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30.アイリス視点3
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月日は、瞬く間に流れ、あっという間に初夏の風が南方より流れ込んでくる。汗ばむ陽気にうんざりしながらも、開けはなたれた窓から、隣家の様子が一望できる。
「ん……?あれは……!」
シャルパンティエ家の紋章がついた立派な馬車が、玄関付近に停まったのを見ている。
通路側の扉が勢いよく開けられ、マクシミリアンが飛び出していく。
ナニをそんなに慌てているのかしら?
使用人が最敬礼しているにもかかわらず、無視して、反対側の馬車の扉を開け、誰かを抱きかかえながら公爵邸の扉をくぐっていく。
ははーん。あれが噂のデカパイ?か……。完全に尻に敷かれているな?その様子にほくそえみながら、手にしていた紅茶の中身を一気に飲み干す。
アイリスは、クリストファー殿下との婚儀を先延ばしにしながら、今やすっかりお局気分。
本来なら、今頃は、クリストファーが廃嫡されていなければ、王太子妃として、臣民から崇拝される存在になったはずが、誰も、アイリスを訪ねてくる者もおらず、腐っている。
アイリスは、昔から絶世の美女と謳われ、隣国へ留学していた時も、隣国の王族から度々パーティのお誘いを受けていたが、クリストファーと婚約中であったため、ステッキガール以上の関係には発展しなかったのだ。
あーあ。これなら、クリストファー殿婚約を白紙撤回して盛らないかしらね?そうすれば、マクシミリアン様の再婚相手にもなれるかもしれない。侯爵家より公爵家の方が、家柄が良いのだから、マクシミリアン様もその方が文句はないだろう。
でも、再婚相手って、まだ今の奥方と婚姻中だから、何とかしてあのデカパイを排除するか、それとも離婚してもらわないと再婚できないわね。
マリアンヌを使って、殺させる?
それとも、他の男を唆し、乱暴させてキズモノにする?
その機会は、なかなか与えられないデカパイは、公爵邸の中しか外に出歩かないためだ。
しばらくすると、遠目からでもデカパイが腹ぼてだということに気づいたのだ。
デカパイの不祥事をでっち上げたところで、マクシミリアンがあの腹ぼてを見放すことは決してないということがわかる。
昔からマクシミリアンという男はそういうところがある。だから、不祥事をでっち上げる線は諦める。後はいかにして、殺すかだけが問題。犯人役はマリアンヌと言う筋書きは変わらないが、毒殺するのが手っ取り早い。
お腹の子もろとも、死んでもらうのが一番だ。そして、嘆き悲しんでいるマクシミリアンを慰め、掌中に収めるつもり。
これ、いいんじゃない?なかなかよくできた筋書きだと思うわ。
マリアンヌから聞いた話では、ミッシェルは、物語の主人公でも悪役令嬢でも、ヒロインでもないその他大勢の中の登場人物すらないという話らしいから、モブはモブらしく主人公にその役を渡しなさいって話よ。
アイリスは、料理長に銘じて、クッキーや、隣国で食べた珍しいドーナッツを作ってもらい、その中に毒を仕込ませる。
それをマリアンヌに持たせ、隣家へ刺客として送り込むことにしたのだ。最初は、何も毒を入れていないものを渡し、2度3度してから、毒入りを持っていかせることにする。
最初は警戒していても。珍しい菓子に女性は興味を持つものだから、最終的には必ずデカパイの口に入るはず。だから、最初から毒は入れていない。
マリアンヌを呼び出し、隣家に若奥方がいらっしゃることを告げ、手ぶらで謝罪に行くのもなんだから、手土産に珍しいお菓子を作ったから、それを持っていくといいわ。と手渡す。
そして、喜んで出ていくマリアンヌw¥の姿を見送り、帰ってきてから、様子をうかがうと、デカパイは、とても親切で暖かくマリアンヌの謝罪を受け入れてくださったと上機嫌で話しているのを聞いた。
さらに「いつでも、遊びに来てくださいね。」という言葉まで頂戴しましたの。とマリアンヌは目を輝かせている。
「ん……?あれは……!」
シャルパンティエ家の紋章がついた立派な馬車が、玄関付近に停まったのを見ている。
通路側の扉が勢いよく開けられ、マクシミリアンが飛び出していく。
ナニをそんなに慌てているのかしら?
