みなしごだからと婚約破棄された聖女は実は女神の化身だった件について

青の雀

文字の大きさ
10 / 13

10

 神の国から帰る途中、ゴールデニアは世界のあちこちを子供たちに見せることにしたのである。グレジオラにいると、結界に守られているので、安全であると知らしめるためにである。

 もちろん、アマテラスも一緒である。孫と一緒にいたいという気持ちと何かあれば、少しは役に立つということで。

 まずは、生まれ故郷の今はもうたぶんないであろう祖国を見せることにしたのである。かつて反映した祖国は、見事に焼野原というか、溶岩が真っ黒なゴロゴロしていた土地になっている。王城の残骸も黒く焼け焦げている。

 この地で両親は出会って、愛し合って結婚したのよ。あなたたちも誰か、好きな相手を見つけてよ。という願いを込めて、やってきたのだ。

 次に向かったのは、フルダイヴ国側ではない反対側の隣国、ここへはゴールデニアも一度も足を運んだことがない。

 こちらのほうへ逃れたら、また違う人生があったかもしれない。あの時は、レオナルド様の留学先がフルダイヴ国であったから、あちらを頼ったのだが。

 あの時は、すでに女神と正体を明かした後だったから、別にどこへ行っても怖くはなかったのだが、なんとなく、レオナルド様のことが好きだったのよね。ただ、男前というだけではなく、運命の赤い糸を感じたのよね。

 隣国に着いたら、まぁ一応、グレジオラ国の王太子妃とその王子、王女一行なので、隣国の国王陛下のところへあいさつに行くことにしたのである。

 隣国は、ハーヴェスト王国というところで、市井の民たちは、陽気で朗らか、世話好きな、まるで大阪のおばちゃんを絵に描いたような国民性をしていたのだ。

 こちらに移り住めば、さぞかし毎日が楽しかったであろうと思わせるような雰囲気があったのだ。

 国王陛下も大阪人かと思わせるような吉本芸人さながらの面白い話をたくさんしてくださり、笑わせてくださいます。

 「冗談は、さておき、実は女神様に頼みごとがあってな。女神様の結婚式に参列していなかったので、祝福を受けておらぬ。どうか、我にも祝福を授けてもらえるように頼んではもらえぬか?」

 「なぜでございますか?失礼ながら、国王陛下におかれましては、見るからに頑強そうに見えますが?城内に不穏の動きでも?」

 「いやいやそういうことではない。実は、海が荒れて、漁師たちが漁に出たがらないのでな。」

 はっはーん。ポセイドンは、女神の結界のないところで、また悪さをしているのか?
泳ぎがうまく泳げなくて、女遊びもほどほどにしていると聞いたが、あれは、嘘であったのか!?

 「わかりました。そういうことでしたら、貴国の領海に結界を張って差し上げます。すれば、ポセイドンといえども、近づけなくなるでしょう。」

 「それはありがたい!女神様の結界なら安心できる。今後とも我が国ハーヴェストとグレジオラ王国の友好のためにも、ぜひともお願いしたいところであります。」

 そのやりとりに気をよくしたアマテラスは、特別にハーヴェスト国王に祝福を与えた。女神とともにいた初老の男性が、全知全能の創造神だとは思っていなかったらしく、ひたすら平伏したのであった。

 アマテラスはあくまでも女神のオブザーバーとしての立ち位置だったのである。王子たちが、「ジージ」と呼んでいるのだから、気づきそうなもの?なのに。名前だと思ったのかしらね。

 ゴールデニアは、ついでだからと、海と空に療法、結界を張ることにしたのだ。母の仇の龍神がまた人間界に悪さしかねないから。飛竜の親玉はやっつけたけど、ああいう輩は湧いてくるから、油断は禁物である。

 ハーヴェスト国を後にした女神一行は、その隣国にも立ち寄ることにしたのである。

 ハーヴェスト国の隣国は、マウントレー国と言い、盆地であるが、落ち着いたたたずまいで、まさに古都の雰囲気がある。

 マウントレー国も領空と領海の結界を張ることにしたのである。そしてアマテラスの祝福も一様に与えることになったのだが、こうなればありがたみがなくなる、と思いつつも望まれると許してしまうお人よし父娘なのである。

 結局世界各国を回り、領空と領海の結界を張り巡らしたのである。子供たちに世界を見せるたびがとんだ結界針の旅へと変わってしまったのだ。神様の言うものは人々の安寧を願うものだから、望まれれば仕方がない。

 これが普通の聖女であれば、望まれても自国の有利になること以外は、動かなくてもよい。聖女は人間だから、そういうものなのである。

 半神の子供たちは、つくづくと人間として生きようと心に誓うのである。不老不死は嬉しいかもしれないが、何か争いごとがあると解決のため、いちいち尽力しなくてならないのは、正直めんどくさい。人間としての生涯を全うし、伴侶が死亡したのち、神界へ戻るか?はたまた、また新しい伴侶を得るか決めればよいのだから。

 人間として生きれば、自分の幸せだけを考えればいいのだから。これが母の言う神界は自由がないということなのだとあらためて思うのである。

 グレジオラへ戻ってきたのは、里帰りしてから3週間後のことであったのだ。

 戻ってきてからというもの、スサノオをはじめとする年頃の王子やヒミコたち王女は、一様に縁談探しに夢中になったのは言うまでもないことである。

 レオナルド様は首をかしげるが、ゴールデニアは

 「里帰りのついでに、世界各国めぐりをしてきたから、少しは大人になれたのでしょう。真に愛する人が見つかればいいのだけど、お見合いから恋愛に発展するケースは、よくあること。出会いの一環として、お見合いを位置づけたのかもしれないわね。」

 「まぁ、見聞を広めたことはいいことだな。」
感想 3

あなたにおすすめの小説

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。

古森真朝
ファンタジー
 「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。  俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」  新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは―― ※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。

追放令嬢のスローライフ。辺境で美食レストランを開いたら、元婚約者が「戻ってきてくれ」と泣きついてきましたが、寡黙な騎士様と幸せなのでお断り!

