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新しい出会い
16.メトロ
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「お呼びでしょうか?シャルマン坊ちゃま……。こ、これは!?」
「ジャッキーが祖父さんの遺言本を見つけたんだ。」
「やはり若奥様は、レバトリー家にとって、運命の女性だったのですね。」
なに?また、シャルマン様と同じことを……?それに、まだ奥様ではないのだけど?
レバトリー家の地下室が開いた話は、王城で執務しているレバトリー公爵の元へすぐに知らされたのである。
結局、王城での仕事は急遽、お休みをいただき、取り急ぎ帰宅する。婚約書類は、提出したからいいようなものだが。
「父上!ジャッキーが祖父さんの遺言本を見つけて、地下室の扉が開いたのです。」
「うむ。よくやった。でかしたぞ。シャルマン。して、どうやって、ジャクリーン嬢を口説いたのだ?」
レバトリー公爵はいつになく上機嫌で、遺言では、聖なる乙女が光と共に進むべき道を示す。とあったが、ジャクリーン嬢は、どうやって?地下室の扉を?」
「あ、いえ……シャルマン様が、どれでも好きな本を読んでいいよ。と言ってくださったので、綺麗な装丁本を手に取り、1ページ目の1行目を何気に読みましたら、大きな地響きがしたと思った途端、気づけば、地下室の入り口が開いていたのです。」
「シャルマン、やっぱりお前は偉い!こんな美しくて、うまそうな娘と婚約しておきながら、ブラウデンの倅のように味見しないで、聖なる乙女の純潔を守ったからこそ、地下室への扉が開いたのだぞ。これは褒めてつかわす。」
つまりマーロン様のように出会ってすぐ、休憩室に連れ込むような男性ではなかったことが幸いしているってこと?
ふーん。よくわかったような?わからないような?ま、どうでもいいけど。ジャクリーンとしては一人掴んだことに変わりがないから。
執事がそこに来て、ヘルメットなどの装備を公爵、シャルマン、ジャクリーンの順に手渡していく。
へ?まさか?わたくしも、この中に入るの?ひょっとして、この中ってダンジョン?
ダンジョンとは、迷路のように地下深くまである魔物が巣くう洞窟状のこと。
うそ!?
「ジャッキー。大丈夫だよ、ダンジョンではないと思う。」
シャルマン様はそうおっしゃるけど、ヘルメットって何の意味?
おそるおそる階段を降り切ると、そこはだだっ広い部屋があり、いろいろ扉があり、 扉の向こう側は備蓄食料や毛布、衣料などがあった。何かあれば、地下でも生活できるように備えていたと考えられる。
そして、意外にも綺麗で清潔。感知センサーのようなもので、光魔法が自動で点くような仕組みになっている。
ところどころ、外の時間がわかるように明り取りの穴?が空けてある。
野戦病院としても使えるようなぐらい、だだっ広い空間が広がっているだけ。とにかく順番に扉という扉を開けることにした。どこに何が入っているかを確認しながら、それぞれクラフト付箋に「毛布」「飲料水」などと書いて、貼っていく作業に没頭する。
作業を進めるうちに、扉を開けると、そこは見知らぬ森の中であったり、これまただだっ広い湖が広がっていたりと外の景色につながっている扉もあるようだ。そこは異世界なのか?単に外国の景色なのかはわからない。
それぞれ「森」「湖」と書いて、扉に貼っていく。
そうやって、開けては確認して書くという作業を進めていくうちに、一つの扉だけ、たぶん公爵様のお祖父さんが書かれたものだと思う「要注意」のメモ書きがされているところが見つかった。
なに?これ?開けたらヤバイやつ?躊躇して立ち止まると、その扉が不意に開く。思わず身構えていると、それはレバトリー公爵だった。真っ青な顔をして、肩で息をしていらっしゃる。
この扉の向こうには、行かない方がいいぞ。」とだけ言われ、その場にしゃがみこんでしまわれる。
恐ろしい魔物、獣でもいたのだろうか?
気になって、隙間から覗いてみると、!
そこは前々々世まで住んでいた地下鉄が走っているではないか!それもどうみてもメトロ、たぶんニッポンの地下鉄だと思う。
危険だと言われても、懐かしいと思う心は止められない。でも、今のジャクリーンの姿は外国のお姫様風。うーん。この格好のまま行くのは憚られる。
そこが レバトリーの地下室だということも忘れ、前々々世通販の画面を開く。TシャツにGパン Gジャンにスニーカー、リュックサック、寒かったら困るからニット帽に手袋マフラーも買う。
下着は、昨夜のデビュタントのために買ったものを着ているし、地下鉄代をどうしようかと考える。無賃乗車になるのも困る。前々々世通販では、Suicaも買えるようだったので、それをとりあえず買ってみる。
そして、先ほどまで「ベッド」と記載していた扉のところまで行き、中に入って着替えることにする。
部屋から出てきたときの恰好は、完全にニッポンに留学生として来ている外国人の女子学生そのものの格好になっている。
今まで着ていたドレスやハイヒールは、リュックサックの中に皴にならないように畳んで入れている。
では、早速異世界ニッポンへ旅立とうとしていると、
レバトリー公爵とシャルマン様から必死に止められる。
「大丈夫ですわ。少し見てくるだけですので、ご心配なく。」
「それよりもそのいでたちは?」
「郷に入れば郷に従うですわ。」
結局、ジャクリーンを止めることはできないと判断した公爵とシャルマン様は、ジャクリーンと共に異世界ニッポン観光をすることにしたみたい。当然、お二方の衣装も揃えましたわよ。
「ジャッキーが祖父さんの遺言本を見つけたんだ。」
「やはり若奥様は、レバトリー家にとって、運命の女性だったのですね。」
なに?また、シャルマン様と同じことを……?それに、まだ奥様ではないのだけど?