使用人が最敬礼しているにもかかわらず、無視して、反対側の馬車の扉を開け、誰かを抱きかかえながら公爵邸の扉をくぐっていく。
ははーん。あれが噂のデカパイ?か……。完全に尻に敷かれているな?その様子にほくそえみながら、手にしていた紅茶の中身を一気に飲み干す。
アイリスは、クリストファー殿下との婚儀を先延ばしにしながら、今やすっかりお局気分。
本来なら、今頃は、クリストファーが廃嫡されていなければ、王太子妃として、臣民から崇拝される存在になったはずが、誰も、アイリスを訪ねてくる者もおらず、腐っている。
アイリスは、昔から絶世の美女と謳われ、隣国へ留学していた時も、隣国の王族から度々パーティのお誘いを受けていたが、クリストファーと婚約中であったため、ステッキガール以上の関係には発展しなかったのだ。
あーあ。これなら、クリストファー殿婚約を白紙撤回して盛らないかしらね?そうすれば、マクシミリアン様の再婚相手にもなれるかもしれない。侯爵家より公爵家の方が、家柄が良いのだから、マクシミリアン様もその方が文句はないだろう。
でも、再婚相手って、まだ今の奥方と婚姻中だから、何とかしてあのデカパイを排除するか、それとも離婚してもらわないと再婚できないわね。
マリアンヌを使って、殺させる?
それとも、他の男を唆し、乱暴させてキズモノにする?
その機会は、なかなか与えられないデカパイは、公爵邸の中しか外に出歩かないためだ。
しばらくすると、遠目からでもデカパイが腹ぼてだということに気づいたのだ。
デカパイの不祥事をでっち上げたところで、マクシミリアンがあの腹ぼてを見放すことは決してないということがわかる。
昔からマクシミリアンという男はそういうところがある。だから、不祥事をでっち上げる線は諦める。後はいかにして、殺すかだけが問題。犯人役はマリアンヌと言う筋書きは変わらないが、毒殺するのが手っ取り早い。
お腹の子もろとも、死んでもらうのが一番だ。そして、嘆き悲しんでいるマクシミリアンを慰め、掌中に収めるつもり。
これ、いいんじゃない?なかなかよくできた筋書きだと思うわ。
マリアンヌから聞いた話では、ミッシェルは、物語の主人公でも悪役令嬢でも、ヒロインでもないその他大勢の中の登場人物すらないという話らしいから、モブはモブらしく主人公にその役を渡しなさいって話よ。
アイリスは、料理長に銘じて、クッキーや、隣国で食べた珍しいドーナッツを作ってもらい、その中に毒を仕込ませる。
それをマリアンヌに持たせ、隣家へ刺客として送り込むことにしたのだ。最初は、何も毒を入れていないものを渡し、2度3度してから、毒入りを持っていかせることにする。
最初は警戒していても。珍しい菓子に女性は興味を持つものだから、最終的には必ずデカパイの口に入るはず。だから、最初から毒は入れていない。
マリアンヌを呼び出し、隣家に若奥方がいらっしゃることを告げ、手ぶらで謝罪に行くのもなんだから、手土産に珍しいお菓子を作ったから、それを持っていくといいわ。と手渡す。
そして、喜んで出ていくマリアンヌw¥の姿を見送り、帰ってきてから、様子をうかがうと、デカパイは、とても親切で暖かくマリアンヌの謝罪を受け入れてくださったと上機嫌で話しているのを聞いた。
さらに「いつでも、遊びに来てくださいね。」という言葉まで頂戴しましたの。とマリアンヌは目を輝かせている。
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