みなしごだからと婚約破棄された聖女は実は女神の化身だった件について

青の雀

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 それからしばらくしてのこと、スサノオは、マウントレー国の姫君サユリーヌと婚約したのである。お見合いをした結果、若い二人ともが一目惚れ状態であったと聞く。実際のところ、姫君は政略だろうとは思うが、スサノオは、レオナルド様似のなかなかのイケメンであるからわからない。

 もう後は、早く結婚したいの一点張りで、それはゴールデニアが17歳で結婚したから、でもレオナルド様は18歳で学園を卒業されてからでしたのよ。だから18歳まで待ちなさい、というものの半神だから、いいようなものなんだけどレオナルド様も祖父母の国王陛下も妃殿下も、なかなか首を縦に振らない。

 早すぎるというのである。相手のサユリーナ姫は16歳の少女、ヒミコと同い年である。これを認めたらヒミコも嫁に行くと言い出すだろう。

 マウントレーの姫君は、おしとやかな雰囲気のカワイコちゃんである。そうかスサノオは活発なタイプより、おとなしい感じの女の子が好きだったんだなとあらためて思う。

 でも結婚したらわからないわよ。女は変わるから、とは言わない。これも経験であるから、もしも尻に敷かれるようなことがあれば、半分は自分のせいなのだから。

 マウントレーの姫君を神界で預かろうか?アマテラスの申し出である。
 うーん。一見よさそうな案だけど、辛抱できる?神界は聖女素養が必要なのである。ただ、普通の恋愛なら、そして年齢がそこそこいっていれば神界で花嫁修業などしなくても、いくらでも結婚できると思う。

 でも神界で花嫁修業するとなれば、聖女としての素養がないと追い出されるかもしれない。惚れたはれただけでは、神界での花嫁修業は難しい。

 普通の人間で、あの暮らしはなかなかキツイ。でも半神の嫁になるのだから、いいかもと思ってしまう。まだ16歳、夢も希望もあるのに、少しかわいそうな気がする。

 神界は、朝陽とともに起床、陽が沈むと寝る。という生活。面白みもなんともない。そして誰でも最初は、朝から晩まで掃除、神殿の隅々まで磨き上げるのである。そんなことお姫様育ちの人間にできるのだろうか?ちょうど人間界では、〇塚音楽学校ぐらいである。塵一つ、埃一つ落ちていないように、毎日同じ作業の繰り返しである。

 神様は小さくても一人前なのである。一人前の大人神として扱われるから、16歳であろうとも、1000歳の神と同じことを要求されるのである。

 アマテラスに預けたら、破談になるかもしれない。ここは思案のしどころである。
 スサノオにサユリーヌを神界に預けるかどうか聞く、神界でなら、18歳を待たずして、結婚できるよ。でもキツイよ。

 スサノオは一度、母の里帰りで神界に行ったことがあるから、雰囲気はわかる。サユリーヌが辛抱できるとは思えない。ただ、よくよく母に聞くと、サユリーヌは、アマテラスの身の回りの世話をしてもらうだけでよさそうである。それに学園の休みの時は、通い婚をすればいいという条件付きだ。祖父が孫の嫁を無体に扱うはずがないという言葉を信じるしかない。

 週に一度、自分が神界へ渡れば、サユリーヌと夫婦同然のことができる。ただ神界で暮らすことは、サユリーヌ自身に負担がかかるかもしれないということ。神界の空気に触れることで、不老不死になれたらいいのだが、なれなかったら早死にするかもしれないということ。

 二人でよく話し合って決めるように、とあとは若い二人に決めさせることにしたのである。

 サユリーヌには、侍女を連れて行くことは叶わぬことを説得するも、やはりスサノオの王子妃の座を他の令嬢に取られたくない一心で、神界行きを決める。

 ただし、サユリーヌは神界へ行けば、2年間は神界暮らしを余儀なくされるのである。予科本科とあり、予科の掃除の基本、本科で神としての心得、サユリーヌは神ではないから神の妻になるための心得なのである。

 正式な輿入れは2年後になるが、とりあえず結婚式は行われることになったのである。サユリーヌは花嫁修業のため、マウントレー王国から、出るのであるから、けじめとして結婚式を行うことになったのである。

