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ゴールデニアは知らなかったのだ。ゴールデニアが大海原に祖国からグレジオラ領の土地ごとを丸ごと出現させたことにより、周辺諸国では、その陸地?の領有権ともいうべきか?もとは海だったのだから、領海権ともいうべきかをめぐって、新たな火種になっていることを。
その陸地は聖女様の力で出現させたものらしいという噂に尾ひれがついて、いや、聖女様ではなく女神様だとか?ハイ、女神ですが何か?と言っている場合ではない。
とにかくゴールデニアとその陸地のせいで、聖女様奪取の動きが勃発しているのである。
やっぱり瀬戸内海のような狭いところに無理やり形を変えて押し込んだのがいけなかったかしら?
いやいや、そういう問題ではない。ゴールデニアが出現させた陸地は肥沃な大地であって、年がら年中、好天に恵まれるという土地であったのだから、誰もが喉から手が出るほど欲しい大地なのである。
フルダイヴ王国では、対応に追われている。周辺諸国から、聖女様とその土地をよこせと言ってこられて、ホトホト困っているのである。
フルダイヴ王国は、それほどの大国ではない。小さい国なのである。だから今までは、周辺諸国とのバランスが取れていたのである。
このままでは、フルダイヴ国に迷惑をかけることになってしまう。どうしたものやら?新天地を求めてまたさまようべきなのか?
「第1回 グレジオラ領有権についての説明」
参加者は周辺諸国の幹部とフルダイヴ国王、外務大臣など幹部である。
話し合いは平行線をたどり、そもそもなぜ聖女様が、フルダイヴ国へ参られた彼の説明も必要になった。
そこで父公爵がその場に呼ばれ、説明をすることになったのである。
グレジオラ公爵は、とりあえず自治区としての立場を強調したが、各国首脳は納得しない。
仕方なしに、グレジオラ公爵は娘のゴールデニアを呼ぶことにしたのである。本人から説明させる方が手っ取り早い、何より百聞は一見に如かず。である。
呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン!とばかりに、転移魔法により聖女姿で登場するゴールデニア。
もうそれだけで、首脳陣の中から「ほぅ。」とため息が漏れる。美しいだけではなく、圧倒的な貫禄がモノを言う。
「わたくしのことで、何か揉めていらっしゃるようで?」
「聖女様!我が国ヨードランドへ来てくださいませ。」
「抜け駆けは止せ!それを言うのなら、我がアンダルシア国へぜひお立ち寄りくださいませ。」
「何を言うか!ぜひわたくしどもメソポミア国へ、お願いします。」
「ぜひ、ぜひ……。我が国へ……。」
口々に各国首脳が言い合う。それを黙って見ていたゴールデニアは、おのずと口を開く。
「わたくし聖女ではございませんことよ。」
「「「「「ええ??えええ???」」」」」
一閃の金色の光とともに、背中に羽を生やした女神姿を現せると、その場にいた全員が椅子からずり落ちるように、跪く。そうその姿勢が正しいのです。
「これよりグレジオラ自治領には、結界を張り巡らします。何人たりとも、無断で我が領には侵入することを禁じます。また、もしもわたくしや我が領の民に危害を加えることを目的とされた場合。」
すかさず、グレジオラ公爵が腰に差していた剣を抜き、ゴールデニアに渡すと、一瞬にして、剣は凍り、氷の剣と化したのである。
「おわかりですわね。たまたまこれは、武器でしたが同じことが人間にも起こります。」
各国首脳は、さっきまでの熱気は鳴りを潜め、青ざめ震えている。
「お判りになられましたようで、安心しましたわ。それではこれにて。」
見事なカーテシーをして、父グレジオラ公爵とともに領地へ帰って行ったのだ。
残された首脳陣は、驚いて、フルダイヴ国王に詰め寄り
「フルダイヴよ。女神様なら女神様だと言ってくれればよいではないか?」
「そうだ。フルダイヴよ。水臭いではないか?」
「いやいや儂も今知ったばかりで、驚いておる。グレジオラからは、聖女様としか聞いておらなかったのでな。」
とにもかくにも、各国首脳陣は、慌てて本国へと帰還をする。不埒な輩が女神様の島を目指すことを避けさせるためにである。氷人間になれば、元に戻す方法がわからないからで、下手をすればそのまま死んでしまうからである。
帰国してから、海のほうを見ると島の部分が金色に輝いていた、あれが結界なのだろう。あの結界を侵したら、誰もがすべて凍り付くのである。
レオナルドもフルダイヴ国王からシノビーの学園長を通して、義妹のゴールデニアが女神様であると聞かされた時は、口から泡を吹くほどに驚いたのだが、これで完全に失恋が決定的になったことで、却ってすっきりしていたのだ。ショックよりも、初めから手の届かない女性のほうが諦めやすい。
そうか、やはり小さい時から、他の少女と違った雰囲気を身に纏っていたのは、そのせいだったのだなぁと思う。だから、それは俺を恋と勘違いしてしまっただけなのだ。
今度、帰宅したらゴールデニアにチューリップの花束を贈ろう。小さい時からなぜか、好きだった花。俺の好きなチューリップの花をゴールデニアも好んでくれた。だから好きになったのだけど。もうこれで、お別れの意味を込めて。
その陸地は聖女様の力で出現させたものらしいという噂に尾ひれがついて、いや、聖女様ではなく女神様だとか?ハイ、女神ですが何か?と言っている場合ではない。
とにかくゴールデニアとその陸地のせいで、聖女様奪取の動きが勃発しているのである。
やっぱり瀬戸内海のような狭いところに無理やり形を変えて押し込んだのがいけなかったかしら?
