転生悪役令嬢に仕立て上げられた幸運の女神様は家門から勘当されたので、自由に生きるため、もう、ほっといてください。今更戻ってこいは遅いです

青の雀

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現世:新たなる旅立ち

48.エレモア父視点

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 エレモアは、結婚するに至って、一応、実家のフランドルに連絡を入れるが、父からは、

「もう儂の娘でも何でもない!赤の他人なのだから、お前なんぞに言い寄ってくるオトコなど、ロクでもない男に決まっている!」

 これには、エレモアもカチンと来て!

「ええ。お相手は神様ですから、わたくしも二度とフランドルの家の敷居をまたぐ気はございませんわ。では、永遠にごきげんよう」

「へ……!?」

 そこで、少々慌てたフランドル伯爵はエレモアの現在の居場所が王都で評判のレストラン・アフロディーテだということに気づく。

 もしや……!?まさか……?

 招待状には、確か結婚式の会場は神界とあったような……?そして、披露宴会場はと言うと、レストラン・アフロディーテとなっているではないか!

 だいたい、神界など神様でもない生身のカラダで行けるようなところではないし、死んだからといっても、必ずしも行けるとの保証はない!なぜ、今までろくでなしと結婚するとばかり思い込んでいたのか?それと言うのも、エレモアがエストロゲン家のご令嬢を苛めていたという、とんでもないことをやらかしたせいで……家門の名誉を守るため勘当したのだ。

 今更、行きたいとも言えず……悩みは深くなるばかり。本当に神様と結婚するのなら、家門にとって、これほどない誉になることは間違いない。
 せめて本物の神様かどうか確かめてからでも……いや、そもそも、確かめるすべなどないのだ。
 
 それで、こっそり、エレモアに内緒でレストラン・アフロディーテへ食事に行く頃にしたのだ。

 そこでエレモアは、一平民として、食券売り場に元気に勤めていた姿を目にする。風の便りで、エレモアらしき女性が働いているとは、聞いていたが、あのエレモアがこの店で役に立っているなどと思いもしなかったことだ。

 エレモアは、私たち夫婦にすぐさま気づき、軽く会釈をして、真のオーナーと婚約者を紹介してくれたのだ。

 店の名前は、アフロディーテなのに、真のオーナーはエストロゲンの令嬢だったステファニー様が私財をはたいて、店を開き、エストロゲン家ゆかりのものを雇い入れていると聞き、まさに女神さまのようだと感心する。

 もっと驚きたことは、真のオーナーも、表向きのオーナーも女神さまで神界では幼馴染だということも分かった。エストロゲン家での令嬢姿は、仮の姿でというか、異能が幸運の女神様と言うことだったと言われ、唖然とする。

 ここは、エストロゲン家ゆかりの従業員以外は、すべて神様が経営している店で、それを最近、クリストファー殿下がお見えになり、貴族間に知れ渡ったことで繁盛したが、迷惑もしていると聞き、また驚きを増す。

「驚かれるのも、ご無理ございませんわ。わたくしとて、最初、真実を知った時は……でも、どの神様もよくしてくださり、今は一番幸せでございます」

 婿殿?サファイア様と言われたか?に席を案内され、着席して、店内を見回すと、清潔感溢れる色調で、床には塵ひとつ落ちていない。外食で清浄なる空間に、食事することなど、最近、なかったように思える。

 たいてい、どこの店も煩雑としていて、それが妙に落ち着くのも確かなことで……いや、これは恥ずべきところだと思うが……。

 一人一人のウエイターも流れるような動きで、無駄なところが一つもない。

 婿殿が、注文の料理を運んできて、家内と一つずつ小箱を差し出してくださる。

「こちらは女神さまからのサービス品でございます」

「あ……!あの……、娘のことを何卒、よろしく頼みます」

 婿殿はニッコリと笑われて

「私たちの結婚を認めてくださいますのでしょうか?」

「も、もちろんですとも!婿殿が神様なんて、こんな玉の輿はございません!」

「エレモアは素晴らしい女性です。エレモアを育ててくださり、ありがとうございました」

 エレモアの勘当も解き、仕事終わりに連れて帰ろうとしたら、エレモアが現在使っている社宅の中を見せてもらい、もう、腰を抜かさんばかりに驚いてしまう。

 あまり広いとは言えない空間だが、そこには、女性が一人で暮らすには十分すぎる設備が整っていたから。

 お風呂にトイレ、洗面所に洗濯場、制服は店で一括して洗濯してくれるらしいが、下着などは自分で、さっさと洗えて干せる機械?魔道具?が置いてある。この部屋の家賃も無料で借りられると言い、お給金も破格の金貨25枚で食事はすべて、店で他の従業員と共にふるまわれる。

「だから、ここにいた方がいいでしょ?」

「そ、そうだな……、でもドレスも神様と結婚したら必要になるのでは?」

 エレモアは、一見すると壁だと思われていたところを開けると、そこはウォーキングクローゼットになっていて、ドレスに宝石箱がずらりと並んでいる。

「サファイア様が誂えてくださいましたのよ」

 フランドル伯爵夫人(母)は、目を丸くして

「エレモア、あなた、一体どういう手練を遣って、大物を落としたのよ?」

 貴族令夫人らしくないことを娘に投げかける。エレモアは黙って、聞こえないふりを決め込む。
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