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スサノオとサユリーヌのことがあってから、誰も早く結婚したいとは言わなくなったのだ。
特にヒミコは、ハーヴェスト王国の王子といい仲になっているようだったが、学園では、魔法学科に在籍していて、
「母さまのように、転移魔法が使えるようになりたい。」
可愛いことを言うようになってきたのだが、それはいつでも、ハーヴェストの王子に会うためである。わかっていても、つい甘くなるのが女親だ。
今日も今日とて、ヒミコに転移魔法を教える。
「深呼吸して、はい、そこで息を止めて……。自分の行きたいところをイメージする。」
どうも息を止めるところがうまくいかないらしい。これがあれだ、筋肉不足からくるものなのだ。
神界では、なんだかんだとカラダを動かすことが多いが、意外と人間界の特に女の子は、全然動かない。
「今日から、腕立て伏せと腹筋を50回ずつやってみよう。それから無理のない範囲で毎日、お散歩をすること。若いから走ってもいいんだけどね。雨の日もあるから1日1万歩を目標に歩きましょう。」
人間の体の中で、一番大きな筋肉があるところは、太ももの筋肉なのよね。大腿四頭筋を鍛えることにより全身の筋肉量を増やす。ダイエットにもウォーキングをすると効果的なのはこのせいです。この大腿四頭筋を鍛えることで、基礎代謝が上がる。寝ている間でもどんどん脂肪を燃やしてくれる。手軽なダイエット法なので、ぜひ実践してみてください。
その日からヒミコ以外の他の子供たちも一緒に筋トレをすることになったのである。体幹を鍛えることが魔力のみならず、健康にもつながるのだからと言えば、皆乗ってくる。
なんといっても結婚相手は普通の人間なのだから、いくら結婚するときアマテラスの祝福を受けられるとしても、普通の人間に変わりがなく、その兄弟や親戚などが受けられるとは限らないからである。
最初は、3回ぐらいしかできなかった腕立て伏せに腹筋も毎日やっているうちに、10回、20回と回数ができるようになってきた。お散歩も今や5000歩ぐらいなら、歩いても疲れなくなってきたのである。同時に魔力が目に見えてみるみる増えていくことが実感できたのである。
そうなればがぜんやる気は出るもの。子供たちは、まるで競争しているかのように筋トレをしている。学園まで馬車を使って通学していたのに、今は徒歩で護衛をぞろぞろ引き連れて通学するようになったのだ。
それにヒミコがついに、転移魔法をマスターしたものだから、しょっちゅうハーヴェストの王子様とデートしているわ。それでも学園まで転移魔法で行かず、みんなと歩いて通学している。
スサノオは、というと相変わらずぶつくさ文句を言っている。サユリーヌを神界に人質に取られたようなものだからか、通い婚の話はどこへやら?になっている。アマテラスから、何の連絡もないのだ。だから仕方がない。やはり聖女としての素養が全くなかったのか?もしも追い出されたとしても白い結婚だから、すぐまた誰かと結婚できるであろう。ただし、少々見目が劣る。
そんな時、久しぶりにアマテラスが顔を出したのだ。サユリーヌ姫の様子を聞こうと、スサノオがしゃしゃり出る。
どうやら、サユリーヌ姫は、努力はしているものの聖女の素養は全くないらしい。聖女は教えたからと言って、なれるものではない。
ただ神界の空気には、なじめて元気に過ごしている。これからどうするのか、話し合うために来たそうだ。白い結婚にして離縁するか、誰か聖女となるべく人間を側妃にするという手もある。
神界の王とならずとも、グレジオラの王ならばなれるのではないかと考えているようだが、女神の国の王妃殿下が聖女の素養が全くないのは、いかがなものか?という問題がある。
レオナルド様と相談して、とにかくマウントレー国へ飛んだ。息子夫婦のことだから、あちらにも話し合いに参加する権利はある。
聖女の素養云々は、国王陛下はもうご存知であったのだ。というか最初からわかっていたようで、だから神界へ花嫁修業に行くことを反対されていたのである。
白い結婚なのだから、まだ若いし、このまま離縁にしますか?それとも?何か方法がありますか?それとも聖女素養の女性を側妃として、名前だけの王妃になられますか?
