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聖女ビクトリア
2 断頭台
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ビクトリアは地下牢の中にいる。
食事で出されたものは、カビの生えた固いパンと冷たいスープだけ、病弱なので普通の令嬢よりは、食が細いのであるが、ここの食事は、こんなもの人間が食べるものとは思えないほど、質素で腐っているものとしか言いようがないほど悪かったのである。
事の発端は、本日の卒業式で王太子殿下のロバート様より、婚約破棄を言い渡されたことに始まる。
ビクトリアが騎士団長の息子のジェームズと浮気していたと言われ、さらに男爵令嬢のリリアーヌ嬢を学園内で虐めぬいたなんて、冤罪をでっちあげられたことである。
どちらも身に覚えがないことを言われ、ひどく悲しいし、疲れたのである。
なぜ、そんなこと言われなきゃなんないのかしらね。腐った食事のほとんどを残し、今夜はさっさと寝ることにしよう。明日、考えればいい。ビクトリアに与えられたのは、毛布一枚。地下牢の床は、堅く冷え切っている。
そこへ毛布を敷いても、上に掛けても寒いものは寒い。寝返りを何度か打ち、気が付いたら明け方になっていたのである。
牢番が来て、今日、処刑だと告げられる。
ずいぶん早いのね。どっちにしても死ぬ運命だから、今日死のうが、明日死のうがそう変わらないのである。
身支度、といっても大したものはないが、少し髪形を整えて、牢から出て、囚人用の馬車に揺られる。断頭台の広場へ着くと、民衆の敵意が少々痛かったのである。
別にビクトリアの知り合いがいて、ビクトリアに対する悪意や敵意ではないことがわかっていても、胸が痛む。民衆は重税にあえぎ、貴族や王家に対して悪意を持っているのである。だから、今日処刑される貴族の娘がどうとか何も思っていないのである。
銅鑼の音が響き渡る。
ビクトリアは、断頭台に引きずり出される。今にも石を投げつけられそうになった時、ふと神様に何のために、わたくしはこの世に生を受けたのか、聞いてみたくなったのである。
処刑執行官に、最後の祈りをしても良いかと聞くと、
「懺悔か!? 手短にな。」
断頭台の手前にしゃがみ込み、神様に問うと
突然、ビクトリアの身体が軽くなったように感じたのだ。
敵意むき出しだった民衆の顔がほころんで、どこから飛んでくるのかわからないが、大量の花びらが舞い落ちてくる。
民衆の中に父を発見した。公爵家で雇っている騎士の姿も!どういうわけか、皆、死に装束を着ている。わたくしとともに死んでくださるおつもりなのかしら?
気が付けば、父の隣に立っていた。いつの間にか、転移魔法が使えていたのである。
迷わず、ビクトリアは、護衛の騎士とともに公爵邸へ帰ったのであった。
断頭台にいたはずのビクトリアが父の公爵とともに帰ってきたものだから、公爵邸は、ちょっとした騒動になったのである。
そしてビクトリアは知らなかったのであるが、断頭台では、聖女様がいなくなったことにより、王家への不信感を募らせた民衆がクーデターを決起したのである。
ビクトリアが、断頭台で挨拶すればよかった?でも、なんといって挨拶するのよ?