 結婚式はマウントレー王国で行われることになった。なぜなら、祖父である全知全能の創造神が臨席すると、またその場にいる全員に神の祝福があたえられるので18年前、グレジオラ王国では、受けたばかりなので、前に視察に行ったときは、国王陛下のみ祝福を受けているが、今度は一般の民衆にも与えたいと国王陛下から仰せだったのだ。普通、新郎側の国で結婚式があるものなのだが、特例ということで。

 でもヒミコの時は、相手側国で仕方がないけど、これから王子の妃になる国へ、いちいち出向くことになるとは、ちょっと面倒だな。

 普通の人間は、転移魔法が使えないので、使えるゴールデニアがグレジオラの王族などをいっぺんに運べば、済むことだからめんどくさがらずにやることとしよう。

 新郎側の結婚式の用意と言えば、礼服ぐらいで特に、何もない。引き出物もマウントレー国側が用意するみたいなので、なんといっても仮の祝言だから。指輪ぐらいだろうか?

 そうこうしているうちに、結婚式の日が来て、朝からなんとなく慌ただしい。お風呂に入り、髪を美しく結い上げられる。アマテラスは神界から直行すればいいものを、なぜかグレジオラに来ている。

 スサノオも落ち着きがなく、チーフの色か礼服をサユリーヌ嬢の髪や瞳の色と同じサファイア色に統一したほうがいいか?など、侍女長に聞いている。そんなこと前の日に言いなさいよ。

 結果、チーフの色だけをサファイア色にすることになったのである。

 「みんな、用意はできた?」

 「はーい。」

 それでは、と全員で飛ぶ。アマテラスなんて、自力で飛べるのに、ゴールデニア任せにしている。

 マウントレー国での大聖堂で厳かに式は始まる。バージンロードを静々と進むサユリーヌ姫、幸せなのは、今だけよ。明日から2年間の地獄の日々が始まるのだから。

 今宵の初夜はどうなるのかしら?なんとなくだけど、神界へ行くのは、処女のほうがいい?向こうで、あれやこれやになるのは、仕方ないとしても処女でなければ、神界へ渡れないのでは?などと心配する。

 式が終わり、披露宴も済み、いよいよお開きとなった時、父?祖父アマテラスが全員の頭上に祝福を授け、散会しようとした途端、アマテラスは孫の嫁のサユリーヌ姫をお姫様抱っこして、そのまま神界へと戻ったのだ。

 これには、スサノオは怒って抗議するものの、どうしようもない。おそらく、初夜をさせないために父が配慮したのであろう。聖女でも処女性は重視されるのであるから、神界に生身の純潔ではない女では入れないのであろう。

 その夜は、グレジオラへ戻ったのである。スサノオはせめてキスぐらいしたかったとほざくが、キスだけでは終わらないでしょう?

 純潔でなくなれば、神界へ渡れないのだから仕方ないでしょう。

 スサノオは、追いかけて神界にはまだいけない。半神だからである。母の許しを得て、母に神界まで送ってもらったとしても、サユリーヌ姫と夫婦としての初夜ができるかどうかは、アマテラス次第なのである。

 サユリーヌが真に聖女としての素質を持たず、掃除を怠り、ぐうたらな嫁であれば、神界から追い出されるのであるが、その時の姿は、老婆としてである。

 そのあたりのことは、スサノオには告げていない。これからは、サユリーヌ自身の頑張りにかかっているのであるから。

 相手は神だと承知で玉の輿に乗ったのだから、それぐらいの努力はしてもらわないと、釣り合いが取れないのである。

 スサノオたちに通い婚であると言ったのは、方便である。神界の掟がそんな緩いはずもないであろうということは、想像できるはずである。

 ゴールデニアもただ、結婚相手となる男がブサメンだったからという理由だけで、人間界に生まれてきたのではない。

 もしも2年の年季が開けたら、スサノオはたぶん神界で暮らすことになるであろう。アマテラスの後継者として、厳しい修業が待っているのだ。甘い新婚生活などあるはずがなく、早く結婚したいと言わなければ、この国で普通の人間として、暮らせたものを。

 サユリーヌが無事、神界にたどり着き、戻ってこないところは、処女であったのであろう。これが阿婆擦れなら、はじき帰されるというもの。第1関門はクリアしたということでしかないのだけどね。
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