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敵の目を欺くため、チャチャは男装する。
なかなかかっこいいのだ。
どう見てもケント君が男装している女の子にしか見えない。だから、万一、トヨトミに取り囲まれたとき、ケント君が下半身を見せて、逃げることにしたのだ。
それにケント君はお料理がとってもうまい。
「ワイは前世、食い倒れの健という異名を持っとったからな。舌が前世の味を覚えてるんやな。チャチャを舐め上げるだけやないで、ワイの舌は。」
「やめてよ。濡れてきちゃうじゃない!」
「ワイを思って、濡らしてくれるとは、嬉しいなぁ。」
吊り橋効果ともいうのだろうか?あれほど倦怠期だった二人が抱き合うと、久しぶりに燃える夜になったのである。
そして、トヨトミと正反対方向の隣国オワリへ到着した二人に待っていたものは、なんと!聖女判定だったのだ。
どちらかが水晶玉を光らせたら、トヨトミから匿ってやろう、というもの。だけどチャチャはもう聖女様ではない。なぜなら聖女様は純潔の証、ロストバージンをしたのが7年前だから、到底無理。
仕方なく、ケント君がチャチャに化けて、水晶玉判定を受けることになったのである。ワイは一度も穴が清いままだから、案外行けるかもしれへんで。と笑いながら向かう。
なんと!ケント君は見事に水晶玉を光らせたのである。
なら、もう聖女様ではなく、聖男様ではないのか?とツッコミを入れたいところだが、これでチャチャの命拾いはしたも同然なのである。
いくら、オダニの血を受け継いでいても、聖女様は殺されない。ケント君の父オーノ公爵もトヨトミに忠誠を誓っているから、無傷。ということで、
「ほな、オダニへ帰ろうか?」
ケント君が勧めても、チャチャは首を縦にしない。
「あのサルがわたくしを放っておくなどありえません。聖女ならばなおさらのことです。きっと手籠めにされるでしょう。」
「だけどチャチャはもう、ワイの嫁はんやで。大人はワイらの関係を知らないから、ガキ同士の名前だけの形だけの夫婦やと思ってるやろうけどね。神の前で契りを結んだ正式な夫婦とは思っていなくても、ワイからチャチャを奪ったら、天罰が下ると思う。」
キャサリン・オダニが聖女様に覚醒したとの知らせが、トヨトミに届いてからというものは、サルは、討伐命令を解除し、生け捕りにするよう部下に命じる。
「素っ裸に剥いて、儂の前に差し出せ。くれぐれもガキの裸で欲情するなよ。」
サルは笑いながら、部下に命じる。
「一緒にいるケント・オーノの処遇はいかがいたしましょうか?」
「ああ?名前だけの亭主だな、捨て置け、男には興味はない。それにオーノ公爵との約束もあるしな。無傷で親元へ送ってやれ。くれぐれも丁重にな。」
「はっ!」
本当の聖女様の正体を誰も知らない。
もし、知ったらケントが手籠めにされるのだろうか?
気持ち悪い、考えたくもないからと、ケントは首をすくめる。
水晶玉が反応したら匿ってやるとの話は真っ赤なウソだった。オワリは、トヨトミに二人を金で売ったのである。オワリでの宿にいるとき、いきなり踏み込まれたのである。宿と言っても、教会に隣接している小屋のようなところで、帰りが遅くなってしまった信者のために建てられているものだったのだ。
咄嗟にケントは、小屋の二人がいた部屋の周りに結界を張った。一歩でも部屋に入るとたちまち足が腐るという結界である。高い鼻が先に結界に触れると、鼻が腐り、扉を開けようと腕を出すと腕から腐るという結界なのだ。
部屋に一歩も近づけなくなったトヨトミ軍は、サルから命じられているにもかかわらず、小屋に火を放った。
さすがに聖男様が張った結界だけのことはある。火は結界の周りだけを焼き、かわりに火を放った者が焼け死んだ。天に向かって唾を吐く、状態なのだ。これが天罰と言わずして、なんと表現する?教会関係者はおののき、
「聖女様、どうかお許しを!」
口々に叫ぶが、聖女様ではない。
「トヨトミさま、どうか、お引き取りを!」
仕方なく、トヨトミ軍は一時退却を決める。
サルは、オワリの教会からキャサリンを連れ出せなかったことにイライラしている。
「なぜ小童ごときに侮られ、ひっ捕らえることができないのだ!」
「そう申されましても、聖女様の張られる結界の威力がすさまじくて……ウギャァ。」
言い訳をしている兵士の首をその場で刎ねた。
「この者と同じようにされたくなければ、はやく素っ裸にして、聖女様を連れてこい!」
「恐れながら、なぜ、素っ裸にするのでございますか?」
「たわけ!単なる趣味だ。それ以上聞くと……。」
「お許しを!」
すたこら、逃げていく。
サルは美幼女?美少女好きの単なる変態だったのである。
チャチャとケントはオワリも安全でないことを知り、結界に守られながら、夜中にこっそりオワリを抜け出す。
結界の中にあった部屋ごと、家具ごと持ってきたのだ。そして、結界に隠蔽工作魔法をつかい、見えなくしたまま、闇夜を突っ走ったのである。
すれ違った人からは、一陣の風が通り抜けたような感じしかない。
