前世記憶持ちの悪役令嬢は聖女様呼ばわりされることが嫌で嫌で仕方がない～乙女ゲームのヒロインにゲームクリアしてもらうために奮闘する

青の雀

文字の大きさ

大中小

31 / 76

新しい出会い

31.温室

しおりを挟む

　カカオとマンゴーをどうしても諦めきれないジャクリーンは温室を設置することを思いつく。

　だが、温室の熱源をどうするかで、またもや悩む。温泉？石油？液化天然ガス？やみくもに掘ってみて、出なかったではシャレにならない。この世界での熱源効率は……動力として、魔石を遣うのが常らしいけど、魔石はけっこうな値段が張る。

　それに魔物を狩らなければ、魔石が取れない。前世、ただの女医が魔物なんて狩れやしない。

　火魔法と水魔法を駆使して、お湯を沸かすにしても、一日中張り付いてばかりは、いられない。

　火魔法や水魔法は、生活魔法と呼ばれ、この世界の人なら誰でも使える魔法なのだが、２４時間交代制にしても、労力が大きすぎる。

　温室さえあれば、バナナでもキウイでもパパイアでも南国のフルーツが収穫できる。やっぱり温室が欲しい。ギラギラとした日差しが照り付ける中、外にいるだけで、汗ばむ。

　悩みに悩んでいると、ドワーフのオジサンがサスペンションの試作品を持って、やってきた。

　「若奥様、暑いですな。こういう時は冷たいエールがグっといただきたいものです。ガハハ。」

　ドワーフのオジサンが持ってきたサスペンションを早速、馬車に取り付けてみる。シャルマン様とドワーフのオジサンが試乗してみると、確かに乗り心地は格段に良くなったらしい。

　これを大量生産できるように体制を整えていく。もちろん工場長は、ドワーフのオジサンに任せる。

　「それで、若奥様、この前、冷たいエールをいただいたとき、傍でくるくる回る丸い形をしたものも、ついでに作ってみたのですが、動力はやっぱりアレですかい？魔石を遣って、風が来るような仕掛けですかい？」

　そこで、ドワーフのオジサンが言っていることが扇風機を指していることに気づいた。

　電力だ！電気の力を動力にすれば、温室ができる。

　新しい希望の光が見えたような気がした。

　「ありがとう。オジサン、なんだかできそうな気がしてきたわ。」

　「へえ！お役に立てて何よりですけ。」

　ジャクリーンは、執務室に取って返し、マンションの書斎で、設計図を考える。動力源は、太陽光発電、太陽熱を利用するつもりでいる。

　ところで太陽光パネルって、ネットショッピングに売っているのだろうか？

　それを先に確認しなきゃなんないのに、何をしているのだか？美味しそうなフルーツのことばかり考えていた。

　どうも昨夜の四十八手から、こっち調子が悪い。感じすぎて、頭がおかしくなったのではないかと思う。それとも異常なキスマークのせいか？

　もうあまり時間がない。後２年と半年もすれば、GAME OVERになるかCLEARになれば、少しは時間稼ぎができるかもしれないけど。とにかく２年半と短い時間の中で、できることはすべて出し切って、やろうと思っている。

　たとえGAME OVERになり、またやり直しの人生が始まろうとしても、悔いはない。

　太陽光パネルは問題なくネットショッピングで買える見たい。その後の電力を貯蔵する方法も詳しく書かれてある専門者が購入できるみたいだから、すべてまとめて購入する。

　温室に必要なガラス、水まき用のホースや散水機もあわせて、買い揃える。

　ついでにビニールハウス用のビニールもロールで買う。

　それらをすべて持って、早速作業に取り掛かる。

　まずは、外側の温室作りからよね。

　ジャクリーンは大工仕事は苦手で、今までクギ一本すらロクに打ったことがない。針谷構造計算などしたことがない分野に戸惑いを隠せない。

　「困ったわ。わたくしには、建てられないわ。」

　温室になるような建物ごと、ネットショッピングで買えないか、探してみることにした。お値段ピンキリだけど、楽ちん市場にも売っていることがわかる。異世界通販って、なんでも帰るのね。

　アルミサッシの温室なら、軽くて、丈夫そうな感じがする。植える作物ごとに音質も沸ければいいかもしれない。バナナ用、マンゴー用、パパイア用、キウイ用、カカオ用といった具合に最低でも５つは購入するべきか？

　ANAZONで、スチール管製のフレームとポリエチレン製のメッシュ記事でできた音質が比較的リーズナブルなお値段で売られている。ほかにも全部アルミ製でなくても屋台骨だけがアルミで、ガラスと併用しているものは安いことがわかる。天井部分は、太陽光パネルを張るつもりだからスチール管でも、問題はないように思う。

　でかいビニールハウス状の音質をいくつか買い、中にそれぞれのフルーツの苗木を植える。この作業は、領民がこぞって、やってくれるので、助かる。

　フルーツの説明は、百聞は一見に如かずで、それぞれのフルーツの試食を行い、このフルーツを収穫するには、この苗木を植える必要があります。と説明すると、行列ができるぐらい参加者が多く集まったのだ。

　一番人気のフルーツは、バナナで、自分で手軽に川を向いて食べられるところが魅力。前世ニッポンにいるときも、おやつや朝食にバナナを食べていたぐらいだから、やはり世界は違っても手軽の食べられるバナナはどこへ行っても人気者のようだ。

しおりを挟む