いやいや、そういう問題ではない。ゴールデニアが出現させた陸地は肥沃な大地であって、年がら年中、好天に恵まれるという土地であったのだから、誰もが喉から手が出るほど欲しい大地なのである。
フルダイヴ王国では、対応に追われている。周辺諸国から、聖女様とその土地をよこせと言ってこられて、ホトホト困っているのである。
フルダイヴ王国は、それほどの大国ではない。小さい国なのである。だから今までは、周辺諸国とのバランスが取れていたのである。
このままでは、フルダイヴ国に迷惑をかけることになってしまう。どうしたものやら?新天地を求めてまたさまようべきなのか?
「第1回 グレジオラ領有権についての説明」
参加者は周辺諸国の幹部とフルダイヴ国王、外務大臣など幹部である。
話し合いは平行線をたどり、そもそもなぜ聖女様が、フルダイヴ国へ参られた彼の説明も必要になった。
そこで父公爵がその場に呼ばれ、説明をすることになったのである。
グレジオラ公爵は、とりあえず自治区としての立場を強調したが、各国首脳は納得しない。
仕方なしに、グレジオラ公爵は娘のゴールデニアを呼ぶことにしたのである。本人から説明させる方が手っ取り早い、何より百聞は一見に如かず。である。
呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン!とばかりに、転移魔法により聖女姿で登場するゴールデニア。
もうそれだけで、首脳陣の中から「ほぅ。」とため息が漏れる。美しいだけではなく、圧倒的な貫禄がモノを言う。
「わたくしのことで、何か揉めていらっしゃるようで?」
「聖女様!我が国ヨードランドへ来てくださいませ。」
「抜け駆けは止せ!それを言うのなら、我がアンダルシア国へぜひお立ち寄りくださいませ。」
「何を言うか!ぜひわたくしどもメソポミア国へ、お願いします。」
「ぜひ、ぜひ……。我が国へ……。」
口々に各国首脳が言い合う。それを黙って見ていたゴールデニアは、おのずと口を開く。
「わたくし聖女ではございませんことよ。」
「「「「「ええ??えええ???」」」」」
一閃の金色の光とともに、背中に羽を生やした女神姿を現せると、その場にいた全員が椅子からずり落ちるように、跪く。そうその姿勢が正しいのです。
「これよりグレジオラ自治領には、結界を張り巡らします。何人たりとも、無断で我が領には侵入することを禁じます。また、もしもわたくしや我が領の民に危害を加えることを目的とされた場合。」
すかさず、グレジオラ公爵が腰に差していた剣を抜き、ゴールデニアに渡すと、一瞬にして、剣は凍り、氷の剣と化したのである。
「おわかりですわね。たまたまこれは、武器でしたが同じことが人間にも起こります。」
各国首脳は、さっきまでの熱気は鳴りを潜め、青ざめ震えている。
「お判りになられましたようで、安心しましたわ。それではこれにて。」
見事なカーテシーをして、父グレジオラ公爵とともに領地へ帰って行ったのだ。
残された首脳陣は、驚いて、フルダイヴ国王に詰め寄り
「フルダイヴよ。女神様なら女神様だと言ってくれればよいではないか?」
「そうだ。フルダイヴよ。水臭いではないか?」
「いやいや儂も今知ったばかりで、驚いておる。グレジオラからは、聖女様としか聞いておらなかったのでな。」
とにもかくにも、各国首脳陣は、慌てて本国へと帰還をする。不埒な輩が女神様の島を目指すことを避けさせるためにである。氷人間になれば、元に戻す方法がわからないからで、下手をすればそのまま死んでしまうからである。
帰国してから、海のほうを見ると島の部分が金色に輝いていた、あれが結界なのだろう。あの結界を侵したら、誰もがすべて凍り付くのである。
レオナルドもフルダイヴ国王からシノビーの学園長を通して、義妹のゴールデニアが女神様であると聞かされた時は、口から泡を吹くほどに驚いたのだが、これで完全に失恋が決定的になったことで、却ってすっきりしていたのだ。ショックよりも、初めから手の届かない女性のほうが諦めやすい。
そうか、やはり小さい時から、他の少女と違った雰囲気を身に纏っていたのは、そのせいだったのだなぁと思う。だから、それは俺を恋と勘違いしてしまっただけなのだ。
今度、帰宅したらゴールデニアにチューリップの花束を贈ろう。小さい時からなぜか、好きだった花。俺の好きなチューリップの花をゴールデニアも好んでくれた。だから好きになったのだけど。もうこれで、お別れの意味を込めて。
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