緋村ルナ
ファンタジー
「リナ・アーシェット公爵令嬢!貴様との婚約を破棄し、辺境への追放を命じる!」 聖女をいじめたという濡れ衣を着せられ、全てを奪われた悪役令嬢リナ。しかし、絶望の淵で彼女は思い出す。――自分が日本のOLで、家庭菜園をこよなく愛していた前世の記憶を! 『悪役令嬢?上等じゃない!これからは大地を耕し、自分の手で幸せを掴んでみせるわ!』 痩せた土地を蘇らせ、極上のオーガニック野菜で人々の胃袋を掴み、やがては小さなレストランから国をも動かす伝説を築いていく。 これは、失うことから始まった、一人の女性の美味しくて最高に爽快な逆転成り上がり物語。元婚約者が土下座しに来た頃には、もう手遅れです!

偽りの断罪で追放された悪役令嬢ですが、実は「豊穣の聖女」でした。辺境を開拓していたら、氷の辺境伯様からの溺愛が止まりません!

黒崎隼人
ファンタジー
「お前のような女が聖女であるはずがない!」 婚約者の王子に、身に覚えのない罪で断罪され、婚約破棄を言い渡された公爵令嬢セレスティナ。 罰として与えられたのは、冷酷非情と噂される「氷の辺境伯」への降嫁だった。 それは事実上の追放。実家にも見放され、全てを失った――はずだった。 しかし、窮屈な王宮から解放された彼女は、前世で培った知識を武器に、雪と氷に閉ざされた大地で新たな一歩を踏み出す。 「どんな場所でも、私は生きていける」 打ち捨てられた温室で土に触れた時、彼女の中に眠る「豊穣の聖女」の力が目覚め始める。 これは、不遇の令嬢が自らの力で運命を切り開き、不器用な辺境伯の凍てついた心を溶かし、やがて世界一の愛を手に入れるまでの、奇跡と感動の逆転ラブストーリー。 国を捨てた王子と偽りの聖女への、最高のざまぁをあなたに。

「毒が効かない体になるまで毒を盛られた令嬢は、復讐なんて望まない——ただ、助けもしないだけ」

歩人
ファンタジー
侯爵令嬢エレーナは、義母と義妹に3年間毒を盛られ続けた。「病弱な姉」として 社交界から消し、財産と婚約者を奪う計画——しかしエレーナには、前世の記憶から 来る毒物の知識があった。毒の種類を特定し、密かに解毒しながら「弱った姉」を 演じ続け、証拠が積み上がるのを待つ。卒業の夜会で義妹が勝ち誇るその場で、 エレーナは3年分の診断書を差し出す。「復讐? いいえ。ただ、もう助けないだけ」

【完結】悪役令嬢ですが、元官僚スキルで断罪も陰謀も処理します。

かおり
ファンタジー
異世界で悪役令嬢に転生した元官僚。婚約破棄? 断罪? 全部ルールと書類で処理します。 謝罪してないのに謝ったことになる“限定謝罪”で、婚約者も貴族も黙らせる――バリキャリ令嬢の逆転劇! ※読んでいただき、ありがとうございます。ささやかな物語ですが、どこか少しでも楽しんでいただけたら幸いです。

どうも、死んだはずの悪役令嬢です。

西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。 皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。 アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。 「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」 こっそり呟いた瞬間、 《願いを聞き届けてあげるよ!》 何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。 「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」 義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。 今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで… ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。 はたしてアシュレイは元に戻れるのか? 剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。 ざまあが書きたかった。それだけです。

『魔力ゼロの欠陥品』と蔑まれた伯爵令嬢、卒業パーティーで婚約破棄された瞬間に古代魔法が覚醒する ~虐げられ続けた三年間、倍返しでは足りない~

スカッと文庫
恋愛
「貴様のような無能、我が国の王妃には相応しくない。婚約を破棄し、学園から追放する!」 王立魔道学園の卒業パーティー。きらびやかなシャンデリアの下、王太子エドワードの声が冷酷に響いた。彼の隣には、愛くるしい表情で私を嵌めた男爵令嬢、ミナが勝ち誇ったように寄り添っている。 伯爵令嬢のリリアーヌは、入学以来三年間、「魔力ゼロの欠陥品」として学園中の嘲笑を浴び続けてきた。 婚約者であるエドワードからは一度も顧みられず、同級生からはゴミのように扱われ、ミナの自作自演による「いじめ」の濡れ衣まで着せられ……。 それでも、父との「力を隠せ」という約束を守るため、泥を啜るような屈辱に耐え抜いてきた。 ――だが、国からも学園からも捨てられた今、もうその約束を守る必要はない。 「さようなら、皆様。……私が消えた後、この国がどうなろうと知ったことではありませんわ」 リリアーヌが身につけていた「魔力封印の首飾り」を自ら引き千切った瞬間、会場は漆黒の魔力に包まれた。 彼女は無能などではない。失われた「古代魔法」をその身に宿す、真の魔道の主だったのだ。 絶望する王太子たちを余目に、隣国の伝説の魔術師アルベルトに拾われたリリアーヌ。 彼女の、残酷で、甘美な復讐劇が今、幕を開ける――。