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前世
8.死
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いくら裏口を通って、帰ったと言っても、やはりというべきか、すでに居住しているタワマンを特定されていたのだ。
その日は、真一さんの携帯電話に電話して、助けを求めたら、すぐ退社して駆けつけてくれたが、怖くてたまらない。
そして、次の日もその次の日も、スーパーマーケットの駐車場で待ち伏せされるようになってしまう。
警察に相談するも、あまり動いてくれない。元居たファミレスの持ち株会社に相談してみることにしたら、栗栖店長は、すでに退職しているということを聞き、驚いた。
愛理にセクハラまがいのことをしていることが会社に知れ、クビになったそうだ。
それで逆恨みをして、愛理のストーカーをしているということは分かったが、対策のしようがない。
スーパーは毎日行かなくても、ネットスーパーというものもあるので、そちらを利用することにし、なるべく外出を控えるようにした。
真一さんも会社まで、自動車通勤しているので、電車などに乗らないから、外で買い物をしてくれて、とても助かることは助かるのだけど、なんだか申し訳なく思ってしまう。
真一さんは、愛理と結婚してから、店舗務めではなく本社の持ち株会社へ転勤になり、そこで情報システム部に配属されることが決まったのだ。そして、お給料も上がり、役職も部下も付くことになり、栄転ムード一色になったのであるが、愛理は気が重い。
いつ栗栖が襲ってくるかわからない状況では、真一さんの栄転を素直に喜べない。
真一は、そんな愛理のために、会社が借り上げているホテルを愛理との新居にしてしまう。
情報システム部は、夜遅くまで残業を常としている部署であるから、終電に間に合わず、いつもホテル暮らしをしている社員がほとんど。
宿泊代は会社の補助があり、1泊ツインでも1000円前後、という安さなのだ。これでは賃貸マンションを借りるより安い値段。しかも水道代・電気代・ガス代込みなので、こんな便利なもの本当に享受してしまってもいいのかしら?と不安になるほどだった。
でも、さすがに一流ホテルのサービスは一味も二味も違う。セキュリティは、タワマン以上にしっかりとしていて、24時間警備保障会社が巡回してくれている。
このホテルにチェックインしてから、次第に愛理も元気を取り戻していく。
食事はルームサービス、ホテル内のレストランで済ませることが多く、愛理の自慢の手料理の腕を揮う機会がめっきりと減ってしまう。
それでもストーカーに追い掛け回されるよりもマシだから、新婚旅行がお預けとなった現在、このホテルに滞在していることが新婚旅行の代わりの役目を果たしてくれていると思い、楽しんで受け入れることにしたのだ。
ホテルに滞在して、半年ばかりが経ったある日のこと、着替えを取りに帰ろうとタワマンに立ち寄ることにしたのだ。というのも、愛理は妊娠3か月になっていて、これから出産に向けて、お金が飛ぶようになくなってくることに懸念を抱いていたからなのだ。
いつも、下着やタオルと言ったものは、真一さんが新品をクレジットカードで払って、買ってくれるけど、それではもったいなく、申し訳なく思ってしまう貧乏性で、その日は晴れて、いい天気だったので、思い切って、電車を乗り継ぎタワマンへ寄ってみることにする。
愛理と結婚してから、真一さんには散財ばかりさせて申し訳ないと思っていたことも事実で、ついでだからスーツケースを持ち出し、その中に真一さんの洋服も入れて帰ろうと思いついたのだった。
一応、会社に連絡し、産科医院を受診した後、タワマンに一度帰ることを告げる。
この頃は、真一さんは、何かというと「愛理一人のカラダではない」、というようなことを口癖のように言っているので。
仕事の合間を見て、真一さんも「自宅に寄るから、そこで待っていろ」との伝言を受け、タワマン1階のロビーで待ち合わせをすることにする。
自宅の居間で待ち合わせるということも考えたけど、後から考えれば、その方が良かったと思える、その時は軽率な行動をしてしまったことは間違いがない。
そしてロビーの自動ドアが開き、真一さんが手を振りながら近づいたとき、後ろから見覚えのある男が、締まりかけの自動ドアに身を滑り込ませるのが見える。
「あ!」と思ったとき、その凶事は一瞬の出来事であったように思える。
その見覚えのある男は、栗栖で、栗栖は、背後から真一さんのカラダを持っていた刺身包丁で、何度も貫いてしまったのだ。
ロビーにいたコンシェルジュも異変に気付き、悲鳴を上げる中、110番通報と119番を呼ぶ。
スーツケースを持ったまま呆然と立ちすくむ愛理の目の前まで、栗栖は迫ってきている。
もう逃げ場がない。
「よくも、俺を裏切りやがって」