誰にも気づかれず、オワリからスンプに逃げることに成功する。
なかなかかっこいいのだ。
どう見てもケント君が男装している女の子にしか見えない。だから、万一、トヨトミに取り囲まれたとき、ケント君が下半身を見せて、逃げることにしたのだ。
それにケント君はお料理がとってもうまい。
「ワイは前世、食い倒れの健という異名を持っとったからな。舌が前世の味を覚えてるんやな。チャチャを舐め上げるだけやないで、ワイの舌は。」
「やめてよ。濡れてきちゃうじゃない!」
「ワイを思って、濡らしてくれるとは、嬉しいなぁ。」
吊り橋効果ともいうのだろうか?あれほど倦怠期だった二人が抱き合うと、久しぶりに燃える夜になったのである。
そして、トヨトミと正反対方向の隣国オワリへ到着した二人に待っていたものは、なんと!聖女判定だったのだ。
どちらかが水晶玉を光らせたら、トヨトミから匿ってやろう、というもの。だけどチャチャはもう聖女様ではない。なぜなら聖女様は純潔の証、ロストバージンをしたのが7年前だから、到底無理。
仕方なく、ケント君がチャチャに化けて、水晶玉判定を受けることになったのである。ワイは一度も穴が清いままだから、案外行けるかもしれへんで。と笑いながら向かう。
なんと!ケント君は見事に水晶玉を光らせたのである。
なら、もう聖女様ではなく、聖男様ではないのか?とツッコミを入れたいところだが、これでチャチャの命拾いはしたも同然なのである。
いくら、オダニの血を受け継いでいても、聖女様は殺されない。ケント君の父オーノ公爵もトヨトミに忠誠を誓っているから、無傷。ということで、
「ほな、オダニへ帰ろうか?」
ケント君が勧めても、チャチャは首を縦にしない。
「あのサルがわたくしを放っておくなどありえません。聖女ならばなおさらのことです。きっと手籠めにされるでしょう。」
「だけどチャチャはもう、ワイの嫁はんやで。大人はワイらの関係を知らないから、ガキ同士の名前だけの形だけの夫婦やと思ってるやろうけどね。神の前で契りを結んだ正式な夫婦とは思っていなくても、ワイからチャチャを奪ったら、天罰が下ると思う。」
キャサリン・オダニが聖女様に覚醒したとの知らせが、トヨトミに届いてからというものは、サルは、討伐命令を解除し、生け捕りにするよう部下に命じる。
「素っ裸に剥いて、儂の前に差し出せ。くれぐれもガキの裸で欲情するなよ。」
サルは笑いながら、部下に命じる。
「一緒にいるケント・オーノの処遇はいかがいたしましょうか?」
「ああ?名前だけの亭主だな、捨て置け、男には興味はない。それにオーノ公爵との約束もあるしな。無傷で親元へ送ってやれ。くれぐれも丁重にな。」
「はっ!」
本当の聖女様の正体を誰も知らない。
もし、知ったらケントが手籠めにされるのだろうか?
気持ち悪い、考えたくもないからと、ケントは首をすくめる。
水晶玉が反応したら匿ってやるとの話は真っ赤なウソだった。オワリは、トヨトミに二人を金で売ったのである。オワリでの宿にいるとき、いきなり踏み込まれたのである。宿と言っても、教会に隣接している小屋のようなところで、帰りが遅くなってしまった信者のために建てられているものだったのだ。
咄嗟にケントは、小屋の二人がいた部屋の周りに結界を張った。一歩でも部屋に入るとたちまち足が腐るという結界である。高い鼻が先に結界に触れると、鼻が腐り、扉を開けようと腕を出すと腕から腐るという結界なのだ。
部屋に一歩も近づけなくなったトヨトミ軍は、サルから命じられているにもかかわらず、小屋に火を放った。
さすがに聖男様が張った結界だけのことはある。火は結界の周りだけを焼き、かわりに火を放った者が焼け死んだ。天に向かって唾を吐く、状態なのだ。これが天罰と言わずして、なんと表現する?教会関係者はおののき、
「聖女様、どうかお許しを!」
口々に叫ぶが、聖女様ではない。
「トヨトミさま、どうか、お引き取りを!」
仕方なく、トヨトミ軍は一時退却を決める。
サルは、オワリの教会からキャサリンを連れ出せなかったことにイライラしている。
「なぜ小童ごときに侮られ、ひっ捕らえることができないのだ!」
「そう申されましても、聖女様の張られる結界の威力がすさまじくて……ウギャァ。」
言い訳をしている兵士の首をその場で刎ねた。
「この者と同じようにされたくなければ、はやく素っ裸にして、聖女様を連れてこい!」
「恐れながら、なぜ、素っ裸にするのでございますか?」
「たわけ!単なる趣味だ。それ以上聞くと……。」
「お許しを!」
すたこら、逃げていく。
サルは美幼女?美少女好きの単なる変態だったのである。
チャチャとケントはオワリも安全でないことを知り、結界に守られながら、夜中にこっそりオワリを抜け出す。
結界の中にあった部屋ごと、家具ごと持ってきたのだ。そして、結界に隠蔽工作魔法をつかい、見えなくしたまま、闇夜を突っ走ったのである。
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