王配狙いで悪役令嬢にされ婚約破棄~社会勉強のため伯爵家へ養女に行った王女殿下が立派な女王陛下となるまで

青の雀

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学園

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 ジャッキーがジャクリーン殿下だとわかっても、学友をはじめ教職員も父兄も今まで通り接してくれることはありがたかった。

 それからは、毎日放課後になるとクラスの仲間たちを王城に招いて、そこで勉強することにしたのです。

 王城の図書館には、資料がたくさんあり、勉強が捗るという理由で。

 ファインは、ジャッキーにやがて同級生以上の好意を持つようになったが、身分違いということで胸にしまい込んだまま、友人として接することを心掛ける。

 もう一人、ジャッキーに思いを寄せる人物がいる。ジャッキーより4歳年上のマーカス・サニーバードである。

 こちらもジャッキーに妹以上の感情を持っているのだが、言い出せない。それに伯爵家の三男坊だから、王配には、微妙なところで難しい。せめて侯爵までだろうなぁと諦めている。

 ジャッキーが自分に好意を持ってくれていたら、別だけど、ジャッキーは小さい時からネルソン兄さんのことが一番好きで、ネルソン兄さんも嫁さんがいるが実のところは、ジャッキーに好意を抱いていたのだ。だからこそ北の国境で魔物に襲われたとき、新婚の嫁さんよりもジャッキーに会いたがったのだ。

 サニーバード家の者は、皆、薄々感づいているが誰も何も言わない。やはり、身分の差が大きすぎる。

 それにジャッキーは、王位継承権第1位の王女殿下であるから、普通に恋愛して誰とでも結婚できる立場ではない。そのことは、ジャッキー自身が一番よくわかっていることなのだ。

 そうこうしている間に、2年生が終わり、やがて3年生となり、卒業後の進路を悩む。ジャッキーは、数学の勉強を極めたいけど、魔法ももう少しできれば便利だから……と、進路について悩んでいる。

 「いいなぁ、ファインは行くところがあって。」

 「ジャッキーちゃんにだって、いいお仕事があるのではない?」

 「王女の仕事?父のスケジュール管理とファイリングして、財務状況の管理と入札適正価格の設定と徴税事務と給与計算などの承認決済後の連絡と却下した理由を先方へ連絡して、お小言を聞いて、後は苦情処理と予算配分の組み立て、実際額との割合分析、たまには地方へ視察に行き、公式行事は挨拶を考える。外国から使節団が来られたら、おもてなしをするぐらいのことよ。あぁ、それと一日何回か父への面会があるのね。謁見というのだけど、それの調整もしなきゃいけないのよ。」

 「ぅわぁっ!大変だねぇ、忙しくて目が回りそうだ。」

 「王女と言えば、ただ綺麗なドレスを着て、しゃなりしゃなりと歩いているだけのイメージしか持たれないけど、アヒルの水かきと同じよ。女王になれば、さらに仕事量が倍になる。安易な気持ちや浮ついた気持ちだけで、王配にはなれないものよ。それをヘンリーはあんな調子だったから、婚約破棄してくれて、清々したわ。」

 ファインは、少しでも学友以上の感情を抱いたことに反省する。とても自分では手に負える相手ではないということを痛感する。

 「俺が有名な建築家になったら、王国の入札に参加させてくれよな。」

 「もちろんお願いするわ。有名でなくても、入札に参加していただきたいし、もし格安で請け負ってくれるのなら、随意契約を結びたいわ。」

 ずいいけいやく?なんだそれ?と思ったが、その時になれば、ジャッキーちゃんが教えてくれるだろう、とその時は考えていた。

 ファインは推薦で大学へ進学することが決まり、もう受験勉強から解放されてウキウキしていたのだ。ついでだから、ジャッキーが言っていた随意契約について、調べてみることにしたら、!!!!!

 なるほど、意味が分かってからは、受験勉強をしなくていいかわり、少し早めに大学へ行き、聴講生風を装って勉強を始めることにしたのである。ただ、出席日数が気になったが、王女殿下の肝いりの生徒なので、特別扱いしてもらえることになったのである。

 時間がもったいないから。

 明日ありと 思う心の 仇桜 夜半に嵐の 吹かぬものかは

 王城の図書館で読んだどこかの偉い坊さんのポエムである。

 ジャッキーは経営学を極めるために大学へ進学することにしたのだ。MBAという資格があるかどうかは、わかりませんが似たようなものを取りたいと思っているのです。数学の勉強は、経営学の中でも生かされる。魔法の勉強は、もともと趣味で始めたので、こちらはどうでもいいけど、できれば便利という程度だから。

 父宛てに稟議書を書き、父の執務机にそっと置く。

 ジャッキーは大学へ進学しなくてもいいぐらい、小さい時から父の仕事を手伝っている。大学進学をしたいということは、あくまでも結婚するまでの時間稼ぎなのである。学園だけを卒業して、王女の仕事に専念すれば、恋愛をしているヒマがない。第一、出会いに乏しい。また、第2第3のヘンリーのような政略で、勝手に婚約させられたら、たまったもんじゃない。

 伯爵家に養女に行ったのも、本当の理由はそれだった。でも、できたのは養父母と疑似兄さまだけ。ネルソン兄さまは優しくて、ステキだったけどさっさと結婚しておしまいになったから、別れさせてまで、王配にはできない。