どうすればうまく円満に解決できるかを模索する。
マウントレーの国王陛下は、恐れながらと重い口を開いたのだが
「おそれながら、スサノオ殿下を婿にいただけないでしょうか?来年、学園をご卒業になられてからで、結構です。」
そうか、その手があったな。スサノオを婿養子に出せば、グレジオラは別に困らない。ヒミコは嫁にやったとしても、第2王子のヤマトタケルや第3王子のイザナギがいる。神界の跡取りも誰かが継げばよいのだから。
そうと決まれば、サユリーヌを帰国させるだけなのだが、果たして、無傷で帰国できるかが問題となる。聖女素養のない人間の女が、追い出されたわけではなく、予科の途中に人間界へ帰還できるのか?という問題がある。
普通は、老婆に姿を変えて帰還できるのであるが、それは追い出された場合であって、今回とは場合が違う。
サユリーヌに尋ねたら、出来れば本科が終わるまで神界にいたいそうで。学園に行っていないから、ここで学生生活を送ってから、マウントレーに戻りたいらしい。
その場合は、どうなるのかしら?見目が老婆になるかどうかの判定は、アマテラスに任せることとしよう。老婆にならなくて、戻ってこれればいいのだけど。
ところがだ、スサノオは、2年間白い結婚を余儀なくされて、自分が学園を卒業しても1年後でないと戻ってこないことに腹を立て、さっさと離縁してしまう。つくづく我が儘勝手な息子に育ててしまったものだと、ゴールデニアは嘆く。
結局、スサノオは、閨ごとに興味があっただけで結婚を決めてしまったのだ。別に、サユリーヌ姫に惚れていたわけでもなく早くやりたいがために結婚したのである。だから、できないと知り、早々に離婚。
こうなれば、最初から聖女の女性を見つけるほうが楽だったと今さら、悔やんでも遅い。スサノオが離婚したことがわかると、また縁談がたくさん殺到してきたのだが、今度は最初に水晶玉判定をしてから、選ぶことにするらしい。
こんな身勝手極まりない息子に王位継承権は、いかがなものか?とゴールデニアが心配していると、やはりレオナルド様、舅の養い親の国王陛下ともにスサノオを廃嫡することにしたのである。
当然よね。アマテラスのところへ送り込んで、根性鍛えなおしてもらえ!といいたいろころだわ。
アマテラスもさすがに、スサノオは願い下げであったらしく、下級神官としてなら受け入れても良いという返事であったのだ。
ということで、学園卒業後に、神界へ下級神官として修業に行くことが決まったのである。グレジオラの王位継承権を失った今、
「神界でしっかり働いてきなさい。」
そう言って、ゴールデニアは、スサノオを送り出す。
あとは、ヒミコを嫁に出したら、とりあえずは、ゆっくりできるであろうと踏んでいたゴールデニアの元へ、アマテラスから急な知らせが届いた。それは、なんと!
スサノオは、修業の身でありながら、サユリーヌ姫に不埒なことを仕出かしたらしく、二人は、また夫婦になってしまったらしい。
そうだった。まだ神界には、サユリーヌ姫がいたのだ。そのことをすっかり忘れていたゴールデニアにも落ち度がある。
とにかく、マウントレー国へ謝罪に行かねばならなかった。不肖の息子のせいで、何度頭を下げねばならないのだろう。これを最後にしてよね。と心の中でつぶやく。
意外にも、マウントレー陛下は、元のさやに納まったことが嬉しいらしく上機嫌であったのだ。喜んでいるのなら、いいか?
特にヒミコは、ハーヴェスト王国の王子といい仲になっているようだったが、学園では、魔法学科に在籍していて、
「母さまのように、転移魔法が使えるようになりたい。」
可愛いことを言うようになってきたのだが、それはいつでも、ハーヴェストの王子に会うためである。わかっていても、つい甘くなるのが女親だ。
今日も今日とて、ヒミコに転移魔法を教える。
「深呼吸して、はい、そこで息を止めて……。自分の行きたいところをイメージする。」
どうも息を止めるところがうまくいかないらしい。これがあれだ、筋肉不足からくるものなのだ。
神界では、なんだかんだとカラダを動かすことが多いが、意外と人間界の特に女の子は、全然動かない。
「今日から、腕立て伏せと腹筋を50回ずつやってみよう。それから無理のない範囲で毎日、お散歩をすること。若いから走ってもいいんだけどね。雨の日もあるから1日1万歩を目標に歩きましょう。」
人間の体の中で、一番大きな筋肉があるところは、太ももの筋肉なのよね。大腿四頭筋を鍛えることにより全身の筋肉量を増やす。ダイエットにもウォーキングをすると効果的なのはこのせいです。この大腿四頭筋を鍛えることで、基礎代謝が上がる。寝ている間でもどんどん脂肪を燃やしてくれる。手軽なダイエット法なので、ぜひ実践してみてください。
その日からヒミコ以外の他の子供たちも一緒に筋トレをすることになったのである。体幹を鍛えることが魔力のみならず、健康にもつながるのだからと言えば、皆乗ってくる。
なんといっても結婚相手は普通の人間なのだから、いくら結婚するときアマテラスの祝福を受けられるとしても、普通の人間に変わりがなく、その兄弟や親戚などが受けられるとは限らないからである。
最初は、3回ぐらいしかできなかった腕立て伏せに腹筋も毎日やっているうちに、10回、20回と回数ができるようになってきた。お散歩も今や5000歩ぐらいなら、歩いても疲れなくなってきたのである。同時に魔力が目に見えてみるみる増えていくことが実感できたのである。
