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番外編
6.ダニエル視点1
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ベルミー国のダニエル殿下は、国外追放になったものの、一人で生きていく術はない。お金を稼ぐ術がない・働こうにも、働き口がない。
一緒に出てきた男爵令嬢セリアーヌは、元は市井の出身だから、さっさとカフェの女給の仕事にありついて、ロクに稼ぎもしないダニエルのことを疎ましく思っている。
ミッシェルを連れて帰ると言ったものの。ミッシェルがどこにいるかもわからず、毎日、街をうろついては、男爵令嬢セリアーヌの手前、情報収集をしているという態をとっているだけ。
聖女様になったと聞くから、教会にいるはずだと思うのだが、いない。
そんなある日の昼下がり、大聖堂で、ミッシェルの姿を見かける。側にいた男は、ミッシェルと似たような服を着ていたから、あれはこの国の学園の制服かもしれない。
ミッシェルの奴、修道院に行かずに留学生を装ったのだな?見栄っ張りのあいつらしい。
制服の模様から、学園を割り出すと、王立学園の制服だとわかった。後は、その学園の寮の部屋でミッシェルを待ち伏せして、レイプして連れ帰るだけだ。
ところがいくら学園に掛け合っても、ミッシェルの部屋に通してもらえないどころか、部屋番号も教えてもらえない。
「俺はベルミーの王子だぞ。それにミッシェルの婚約者だというのに、なぜ、教えられない?外交問題にしてもいいのだぞ?」
学園もミッシェルはもう結婚していて、厄介ごとになることを恐れ、口を噤んだままであったが、とりあえず、以前、ミッシェルが使っていた部屋を案内して、矛を収めることにしたのだ。
ようやく通された部屋は、案外広く寝室と書斎、リビング、それに侍女部屋まで2室あった。
これなら、今いるアパートより広いのではないかと思われたのだ。ここへあの男爵令嬢せりあーぬを連れ込んで済めば、家賃分が浮くのではないか?
喜び勇んで、家に帰ると、男爵令嬢セリアーヌは、荷物ごともぬけの殻になっていた。
「へ?」
「セリアーヌ!どこへ行った?俺だ。帰ったぞ!」
喚き散らしていたら、隣の部屋に住むオバサンが、
「うるさいんだよ!さっき、男と一緒に出てったよ!」
「うそだ。うそだ。セリアーヌが……。男と駆け落ちだなんて、あり得ない!」
「稼ぎの悪い男よりは、マシだと思うのだがね。」
隣の部屋のオバサンは、ケタケタと笑いながら部屋へ戻っていく。
しばらく部屋の中で、呆然とするも、ここにいては家賃すら払えないことに気づき、ミッシェルの寮の中で暮らすことにする。
学園のご厚意で、食堂で食事を摂ることもでき、学生でもないのに、制服もくれた。授業も、興味があるものなら、好きなものを受けてくれても構わないという破格の待遇に何ら御門を挟む余地すらなく、その厚情に甘える。
元が温室育ちなので、ダニエルからすれば、それが破格だとも思わない。
実は、マクシミリアンの父の指示に学園は従っているに過ぎない。義父は、ミッシェルがダニエル王子の婚約者であったが、転校してきた男爵令嬢にダニエルが現を抜かし、婚約破棄されたことを知っている。
おそらく、今、学園に現れたのは、ミッシェルが聖女様であることを知り、連れ帰るための拉致もしくは誘拐の為だと察し、下手に野に放つよりも、学園の中で飼ってほしいと頼んだからだ。
もちろん、宰相としての判断もあるが、息子夫婦の幸せを願っての指示ということは間違いない。
学園側もこれを了承し、クリストファー殿下やその側近の二の舞にならないように彼らの行動を逐一、監視している。
殿下と側近はというと、ある日の放課後、全員、アソコがもぎ取られた形で発見されたのだ。
学園内で度々、起こっていた連続強姦犯は殿下たちだと判明、被害女生徒が何十人もいて、中には孕んでいる生徒もいたのだ。
生まれてきた子供の髪の色や目の色で、それぞれの貴族が嫁として、引き取るという条件で和解は成立する。
