幸せの電子レンジ~本物の聖女様だったことがわかり、今更戻って来いと言われても遅いです

青の雀

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10.グラタン

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 星羅は王妃様のお茶会のため、保存がきくクッキーを中心に焼いていく。この世界では、まだまだカカオ豆の普及がなく、チョコレートも神様への捧げものと言われるぐらい貴重品なのだ。

 それでチョコレートを使ったお菓子を中心に作り、しばらく異世界に来なくても間に合うように、クッキーなどの日持ちがする保存食を大量に作っている。

 湯せんで溶かす作業を電子レンジが代わりにやってくれるのは、助かるし、時間短縮になる。

 主に異世界でしか使っていなかった炊飯器と電子レンジを梱包しなおす。長い傘とマイバッグを近くに置き、いつでも帰れる時を待つ状態にした。

 水原さんは、橋の架け替えなどの工事を急ピッチに進めると同時に、床暖房設備を王城に張り巡らす提案をしている。建て替えが必要になりそうなので、まずは、床暖房部屋を作り、そこで実際に、体験してもらうことにすると、いっぺんに工事の受注が舞い込み、とても帰還できそうにないことから、宮廷所属のドワーフに技術を教え、代わりに工事をやってもらうことにした。

 安井さんは、立派に育ったカボチャや白菜、大根との別れを惜しみつつも、よく水洗いをして、一部は、ニッポンへ持って帰るつもりなのか?高いアイテムカバンを買い、その中にしまい込んでいる模様。もっとも、安井さんは来るとき、自転車を持ってきたから、それもアイテムカバンに入る。

 前日に戻るから、自転車2台になっちゃうよと言ったら、1台盗られた時用と答えが返ってきた。確かに自転車を商店街に放置していると、よく盗難に遭う。

 坪田君は、魔法の試験を含め、全科目で1位の成績を収め、女子生徒にモテモテになったとか、聞いていて、少し妬ける。

 スキップボードに浮遊魔法をかけ、空飛ぶスキップボードに改良し、back to the future みたいになったと喜んでいる姿は子供そのもの。ニッポンへ帰れば、別れを切り出さなくては条例違反になってしまう。

 それぞれの準備が整ったところで、いよいよニッポンへ帰る。

 イメージ的には、召喚される前の日の午後10時過ぎの商店街アーケードの横に建っている映画館の駐車場を目指すことにした。ここなら人目につかないし、障害物もないだろうということで、皆、緊張した面持ちで、映画館の駐車場をイメージする。

 安井さんは、アイテムカバンをギュっと握りしめ、坪田君は、スキップボードを抱きしめる。水原さんはアタッシュケースを小脇に抱え、傘を握りしめる。星羅は、電子レンジと炊飯器を背中に背負い、長い傘とスーパーで買い物をしてきたマイバッグを持つ。



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「えいや!」

 掛け声とともに、わずかな浮遊感を感じたと思って、目を開けると、そこは、懐かしい映画館の駐車場のところに4人がいる。

 背中の電子レンジは、そのままあったのだが、どういうわけか、いつも愛用している自転車と共にいる星羅に気づく。

 前日に戻ってくるように設定したからか、その日の朝、通勤に使った自転車が、そのままある。

 安井さんもアイテムカバンの中に確かに自転車を入れておいたのに、外に自転車が出ている。坪田君も空飛ぶスキップボードと普通のスキップボードと2台あることになっていて、わかっていたけど、現実を受け入れられない3人は、クスクス笑いだす。

 冷静なのは、水原さんだけで、特に見た目は変わっていないけど、ネクタイの色が変わったぐらいで、いつもと同じ調子になっている。

「とにかく星羅さんの家へ行こうよ。自己紹介をしなきゃなんないけど、家を知らないと、後から調べるにしても不便だからね」

「わかったわ。すぐそこだから」

 星羅は、およそ2か月半ぶりに帰宅することになるが、当然ながらポストに郵便物は溜まっていないことにホっとする。

 星羅のマンションは2LDKで狭いと言えば、狭い。でも普通の一人暮らしにしては、広いのは、リケジョだから家電製品の修繕部屋を別に持っているので、その分だけが広い。

「散らかっていますけど、どうぞ」

 先に上がった星羅は、3人分のスリッパを出す。

 マイバッグの中身は、明日買うべきものが入っている。3人にコーヒーを淹れ、リビングにひとまず座る。

「いい部屋ですね」

 口火を切ったのは、不動産会社勤務の水原さん。

「ありがとうございます。とりあえずテレビをつけて、今日が前日なのか確認します」

 夕刊紙でもよかったのだけど、男の人に部屋の中を入れるのが初めてだったもので、緊張しているのだ。

 テレビは、その日に放映していたドラマがやっていた。確かに見た記憶があったので、ホっとする。念のためNHKに変えても、目新しいニュースはない。

「無事、前日みたいですね」

「ちょっと確認させてもらってもいいですか?」

「え?何を?」

 安井さんも坪田君も、黙ったままで、手のひらや指先に集中しているようだった。ああ、そういうことか、この世界に戻ってきて、魔法が使えるかどうかを確認しているということね。

 使えるのと使えないとでは、大きな違いがある。念のため、星羅も掌に集中する。それだけで、魔力が漲っていることを感じ取れる。もう生活魔法を試さなくても、これだけで十分。

 しばらくすると、安井さんの手から水が出てきて、虹までできている。坪田君は、火魔法みたいで、ろうそくの灯のような火が風に揺れていると、思ったら、水原さんが風魔法を操っておられるようだった。

「じゃあ、僕、もう帰るよ。これから勉強しなきゃだしね。僕が大学合格するまで、星羅さんとは会わないつもりだよ。あ、でも同窓会やお疲れ様会には来るよ。そういう意味の会わないではないからね」

「わかっているわ。条例違反になるものね」

「うん。愛する星羅さんに迷惑はかけたくない」

「なら、その間は、俺が星羅さんと付き合うことにする」

「いいよ。でもくれぐれも星羅さんを泣かせるようなことはしないで、もししたら僕が承知しないからっ」

「大丈夫じゃ。儂も目を光らせておく」

 わずか2か月半、行動を共にしただけで、本当の家族のようになった4人。このままお別れするには、惜しいと思う。

 それはみんなも同じ考えのようで、これから頻繁に連絡を取ろうということで、今夜は散会となる。

 とにかく明日は、決して、午後10時過ぎには、外へ出ないこと、それだけを申し合わせる。



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 グラタン

 玉ねぎ4分の1みじん切りにする
 ハムやベーコン 好きなだけ、小さく切る
 マカロニ50グラム
 塩コショウ 少々
 コンソメ 小さじ2
 バター20グラム
 小麦粉大さじ3
 豆乳350ml

 600w3分加熱
 下からよく混ぜる
 600w3分加熱
 下からまた混ぜる
 とろみが出てきたら、チーズ、粉チーズを振りかけオーブントースターへ焦げ目ができたら完成です

 オーブントースターがなければ、コンロのグリルでも焦げ目がつきます
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