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 あれから3年の月日が流れ、ゴールデニアは2児の母となっている。上の子は男の子でスサノオ、下は女の子で、ヒミコ、名付けるときアマテラスの父が出しゃばってつけられたものである。アマテラスに対抗できるものは、ゴールデニアしかいないが、レオナルド様がアマテラスの付けた名前をありがたがっているから、なかなか文句が言えない。

 今日も今日とて、アマテラスは家に来ている。スサノオとヒミコの顔を舐めまわして、食べるんじゃないでしょうね?と言いたくなるほどである。子供が生まれてから、ずっと我が家にべったりで、神界でのお仕事がおろそかになっているのでは?と心配しているが、「部下に任せた。」の一言で終わらせてしまうのである。

 そんな時、海で事件が起きたのである。それもグレジオラが領海権を持っている海で。アマテラスの結婚式での祝福のおかげで、誰もけがはしていないようだが、最近、海がやけに荒れる。

 原因は、海の王ポセイドンだった。ポセイドンいわく「勝手に儂の海に大地を出現させたゴールデニアが悪い。」とのたまっているらしい。

 それで仕方なく、ゴールデニアはポセイドンに会いに行くことにしたら、父アマテラスから止められた。なんでもポセイドンは、大変な好色家で、一度海に入った女はみんな妾にさせられるとか……。今度のことは、絶対ゴールデニアを狙ったものだから行かない方がいいと言われる。

 父アマテラスから言われ、どうしようか悩んだあげく、ゴールデニアは、グレジオラの領海の境目あたりに結界を張ったのだ。

 ポセイドンが領海を超えて侵入してきた場合、ポセイドンをも凍らせることにしたのだ。これにはさすがのポセイドンも降参してきて、それからは海が平穏になったのである。だって、凍ったポセイドンを誰も心から愛した女性が抱きしめてくれないでしょ?みんな嫌々連れてこられた妾ばかりだから。

 しかし結界はまだ解いていない。今はアマテラスが怖くて近寄らないだけかもしれないので、子供たちがやがて成長して大きくなって家を出る時が来たら、また不埒なことを考えるやもしれないからである。

 そういえば、最近、父がヒミコはくれるのだろうな?と聞いてくることが多くなった気がする。くれる?って何をあげるのよ。

 聞けば、ヒミコは大きくなったら、神界に連れて帰りたいそうだ。

 「え?なに!そんなこと一度も聞いていないわよ。」

 「スサノオは、王の後継ぎとして、グレジオラに置いといてやるが神の子をいつまでも人間界に置いておくわけにはいかないだろう。」

 「何、勝手なこと言っているのよ!冗談じゃないわよ。」

 そりゃあ確かに神の子は、人間の子と違って、不老不死である。いずれレオナルド様が死去されることがあれば、その時まだヒミコが独身で誰も好きな人がいなければ、ヒミコを連れて、神界に帰るかもしれないが、まだまだ先の話である。

 それをまだ赤ちゃんのヒミコにそんな運命を負わせられない!

 「それはヒミコ自身が決めることよ。お父さんが口出ししていい問題じゃないのよ。わかるでしょ?」

 「うん、まぁでもヒミコは承諾してくれているみたいだよ。」

 「は?なに、言っているのよ!ヒミコはまだ赤ちゃんなのよ!ダメ!絶対ダメ!No Good.」

 「はいはい、わかったよ。でもヒミコが年頃になってジジのところへ行きたいと言ったら、行かせてやってほしい。」

 「そんなこと言うわけないでしょ?バカじゃないの?」

 ゴールデニアは、そう言い切る自信がある。なぜなら神界の男にはイイ男が一人もいないのである。ゴールデニア程度で美の女神ともてはやされるぐらいであるから、神界にはほとんどブサメンばかりで、年頃を迎えたゴールデニアには、相手となる釣り合いの取れた男がいなかったので、人間界に生まれてきたのである。

 ヒミコが、そこそこ大きくなったら一度、神の国へ連れて行こうと思う。そうしたらいかに神界がブサイク男ばかりだと身に染みてわかるから。

 少し神界でトラブルがあって、アマテラスが帰った途端、またポセイドンが動き出したのであるが、ポセイドンどころか周りの海をみんな凍らせてやったら、すごすごと帰って行った。やっぱりね。アマテラスが怖くておとなしくしていただけであったのである。

 ポセイドンといえども、全知全能の創造神相手には喧嘩を売る度胸はないようである。ただ、娘の女神は甘く見られているようで、その後も、父が不在の時を狙って度々けしかけられてきたが、海ごと凍らせれば息ができなくなり窒息してしまう。結界はそこそこ効力を発揮したのである。

 沿岸部を持つ各国の首脳陣からは、自分の領海にも結界を張ってくれという依頼が多数舞い込む。

 結局、外海だけがポセイドンの領域となって、それからはおとなしくなりました。いちいち他の国の領海結界に触れて、手足が凍り、自由が利かない身体になったみたい。泳ぐこともままならない様子で、これで女遊びもできないことが何より堪えたみたいだ。
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