だから、これ以上、厄介ごとは困る。だけど、監視するなら、4人も5人も変わらない。一人ぐらい増えたところで、どうってことないから、快諾したのだ。
一緒に出てきた男爵令嬢セリアーヌは、元は市井の出身だから、さっさとカフェの女給の仕事にありついて、ロクに稼ぎもしないダニエルのことを疎ましく思っている。
ミッシェルを連れて帰ると言ったものの。ミッシェルがどこにいるかもわからず、毎日、街をうろついては、男爵令嬢セリアーヌの手前、情報収集をしているという態をとっているだけ。
聖女様になったと聞くから、教会にいるはずだと思うのだが、いない。
そんなある日の昼下がり、大聖堂で、ミッシェルの姿を見かける。側にいた男は、ミッシェルと似たような服を着ていたから、あれはこの国の学園の制服かもしれない。
ミッシェルの奴、修道院に行かずに留学生を装ったのだな?見栄っ張りのあいつらしい。
制服の模様から、学園を割り出すと、王立学園の制服だとわかった。後は、その学園の寮の部屋でミッシェルを待ち伏せして、レイプして連れ帰るだけだ。
ところがいくら学園に掛け合っても、ミッシェルの部屋に通してもらえないどころか、部屋番号も教えてもらえない。
「俺はベルミーの王子だぞ。それにミッシェルの婚約者だというのに、なぜ、教えられない?外交問題にしてもいいのだぞ?」
学園もミッシェルはもう結婚していて、厄介ごとになることを恐れ、口を噤んだままであったが、とりあえず、以前、ミッシェルが使っていた部屋を案内して、矛を収めることにしたのだ。
ようやく通された部屋は、案外広く寝室と書斎、リビング、それに侍女部屋まで2室あった。
これなら、今いるアパートより広いのではないかと思われたのだ。ここへあの男爵令嬢せりあーぬを連れ込んで済めば、家賃分が浮くのではないか?
喜び勇んで、家に帰ると、男爵令嬢セリアーヌは、荷物ごともぬけの殻になっていた。
「へ?」
「セリアーヌ!どこへ行った?俺だ。帰ったぞ!」
喚き散らしていたら、隣の部屋に住むオバサンが、
「うるさいんだよ!さっき、男と一緒に出てったよ!」
「うそだ。うそだ。セリアーヌが……。男と駆け落ちだなんて、あり得ない!」
「稼ぎの悪い男よりは、マシだと思うのだがね。」
隣の部屋のオバサンは、ケタケタと笑いながら部屋へ戻っていく。
しばらく部屋の中で、呆然とするも、ここにいては家賃すら払えないことに気づき、ミッシェルの寮の中で暮らすことにする。
学園のご厚意で、食堂で食事を摂ることもでき、学生でもないのに、制服もくれた。授業も、興味があるものなら、好きなものを受けてくれても構わないという破格の待遇に何ら御門を挟む余地すらなく、その厚情に甘える。
元が温室育ちなので、ダニエルからすれば、それが破格だとも思わない。
実は、マクシミリアンの父の指示に学園は従っているに過ぎない。義父は、ミッシェルがダニエル王子の婚約者であったが、転校してきた男爵令嬢にダニエルが現を抜かし、婚約破棄されたことを知っている。
おそらく、今、学園に現れたのは、ミッシェルが聖女様であることを知り、連れ帰るための拉致もしくは誘拐の為だと察し、下手に野に放つよりも、学園の中で飼ってほしいと頼んだからだ。
もちろん、宰相としての判断もあるが、息子夫婦の幸せを願っての指示ということは間違いない。
学園側もこれを了承し、クリストファー殿下やその側近の二の舞にならないように彼らの行動を逐一、監視している。
殿下と側近はというと、ある日の放課後、全員、アソコがもぎ取られた形で発見されたのだ。
学園内で度々、起こっていた連続強姦犯は殿下たちだと判明、被害女生徒が何十人もいて、中には孕んでいる生徒もいたのだ。
生まれてきた子供の髪の色や目の色で、それぞれの貴族が嫁として、引き取るという条件で和解は成立する。
だから、これ以上、厄介ごとは困る。だけど、監視するなら、4人も5人も変わらない。一人ぐらい増えたところで、どうってことないから、快諾したのだ。
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