そうなればがぜんやる気は出るもの。子供たちは、まるで競争しているかのように筋トレをしている。学園まで馬車を使って通学していたのに、今は徒歩で護衛をぞろぞろ引き連れて通学するようになったのだ。
それにヒミコがついに、転移魔法をマスターしたものだから、しょっちゅうハーヴェストの王子様とデートしているわ。それでも学園まで転移魔法で行かず、みんなと歩いて通学している。
スサノオは、というと相変わらずぶつくさ文句を言っている。サユリーヌを神界に人質に取られたようなものだからか、通い婚の話はどこへやら?になっている。アマテラスから、何の連絡もないのだ。だから仕方がない。やはり聖女としての素養が全くなかったのか?もしも追い出されたとしても白い結婚だから、すぐまた誰かと結婚できるであろう。ただし、少々見目が劣る。
そんな時、久しぶりにアマテラスが顔を出したのだ。サユリーヌ姫の様子を聞こうと、スサノオがしゃしゃり出る。
どうやら、サユリーヌ姫は、努力はしているものの聖女の素養は全くないらしい。聖女は教えたからと言って、なれるものではない。
ただ神界の空気には、なじめて元気に過ごしている。これからどうするのか、話し合うために来たそうだ。白い結婚にして離縁するか、誰か聖女となるべく人間を側妃にするという手もある。
神界の王とならずとも、グレジオラの王ならばなれるのではないかと考えているようだが、女神の国の王妃殿下が聖女の素養が全くないのは、いかがなものか?という問題がある。
レオナルド様と相談して、とにかくマウントレー国へ飛んだ。息子夫婦のことだから、あちらにも話し合いに参加する権利はある。
聖女の素養云々は、国王陛下はもうご存知であったのだ。というか最初からわかっていたようで、だから神界へ花嫁修業に行くことを反対されていたのである。
白い結婚なのだから、まだ若いし、このまま離縁にしますか?それとも?何か方法がありますか?それとも聖女素養の女性を側妃として、名前だけの王妃になられますか?
どうすればうまく円満に解決できるかを模索する。
マウントレーの国王陛下は、恐れながらと重い口を開いたのだが
「おそれながら、スサノオ殿下を婿にいただけないでしょうか?来年、学園をご卒業になられてからで、結構です。」
そうか、その手があったな。スサノオを婿養子に出せば、グレジオラは別に困らない。ヒミコは嫁にやったとしても、第2王子のヤマトタケルや第3王子のイザナギがいる。神界の跡取りも誰かが継げばよいのだから。
そうと決まれば、サユリーヌを帰国させるだけなのだが、果たして、無傷で帰国できるかが問題となる。聖女素養のない人間の女が、追い出されたわけではなく、予科の途中に人間界へ帰還できるのか?という問題がある。
普通は、老婆に姿を変えて帰還できるのであるが、それは追い出された場合であって、今回とは場合が違う。
サユリーヌに尋ねたら、出来れば本科が終わるまで神界にいたいそうで。学園に行っていないから、ここで学生生活を送ってから、マウントレーに戻りたいらしい。
その場合は、どうなるのかしら?見目が老婆になるかどうかの判定は、アマテラスに任せることとしよう。老婆にならなくて、戻ってこれればいいのだけど。
ところがだ、スサノオは、2年間白い結婚を余儀なくされて、自分が学園を卒業しても1年後でないと戻ってこないことに腹を立て、さっさと離縁してしまう。つくづく我が儘勝手な息子に育ててしまったものだと、ゴールデニアは嘆く。
結局、スサノオは、閨ごとに興味があっただけで結婚を決めてしまったのだ。別に、サユリーヌ姫に惚れていたわけでもなく早くやりたいがために結婚したのである。だから、できないと知り、早々に離婚。
こうなれば、最初から聖女の女性を見つけるほうが楽だったと今さら、悔やんでも遅い。スサノオが離婚したことがわかると、また縁談がたくさん殺到してきたのだが、今度は最初に水晶玉判定をしてから、選ぶことにするらしい。
こんな身勝手極まりない息子に王位継承権は、いかがなものか?とゴールデニアが心配していると、やはりレオナルド様、舅の養い親の国王陛下ともにスサノオを廃嫡することにしたのである。
当然よね。アマテラスのところへ送り込んで、根性鍛えなおしてもらえ!といいたいろころだわ。
アマテラスもさすがに、スサノオは願い下げであったらしく、下級神官としてなら受け入れても良いという返事であったのだ。
ということで、学園卒業後に、神界へ下級神官として修業に行くことが決まったのである。グレジオラの王位継承権を失った今、
「神界でしっかり働いてきなさい。」
そう言って、ゴールデニアは、スサノオを送り出す。
あとは、ヒミコを嫁に出したら、とりあえずは、ゆっくりできるであろうと踏んでいたゴールデニアの元へ、アマテラスから急な知らせが届いた。それは、なんと!
スサノオは、修業の身でありながら、サユリーヌ姫に不埒なことを仕出かしたらしく、二人は、また夫婦になってしまったらしい。
そうだった。まだ神界には、サユリーヌ姫がいたのだ。そのことをすっかり忘れていたゴールデニアにも落ち度がある。
とにかく、マウントレー国へ謝罪に行かねばならなかった。不肖の息子のせいで、何度頭を下げねばならないのだろう。これを最後にしてよね。と心の中でつぶやく。
意外にも、マウントレー陛下は、元のさやに納まったことが嬉しいらしく上機嫌であったのだ。喜んでいるのなら、いいか?
応援ありがとうございます!
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