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5人目の妻 ステラ

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 俺は、相変わらず研究開発を続けた。大学の研究室にもフリーパスだ。時々、教授を接待しているおかげかもしれない。

 大学の図書館で調べ物をよくする。大学の図書館は、研究開発を進める俺にとっては、まさに宝庫と言えた。そこで出会ったのが、ステラだった。

 知的でおとなしい感じの美人だった。俺たちは、図書館で落ち合って、一緒に勉強した。その後、よくデートした。何度目かのデートの後、ステラがモジモジし出した。他の大学関係者から、俺が特許権をたくさん所有している研究者だと聞いたらしい。それで、どういうプロセスを経て、その発想に至ったかを聞きたいと言ってきた。

 俺は察した。要するに俺の家に上がり込みたいのだ。
 これは、据え膳だ。遠慮なく、家に招き入れて、いただいた。悲鳴に近い喘ぎ声で驚いた。外国の女は2人目だったが、ジョセフィはもっと、声を押し殺した感じだった。それとも俺をひっかけるために、あえて大声を張り上げたのか?わからなかった。
 ステラの声を聞くと、たまらなく興奮した。
 結局、研究の話は一度もせず、ステラのカラダを貪り尽くした。

 何はともあれ責任を取るため、俺は入籍をした。外国の女は、日本人に比べ「上」よりなのがいい。抱きやすい。

 バブルがはじけた後だったから、出物のいい家を購入した。2億円だった。

 ある日、大学構内で、ステラが中年の男と一緒にいるところを目撃した。何やら、もめているような様子だった。声もかけず、やり過ごしたら、研究室の女学生から聞いてもいないのに、ぺらぺらと話を聞かされた。

 俺は知らなかった。ステラには、もともと大学関係者の男がいた。ただ、ゆかりのように、その男と共謀して、俺を嵌めたわけではない。俺に乗り換えただけだった。
 俺も、過去はいろいろあったから、ステラを問い詰めることも、嫉妬してドSで攻め立てることもしなかった。

 それがいけなかったのか、その日を境にステラの様子がおかしくなった。

 なんと、研究室にいた女学生が、俺に大学関係者とステラの関係を告げ口したことを言っていたみたいだった。余計なことを言うやつがいる。

 俺は大人の対応をしただけだったが、それがステラを焦らした。ベッドの中のステラは、だんだん過激になって行った。出会った頃のステラが好きだったのに、次第に重い女になっていった。
 「どうして、過去の自分を責めてくれないのか?」

 「今のステラが好きなんだ。過去のステラではない!」

 ステラは泣きながら言った。
 「このままでは、自分が自分でなくなる。自分が壊れてしまう。」

 「もう大学にも居場所がない。お願いだから…。」

 結局、別れた。2億円の家は慰謝料代わりにくれてやった。
 次の就職先も、本人の希望を踏まえた上、日本〇産に俺のコネで押し込めた。
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