転生悪役令嬢に仕立て上げられた幸運の女神様は家門から勘当されたので、自由に生きるため、もう、ほっといてください。今更戻ってこいは遅いです

青の雀

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現世:新たなる旅立ち

50.結婚式

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 女神さまがくれた小箱には、それぞれ神界へ行くときのパスポートとなるブレスレットが入っている。そのブレスレットを填めると生身のカラダを持つ人間でも、1回限り神界に行くことができるというもの。非常に貴重なものを頂けたわけだが、本当に我々に下賜していただいていいような代物なのかどうかが気がかりである。

 そして、瞬く間に結婚式の朝を迎えてしまった。

 神界へのパスポートは、しっかり腕に嵌めている。しかし、方法はわからない。なんとなくだけど、馬車で行けないということは、わかっているつもりでも、どうやって神界に行けばいいのかがわからない。

 とにかくレストラン・アフロディーテへ行ってみることにする。

 すると女将、他の精霊?がキラキラ光りながら浮かんでいる。今日は結婚式なので、列席者は正装をしているというところか?

「皆様、揃われましたか?」

 半馬神のオパールが口火を切る。今日は、上半身が人間の姿で下半身は馬の姿になっている。でも、頭には月桂樹で作られた冠をしているから、やはり神様であるのだとわかる。

 そして婿殿は、と言うと真っ白なタキシード姿で、こちらもやはり月桂樹で作られた冠を被っておられる。

 エレモアは、純白のウエディングドレスは馬子にも衣裳といったところ。

 それにしても、男が見ても惚れ惚れする美形で、娘がよくこんな美形の男神を捉まえられたと感心するばかり。

 エレモアの話だと、先に惚れたのが婿殿だというから驚きを隠せない。

 エレモアのどこに惚れる要素があったかは、謎だが、とにかくめでたい。

 これなら他の親戚の奴らに自慢したくなる。どうか、我が家で二度目の結婚披露パーティをしたいと申し出ると、快く承諾していただいたので、その時を楽しみにしている。

「では、そろそろ参りましょうか?」

「ちょっと、待ったぁ~!本日のオーナーを忘れていやしませんか?」

 そう言いながら現れたアフロディーテ様とアイリーン様、二人とも黄金のキトン(布をカラダに巻き付け)月桂樹でできた冠をしている。

「ここのレストランオーナーは、わたくしですが、本日は結婚式ということもあり、愛を司るアフロディーテを置いては、結婚式ができませんことよ」

 アイリーン様は、クスクスと笑いながら、皆を中央に集める。半馬神のカラダから翼のようなものが生え、空を飛べない人間は、それに跨るように指示される。

 ジェニファーは、いち早くオパールの背中に飛び乗り首根っこにギュっと抱き着いている。

 ああ、なるほど、そういうことか……。

 エレモアは、と見ると婿殿のカラダに慣れた手つきで、すでに乗っている。

 そして、浮かび上がること10分。あっという間に王都の景色が豆粒の様に小さく見えている。

 しばらくすると、空高く浮かんでいる島のようなものが見えてくる。これが天界か神界かどちらかなのだろうか?

 いまだに区別がつかない。

 まあ、いいっか。何か気に入らないことがあると、この天馬に振り落とされかねないから、ここは黙っていることにしよう。

 ふと隣を見ると、妻は楽しそうに天馬様と会話をしているようだ。こういう時に明るくいられる女性はいい。改めて、妻の偉大さに感服する。

 それから、あっという間に神界の入り口に来たが、手にしているブレスレットのおかげで、難なく入ることができた。

 そこは今まで見たこともない世界というべきか、空間が広がっている。虹の上に、また虹があり、神々は笑いながらその虹を渡っていく。それにこの世界では、なんともいえないぐらいかぐわしい匂いが漂っている。誰かが香水をつけているわけでもないのに。

 カラン♪カラン♪

 結婚式が始まる合図の鐘が鳴る。

 ワラワラと、それまで談笑していた神々が集まり始める。

「これより半馬神サファイアとエレモア・フランドル伯爵令嬢との婚儀を始めます。ご両人、前へ」

 緊張した面持ちでサファイアとエレモアが前に進み出る。

「誓いのキスを」

 言われたとおり、サファイアは、エルモアの顔を覆っていたベールをまくり上げ、エルモアにキスをする。

「神の御前に身を委ねたる二人の男女に幸大からんことを!ご結婚おめでとうございます」

 他の神々が声をそろえて、

「ご結婚おめでとうございます!」

 へ?たったこれだけ?

 そう。これだけなのだ。それを人間が勝手に、やれ書類上の手続きだとか、やれお色直しだとか、やれ指輪の交換だとかを付け加えているに過ぎない。要するに神の前で誓いを立てれば、キスもいらないというのが神界での常識的な結婚式というわけ。
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