気づいたときには、赤子もろとも、刺身包丁で刺されていたのだ。駆け付けた警察官に栗栖が拘束されている姿を見ながら意識を手放した。
その日は、真一さんの携帯電話に電話して、助けを求めたら、すぐ退社して駆けつけてくれたが、怖くてたまらない。
そして、次の日もその次の日も、スーパーマーケットの駐車場で待ち伏せされるようになってしまう。
警察に相談するも、あまり動いてくれない。元居たファミレスの持ち株会社に相談してみることにしたら、栗栖店長は、すでに退職しているということを聞き、驚いた。
愛理にセクハラまがいのことをしていることが会社に知れ、クビになったそうだ。
それで逆恨みをして、愛理のストーカーをしているということは分かったが、対策のしようがない。
スーパーは毎日行かなくても、ネットスーパーというものもあるので、そちらを利用することにし、なるべく外出を控えるようにした。
真一さんも会社まで、自動車通勤しているので、電車などに乗らないから、外で買い物をしてくれて、とても助かることは助かるのだけど、なんだか申し訳なく思ってしまう。
真一さんは、愛理と結婚してから、店舗務めではなく本社の持ち株会社へ転勤になり、そこで情報システム部に配属されることが決まったのだ。そして、お給料も上がり、役職も部下も付くことになり、栄転ムード一色になったのであるが、愛理は気が重い。
いつ栗栖が襲ってくるかわからない状況では、真一さんの栄転を素直に喜べない。
真一は、そんな愛理のために、会社が借り上げているホテルを愛理との新居にしてしまう。
情報システム部は、夜遅くまで残業を常としている部署であるから、終電に間に合わず、いつもホテル暮らしをしている社員がほとんど。
宿泊代は会社の補助があり、1泊ツインでも1000円前後、という安さなのだ。これでは賃貸マンションを借りるより安い値段。しかも水道代・電気代・ガス代込みなので、こんな便利なもの本当に享受してしまってもいいのかしら?と不安になるほどだった。
でも、さすがに一流ホテルのサービスは一味も二味も違う。セキュリティは、タワマン以上にしっかりとしていて、24時間警備保障会社が巡回してくれている。
このホテルにチェックインしてから、次第に愛理も元気を取り戻していく。
食事はルームサービス、ホテル内のレストランで済ませることが多く、愛理の自慢の手料理の腕を揮う機会がめっきりと減ってしまう。
それでもストーカーに追い掛け回されるよりもマシだから、新婚旅行がお預けとなった現在、このホテルに滞在していることが新婚旅行の代わりの役目を果たしてくれていると思い、楽しんで受け入れることにしたのだ。
ホテルに滞在して、半年ばかりが経ったある日のこと、着替えを取りに帰ろうとタワマンに立ち寄ることにしたのだ。というのも、愛理は妊娠3か月になっていて、これから出産に向けて、お金が飛ぶようになくなってくることに懸念を抱いていたからなのだ。
いつも、下着やタオルと言ったものは、真一さんが新品をクレジットカードで払って、買ってくれるけど、それではもったいなく、申し訳なく思ってしまう貧乏性で、その日は晴れて、いい天気だったので、思い切って、電車を乗り継ぎタワマンへ寄ってみることにする。
愛理と結婚してから、真一さんには散財ばかりさせて申し訳ないと思っていたことも事実で、ついでだからスーツケースを持ち出し、その中に真一さんの洋服も入れて帰ろうと思いついたのだった。
一応、会社に連絡し、産科医院を受診した後、タワマンに一度帰ることを告げる。
この頃は、真一さんは、何かというと「愛理一人のカラダではない」、というようなことを口癖のように言っているので。
仕事の合間を見て、真一さんも「自宅に寄るから、そこで待っていろ」との伝言を受け、タワマン1階のロビーで待ち合わせをすることにする。
自宅の居間で待ち合わせるということも考えたけど、後から考えれば、その方が良かったと思える、その時は軽率な行動をしてしまったことは間違いがない。
そしてロビーの自動ドアが開き、真一さんが手を振りながら近づいたとき、後ろから見覚えのある男が、締まりかけの自動ドアに身を滑り込ませるのが見える。
「あ!」と思ったとき、その凶事は一瞬の出来事であったように思える。
その見覚えのある男は、栗栖で、栗栖は、背後から真一さんのカラダを持っていた刺身包丁で、何度も貫いてしまったのだ。
ロビーにいたコンシェルジュも異変に気付き、悲鳴を上げる中、110番通報と119番を呼ぶ。
スーツケースを持ったまま呆然と立ちすくむ愛理の目の前まで、栗栖は迫ってきている。
もう逃げ場がない。
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気づいたときには、赤子もろとも、刺身包丁で刺されていたのだ。駆け付けた警察官に栗栖が拘束されている姿を見ながら意識を手放した。
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