 学園に行ってからは、ヘンリーが度々絡んできて、鬱陶しかったわ。同じクラスの生徒は、平民出身者ばかりであったから、お友達にはなれても王配候補になるような子は一人もいなかったわ。

 大学は、出来れば王女である身分を隠せる隣国の大学がいいかしらね。でも苗字を出せば、すぐバレるから、またサニーバードの名前を使わせてもらうこととする。

 「サニーバードの名前を使うのなら、国内の大学でもいいではないか?別に他国へ行って、寮に入らずとも、転移魔法があるのだから、この城から通えばいい。どこの大学を選んでもいいが、寮に入ることは禁ずる。ジャッキーは王女なのだから、王位継承権者としての自覚を持ってほしい。軽はずみな行動をしてはダメだ。」

 えー!それでは、恋愛の時間稼ぎにならない。たまには、好きな男性の家でお泊りしてみたかったのにぃ。

 外泊を許される家は、サニーバード家だけ、なんだってさ。

 あーあ、籠の鳥よね。王太子の場合は、王太子妃になる娘は処女でなければならないという決まりが一応あるみたいだけど、王女の夫になる男は童貞でなければならないという決まりはない。それなのに、王女は夫になる男に処女を捧げるって、どう考えても不公平だと思うわ。

 だからヘンリーみたいに婚約者のいる令嬢は婚約者以外の男性と口を利いてはいけないというバカな不文律があるのよ。

 わたくしが女王になれば、この悪弊を撤廃するわ。そもそもその不文律ができたのは、王太子妃の純潔を守るためで、他の貴族令嬢には適用されないもの。王太子妃が他の男の子供を産まないようにするためで、王女は、誰の子供であろうが、王女が産んだ子供には王位継承権が付いてくるのだから、関係ないと思うのだが。

 それでも既得権のように、男は王女の純潔性を訴えてくる。だって、関係ないじゃん。と言いたいわ。

 反発して、あっちこっちの男をひっかけて、ヤりまくるのも一つの方法だと思うけど、今のところ抱かれてみたいと思えるような男性はいない。強いて言えば、ネルソン兄さまだけど、ネルソン兄さまの家庭を壊すようなことはできない。

 何が軽はずみな行動をするな、ですわ。どうして、親は娘が一人暮らしをしたいと言い出すと、男を家に引き入れるものと思うのだろうか?

 たとえ、引き込んでも清い関係もあると思うのだが、男の心理では、家に引き込むイコール娘の純潔が奪われる。というように考えるらしい。というのは、自分がそうだから、好きな女の子の家に行って、相手の親が不在もしくは鍵付き個室を持っていて、外に音が漏れる心配がなければ100パーセント襲うものらしい。よほど体調が悪い時は別として。

 でも娘のほうも、そうまでしないとなかなかこれ!と思える男性の気を惹けない。だから、飲みに行っての帰り、送ってもらったら、「お茶でも」と言って、男を家の中に誘うのである。

 それで手を出されなければ、自分に関心がないとハッキリわかるから。もし、関心がなくても、手を出してくれたら儲けものと言ったところ。それがたとえ、一夜限りの愛であっても。そこから、ひょっとすれば付き合えるかもしれないから。

 ジャッキーには、そういう普通の手練手管が使えない。だからせめて、自由に恋愛ぐらいさせてほしい。

 でも、隣国の大学へ行ったとしても、国内の大学へ通ったとしても、いつもいつも転移魔法で帰るのはキツイ、やっぱり大学の寮に入らなければならないだろう。

 研究室に入るようになれば、なおさらのことである。

 ジャッキーの目指しているところは、経営学修士だから、研究室のこもることも出てくるだろう。

 これから順調に行って6年間の学生生活が始まる。期待と夢を持って、g区政生活を楽しもうと思っていたら、またお父様が

 「6年間は長すぎる。24歳になってしまうではないか?それでは、行かず後家になってしまうぞ。いくら、王女の婿という餌をちらつかせても24歳になる娘のところへなど来たいという婿殿は難しいだろう。」

 これには、お母様が激怒された。

 「王女の婿という餌ですって!? アナタ言っていいことと悪いことがございますわよ。それに24歳で行かず後家とは、女性蔑視も甚だしいですわ。ジャッキーちゃん、わたくしが許可します。隣国でもどこでも行って、寮か一軒家を借りて、そこで暮らしなさい。いちいち転移魔法で帰ってくるなど、面倒なことをしなくてもいいです。人生で一度しかない学生生活を謳歌しなさい。」

 「お、お、おい、そんなことしたら、ジャッキーに悪い虫がつくかもしれない……。」

 「ご自分の娘が信じられないのでございますか?ジャッキーちゃんは、そんなふしだらな娘に育てた覚えはありませんことよ。」

 お母様の鶴の一声で、隣国の大学に行くことになったのである。お母様、ありがとう。

 大学へは、寮に入らず一軒家を借りることになったのである。そしてお城からは、女官と騎士が同行することになった。

 一応、伯爵令嬢としての身分しか出さないため、執事や料理長など、それっぽくしたのだが、お城の料理長が一緒に行きたいとせがんでくる。執事の代わりに宰相が、自分が執事役を買って出ましょう。と言い出す始末。女官長も、王女様が行かれるのなら、わたくしが行かなければ、と妙に張り切っているのだ。これなら、寮へ入ったほうが気楽で良かったかもしれない。
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