その頃、ロバートとリリアーヌは観覧席にいたことから、引きずりおろされ、民衆に捕らわれの身となったのである。
「こいつらが聖女様を処刑しようとした張本人だな?」
「そうだ。観覧席に笑いながら、座っているのを見たぞ。」
「私は、ただの平民の娘でございますれば、関係ありません。」
この期に及んで、男爵令嬢は平民のふりをする。リリアーヌは男爵令嬢から平民の娘などに簡単に不利ができるであろうが、ロバートは王太子、もしくは高位貴族の王子にしか見えない身なりをしている。
「さっきとっ捕まえた処刑執行官に聞こう。もし、王家と関わり合いがある人物なら、死んでもらう。」
「冗談じゃないわ。私はヒロインなのよ。ビクトリアが悪役令嬢で、私が王太子妃になるのよ。あの乙女ゲームは何度もクリアしたけど、ビクトリアが聖女だなんて知らないわよ。」
リリアーヌは、民衆に捕まり、ついぶつぶつと文句を言ってしまう。
「この女、自分は王太子妃になると言ってやがる。」
「ということは、こっちのマヌケ面した奴が、王太子ということか?」
「まずは、こいつらから血祭りにあげようぜ。」
リリアーヌは転生者だったのだ。それでゲーム通りの筋書きだと思って、ビクトリアを罠に嵌めたのだ。
「待て、待て。そうだ俺は、タイナー国の王太子だが、命を助けてくれたら、そのほうらに褒美をやろう。悪いのは、この女だ。この女が聖女様を処刑しようとしたのだ。それにもう一人いるぞ、騎士団長の息子でジェームズ・ファウル、こいつも聖女様を罠に嵌めた張本人だ。どうだ?褒美は欲しくないか?」
ロバートは卑怯にも、自分だけ助かりたいために命乞いをしているのだが、そのことが却って、民衆の怒りを買っているとも知らずに。
ちょうど場所は断頭台広場、その気になればすぐにでも、いい処刑ができそうだ。
「いやいや待て待て、俺の命を助けてくれたら、褒美のほかにこの女をやろう。好きにいたすがよい。」
そう言って、前面にリリアーヌを差し出すロバート。
「ちょっとぉ、ロバート様、なんてことおっしゃるのでございますか?卒業式でビクトリアに我が愛するリリアーヌと仰ってくださったではありませんか?それなのに、私を人身御供にされるおつもりですか?」
「そうだとも!それで王家の役に立て。俺はもう一度、ビクトリアと婚約するのだ。ってビクトリア、どこへ行った?俺はビクトリアを探しに行く。リリアーヌお前はここで、民衆に説明してやっておくれ。」
リリアーヌが着ているドレスなどのアクセサリーの宝石をむしって、民衆に与えながら、自分は後ずさっていく。
「そんなことできるわけないじゃないですか!ロバート様、ずるいですよ。」
結局、二人とも捕まってしまい、その場で身ぐるみはがされた挙句、断頭台の前に座らされるのであったのだ。
「私はヒロインなのよ、こんな事おかしい!ロバート様がビクトリアの死ぬところをよく見える場所で見ようとおっしゃったからではありませんか!こんなはずじゃなかった。」
「俺だって、貴様がビクトリアを罠に嵌めようと俺を唆したから、こうなったのではないか!お前が唆しさえしなければ、俺は聖女様を嫁にできたのだぞ!俺の人生を返せ!」
二人はそろって、断頭台で首を刎ねられ、亡骸はそのままにされながら、民衆は王城を目指したのである。
食事で出されたものは、カビの生えた固いパンと冷たいスープだけ、病弱なので普通の令嬢よりは、食が細いのであるが、ここの食事は、こんなもの人間が食べるものとは思えないほど、質素で腐っているものとしか言いようがないほど悪かったのである。
事の発端は、本日の卒業式で王太子殿下のロバート様より、婚約破棄を言い渡されたことに始まる。
ビクトリアが騎士団長の息子のジェームズと浮気していたと言われ、さらに男爵令嬢のリリアーヌ嬢を学園内で虐めぬいたなんて、冤罪をでっちあげられたことである。
どちらも身に覚えがないことを言われ、ひどく悲しいし、疲れたのである。
なぜ、そんなこと言われなきゃなんないのかしらね。腐った食事のほとんどを残し、今夜はさっさと寝ることにしよう。明日、考えればいい。ビクトリアに与えられたのは、毛布一枚。地下牢の床は、堅く冷え切っている。
そこへ毛布を敷いても、上に掛けても寒いものは寒い。寝返りを何度か打ち、気が付いたら明け方になっていたのである。
牢番が来て、今日、処刑だと告げられる。
ずいぶん早いのね。どっちにしても死ぬ運命だから、今日死のうが、明日死のうがそう変わらないのである。
身支度、といっても大したものはないが、少し髪形を整えて、牢から出て、囚人用の馬車に揺られる。断頭台の広場へ着くと、民衆の敵意が少々痛かったのである。
別にビクトリアの知り合いがいて、ビクトリアに対する悪意や敵意ではないことがわかっていても、胸が痛む。民衆は重税にあえぎ、貴族や王家に対して悪意を持っているのである。だから、今日処刑される貴族の娘がどうとか何も思っていないのである。
銅鑼の音が響き渡る。
ビクトリアは、断頭台に引きずり出される。今にも石を投げつけられそうになった時、ふと神様に何のために、わたくしはこの世に生を受けたのか、聞いてみたくなったのである。
処刑執行官に、最後の祈りをしても良いかと聞くと、
「懺悔か!? 手短にな。」
断頭台の手前にしゃがみ込み、神様に問うと
突然、ビクトリアの身体が軽くなったように感じたのだ。
敵意むき出しだった民衆の顔がほころんで、どこから飛んでくるのかわからないが、大量の花びらが舞い落ちてくる。
民衆の中に父を発見した。公爵家で雇っている騎士の姿も!どういうわけか、皆、死に装束を着ている。わたくしとともに死んでくださるおつもりなのかしら?
