転生悪役令嬢に仕立て上げられた幸運の女神様は家門から勘当されたので、自由に生きるため、もう、ほっといてください。今更戻ってこいは遅いです

青の雀

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現世

4.真実の窓

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 真実の窓の映像は、まだまだ続く。リリアーヌが廊下を歩いているときに、自ら汚れたバケツの水をかぶりながら、それをステファニーのせいにして、泣き叫んでいる映像。

 廊下をすまし顔で昇っていくリリアーヌ、他の生徒は誰もいない。頃合いを見計らって、「何をなさるのですか!ステファニー様!」自ら足を滑らせるかのような動きをして、自分の意志で階段を転げ落ちていく様子が浮かび上がる。手にしていた教科書やノートは踊り場に散乱している。

 そこに他の貴族の騎士が現れ、朦朧としている意識の中で「ステファニー様に」だけを言い、意識を手放しているリリアーヌの映像。

 まさに体当たり演技で、スタントなしでやってのけるところが凄い!最初は、小ばかにしていた父兄も、この演技力に舌を巻いている様子。

 この演技でもって、マリオットに迫られでもしたら、マリオットも簡単に掌の上に転がされ騙されても仕方がないというムードが出来上がっていく。

 マリオットは、映像の続きがあるにもかかわらず、我慢しきれなくなって、リリアーヌに詰め寄る。

「なぜ、こんなバカなことをしてまで、ステファニーを陥れようとしたのだ?そんなにアイツが憎いか?」

 リリアーヌは、首を横にフリフリしながら

「だって。ステファニーは悪役令嬢のくせに……ヒロインは、私なのよ!イベントだって、頑張ったんだからね!」

「は?……あくやく令嬢?……はて?……キャサリン嬢の諫言を聞いてくれていたなら、ここまでせずとも……」

「キャサリン様?あんなモブ、相手にしていないわよ。ゲームがクリアできなかったら、ポイ活になんないでしょ?」

「……もぶ?げえむ?ぽいかつ?……、リリアーヌどうした正気を取り戻せ!」

「痛い!放してよ!とにかく、もうちょっとでクリアできるところまで、いったのにぃ!あーあ。残念。今月お小遣いピンチだったんだから、それで……、もうゲームオーバーよね?んじゃ、帰るわ」

「おい!どこへ行く!お前のせいで、俺は王太子位も婚約者も失ってしまったのだぞ!」

「だからぁ、これは遊び。あ・そ・び、わかるでしょ?まあ楽しかったわ。え……と、どうやって、ゲームの外に出るんだっけ?電源ボタンを押せばいいか?それともアンインストールすれば……いいかな?って、どこよ?ないじゃん!うそっ!」

 リリアーヌはその時、初めてゲームの中に転生してしまった事実を知る。

「嘘よ!嘘よ!ここから出してよ!嘘でしょー!マジー?ヤダヤダ。日本へ帰りたいよー!」

 いくら泣き叫んだところで、ここが今、生きている現実世界だということに変わりがない。

 会場では、その頃、パーティの画像に切り替わっている。今まさに婚約破棄と断罪劇が行なわれている真っ最中で、リリアーヌがステファニーにいじめられたと訴え、マリオットが激昂しているところ。そこにステファニーの取り巻き令嬢がマリオット殿下に対して、反論をしたところ、小競り合いが始まってしまったという映像がながれている。

 突き飛ばして倒れたステファニーの上に馬乗りになり、両手の拳でステファニーの顔面を殴り付け、ボコボコになったステファニーを見下ろすように立ち上がり、さらにステファニーの腹を踏みつけている。

 男に対しても、ここまでの暴力をすることはないと言うほどの暴力。まるで、ならず者の喧嘩を見ているような有り様に、この段階ですでにマリオットは、男として、人間として、それよりも王太子としての資格を失っているということに気づかないでいる。

 マリオットのステファニーに対する凄惨な暴力シーンが流れ出すと、なぜ誰も止める者がいなかったのかと、お互いを責め始める。そして、ステファニー嬢の身を案じて、今は生きているのか死んでいるのかわからない状態で、医務班と第1王子のクリストファー殿下が治癒魔法を試みている映像も流れる。

 医務班の懸命の治療で、顔の傷は跡形もなく消え失せたのだが、その時、ステファニーは、血の塊のようなものを吐いてしまう。

 内臓がやられているのだから仕方がないと言えば、それまでのことだが、それをクリストファー殿下が魔力切れを起こす寸前まで、ステファニーの腹に手を当て、治癒魔法を流し続けている。

 やがてステファニーの息遣いが安定してくる。意識は回復していないが、しばらく王城に留まって安静にしていれば、起き上がることも可能になるのではという見方をしている。

 ここで、映像が王城の地下牢に閉じ込められているステファニーの取り巻き令嬢にかわる。

 会場は、自分たちに所縁のある令嬢までもが、地下牢に閉じ込められていたことを知り、怒りに震えが止まらない。
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