。お母様にとって、ゴールデニアは、娘以上の娘であるから、一緒に行く。といってきかない。
お母様が行くのなら、お付きの侍女長も「わたくしも行かねばなりません。」という始末。
結局、公爵家の使用人、全員で見に行くことになったのである。お父様は?ひとり公爵邸にいても仕方がないので、やはり一緒に行くことになったのである。
女神様と一緒にいたほうが何かと安心だからという理由で。
ゴールデニアは、心の中にいる兄レオナルドの姿を思い浮かべてから、母と手を繋いで思い切って飛んだ。見事、レオナルドの学園の寮に着く。あとの交渉は、母に任せ、いったんグレジオラに戻り、残りの人間全部を転移魔法で運ぶ。相当な大人数であるけど、大丈夫?
母は、寮長にレオナルドと会わせろ、と迫っていた。あの虚弱な病弱な母だとは思えない剣幕で。
ゴールデニアが女神と顕現してから実に母は逞しくなったものだと思う。
寮長が学園長からの連絡で、無事、レオナルド兄さまに会えましたわ。レオナルドは、こんなに大挙して、やってくるとは思っていなかったらしく目を白黒させているが、国王陛下から歓迎しますとの言質を取ってあるから、全員をいったん学園の講堂に入れる。
学園長はすぐに国王陛下に連絡を取り、「今、お着きになられました。」
「本当にここに住んでもよろしいのでしょうか?」
「かまいませんとも、聖女様がお住まいになられるのでしたらフルダイヴ国は、歓迎いたします。」
「それでしたら、この近くにできれば大きな湖、いえ海の上などございますでしょうか?」
「え?海ではなく?海の上?」
「はい。祖国から領土を持ってきたいので、海の上のほうがお邪魔にならないかと思います。」
「はぁ。」学園長は、首をかしげながらも海のある場所を教えてくれる。
ゴールデニアは、すぐグレジオラ領へ取って返し、領地ごと海の上に広げる。海は見事に埋め立てられ、さっきまでここが海だったとは、誰も信じられないぐらい立派な陸地となったのである。
グレジオラ領があった場所は巨大なクレーターができていて、底なしであったから、誰もそこへ近づくことさえできない。
祖国の王家では、グレジオラが国を捨てたことを知る。もうこの国は終わりだ。バカ・ブルータスと阿婆擦れリリアーヌのせいで!
国王陛下は、サルバカラ公爵を呼び、リリアーヌの氷像を引き取らせることにしたのである。サルバカラは自ら抱きかかえずに、護衛の騎士に抱きかかえさせたので、溶けるはずもない。途中、柱のあちこちにぶつけて、ほとんど折れてしまったのである。もしも人間の姿に戻ったとしても、後、大変だろうな、というような姿になってしまったのである。
ブルータスの氷像は、というと邪魔になるのでお湯をかけて溶かしてしまったらしい。ご愁傷様。
それにしても腹が立つ。グレジオラのいたところすべてに火をかけよ。とさらなる不幸が起こることも知らずに腹立ちまぎれに火をかけてしまった結果、穴の底からマグマが噴出してしまい、氷の国が火の国に早変わりして、全員焼死してしまったらしい。
フルダイヴ国王陛下が、っ聖女様が来られたという連絡を受け、急遽、シノビー街へやってこられるも、こんなところに街があったか?と言われるような立派な街が海の上に広がっていたのである。
これもすべて聖女様の力であるとすんなり信じて、
「ウチの息子の婚約者になってもらえないだろうか?」
また、縁談が来たので、辟易しているゴールデニア。
「わたくしは、みなしごでグレジオラの父と母に拾われて現在に至っておりますれば、その儀はお断りしたく存じます。」
「聖女様なれば、孤児であるなど、些細な事、どうか我が息子と婚約してほしい。」
「わたくしには、心に思う殿方がいらっしゃいますので、お断りさせていただきとう存じます。」
「「「「「ええ??」」」」」
その場にいた全員が顔を見合わせる。
嘘はついていない、ゴールデニアには密かに思いを寄せる殿方がいるのだ。相手はちゃんとした人間である。
仕方なく国王陛下が帰られた後、質問攻めにあう。
「ゴールデニアちゃんの思い人って、どなたのことかしら?教えて。」
「うふふ。まだ今は内緒です。」
「わたくしの知っている人かしら?それとも?」
ゴールデニアは、頑として口を割らない。だってまだ相手に思いを伝えていないんだもん。
ここで喋って、相手から振られたら格好悪い。だから、内緒にしています。
それから程なくして、海の上に勝手に領地を展開した聖女様率いるグレジオラ領は、本当にグレジオラ領となり、父はフルダイヴ国でも公爵の位を授与されたのである。
まだフルダイヴ国では、ゴールデニアのことを「聖女様」としか認識していない。
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