レバトリー家の地下室が開いた話は、王城で執務しているレバトリー公爵の元へすぐに知らされたのである。
結局、王城での仕事は急遽、お休みをいただき、取り急ぎ帰宅する。婚約書類は、提出したからいいようなものだが。
「父上!ジャッキーが祖父さんの遺言本を見つけて、地下室の扉が開いたのです。」
「うむ。よくやった。でかしたぞ。シャルマン。して、どうやって、ジャクリーン嬢を口説いたのだ?」
レバトリー公爵はいつになく上機嫌で、遺言では、聖なる乙女が光と共に進むべき道を示す。とあったが、ジャクリーン嬢は、どうやって?地下室の扉を?」
「あ、いえ……シャルマン様が、どれでも好きな本を読んでいいよ。と言ってくださったので、綺麗な装丁本を手に取り、1ページ目の1行目を何気に読みましたら、大きな地響きがしたと思った途端、気づけば、地下室の入り口が開いていたのです。」
「シャルマン、やっぱりお前は偉い!こんな美しくて、うまそうな娘と婚約しておきながら、ブラウデンの倅のように味見しないで、聖なる乙女の純潔を守ったからこそ、地下室への扉が開いたのだぞ。これは褒めてつかわす。」
つまりマーロン様のように出会ってすぐ、休憩室に連れ込むような男性ではなかったことが幸いしているってこと?
ふーん。よくわかったような?わからないような?ま、どうでもいいけど。ジャクリーンとしては一人掴んだことに変わりがないから。
執事がそこに来て、ヘルメットなどの装備を公爵、シャルマン、ジャクリーンの順に手渡していく。
へ?まさか?わたくしも、この中に入るの?ひょっとして、この中ってダンジョン?
ダンジョンとは、迷路のように地下深くまである魔物が巣くう洞窟状のこと。
うそ!?
「ジャッキー。大丈夫だよ、ダンジョンではないと思う。」
シャルマン様はそうおっしゃるけど、ヘルメットって何の意味?
おそるおそる階段を降り切ると、そこはだだっ広い部屋があり、いろいろ扉があり、 扉の向こう側は備蓄食料や毛布、衣料などがあった。何かあれば、地下でも生活できるように備えていたと考えられる。
そして、意外にも綺麗で清潔。感知センサーのようなもので、光魔法が自動で点くような仕組みになっている。
ところどころ、外の時間がわかるように明り取りの穴?が空けてある。
野戦病院としても使えるようなぐらい、だだっ広い空間が広がっているだけ。とにかく順番に扉という扉を開けることにした。どこに何が入っているかを確認しながら、それぞれクラフト付箋に「毛布」「飲料水」などと書いて、貼っていく作業に没頭する。
作業を進めるうちに、扉を開けると、そこは見知らぬ森の中であったり、これまただだっ広い湖が広がっていたりと外の景色につながっている扉もあるようだ。そこは異世界なのか?単に外国の景色なのかはわからない。
それぞれ「森」「湖」と書いて、扉に貼っていく。
そうやって、開けては確認して書くという作業を進めていくうちに、一つの扉だけ、たぶん公爵様のお祖父さんが書かれたものだと思う「要注意」のメモ書きがされているところが見つかった。
なに?これ?開けたらヤバイやつ?躊躇して立ち止まると、その扉が不意に開く。思わず身構えていると、それはレバトリー公爵だった。真っ青な顔をして、肩で息をしていらっしゃる。
この扉の向こうには、行かない方がいいぞ。」とだけ言われ、その場にしゃがみこんでしまわれる。
恐ろしい魔物、獣でもいたのだろうか?
気になって、隙間から覗いてみると、!
そこは前々々世まで住んでいた地下鉄が走っているではないか!それもどうみてもメトロ、たぶんニッポンの地下鉄だと思う。
危険だと言われても、懐かしいと思う心は止められない。でも、今のジャクリーンの姿は外国のお姫様風。うーん。この格好のまま行くのは憚られる。
そこが レバトリーの地下室だということも忘れ、前々々世通販の画面を開く。TシャツにGパン Gジャンにスニーカー、リュックサック、寒かったら困るからニット帽に手袋マフラーも買う。
下着は、昨夜のデビュタントのために買ったものを着ているし、地下鉄代をどうしようかと考える。無賃乗車になるのも困る。前々々世通販では、Suicaも買えるようだったので、それをとりあえず買ってみる。
そして、先ほどまで「ベッド」と記載していた扉のところまで行き、中に入って着替えることにする。
部屋から出てきたときの恰好は、完全にニッポンに留学生として来ている外国人の女子学生そのものの格好になっている。
今まで着ていたドレスやハイヒールは、リュックサックの中に皴にならないように畳んで入れている。
では、早速異世界ニッポンへ旅立とうとしていると、
レバトリー公爵とシャルマン様から必死に止められる。
「大丈夫ですわ。少し見てくるだけですので、ご心配なく。」
「それよりもそのいでたちは?」
「郷に入れば郷に従うですわ。」
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