気が付けば、父の隣に立っていた。いつの間にか、転移魔法が使えていたのである。
迷わず、ビクトリアは、護衛の騎士とともに公爵邸へ帰ったのであった。
断頭台にいたはずのビクトリアが父の公爵とともに帰ってきたものだから、公爵邸は、ちょっとした騒動になったのである。
そしてビクトリアは知らなかったのであるが、断頭台では、聖女様がいなくなったことにより、王家への不信感を募らせた民衆がクーデターを決起したのである。
ビクトリアが、断頭台で挨拶すればよかった?でも、なんといって挨拶するのよ?
その頃、ロバートとリリアーヌは観覧席にいたことから、引きずりおろされ、民衆に捕らわれの身となったのである。
「こいつらが聖女様を処刑しようとした張本人だな?」
「そうだ。観覧席に笑いながら、座っているのを見たぞ。」
「私は、ただの平民の娘でございますれば、関係ありません。」
この期に及んで、男爵令嬢は平民のふりをする。リリアーヌは男爵令嬢から平民の娘などに簡単に不利ができるであろうが、ロバートは王太子、もしくは高位貴族の王子にしか見えない身なりをしている。
「さっきとっ捕まえた処刑執行官に聞こう。もし、王家と関わり合いがある人物なら、死んでもらう。」
「冗談じゃないわ。私はヒロインなのよ。ビクトリアが悪役令嬢で、私が王太子妃になるのよ。あの乙女ゲームは何度もクリアしたけど、ビクトリアが聖女だなんて知らないわよ。」
リリアーヌは、民衆に捕まり、ついぶつぶつと文句を言ってしまう。
「この女、自分は王太子妃になると言ってやがる。」
「ということは、こっちのマヌケ面した奴が、王太子ということか?」
「まずは、こいつらから血祭りにあげようぜ。」
リリアーヌは転生者だったのだ。それでゲーム通りの筋書きだと思って、ビクトリアを罠に嵌めたのだ。
「待て、待て。そうだ俺は、タイナー国の王太子だが、命を助けてくれたら、そのほうらに褒美をやろう。悪いのは、この女だ。この女が聖女様を処刑しようとしたのだ。それにもう一人いるぞ、騎士団長の息子でジェームズ・ファウル、こいつも聖女様を罠に嵌めた張本人だ。どうだ?褒美は欲しくないか?」
ロバートは卑怯にも、自分だけ助かりたいために命乞いをしているのだが、そのことが却って、民衆の怒りを買っているとも知らずに。
ちょうど場所は断頭台広場、その気になればすぐにでも、いい処刑ができそうだ。
「いやいや待て待て、俺の命を助けてくれたら、褒美のほかにこの女をやろう。好きにいたすがよい。」
そう言って、前面にリリアーヌを差し出すロバート。
「ちょっとぉ、ロバート様、なんてことおっしゃるのでございますか?卒業式でビクトリアに我が愛するリリアーヌと仰ってくださったではありませんか?それなのに、私を人身御供にされるおつもりですか?」
「そうだとも!それで王家の役に立て。俺はもう一度、ビクトリアと婚約するのだ。ってビクトリア、どこへ行った?俺はビクトリアを探しに行く。リリアーヌお前はここで、民衆に説明してやっておくれ。」
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「そんなことできるわけないじゃないですか!ロバート様、ずるいですよ。」
結局、二人とも捕まってしまい、その場で身ぐるみはがされた挙句、断頭台の前に座らされるのであったのだ。
「私はヒロインなのよ、こんな事おかしい!ロバート様がビクトリアの死ぬところをよく見える場所で見ようとおっしゃったからではありませんか!こんなはずじゃなかった。」
「俺だって、貴様がビクトリアを罠に嵌めようと俺を唆したから、こうなったのではないか!お前が唆しさえしなければ、俺は聖女様を嫁にできたのだぞ!俺の人生を返せ!」
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