前世記憶持ちの悪役令嬢は聖女様呼ばわりされることが嫌で嫌で仕方がない～乙女ゲームのヒロインにゲームクリアしてもらうために奮闘する

青の雀

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侯爵令嬢として転生

12.GAME OVER

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　「これはいったい、どういうことなのでしょうか？そもそもここにジャクリーン・アナザーライトという人物はおりません。首席で卒業したのは、我が妻に間違いはございませんが、我が妻はジャクリーン・ブラウデンという名です。何か勘違いをなさっているのではございませんか？」

　マーロン様が噛み砕くように、説明してくださっています。

　「兄上！兄上は、そこの性悪女に騙されておいでなのです。」

　「おい。いくら弟とはいえ、言葉が過ぎるぞ！」

　カーネル殿に、鋭く注意をなさると、カーネル殿は青ざめ震えていらっしゃる。

　そして従弟のエドモンド殿下に向き直り、

　「殿下は、先ほど、我が妻がそこの男爵令嬢殿に学園内でいじめを働いたと仰せですが、何か証拠など、ございますか？」

　「そんなものリリアーヌの証言だけで十分ではないか？」

　「では、男爵令嬢殿にお聞きいたします。我が妻、ジャクリーンから、どのような嫌がらせを受けたとおっしゃいますか？」

　「はい……。階段から、突き落とされそうになったり、教科書を破かれたり、靴箱に毛虫が入っていたことがありました。」

　「どうして、ジャクリーンがリリアーヌ様に意地悪をしていると思われたのですか？」

　「それは、エドモンド殿下と私との仲に腹を立てて意地悪をされたのだと思います。」

　「はて？異なことを仰せでございますな。我が妻が王太子殿下の恋人に嫉妬したということですか？この学園は魔法学園にて、学園の隅々にあらゆる魔道具が仕掛けられております。その言い分を魔道具と照らし合わせてみましょう。」

　マーロン様は指をパチンと鳴らし、魔道具が現れる。

　もうそれだけで、リリアーヌ嬢は顔色が悪い。

　「最初は、階段から突き落とされそうになったという場面ですね。う……ん。これかな？」

　パーティ会場の天井に大きなスクリーンが浮かび上がる。

　リリアーヌがすまして、階段を上っている。あたりに誰も人影がないことを確認してから、「あれー！ジャクリーン様、何をされますの……。」ゴロンゴロンとリリアーヌが落ちていく。

　「ジャクリーンの姿はいませんね。どうして誰もいないのに、一人で落ちて、それをジャクリーンに突き落とされたとおっしゃったのでしょうか？」

　「その日付、その時間、ジャクリーン様は生徒会室においででした。生徒会の役員全員が証言します。」

　「ありがとう。」

　「次は、確か教科書を破られた、とおっしゃっていましたよね？え……と、これか？」

　誰もいない教室。リリアーヌは机の中から、教科書を取り出し、自らビリビリと破って、ゴミ　箱に捨ててから、大声を出し、「やめてください。ジャクリーン様、なんてひどいことを……。」シクシクとゴミ箱の前で鳴きまねをするリリアーヌの姿が映っている。

　「うーん。これも、ジャクリーンの姿はありませんね。」

　「あ！その時間なら、ジャッキーはわたくしと一緒におりましたわよ。ジャッキーの作るお料理はカラダにやさしくて、時々作ってもらいに来てくれるのよ。」

　それは、王妃殿下の声だった。来賓の国王陛下と王妃殿下が今、到着されたばかりで魔道具の映像を見て、頷きながら証言をしてくださっています。

　「これはいったい何の騒ぎだ？」

　実はこれこれしかじかで……と学園関係者から事の一部始終を聴くと、国王陛下は顔を真っ赤にしながら、エドモンド殿下に向かい、

　「お前って奴は……そんなんだから、美形に見限られて婚約もできないのだ！６年前、そこの美形とお前を婚約させようと暗躍したにもかかわらず、美形から断られたわ！今にして思えば、美形は儂などよりも、男を見る目があったようじゃな。お前ではなくマーロンを選んだのだからな。尻を出せ！」

　エドモンド殿下は、心得たようで国王陛下に向けて、おしりを突き出すと。その場所に向かって、陛下の乗馬用の鞭が振り下ろされる。

　ペシっ！パシっ！ペシっ！パシっ！ペシっ！パシっ！

　４人の取り巻き衆は、みな顔を背けている。

　１８歳になったいい大人が怒られて、父親から鞭でおしりを叩かれている光景など見るに堪えない。

　それが王太子殿下となれば、話はまた別の方向へ進んでいく。

　結局、リリアーヌは王族侮辱罪で、投獄のうえ、処刑されることになった。

　エドモンドは廃嫡されたうえ、廃籍で国外追放処分となる。

　兄にタテを吐いたカーネルは、これまた貴族籍を除籍され、勘当の上国外追放となり、その他の貴族令息も同様の処分が下されることが決まる。

　今世では、誰にも婚約者がいないので、婚約者が泣かされるということにならずに済んでよかったかもしれない。

　でも婚約者でもないのに、婚約者のままになっているのは、乙女ゲームの強制力だろうか？

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